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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜潮干狩り…ではないと思われ(何)〜

遠浅の海を葉華の先導で歩き回っていた一行。
今のところ危険な気配はないものの、他に何があるわけでもなく。
ただ黙々と歩きつづけることになってしまっていた。

「…なんか暇だね〜…」
一番最初に音を上げたのは愛華。疲れたように肩を落としながらそう呟いた愛華に、葉華は思わず苦笑する。
「愛華姉ちゃん…そんな呑気なこと言ってる場合じゃ…」
「でも、確かにただ進むだけって言うのもちょっと暇よね?」
「…エマ〜…」
エマが愛華の意見に同意するように頬に手を当てながら言うと、葉華ががっくりと肩を落とす。
なんというか…どうにもイマイチ緊張感に欠けてるような…。
「探索に刺激を求めてどうすんだよ、お前等…」
呆れたような疲れたような、微妙なニュアンスを含む物言いに、エマと愛華は思わず苦笑する。
と、ふとエマがどこか残念そうな表情で口を開いた。

「…此処の変わった魚や貝、拾って持って帰りたいわよね…」

そして誰かに食べさせてみたいわ。と心の中で付け足されていたが、当然の如く誰もその内心気づく人物はおらず。
足元を漂うピンクの水玉模様の魚やアフロみたいに盛り上がった緑色の貝を見て、葉華はあぁ、と納得したように頷いた。
「まぁ、確かに変わってるから見てるだけでも面白いよな」
「そうだねー、愛華もこの桜そっくりの貝とか、いっぱい持って帰りたいかも♪」
愛華も足元にある貝を拾い上げ、面白そうに笑ってそれを火に翳す。
どうやらこの辺りの魚や貝は警戒心が薄いらしく、素手で捕まえようと思えば幾らでも捕まえられるようだった。
「そうよね…網か籠のどっちかでも落ちてれば、入れ物に使えるのに…」
本当に残念そうに溜息を吐くエマをじーっと見ていた葉華は、不意にぽつりと呟く。

「別に、作れなくもないけど?」

「…え?」
その呟きに思わず問い返すと、葉華が楽しそうに笑いながら口を開いた。
「ここの地質に合わせたものだから海藻みたいなものでしか作れないけど、籠ならおいらが作れるぜ?」
「へー、葉華ってすっごーい!」
「へへ、まぁな!」
そう言ってにっと笑う葉華。
感心したように手を叩く愛華に満足げに胸を張るその姿に、エマは思わず小さくくすりと笑う。
「…じゃあ、お願いしちゃってもいいかしら?」
「勿論!」
任せとけ!と胸を叩くその姿は、やはり頼もしさよりも微笑ましさの方が際立って、かえって笑えてしまうのだった。

そうして葉華が作りあげた緑色の籠はやや滑ってはいたものの思ったよりもしっかりとしていて。
喜んだエマが手当たり次第に入れた奇妙な魚や貝は、その後の宴会で、食卓に並べられたのだった。

―――――ちなみに。
      その魚や貝には誰も手をつけなかったのは…言うまでもない。



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■   登場人物                  ■
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【0086/シュライン・エマ/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】


【2155/桜木・愛華/女/17歳/高校生・ウェイトレス】

【NPC/葉華】
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■         ライター通信          ■
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こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。

【エマ様】
共通では大分呑気なキャラになってしましたが…い、如何でしょうか…?(自信皆無)
気づいたらのほほんしてるのにやや危険風味なキャラに…御免なさい!!(滝汗)
個別は、「珍魚貝を獲る」がテーマです(見りゃ解るし)
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)

こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。