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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜火事騒ぎは控えめに?〜

ジャングルを探索する道中、圭織は龍也と腕を組んで歩いていた。
当然とばかりに飄々とした表情で歩く龍也と、機嫌よく腕をしっかり抱いている圭織。
…ついでに、後ろでその2人の光景を見てげっそりしてる聡がいたりする。

「なんだかんだいっても、結構楽しいわね、此処も♪」
「そうだな」

どうにも危機感に欠けるこの2人。
下手したら一生此処に閉じこめられるかもしれないというのに、随分と脳天気なことだ。
というより、これも余興の一環、程度にしか考えていない可能性が高い。

「…はぁ…お2人とも、もう少し危機感を持ちましょうよ〜…」
そんな2人の背を眺め、聡は身体を折って全身で呆れと疲れを示す。

―――が。

「そんな格好してたら背骨が曲がって年取った時に困るわよ?」
「そうだぞ。腰が折れたジジイはカッコ悪いからな」

「……そうですね……」
この2人には意味がなかったようだ。
しくしくと涙を流しながら背を伸ばす聡に満足したのか、2人はまた前を向いて歩き出す。
…と。

「…あら?」

圭織が何かに気づいたように足を止めた。
「どうした、圭織?」
「?何かあったんですか?」
訝しげに足を止める龍也と聡。
他のメンバーも足を止め、圭織を凝視する。
すると圭織はすっと手を上げ、1点を指差した。
そこにあったのは…。

「……たけのこ…?」
――――――そう、筍。
とは言っても、ただの筍ではない。
縦が圭織と同じくらいの高さ、横が圭織と龍也が並んで丁度くらいの幅なのだ。
料理するなら大量の筍を買うよりもよっぽど安上がりだろうが…怪しすぎて、使う気にはなれなさげ。

「…あ、あからさまに怪しいですね…」
聡とて家の珍植物を世話していようともこういうものが普通ではないことは重々承知している。
ここの植物分布が可笑しいのは既に知っていたが、流石に巨大な筍が生えているとは思ってもいなかったようだ。
口元を引き攣らせて呟く聡に、圭織は満足そうに頷く。
「でしょー?私もそう思うのよー」
そう言いながら、圭織はずかずかとその巨大筍へ向かって歩き出す。
「あ、ちょ、ちょっと圭織さん!?
 近づいたら危ないですよ!!」
焦って叫ぶ聡の言葉を無視し、圭織は筍の前に仁王立ち。
女性らしい外見とは裏腹にやけに漢らしいポーズが様になっている辺り、圭織の性格がよくわかる。

あわわわわ、と顔を真っ青にする聡とは対照的に、龍也は完全に傍観モードだ。
まぁ、いざとなったら速攻で助けに入るつもりではあるようだが、今は圭織の好きにさせるつもりらしい。
「こんなにあからさまに怪しいものは、あえて調べるべきなのよ!」
なんて力説しながら、圭織はすっと手の平を上げて筍へ向ける。
聡が何をするのかとじっと見ている中―――圭織はにっこり笑って。

「よって――――放火♪」

ボォッ!!
……手の平から火の玉を発射し、筍に力いっぱいぶつけた。
「ぎゃ―――――ッ!!!!!
 し、森林破壊――――ッ!!!!!!!」
あっという間に火が広がって行く筍を見て顔を真っ青にする聡を他所に、圭織は意気揚揚と帰ってきて、龍也とハイタッチを交わす。
妙に達成感が溢れているような気がするのは何故だろうか…。
「じゃあ龍也、後始末ヨロシク☆」
「任せとけ」
そう言ってにやりと笑った龍也は、すっと手を振った。
―――と。
バシャァッ!!!ジュワァッ!
「はうっ!?」
唐突に筍と聡の頭上に大きな水の塊が発生し、そのまま落下。
聡をびしょ濡れにしつつも、大きな音と煙を上げて火は鎮火した。
「さっすが龍也♪見事な仕事っぷりv」
「まぁ、当然だな」
嬉しそうに龍也の腕に抱きつく圭織と平然とした龍也。
「…こ、このままジャングルに火が燃え移ったらどうするつもりだったんですかぁ!?
 下手をしたら僕達皆焼け死んでたかもしれないんですよぉ!?」
びしょ濡れになった聡が未だに青い顔のまま泣きかけな状態で2人に詰め寄った。
が、2人は飄々とした表情でさらっと答える。

「何言ってるのよ。
 龍也がいるから火事になんてなる訳ないじゃない?」
「だよな」

「……もぉ、いいです……」

顔を見合わせて本当になんとでもないように呟く2人に、聡はしくしく泣きながら肩を落とすのだった。
ちなみに。
この後も何度か圭織がボヤ騒ぎを起こして龍也によって鎮火されると言う事態が起こったのは…言うまでもないだろう。

教訓:怪しいからって手当たり次第に攻撃するのは止めましょう。



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■   登場人物                  ■
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【2313/来城・圭織/女/27歳/弁護士】


【2953/日向・龍也/男/27歳/何でも屋・魔術使い】

【NPC/山川・聡】
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■         ライター通信          ■
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こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。

【圭織様】
共通では龍也さんとイチャイチャと言う事で頑張ってみましたが…い、如何でしょうか…?(自信皆無)
他のメンバー様方との会話がほとんどない状態になってしまって申しわけ御座いませんでした(汗)
個別は、「火事騒動」がテーマです(見りゃ解るし)
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)
何気に聡と龍也さん以外のメンバーが全然出ていないと言う事についてはツッコまないでください…(死)

こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。