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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


夏だ!気合いだ!根性見せろ!〜宝探し?IN砂浜編〜


■キミ達の瞳は一億ボルト☆

「あ〜!西王寺さんだ〜!」
「やっほー莱眞さーん♪」
 砂浜探索班の2人が浜辺を歩き始めてものの一分。
ビーチバレーをしていた一年生の女子生徒グループがにこにこと笑顔で集まってくる。
どうやらこの女子生徒たちは莱眞を気に入っているらしく、
愛輔は思いっきりそっちのけで莱眞を中心にして色々と話しかけていた。
「レディ達、ビーチバレーなんて危険だよ?
ビニールのボールは最初だけでゲームが進むにつれてボールはココナッツになるそうじゃないか!
そんな硬いものがキミ達に当たってしまったらいけないからね?」
「やっだーもう莱眞さんったらー!」
 至って本気で言った莱眞の発言を、生徒達は冗談と取ったらしい。
実のところ、コレが一部女子生徒の間でウケて”莱眞さんは面白い人”と思われているらしい。
「それじゃあレディ…残念だけれど、俺は用事があるからこれで―――
って、そこのプラチナブロンドのレディ!キミの細い腕でテント張りは危険だ!
そういう事は男であるこの俺に任せてくれないか?」
 そんな女子生徒へ挨拶したかと思うと、次は別の女子生徒の元へと駆け寄る。
50m走を何秒で走るんだ!?と聞きたくなるくらいの素早さで、である。
「そこで何をしてるんだい410番君!キミも男なら手伝ってくれ」
「え?あ、はいっ!」
 愛輔はあっけに取られつつも、思わず言われるままにテント張りを手伝う。
数分をかけて一つ、テントが張り終えた…かと思うと。
「やあ待たせたねレディ?」
「って早っ!?」
 今度はまた別の場所にいる女子の元へど移動したのだった。
「重いパラソルを持つなんて、キミのその華奢な腕には酷なこと…
そんな姿を見るなんて俺には耐えられない…さあ、俺に手伝わせてくれ」
「え?でも…」
「遠慮は要らないよ…?レディに手を差し伸べてこその男だから、ね」
 キラキラキラと効果音が入りそうなほどの笑顔を女子生徒に向け、
莱眞はひょいとパラソルを担ぎ上げて設置場所へと向かう。
愛輔はただその後を追いかけるだけで。
「410番君!そんなところで立っていないでイスを用意してくれないか」
「え!?い、イスって…ああ、白いやつ…?」
「大至急だ。レディを長時間立たせるなんて出来ないからね…」
「は、はいっ!」
 莱眞のかもし出す雰囲気がそうさせるのか、
愛輔はやはり言われるままにイスの貸し出しをしている海の家へとダッシュする。
それを確認すると、莱眞はまた少し離れた場所にいる生徒へ視線を向け、
「もう少し待っていてくれるかい?すぐに行くから、ね?」
 どこに持っていたのか、一輪の薔薇の花をそちらへと投げ渡した。
「…ところで…少し窺いたい事が…」
「はい?なんでしょう?」
 パラソル設置を手伝って貰い、女子生徒は嬉しそうな顔で莱眞に聞き返す。
そんな笑顔がたまらなく嬉しくて、自然と莱眞にも笑みがこぼれた。
「実はちょっと変わった石を探しているんだけれど、見かけなかったかい?」
「石って言われてもどんな…?」
「…そういえばサンプルは410番君が持っているんだったっけ…」
 ふと思い出し、莱眞が顔を上げるとちょうど愛輔がイスを抱えて戻ってきたところで、
2人の元に来ると息を切らせながらパラソルの下にイスを置いた。
「帰ってきたところ早々で悪いんだが、例の石を見せてくれないか?」
「え?あ、はい!えーっと…こんな感じで…」
 愛輔がポケットから石のレプリカを取り出すと、莱眞はひょいとそれを取り上げる。
そしてさも自分が用意していたかのような素振りで女子生徒に問いかけた。
しかし、残念ながらその女子生徒には心当たりが無く…。
「行くぞ410番君。次のレディが待っている」
「はいっ…って、ええ?!れ、レディって…石はどうするんですか西王寺君!?」
「キミの頭は記憶をしないのかい?俺は何と言ったっけ?」
「あ、か、会長!」
「それでいい。さあ、次はあのレディの為に日よけのテントを張る作業だ」
「えええええ…?!い、石探しは―――!?」
 愛輔は思いっきり疑問を叫びながらも、しかし大人しく莱眞に従うのだった。
何故なら、おそらく莱眞は根っからの”坊ちゃん気質”そして愛輔は根っからの…
”奉公人気質”だったからである。レク愛好会の会長のクセに、である。
 そしてなんだかんだ言いつつも、2人の”女の子助っ人班”は、
十数組の女子生徒たちのお役に立ちつつ砂浜を移動して行ったのだった。



