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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


●願い事が叶えば・・。
〜番外編〜 大人の時間。


お花見を終えたものの、銀や樹はまだ幼い為、間違えて飲んだりしてはいけないと思い酒は宴会の前では出さなかった。
花見をしながらお酒を楽しみたいと思っていた汐耶は宴会を終えた後に、個人で飲もうと思い、用意していたお酒の瓶を取り出す。
あまり酔ったりしない程度に自分の健康を考え、汐耶はゆっくり飲みながら、一人の花見を楽しむ。
全員で見る桜も美しいが、一人で観賞する桜は違った一面を見せて不思議な気分にさせてくれる。
「こくこく・・・美味しい」
同じ酒も桜に囲まれると、一段と美味しく感じてくる。
銀と樹が眠りについた後には、温泉の中でもお酒を楽しむのも一興だと思い、途中で注ぐのをやめて、ボトルを閉める。
「さっ、お参りしようかしら!」
昼間に来た神社がある場所へと道を間違えないように気をつけながら汐耶は探し求めると、やがて見つけだす事が出来た。
「見つけたわ・・」
汐耶はさっそく、賽銭箱に近づき、賽銭を投げ込み鐘を鳴らす。


「「ジャラジャラ・・・・・」」


手を合わせ、汐耶は心の中で自分の願い事を告げる。
だが、今のところ、お願い事はこれといってない為、今までの日々に感謝する。
目をあけると、何故だか、少しばかりすっきりした気分を覚えた。
「さぁ、後は・・」
立派な桜の木の下に立ち、汐耶は目を閉じて手を伸ばす。
数ある中から一枚の花びらが自然と汐耶の手元へと舞い落ちてきた。
一枚の鮮やかな桜色の花びらを押し花にして、お土産にしようと思い、石段の上に座りこむ。


「汐耶お姉さん〜」
銀が遠くから手を振っている事に気づき、汐耶は返事を返すように軽く手を振り返す。
銀と一緒に樹も汐耶を迎えに来たようだ。
「汐耶お姉ちゃん・・これ・・押し花?」
「ええ、そうよ・・」
汐耶の手元に樹が目線をやり、興味深々に押し花を見つめる姿は女の子らしい一面を見せる。
「樹ちゃんと銀くんのぶんも作りましょうか?」
「本当??」
「思い出の詰まったお土産になるんだね♪」
樹は思いがけない汐耶の言葉に嬉しそうに、聞き返すと銀も初めて見た押し花に興味深々のようだ。

-------数分後--------
「二人とも上手に出来ているわ」
汐耶の助けもあって、なんとか完成させる事が出来た。
銀にとっても樹にとってもいい思い出が形として残った事により、押し花を二人はこれから大切にしていくだろう。
「さぁー、皆が心配すると大変だわ。遅くなる前に蓬莱館に戻りましょうね・・」
「「は〜い!」」
二人は笑顔で返事を返すと、立ち上がり、鞄の中に大切そうに押し花をしまいこむ。
桜並木が続く道を汐耶といろいろな話をしながら引き返した。