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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


 赤いランドセル
   
「すみません、幽霊を科学するという本はどこにありますか?」
 それが、初めて交わした言葉だったと思う。
「幽霊を科学する……ですね、はい、少々お待ち下さい……と、ああ、現在、貸出中ですねぇ。予約していきます?」
 まず、幽霊を科学するという本があるということに驚き、次に貸出中だったことに驚いた。
「うーん。じゃあ、お願いします」
 妙な本に目をつけている奴だなと思ったことから、なんとなく顔を覚え、借りて行く本がやたらと怪談やオカルトといったそっち系であったため、完全に顔を覚えた。
 そして、なんてことはない会話からお互いの趣味、方向性に似通った面(怪談収集)を見つけ、狗神がバイトをしている人材派遣会社の事務所へ顔を出すようになったわけだから、世の中の縁とはつくづくわからないものだ……しみじみと藤森は思う。
「おつかれさんっす」
 こうして今日も少し時間ができたので、マンションの三階にあるその事務所へ暇つぶしに訪れている自分がいるわけだが、狗神の姿が見当たらない。普段であれば、応接室として使われているリビングのあたりにもうひとりの社員である西園寺という男とともにいるのだが。
「ああ、いらっしゃい」
 そう言ったのは、東海堂という二十代半ばの男。応接室の奥にある机で書類を片手にため息をついている。会社の経営主、所謂、社長という地位にいるのだが、経営状態はあまりよろしくはないらしく、苦労は絶えない様子だ。やはり、雇うよりは雇われる方が楽かもしれないと思いつつ、狗神について問うてみた。
「もしかして、今日は休みっすか?」
「ちょっとそこまで出ているけど、すぐに戻って来るから。そこで適当に待ってやってくれないかな」
 それじゃあ、失礼しますと応接室のソファに腰をおろす。テーブルの上にはいくつか雑誌が無造作に転がっていた。そのなかで最も興味深いもの……夏の心霊特集という記事が載っている雑誌を手に取った。
 絶対に狗神が購入したのだろうと思いながら、なんとなく雑誌に目を通していると扉が開いた。狗神が戻って来たのかと思ったが、予想に反した『こんにちは』という少女の声が響いた。
「あれ、狗神さんは……?」
 髪形はショートカット、ボーイッシュな外見のおそらく中学生だと思われる少女がそこにいた。どうやら自分と同じく狗神を訪ねて来たらしい。東海堂は自分に告げたこととほとんど同じ言葉を答え、少女はそれに納得をする。
「……あ、そうだ。冷蔵庫にシャーベットがあるから」
 少女がソファに腰をおろす寸前にふと思い出したように東海堂は言った。少女はソファへは腰をおろさずにキッチンへと向かう。戻って来た少女の手には『メロンシャーベット』と書かれたカップと銀色のスプーンがそれぞれ二つ手にあった。そのうちのひとつをにこやかに差し出してくる。自分の分も用意してくれたらしい。
「はい、これどうぞ!」
「あ。どうもっす」
 藤森は軽く会釈をすると、カップとスプーンを受け取った。雑誌は一時中断をして、カップのふたをあける。現れた艶やかかつ滑らかな表面にスプーンをたて、さくりとすくいあげ、口のなかへと入れる。その冷たさとメロンの風味を堪能しつつ、さくさくと口へと運び、そろそろ食べおわるという頃に扉が開いた。
「ただいま戻りました……と、あ、いらっしゃい」
 狗神だった。何故か、小学校の低学年くらいかと思われる少女を連れている。銀色の髪は肩ほど、瞳は銀色で表情はとても愛らしい。人形のような……という愛くるしさを表現する言葉があるが、まさにそれがあてはまる。
「おかえりなさーい。狗神さんの妹?」
 ボーイッシュな少女が問いかける。しかし、それはあり得ないなと藤森は思った。似ている部分がまるでない。少なくとも、狗神を女にしたところで、このような愛くるしさは生まれそうにない。
「いや、違うよ。西園寺さんに迎えに行くように頼まれたんだ。えーと、みあおちゃんだよね」
「うん、みあおだよ」
 少女はにこりと笑みを浮かべ、言った。狗神が連れてきた少女はみあおというらしい。それを受け、ボーイッシュな少女が名乗る。
「あたしは、片平えみり。よろしくね、みあおちゃん」
 みあおが名乗り、えみりが名乗った。こうなると、自分もしなければならないような気がしてくる。催促されないうちに名乗っておくことにした。
「俺は、藤森耕太。よろしくっす」
「藤森さんは片平さんと同じように、怖い話が好きな人なんだよ」
 狗神はそんなことを言いながらお茶を用意する。紹介の仕方としてそれはいかがなものだろうとは思ったが、とりあえず、えみりという目の前の少女も怖い話が好きだということがわかった。類は友を呼びまくっている……などとぼんやり考えていると、狗神はそれぞれのテーブルの前に湯飲みを置いた。そのあと、東海堂のもとへと向かう。そして、ふと思い出したように口を開いた。
「あ、そうだ。面白い話を聞いたんだ。皆さんにも聞いてもらおうかな」
 
