コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


月夜の石集め
〜だって気になるんだもん〜

「ねぇねぇ、鬼斬ちゃんってばぁ!!」
「……」

洞窟の中で一際大きく反響する声。
―――鬼斬を問い詰める、千影の声だ。

「もぉ!教えてくれたっていいじゃない!!」
「俺は教えたくないし、お前に教える理由はない」

半分癇癪気味に叫ぶと、さらりと冷静な声で返された。
今は欠片を回収して帰る途中。
しかし千影は、先ほど最奥で起きた出来事で気になって仕方がないことがあったのだ。

あの気持ち悪い影みたいなバケモノ。
人の心の中で一番強く残っている人物を投影するビデオのような存在。
自分が見たのは―――当然、万輝だ。
他の二人も、それぞれ誰かの姿を見ていたらしい。


――――――ならば、鬼斬が真似されることを酷く嫌う人物とは?


クールな鬼斬があんなに感情を露にする程の相手。
けれど…恋人、と言うわけではなさそうで。
だけど、真似されるだけでもあれだけ激怒するということは…きっと、凄く大事な人で。

けれど。
――――すぐに『あれ』が偽者だと分かると言うことは…もしかしたら、その人は、もう…。

そうとは思いたくなかったが、可能性としてはないことではない。
自分でさえ一瞬万輝が先回りして此処に来たのかと勘違いしたぐらいだ。
それだけ似ているのに、すっぱりと違うと言い切った鬼斬。


それだけ彼の心に強く残っている人は誰なのか――――ひどく、興味をそそられてしまったのだ。


そうなれば後はもう突っ走るだけ。
さっきから聞いて聞いて聞きまくっているのだが、『教える理由がない』の一点張り。
悔しくて更に強く問い詰め、鬼斬は同じ台詞で返す。
かれこれ何十分もこの問答を繰り返しているくらいだ。

「ねぇねぇ鬼斬ちゃん!
 だから一体誰なのよぅ!!」
「…さっきから教える理由がないと言っているだろう」

口論は未だに続いている。
しかし気づけば、何時の間にか自分達は洞窟を出ていた。

「だって気になるじゃない!
 ねぇねぇ、せめて男の子か女の子かぐらい教えてよぅ!!」
「だからそれだけじゃ教える理由にはならないと…」
「もぉ!鬼斬ちゃんのイジワルーッ!!!」
「……ちゃんは止めろ」
「イヤ!」

けれど千影にそんなことは関係ない。
気になることは解決しないと気がすまない。
絶対に…言わせて見せる!!

――――――その時。


「――――――チカ!!!」


大声で己が名を呼ぶ声。
――――――この声は。

ぴくりと今はない耳を動かすように体を跳ねさせる千影。
間違える筈もない。大好きな己の半身の声。
驚いて振り向くと、そこには――――己が半身である、万輝の姿。
千影は、ただでさえ大きな瞳を、更に見開いた。
しかしそれも一瞬のこと。
驚きに彩られた顔は、次の瞬間――――なによりも嬉しいプレゼントを貰った子供のような表情に変化する。

「――万輝ちゃんっ!!」

ぱっと嬉しそうに顔を輝かせた千影は、鬼斬の隣を離れると一目散に万輝に向かって走り出す。
その姿は、猫と言うよりも犬。
万輝が一瞬どこかに思考を飛ばしているのにも気づかずに―――がばりと、千影に勢いよく抱きついた。

理由はどうあれ、きっと万輝は自分を迎えに来てくれたのだろう。
それが、嬉しくてたまらない。
その感情を表すように―――千影は、ぎゅっと強く万輝に抱きついた。


―――――ちなみに。
        万輝から石の欠片を一つ貰って千影が更に喜ぶのは、これからもう少し、後の話。
        ついでに鬼斬の話を聞きそびれてまた問い詰めようとして継彌に宥められるのも、それからちょっと後のこと。


<結果>
入手:黒レースのリボン。

終。

■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号/名前/性別/クラス/属性】

【3689/栄神・千影/女/1−B/闇】

■ライター通信■
大変お待たせいたしまして申し訳御座いませんでした(汗)
学園ダブルノベル(海キャンプ編)個別をお届けします。 …いかがだったでしょうか?
ちなみに今回は残念ながら巳皇と話す方はいらっしゃいませんでした…結構好きなんですけどねぇ、私は(お前の好みは関係ない)
その代わりにB地点…鎖々螺のところが予想以上に多くて驚きました。やっぱり海辺は人気高いんですかねぇ…?(何)
そして例によって例の如く、PC様によっては入手アイテムなぞつけてみました(笑)
GETした人とGETしてない人がいるのは…単に私の趣味です(ぅをい)
場所ごとにNPC達の裏事情を散りばめて見ましたが…どうでしょう?わかっていただけましたか?(笑)
実は鬼斬の裏事情が一番多いのですが、それは単に彼の裏設定が一番多く決まっていたからに他なりません(ぇえ)
裏事情を垣間見て、NPC達に更に馴染んでいただければなぁ、と考えております。
全体的に色々と謎を残す不思議な展開・奇妙な終わり方を目指しておりますので、その謎について色々と考えてくだされば嬉しいです。
なにはともあれ、どうぞ、これからもNPC達のことをよろしくお願い致します(ぺこり)

【千影様】
ご参加どうも有難う御座いました。
なんとなく私のイメージでは千影様は気になったらトコトン答えを知ろうとするタイプかなぁ、と思ったので、個別は問い詰め話で(笑)友情出演は鬼斬です(爆)
結局は上手い具合に誤魔化されるような形になりましたが、いつか明らかになる…と思います(をい)
若干万輝様の個別とリンクしておりますので、万輝様の個別も読むと面白いかもしれません。
時間帯的には探索終了後のログハウスに戻る前ぐらいです。
ぶっきらぼうな鬼斬を問い詰める無邪気な千影様の掛け合い…書いてて楽しかったですv(をい)
と言うか無邪気な女の子は色々とイメージが膨らむので色々勝手な設定(?)みたいなものを作ってしまいました…ごめんなさい(土下座)
子供に困る質問をされて表には出てないけどたじたじになっている保護者で、と頑張りましたが…口調とか大丈夫でしょうか?(汗)
最後には万輝様からお迎え、と言うことでそこで切ってみました。帰るまでの続きが気になる場合は万輝様の個別を御覧下さいませ(笑)

色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、またお会いできることを願って。