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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


月夜の石集め
〜角〜

洞窟を歩き回っている最中。
じーっと隣を歩く鬼斬の頭を見ていた曙紅は、ふと思いついたように声を出す。

「…鬼斬」
「なんだ」
小さな問いかけに訝しげに振り返る鬼斬を見つつ、曙紅はぽつりと呟いた。

「…鬼斬…その角、本物…なのかな?」

「……は?」
唐突な問いかけにどこか間の抜けた声を返す鬼斬。
なんだか貴重な物を見た気がする、とぼんやりとズレたことを考える曙紅に深々と溜息を吐くと、鬼斬は自分の角を軽く指で叩いて見せる。
コン、と密度のある骨や木の扉を叩いたような特徴のある音。
どうやらその角はカルシウム豊富なようだ。
……問題はそこではなく。

「……これが偽者に見えるか?」

呆れたような視線と問いかけに、曙紅は首を傾げた。

「…偽者、違う…?」
「違う」

今度はきっぱり返された答えに、どことなく残念そうに曙紅は角を見る。
なんとなく偽者で酔狂でつけていたら面白かったのだが…ちょっぴり、期待ハズレ。

視線からひしひしとそんな感情を感じ取ったのか、鬼斬は思い切り眉間に皺を寄せ、どことなく不機嫌そうな声で呟いた。

「これは生まれつきある角だし、伊達や酔狂でこんな角を頭につける程、俺は変人じゃない」
「……そうか…悪いこと、聞いたかな…?」
「その残念そうな表情がついてこなければ大して気にしなかったがな」

さらりと毒を吐く男、鬼斬。
その言葉に申し訳なさそうに眉を寄せ、曙紅は頭を下げた。
「…ごめん…」
「まぁ、そういう質問は慣れっこだけどな」
ちょっと嫌味を言ってみただけだ、と言う言葉に、曙紅は驚いて顔を上げる。
そういうことはやらなさそうな鬼斬がそう言う事を自然とやっていることに驚いたのだろう。
しかし鬼斬は全く気にしていないらしく、スタスタと歩いていく。
そして再度じっと鬼斬の角を見た曙紅は、途中でへし折られたように無くなっていることが気になり、もう一度聞いてみることにした。

「…鬼斬」

「今度は何だ」
半ば呆れたような表情で振り向く彼を見ながら、曙紅は口を開く。

「…その角、途中、折れたみたいになってるも…生まれつき、かな?」

――――――ほんの一瞬。

その問いかけに、鬼斬が思いっきり顔を顰めたのを、曙紅は見逃さなかった。
渋面と言うか…聞かれたくないことを聞かれたような、余計なことは詮索するなといっているような、そんな表情。

どうやら今度も自分は失言をしてしまったらしい。
謝ろうか、いや、しかし一瞬の表情の変化だけで謝るのも変な気もするし…。
困ったように眉を寄せて考え込む曙紅を知ってか知らずか、鬼斬は無表情で口を開く。

「――――――ノーコメントだ」

はっきりとしたこれ以上の追求を許さぬ声に、曙紅は少し申し訳なさそうに頷いた。
「…そう、か…」
一体彼の過去に何があったのかは気になるが、恐らくは聞いてはいけないことなのだろう。
自分はまだそこまで彼と近くなっていない。
ならば…ここはこれ以上追求してはいけないのだ。

「…おい、行くぞ」

何時の間にか立ち止まっていた曙紅は、鬼斬のその言葉にはっとして顔を上げる。
「あ…ごめん…今、行く…」
わざわざ立ち止まって待っていてくれた鬼斬を有り難く思いながら、曙紅は歩き出す。

夜はまだ長い。
洞窟も、距離も―――まだまだ、長そうだ。


<結果>
入手:無し。

終。

■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号/名前/性別/クラス/属性】

【3093/李・曙紅/男/1−A/無】

■ライター通信■
大変お待たせいたしまして申し訳御座いませんでした(汗)
学園ダブルノベル(海キャンプ編)個別をお届けします。 …いかがだったでしょうか?
ちなみに今回は残念ながら巳皇と話す方はいらっしゃいませんでした…結構好きなんですけどねぇ、私は(お前の好みは関係ない)
その代わりにB地点…鎖々螺のところが予想以上に多くて驚きました。やっぱり海辺は人気高いんですかねぇ…?(何)
そして例によって例の如く、PC様によっては入手アイテムなぞつけてみました(笑)
GETした人とGETしてない人がいるのは…単に私の趣味です(ぅをい)
場所ごとにNPC達の裏事情を散りばめて見ましたが…どうでしょう?わかっていただけましたか?(笑)
実は鬼斬の裏事情が一番多いのですが、それは単に彼の裏設定が一番多く決まっていたからに他なりません(ぇえ)
裏事情を垣間見て、NPC達に更に馴染んでいただければなぁ、と考えております。
全体的に色々と謎を残す不思議な展開・奇妙な終わり方を目指しておりますので、その謎について色々と考えてくだされば嬉しいです。
なにはともあれ、どうぞ、これからもNPC達のことをよろしくお願い致します(ぺこり)

【曙紅様】
ご参加どうも有難う御座いました。
個別はどんな感じにしようかと試行錯誤した結果、鬼斬の角に触れる話、と言うことにさせていただきました。
鬼斬が大分毒を吐いてますが、深くはお気になさらずにどうぞ(ぇ)
曙紅様はさらっと爆弾投下するような天然キャラだと言う勝手なイメージにより、なんとなく天然ボケっぽい性格を目指して書かせていただきましたが…大丈夫でしたでしょうか…?(汗)
学園では過去のことは色々なかったことになっているご様子なので、戦いも出来ないかなぁ、と勝手に考えて非戦闘キャラになりました。
でも鬼斬と身長差が10pちょっとあるんですね…いえ、どうしてかと聞かれてもなんとなくとしか答えようがないんですけど(をい)
石を発見して鬼斬に手渡す、と言うところは個人的にツボだったので、共通の方で採用あっせて頂きましたv
相棒(御先)のお陰で突飛な発言には慣れてるので、鬼斬となら深く考えなくてもぽつぽつ会話できそうです。…まぁ、鬼斬はあんまり喋ってくれないでしょうけど(笑)

色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、またお会いできることを願って。