 あるところにランドセルに憧れていた女の子がいました。
 小学校にあがり、母親に憧れのランドセルを買ってもらいましたが、その色は鮮やかな赤ではなく、少しくすんだ地味な赤色で、女の子はそれを嫌がりました。
「もっときれいな赤がいい」
 女の子は駄々をこねましたが、母親はそれで我慢しなさいと言いました。仕方がないので、女の子は我慢しました。それでもランドセルを背負って学校へ行くのが楽しみだったからです。
 入学式を終え、女の子はランドセルを背負って小学校へ通いましたが、その途中、車に跳ねられて死んでしまいました。
 赤いランドセルは女の子の血によって、女の子が望んだ赤色に染まったそうです。
 
「……と、いうわけで。この話を聞いた人のところへ、三日以内に赤茶けたランドセルを背負った女の子が現れるそうです」
 狗神はにこやかな笑顔で話をそう締めくくる。そして、東海堂へ湯飲みを差し出した。湯飲みを受け取る東海堂は引きつった笑みを浮かべている。
「そ、そうなの……?」
「ええ、そうなんですよ。その女の子はいくつかの問いかけをしてくるそうです」
 お茶菓子を用意しながら狗神は話を続ける。
「へ、へぇ……」
「このランドセル、きれい?」
 それが代表的な問いかけだそうですと狗神は付け足す。
「それには、どう答えればいいんだ? ほら、あるだろう? こういう話にはつきものというか、回避呪文みたいなものが」
 そうそう。聞いたら出るという話にはそういう災難避けのような言葉が決まってあるものだ。あ行3、さ行5……のような。それがお約束。
「問いかけに対し、的確なことを答えれば問題ないと思いますよ。確か、答え方を間違えると、あなたの血で染めさせてとかなんとかで……切られるみたいですよ」
 それでもってランドセルが鮮やかな赤で染まるそうですと狗神は続けた。
「そ、そうなんだ……」
「たぶん、追い払う言葉みたいなものは、あるんだと思いますが……『おかむろ』や『ババサレ』とか……でも、僕、知らなくて」
 てへと狗神は笑う。
「……なのに、そんな話を聞かせたんだ。……殴っていい?」
 にこにこと引きつり気味の笑みを浮かべながら東海堂は言った。その気持ちはよくわかる。思わず、うんうんと頷いた。
「普段は、無償でお手伝いしているんですから、たまには僕に協力して下さいよ。本当に現れるのかどうか……それを知りたいんです」
「君のところには出たのかい?」
 しょんぼりとため息をつきつつ、東海堂は問う。そう、気になるところはそこだった。本当に……出たのかどうか。
「出ません」
 その答えを聞いた東海堂の顔色がぱっと明るくなる。それを見て、この人もわかりやすい人だよな……と藤森は思う。
「そうか、出ないのか……!」
「僕ひとりではなんとも言えないじゃないですか。だから、僕以外の人にも話を聞いてもらって検証しようと思ったわけですよ」
 狗神はにこりと笑った。
「……」
 それ以上、東海堂は何も言わなかった。聞きたくなかったよ、そんな話という顔で書類をとんとんと整えたあと、自らの作業に没頭する。まるで、今、聞いた話を忘れようとでもするかのように。
「どう、この話。まだ、聞いたことはないよね?」
 狗神はえみりに笑いかける。
「え? うん、ないけど……あ。ひどいなぁ、狗神さん。あたし、実験台ってこと?」
 少し拗ねたような、なんとも言えない表情でえみりは言う。だが、責めるような言葉のわりには、声が明るい。
「はは、ごめんごめん。でも、片平さんってそういうの必要以上に怖がらなさそうだから。本当に心の底から怖がっちゃう人には聞かせられない話だからね」
「もう、それ、どういう意味かなぁ。……でも、正解かも」
 にこりとえみりは笑う。
「みあおのところにも来るんだよね、その子」
「あ、ごめんね、みあおちゃんはそういう話が好きじゃないかもしれないのに、聞かせちゃったね」
 狗神は苦笑いを浮かべるが、みあおは気にした様子を見せない。
「べつに嫌いじゃないよ」
 ……特別に好きでもないけど。みあおは笑みを浮かべたままにこりと付け足したが、狗神は聞いていなかったらしく、にこりと笑みを返す。
「でも、赤いランドセルかぁ。みあおの学校もそうだけど、みんな『ぶらんどもの』だから別の意味で赤いのは少ないかなぁ」
「そうだよね。いろんな色があるもん。あたしもピンク色の欲しかったんだけど、お母さんが六年生になる頃には絶対飽きてくるからダメ!って。結局、今の話に出てきたような色のランドセルだったんだけど、お母さんの言うとおりにしてよかったかなって思ってるよ」
 みあおとえみりの言葉を聞いた狗神はなんとも言えない顔をする。だが、その気持ちはよくわかる。
「なんか時代を感じるなぁ……」
 藤森が呟くと、それを受け、狗神は頷いた。
「そうですねぇ、感じますねぇ……」
 その言葉に藤森は頷き返す。
「なんで?」
「俺たちが小学生の頃は……そりゃあ、いろんな色はあったんだけどね、女は赤、男は黒、というのが不文律だったような気がするなぁ」
 確かに、様々な色のランドセルが売られていた。だが、実際に黄色いランドセルや青いランドセルを背負ってきた存在は少なかった。
「ですよね。学校によるのかもしれないけど。まあ、そういうわけで、出たら教えてね。怖くて帰れないなら、送るけど……」
「ああ、その女の子に会ったらなんて答えよう」
 胸を高鳴らせているという表情でえみりは言う。
「……心配は無用みたいだね」
 そのとおりだと藤森は思った。
 
