 |
奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜熱射病になりかけて〜
砂漠を歩き回っていた希望御一行様。
かれこれ1時間以上歩きっぱなしで、照りつける太陽と熱を溜めて足を痛くする砂。
客達も疲労の色が濃かったが、その中で一際重症が約1名いた。
「……暑い〜…!」
『…大丈夫か?華焔』
―――華焔だ。
暑さに弱いらしく、既に足取りがとてつもなくふらふらだ。
すぐ隣で漂っている裂も心配そうに声をかけた。
「…た、多分…平気…」
半分意地になって裂の言葉に力なく首を横に振る華焔。
「生きてるー?」
そんな華焔を労わってるのかからかってるのか、希望はくつくつと喉の奥で笑いながら背を支えている。
「…生きてなきゃ、一緒に歩いてないだろ…」
「そりゃそうだけどさー、なんか今にも死んじゃいそうな顔してない?」
「…うっせー…」
にやりと笑いながら言う希望を華焔はジト目で睨みつけ、背を支えていた手を振り払う。
「…ったく、一体どこに目印あるんだよ…」
そう言って一歩踏み出した華焔だったが、日差しの強さに思わずくらりと立ち眩みが。
『華焔!』
バランスを崩して後ろに倒れこみかける華焔に慌てて声を上げる裂。
しかしすぐ後ろに来ていた希望が上手くキャッチしたお陰で、華焔は事なきをえた。
「…だーから言ったのに、意地張るからー」
呆れ気味に笑う希望に、華焔はむっとして身体を起こす。
「うっせー!意地なんか張って…」
くらり。
いきなり起き上がって叫んだせいで、またもふらりと体が傾ぐ華焔。
「おいおい、マジで大丈夫か?」
『アホ…』
さっと出した希望の腕に背を支えられ、裂には呆れた声で馬鹿にされ、華焔は情けねぇ…と思わず心の中で呟いた。
『…俺は霊体だからなんともねーけど…変わるか?』
確かに霊には熱さも寒さも空気の有無も関係ないだろう。
苦笑気味に告げた裂の言葉に、華焔は目を見開いて首を勢い良くぶんぶんと横に振る。
「やっ、駄目だ!
変わった途端に希望のこと襲うに決まってる!!」
ものすっごい真面目な顔で、華焔はそう叫んだ。
『……』
裂、あまりにも信用がない自分にちょっと自己嫌悪。
希望がそんな2人の様子を見て楽しそうに笑いつつ、裂を見て首を傾げた。
「……そうなん?」
『…こんなとこで襲えるかってーのっ!!』
裂の心からの叫び、発動。
そんな裂の叫びにも、華焔は半信半疑だ。疑わしげに目を細めながら、華焔は真剣な表情で問いかける。
「…本当に…?」
『当たり前だ!汗臭いのなんて俺はゴメンだしな!!』
「……」
裂、一言余計。
「…やっぱお前信用出来ない」
『何故!?』
ふいっと顔を逸らした華焔に、裂は物凄く悲しそうに叫んだ。
それを見ていた希望は、そりゃもう楽しそうに肩を震わせて爆笑していた。
「…自分で歩く」
「はいはい。無理はしないようにねー?」
まだ足元が覚束ないながらも必死に歩こうとする華焔の背に、希望がくすくすと笑いつつ手を添える。
その手が振り払えないのはやはり自分も相当疲れているからで。
悔しいと思いつつも、華焔は素直に希望の厚意を受けるのだった。
歩きながら、ふと「希望は兄貴みたいだ」と思ってしまったのは―――華焔だけの、秘密だ。
終
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ 登場人物 ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【2827/蒼月・華焔/男/16歳/蒼月神社当主見習い】
【NPC/緋睡・希望】
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ ライター通信 ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。
【華焔様】
共通では裂さんと言う魂との会話も込みで希望との掛け合いを頑張ってみましたが…い、如何でしょうか…?(自信皆無)
ほとんど漫才になってるので…満足していただけたかどうか…(汗)とりあえず裂さんと希望は気が合いそうな予感が(笑)
個別は、「裂さんの信用のなさとどことなく日常風景チックな会話」がテーマです(をい)
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)
元々共通部分から個別のようなものだったので、どんな風にしようかなーと結構試行錯誤させていただきました(笑)
希望は何かと謎が多いので、会話の中でその辺を楽しんでいただけたらいいなぁ、と思います(意味不明)
こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。
|
|
 |