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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


寝た子はだれだ?

●不眠バトルの夜は明けて

 小鳥のさえずり。生まれたての太陽の柔らかな光。頬に当たる柔らな草と土の匂い。慶悟は静かに目を開けた。視界に飛び込んできたのは夜の紺から徐徐にオレンジに移り変わっていく神秘的な色の空。
 ぼうっと朝焼けの空を眺めながら、慶悟は二度ゆっくり瞬きをした。
「ここは……?」
 自分の飲んでいた酒に睡眠薬が混ざっていた事を知らない慶悟は自分のいる場所を確かめようと身を起こそうとして、両腕の重みに気がついた。
 慶悟の両腕を枕にし、茉莉奈と良平が擦り寄るように眠っている。
「……なんでこの二人が?いや、そもそも何故俺が腕枕を??」
 頭の中全部クエスチョンマークで溢れかえっている慶悟は体を起こそうとするが、両腕を塞がれていては起き上がれない。かといって、気持ち良さそうに寝ている二人を無慈悲にも叩き起こすのもどうかと、気が引ける。結果、そのままの状態で慶悟は空を見上げ小さな溜息をついた。
「一体何がどうなったんだか……」
 紺からオレンジ。オレンジから空色へと変わり行く空を眺め、慶悟は小さく笑みを浮かべた。
 そして、首だけ持ち上げ、自分の今いる場所を少しでも把握しようと辺りを見渡した。
「ここは……中庭か?」
 慶悟は自分の胸越しには蓬莱館。そして、頭の上を見ると薄いピンク色したツツジが咲いているのが目に入った。
「にゃあ」
 顔のすぐ横で聞こえた猫の鳴き声の方を向くと、艶やかな毛をした黒猫が何か語りかけるような目で慶悟を見て座っていた。
「ん……なんだ?」
「みゃあ……」
「俺に、同情してくれてんのか?」
 猫は人の言葉が分かるかのように、しばらくじっと慶悟の目をみてもう一声鳴いた。
「そうか、そうか。だったら、この二人を起こしてもらいたいもんだ……」
(困ったからといって俺は何を言ってるのだろうな……まさに猫の手も借りたい、といったところか)
 心の中でそうぼやいた慶悟は自嘲気味に笑んだ。
「煙草飲みてぇな……」
 呟く慶悟を見つめていた黒猫は茉莉奈の顔に近づくと、一声鳴いて頬を舐める。茉莉奈が微かに声を上げたのを確認した黒猫は、慶悟の体の上を歩き良平の顔をその前足の肉球で足踏みする。
「ん……あれ? もう朝〜?」
「ん〜〜なんだよ〜」
 目覚めた二人が頭を上げ、慶悟は自分の腕が感覚無いほど痺れているのにようやく気がついた。
「あ、おはよう」
「よっ!」
 随分親しげに挨拶してくる二人に、慶悟は痺れて動かしたくない両腕を広げたまま、溜息と共に呟いた。
「……煙草、咥えさせてくれるか?」
 段々気温が上がり始める空。今日は晴れのようだ。




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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0389/真名神・慶悟/男/20歳/陰陽師】

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■         ライター通信          ■
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今回は高峰温泉ダブルノベルにご参加頂き、有難うございます。
如何でしたでしょうか?
共通ノベルの方の犠牲者は、私の独断と偏見で決めさせて頂きましたので、怒らないで下さい。

えーっと……まずは、楽しんで頂けましたか??(汗)
無邪気で子供のような真名神さんも素敵ですよね☆
…………スミマセン。あぁ、でも、お遊びですので怒らないで下さいね(汗)

では、ご縁がありましたらまたお会いできる日を楽しみにしております。