 話を聞いた者のところへ三日以内に現れる。
 ランドセル、きれい?
 そんな風に訊ねられたら、思わず、まあまあですと答えたくなるものなのだが、この場合はどうなのか。
 答え方を間違えると、あなたの血で染めさせてと切られるらしいが、この返答ではばっちりざくりとやられるような気がした。
「うーん……」
 カップ麺にお湯を注ぎ、蓋を戻す。三分経過すれば、本日の夕飯はできあがり。コンビニで買ってきた本格派カップラーメン。具だくさんなせいか、他のカップラーメンよりもちょっとばかり値段が高い。質素ながらささやかな贅沢にして、こだわり。
 さて、晩飯ができるまで、もう少し考えてみようか……既に話を聞いてしまっているわけだから、逃げようとしたって無理なわけだし。
 確か、狗神から聞いた話では、少女は鮮やかな赤のランドセルがほしがり、皮肉にも自らの血で染め、望む色を手に入れている。今では赤茶けてしまっているそれを背負って現れるということだが……いったい、何を思い、考え、現れるのか。
 ……何か、言ってほしい言葉があるのかなぁ。
 現れる理由を考えながら、ふとそんなことを思う。
 何度となく同じ言葉を繰り返し、問いかける理由。狗神が話したランドセルの少女の話は、現実的に考えてみれば、ひどく哀しく、無念な最後を遂げたわけで、その思いを生きている人間にぶつけてくるのは、少しだけ……本当に少しだけだが、理解はできる。慰める意味もこめて、目をそらさずに少女を見つめ、言ってほしいと思っている言葉を投げかけよう……。
 ピピッ。
 時計が三分が経過したことを告げる。蓋をめくり、湯気とともにラーメン特有の食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「いただき……あ、そうだ」
 ぱちんと割り箸を割ったところで、飲むものがないことに気がついた。冷蔵庫に何かあったはずだと、立ち上がり、扉に手を伸ばしたところで、誰もいないはずの背後に気配を感じ、動きを止めた。
 誰か、いる……!
 背中に目があるわけではないから、見えるわけがない。だが、背後に立つ誰かは自分よりも小柄であると思った。赤茶けたランドセルを背負い、赤いブラウスに赤いスカート、胸には名札をつけた肩くらいまでの黒髪の少女が俯いている姿が脳裏に浮かびあがる。
 来た……本当に、来た……しかも、背後から。
 とにかく、振り向こう……だが、身体が金縛りにあってしまったかのように動かない。心臓がどくんどくんと反応するなか、背後の気配がゆっくりと動いた。
 見えないはずなのに、少女の腕がゆっくりと自分の腕へと伸ばされている光景が見える。少女の指先が触れる……その瞬間、腕をぐっと掴まれた。氷のようなその冷たさにはっとした瞬間、身体の自由が戻ってきた。
『ねぇ』
 耳に聞こえるその声は、確かに可憐な少女のそれのはずなのに、何故か重苦しく不気味なものに感じた。
『ランドセル……私のランドセル……きれい……?』
 話に聞いたとおりの言葉を投げかけられた。少女の瞳を見つめ、望む言葉を探す予定であったのに、背後から現れるから、それができないうちに問いかけられてしまった。
「き……」
 まあまあ……この言葉は望む言葉ではないだろう。きれいだと言ってほしいに違いない。そう思い、口に出しかけたが、不意に口を噤む。見てもいないものをきれいだと言って、納得するものだろうか。少なくとも、自分は……しない。
『ねぇ……このランドセル、きれい……?』
 催促するように少女の声がさらに響く。
 藤森は意を決して、振り向いた。そこには自分よりもはるかに小柄な少女が、脳裏に浮かんだままの姿でそこにいる。背負っているランドセルは、やはり、話のとおりくすんだ赤……いや、それよりも赤茶けている。俯いている少女の顔はよく見えない……というよりも、わからない。何故か、顔の印象がさだまらない。
「きれいだと思うよ」
 藤森はランドセルを見つめ、言った。
「ちょっと地味かもしれないけど、飽きがこない色だと思う」
 これは、正直な気持ち。それを告げると少女の姿が遠のいた。そして、かき消すように消える。
「これで……よかったのかな……」
 少女がいた空間を見つめ、藤森は呟く。切られずに姿を消したということは、言葉は正しかったと思っていいのだろうか。
 しかし、本当に現れるとは。
 あの話のとおりに亡くなった少女がいたということなのか……藤森は少女のいた空間に向かってそっと手をあわせた。
 
