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己の力
『温泉旅行と割り切って貰っても構わないわ』
電話口の主、高峰 沙耶はそう言った。
「分かりました。御一緒させて頂きます」
それが、宮小路 皇騎(みやのこうじ こうき)の返答だった……
「お伺いしても宜しいでしょうか?」
「何かしら?」
移動の車中、皇騎は高峰の隣の席に座っていた。それは最初から狙っていた場所なのだから、座れない方がおかしいと言う物である。
「高峰さんは、その『大扉』の中には入られているんですよね?」
「ええ、そうね」
「どのような物か、把握されてますか?」
皇騎がこの話を引き受けたのは、単純に好奇心からである。些か乗せられた気配もなくはないが、それでも自分自身興味を持っている事には代わりがないので、その辺りは気にしない事にしていた。
「そうね。取り敢えず、中は真っ暗よ。そして、どっちに進んで良いか分からないわ。感覚としてあるのは、地面に足が付いている感覚位じゃなかったかしら?」
高峰は眼を閉じたまま、皇騎の質問に答える。
「その中では何が起こるんですか?」
「人それぞれのようね。ただ言えるのは、確実に自分自身が現れるみたいね。私もそうだし、前回一緒に行った人達もそうだったわ」
クスリと不意に高峰が笑った。
「?何か?」
「いえ、不安なのかしら?」
「不安?私がですか?」
想いもよらない言葉に、皇騎は些か面食らった様に高峰を見詰めた。
「未知の物に恐怖するのは、当然の事よ?恥ずかしがる事ではないわ」
そう言って微笑み、高峰は皇騎を見詰める。深い深い、黒の瞳に皇騎は全てを見透かされる様な気がして眼を逸らす。
「不安……確かにそうかもしれません。けれど、それ以上に私は興味がありますよ」
「そう?なら良いけれど」
答えた皇騎に、もう一度微笑むと高峰は再び眼を閉じる。その横顔を横目で見詰めながら、皇騎は一人情報を整理する。
『自分自身……相手が相手であり消耗したと……そう言った所でしょうか……確かに、やり辛いですね……』
窓の外に見える富士の姿を見詰めながら、皇騎は一人心の中で呟いた。
「まぁでも、まずは温泉を楽しみましょう」
呟き微笑む皇騎の横で、高峰が少しだけ、笑った気がした……
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0461 / 宮小路・皇騎 / 男 /20歳 / 大学生(財閥御曹司・陰陽師)
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■ ライター通信 ■
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お久しぶりです、宮小路さん。ライターの凪 蒼真です。
この度は、東京怪談ダブルノベル『高峰温泉へようこそ』へのご参加有難う御座います。
他のライター様とは違う、全くの戦闘依頼と言う事で戸惑われたのではないでしょうか?(汗)
怪談ではなかなか戦闘依頼が無いものですから、戦闘依頼を出してみたくてこうした形になりました。共通も、殆どが個別の内容となっておりますので、楽しんで頂ければ幸いです♪
高峰が知っている事を聞き出すと言う様なプレイングが有りましたので、それを個別とさせて頂きました。
此方から読んで、本編を読まれると、流れが掴めるかとは思います。(汗)
青年らしさが出ていると良いのですが・・・(汗)
また御機会がありましたら、どうか宜しくお願いします。(深礼)
それでは、今回はこれにて!
御参加有難う御座いました♪
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