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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


寝た子はだれだ?

●準備の合間
 高峰から不眠耐久バトルの説明らしきものを受けたあと、汐耶は一旦座敷を出ると、厨房に来ていた。脱落者の観察の為に誰かに酔いつぶれてもらおうと、汐耶は誰もいない厨房で酒を探す為である。
「何かお探しですか?」
 汐耶が声に振り向くと、そこには蓬莱館唯一の従業員である蓬莱が立っていた。
「お酒を分けて頂けないかと思って、ね」
「お酒ですか?」
「そう。あと、出来たらコップも」
 汐耶の御願いに、蓬莱は備え付けの木棚の一つを開け、中から一升瓶と紙コップを取り出し、調理台の上に置いた。
「栓を開けてあるんですけど、これでもいいですか?」
「えぇ、構わないわ。ありがとう」
 微笑み蓬莱に礼を言った汐耶は、酒を取り座敷に戻ろうとした足を止めた。
「そうだ。一つ聞いてもいいかしら?」
「なんですか?」
「睡蓮の間についてなんだけど……」
 汐耶がそれだけ言うと、蓬莱はあぁ、と手を打った。
「お客さん、高峰さんの余興に出られるんですね」
「そうなの。ねぇ、あそこで寝ると何があるの?」
 尋ねた汐耶に蓬莱は大げさに手を振った。
「あー駄目駄目。駄目ですよー言っちゃったら、楽しく無いじゃないですか。大丈夫です。死にはしませんから」
 にこにこと笑いながら高峰と同じ事を言う蓬莱に、汐耶は苦笑する。
「死人が出るような余興はかなり問題があると思うんだけど?」
「そりゃそうですよ。そんな危ないところにはお客様を泊められませんよ」
 渋い顔をしてそう言った蓬莱だが、次には笑みを浮かべて視線を少し汐耶から外して言った。
「ふふふ……あそこにいる人達はちょっと変わってますけど皆良い人たちですからねーきっと楽しいと思いますよ。……眠らなければ、ですけど」
「……あそこにいる人達?」
 引っかかった言葉を反芻した汐耶に、蓬莱はあっと両手で口を押さえた。
「これ以上はもう駄目です。もう、何も言いませんよ〜」
 くすくす笑う蓬莱に、何があるのか分からないながらも、それほど酷い事は無いようだと判断した汐耶は確認の質問をした。
「じゃあ、人体的傷害ってのは、無いのね?」
「はい。ありません」
 はっきり頷いた蓬莱を見て、汐耶は小さく息を吐き酒と紙コップを顔の横にかかげた。
「ありがとう。これ、貰っていくわ」
「えぇ、どうぞ。頑張って下さいね」
 何をどう頑張ればいいのかイマイチ良くわからないが蓬莱に手を振り、汐耶は一つの確信を持って厨房を後にした。
「さって、ゆっくりお酒を頂きながら何が起こるか確かめましょうか」
 睡蓮の間へ向かいながら、汐耶は楽しみだわ、と呟いた。


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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1449/綾和泉・汐耶/女/23歳/都立図書館司書】

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■         ライター通信          ■
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はじめまして、壬生ナギサと申します。
今回は高峰温泉ダブルノベルにご参加頂き、有難うございます。
如何でしたでしょうか?
共通ノベルの方の犠牲者は、私の独断と偏見で決めさせて頂きましたので、怒らないで下さい。

クールに観察組みとして書かせて頂きました。
そんなに目立つ事はなく、お客様の予想を裏切っていたとしたらスミマセン。
最初は汐耶さんにも眠って頂こうかな〜などと思ったのですが……
他のPCさまのプレイングの兼ね合いにより、汐耶さんには害は及ぶ確立少なそうだと判断し、こういう結果になりました。

では、ご縁がありましたらまたお会いできる日を楽しみにしております。