 次の日、早速、現れたという話を報告に行くと、昨日の二人もそこにいた。どうやら、二人のところにも現れたらしい。
「そっか、現れたんだね……」
 応接室のソファに腰かけ、狗神はうんうんと頷く。
「けどさ、気がつくと朝だったよね。夢かもしれないんだよなぁ……」
 不思議なことに気づくと朝になっていた。しかも自分はいつの間にか眠っていた。テーブルの上には、汁を吸い、すっかり冷たくふやけたカップラーメンが手つかずの状態で置いてあった。少女との遭遇は確かな記憶ではあるものの、証明する証拠がない。人に話したところで、そんなの夢だよで終わってしまいそうな気がする。少なくとも、自分が聞いたら、そう言ってしまいそうだ。
「うーん、微妙なところだよね……」
 そんなことを話していると、東海堂が仮眠室から現れた。
「あれ、昨日の皆さんが揃っているんだね」
「東海堂さん、どうっすか?」
 そう問いかけると、東海堂は苦笑いを浮かべながらこめかみを指でかいた。
「今、それらしい夢を見たところだよ……あれ、和哉くん、お茶も出さないで。君はそういう話になっちゃうと気がきかなくなるんだよな……」
「あ、すみません。すっかり忘れていました」
 はっとして狗神はソファから立ち上がろうとする。だが、東海堂はそれをまあまあと手で制した。
「いいよ。ついでだし、俺がいれるから。話を続けてな」
「はぁ、すみません……それで、いつみさんはどうだったんですか? 女の子の問いにちゃんと答えてあげられましたか?」
 狗神はコップに麦茶を注ぐ東海堂に訊ねる。
「それがね、綺麗だよって言ったのに、左腕の内側をざっくりやられちゃったよ」
 答える言葉が違ったのかなと東海堂は苦い笑みを浮かべながら言った。
「……」
 東海堂の返答に四人は顔を見あわせる。自分も同じように綺麗だよと答えたはず。
「???」
 何が違うのだろう。同じ言葉であるはずなのに。それとも、東海堂はその言葉のあとにいらぬ言葉を付け足したとか?
「実際にあんな風に切られたら相当な傷だけど、よかったよ、夢で」
 そう言いながら東海堂はそれぞれのテーブルの前に麦茶の入ったコップを置く。テーブルの上にはコップが五つあった。だが、東海堂は自分の手に既にコップを持っている。
「あれ、コップ、ひとつ多くないっすか?」
 おかしい。どう見ても多い。場にいるのは、自分、狗神、みあお、えみり、東海堂の五人だ。藤森は小首を傾げ、東海堂を見やる。
「いち、に、さん……そうだよ、一個多いよ?」
 確認するように場を見渡したあと、えみりも一個多いと頷いた。
「え? 多くないだろう?」
 東海堂が不思議そうな顔で答えるから、こっちが不思議そうな顔をしなくてはならなくなる。藤森はもう一度、場を見回してみた。だが、人数はやはり五人。ひとり増えているということはなかった。だが。
「そうだよ、多くないよ」
 みあおは麦茶を飲みながらにこりと笑い、東海堂に同意する。
「……あれ? そこにいた女の子はどこに行ったの?」
 不意に場を見渡した東海堂はきょとんとした表情で言った。
「そこにって……そこには誰もいなかったし、女の子はみあおちゃんと片平さんだけですよ?」
「え、でも、いたんだよ……みあおちゃんくらいの、ランドセルを背負った女の子が……ランドセル……?」
「……」
 応接室はしんと静まり返る。
「と、とにかく、よくわからないけど、わかったよ!」
 狗神はわけがわからないことを言い、凍りついたように動かない東海堂にしっかりして下さいと声をかける。
 ……あれ、東海堂さんの腕……。
 藤森は東海堂の左腕の内側に斜めに大きな赤いミミズ腫れのようなものがあることに気がついた。確か、夢のなかで切られたと言っていた場所は……そう思った瞬間、藤森は思わず訊ねていた。
「あれ、東海堂さん、腕のところどうしたんすか?」
 
