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潮騒に聞こえる想い
●朱は赤に混じる前から真っ赤っか〜♪
「レティシアさんと同じクラスでぃ〜す♪」
縞りす(しま・りす)が嬉しそうに語るクラス。
だがしかし、そのクラスで居ることが彼女を未曾有の危険に飛び込ませたのだとは、正しくお釈迦様でも気が付かない、偶然と神様の悪戯としか言いようがない……喜劇だった。
「一緒に料理を作るでぃす☆ しまりすはあまり料理がうまくできないでぃすので、レティシアさんのお手伝いをするでぃす☆」
「うみゅ!」
と、でぃすでぃすうみゅうみゅ言いながら、レティシア嶋崎と共に2人並んでカレーの具を切っていた時なのだが……
コツン
「痛いでぃす」
コココツン!
「い、痛いでぃす」
何度も何度も、頭の横を叩かれる気がして、りすは叩かれた右に向き直ってみた。
しかし、そこには包丁片手に踊るようにまな板を叩き続けているレティシアしか居ない。
「……?(汗) おかしいでぃす?(汗)」
何もないのに、誰が頭を叩いたんだろうと首を傾げていると、ぎゅっと目を瞑っていたレティシアが目を開いてまな板を叩いていたのを止めた。
「ふぅ〜大切断終了だみゅ♪ さ、つぎはお肉〜」
「あ、あ、レティシアさん早いでぃす(汗)」
一仕事終えたと言いたげに、額に流れてもいない汗を拭うふりのレティシアに驚いたりすが慌てて包丁を握り直すと……
ペタッ!
「痛いでぃす」
ペペチャッ!
「痛冷(いたつめ)たいでぃす」
今度は何だか痛くて冷たい物がりすの額、耳の少し上くらいにぶつかってきていた。
「ううう……しまりすはあまり料理がうまくできないでぃすから、お料理の神様が罰を与えてるのでぃすか?」
うるうると、涙目になって横を見ると、再びレティシアが包丁片手に目を瞑ってまな板を叩き続けている。
ベチャチャン ズダダン ダダダン
「ふぅ〜。 大切断終了だみゅ〜」
「は、早いでぃす!?!」
額の汗を拭うレティシアに、驚愕の表情で焦るばかりのりすだったが……。
「このっ!
スッパーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
アホかーーーーーーーーーーーーい!」
叫びながら走り寄り、ついでに何かを一閃させた上級生、郭花露の熾烈な一打が悪を滅ぼすのを、りすは知らず知らずの内に傍観者となって眺めることになったのだった。
●懲りないオンナ
「あ……それは塩ではなくってお砂糖……」
「人間、疲れた時は甘い物が一番だみゅ!」
言われて、そうでぃすねと納得するりすだが、彼女の目の前で煮立っているのはみそ汁だと言うことをりすは思考の外にところてんで押し出してしまった様子だった。
「……あ」
どうやら、次の思考がまともに動き始めたらしく、みそ汁に更なる脅威を突入させようとしているレティシアの行為にりすの唇だけがはくはくと動いて異議を唱えようとだけした。
「……あ〜あ……入れちゃいましたでぃすね……」
後悔は、やっぱり先には出来ないんでぃすねと呟くりすの真横を……
「こ
スパカ〜〜〜ン!
の穀潰しがーーーーーーーーーー!!」
先程よりも数瞬早く、花露のハリセンが風となってレティシアに襲いかかる。
「きゃぁ! レティシアさん、大丈夫でぃすかぁ?」
何が起こったのか判らないけれど、兎に角凄く軽い音がしてレィテシアが吹っ飛んでいったのは確かなことだった。
慌てて駆け寄ろうとするりすの背に、ポンポンと置かれる手があった。
「待ちなさい」
「え? え? え? えーーー?」
見上げると、やっぱりさっきの上級生。
郭花露の背後に、何だか憤怒の形相で立っているお不動さんを感じてりすは丸くなって逃げ出した。
「この程度やらないとこの娘は聞かないわよ」
にっこり笑ってお不動さんがハリセンを構えます。
「? そ、そうなんでぃすかぁ?」
判るような、判らないような。
何となく苦笑するしかなくて、りすは流しの影から味覚破壊大魔皇がお不動さんに引きずられて行くのを見ているのでした。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
【2821/縞・りす/女性/学生(神の使徒?)】
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■ ライター通信 ■
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大変遅くなって申し訳ありません。
気が付くと、お料理だけでかなりのものに。
おかしいですね……。
非常に私事ですが、職場が8月30日の台風で海水とヘドロで床上70cm冠水という悪条件になり、未だに完全復旧できていない職場の復旧で毎日を費やしていました。本職で執筆に支障をきたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
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