「さ、西王寺…じゃなかった、会長〜!石探しはどうするんですか!?」
「石?そんな小さな石っころで騒がないで欲しいな。
キミには見えないのかい?この砂浜に輝く美しく尊い宝石たちが!」
「え…」
「レディ達のあのはじけるような笑顔…楽しそうな笑い声…まあ、そんなところだ」
 しゅたっ!と右手をあげてにこやかに微笑む莱眞。
思わず「ああなるほど」と納得しそうになり、愛輔は首を大きく左右に振って。
「違うでしょう!?そうじゃないでしょう!?僕らは生徒会長の為にッ…!」
「そう耳元で叫ばないでくれないかい…?血圧が上がってしまうよ」
「ぼ、僕はそんな血圧が上がるほどっ―――!」
「ふう…今日は少し疲れたね…はい、これ」
「へ?」
 莱眞は浜辺にあった白いイスに腰掛け、風に髪をなびかせながら、愛輔に小さな袋を差し出す。
両手でソレを受け取り、中身を見た愛輔は驚いて莱眞の顔を見つめ返した。
「やめてくれないかな。女性に見つめられるのなら大歓迎だけれど男はノーセンキューだ」
「か、会長…これ、あの石…いつの間に?どうやって???」
「キミは俺がただレディの間を渡り歩くだけの男だと思ったのかい?やれやれだね。
俺は女性達から情報を仕入れつつ、石を探しつつ歩いていたんだよ…まあもっとも、予想外に多く集まったが」
「す、凄い…凄いよ会長!!凄いですっ!!僕、誤解してました!!
会長ってただの女好きの天然ボケでまきちゃんをいじめるのが趣味のお金持ちだとばっかり思ってました!」
「………おい…」
「でも違ったんですね!それは他人を欺くための仮の姿で…
本当はこっそり任務を遂行する素晴らしい人だったんですねっ!!」
 何かを大きく勘違いしているようなのだが、両目を輝かせながら興奮している愛輔。
莱眞は少々顔が引きつりはしたものの、すぐにふっと笑みに変え。
「わかってくれたのなら嬉しいよ…さあ、そろそろ本部に戻らないか?由紀嬢が待っている」
「あ、そうですね!石も集まりましたし!ささ、帰りましょう!」
「石…それにしても何に使うつもりなのだか…」
 莱眞はポツリと疑問を呟いてみたものの、呟いたところで解決するわけでもなし。
自分には何も関係のない事であるし、と特に気にはしない事にして本部へと向かったのだった。





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■   登場人物                  ■
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3年A組
【2441/西王寺・莱眞(さいおうじ・らいま)/男性】
3年B組
【NPC/新堂・愛輔(しんどう・あいすけ)/男性】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちわ。この度は『幻影学園奇譚』海キャンプに参加いただきありがとうございました。
まずはじめに、納品が大変遅くなってしまった事をお詫び申し上げます。
夏キャンプと張り切っていたのですが、今年の台風には勝てませんでした。(苦笑)
 今回はダブルノベルですので、共通ノベルで集合時のエピソードを、
こちらの個別ノベルにて個別行動のエピソードを書かせていただきました。
幻影学園でのエピソードに関しては、普段のPCさんと少し違ったやり取りや関係で書かせて頂いております。
それぞれの班に別れての行動ですので、宜しければ他の方も覗いてみてくださいませ。
 砂浜班の莱眞さん。
今回はNPCの愛輔との親睦を深めていただくような展開になってしまいましたが、
楽しんでいただけましたでしょうか?愛輔はとっても楽しかったようです。(笑)

またいつかどこかでお会いできるのを楽しみにしております…。


:::::安曇あずみ:::::

※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>