 −完−

 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1415/海原・みあお(うなばら・みあお)/女/13歳/小学生】
【2496/片平・えみり(かたひら・えみり)/女/13歳/中学生】
【3433/藤森・耕太(ふじもり・こうた)/男/23歳/図書館員】

(以上、受注順)

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■         ライター通信          ■
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依頼を受けてくださってありがとうございます。

相関図、プレイング内容、キャラクターデータに沿うように、皆様のイメージを壊さないよう気をつけたつもりですが、どうなのか……曲解していたら、すみません。口調ちがうよ、こういうとき、こう行動するよ等がありましたら、遠慮なく仰ってください。次回、努力いたします。楽しんでいただけたら……是幸いです。苦情は真摯に、感想は喜んで受け止めますので、よろしくお願いします。

こんにちは、藤森さま。
出会いは図書館、興味の方向が一緒ということで結構、仲良くなっている方向で書かせていただきました。
藤森さまが貧乏人だとは思ってはいません。が、プレイングの夕飯を食べながら考えるの部分で、藤森さまがまめに夕食を作る図というものが浮かばなかったもので、ささやかなご馳走を食べていたりしますが(正確には食べられなかったみたいですが)健康志向でカップめんは食べない人だったら、すみません。
最後の一言のあと、トドメをさされた東海堂は気絶しました。しばらくランドセル〜とうなされる日々を過ごしたそうです(おい)

願わくば、この事件が藤森さまの思い出の1ページとなりますように。