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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


月夜の石集め
〜フシギナキノミ〜

暗闇広がる森の中。
木々の隙間から僅かに差し込むだけの月の光。
夏の筈なのにどこかひんやりとした空気を感じさせるこの北の森は、気味の悪さを増幅させている。
そしてそれは、ささやかな恐怖をかきたてる道具にもなっていた。

「ぃよぉっし!次はこっちや!!」

しかし、そんな気味悪さもなんのその。
美咲は一人じゃないと言う嬉しさもあってか物凄い元気だ。
ビシィッ!と喜び勇んで森の奥を指差す美咲の後を、護羽はのんびりついてくる。
自分が先導する必要がないので完全にだらけまくりだ。
髪の毛をゆらゆらと揺らしながら、半分観光気分で左右を見比べながら歩いている。
叫んだ美咲を見て笑い、問いかけるように口を開く。

「その根拠は?」
「カンにきまっとるやないの!」
「…なるほど」

くく、と面白そうに笑いながら、護羽は美咲の先導するままに歩く。
それに機嫌をよくしたのか、美咲は嬉しそうに微笑んで一歩踏み出した。

――――と。

「…あれ?」
美咲が不意に立ち止まり、不思議そうに上を見上げ出した。
「どないしたん?」
護羽が美咲の後ろに立って頭の上からひょい、と覗き込むと、そこには…一本の、木。

―――この木だけは、他の木の中で異彩を放っていた。

他の木は針葉樹や広葉樹が所狭しと交じり合っているが、そこだけはまるで広場のように円状に切り取られたように一切木がなく。
そしてその中心にどん、と鎮座する―――巨大な、木。
例えるならば、幹は極太の桜、葉はヤツデと言ったところ。
そして、何よりも変わっているのは――そこにたわわに実る、木の実。

形は洋ナシに酷似しているが、表面の皮はまるで苺のように真っ赤で、熟した実はまるでバナナのように上からべろりと分厚い皮が捲れていた。
そこからこぼれる果汁は甘く美味しそうで、仄かに香る甘い香りが嗅覚を刺激する。

少なくとも、美咲は―――今までこんな果実は見たことがない。

「へぇ、なんや美味そうやん、この木の実」

もしや毒でもあるのではと思った美咲が警戒していると、護羽が唐突にそんなことを言い出した。
「はぁ!?自分なに言うとるん!?
 こないなあからさまに怪しい果物、食うたら絶対腹壊すで!?」
多分毒があったら腹壊すだけじゃすまないと思うのだが…。
しかしそんな美咲の声をさらっと流して、護羽はいそいそとその木に近寄ると、木の実を鷲掴み…。

「―――いっただっきまーすv」

――――――――思いっきり口を開けて、食べた。

「っあ―――――ッ!!
 自分なに喰うとるん!?ぺってしなさい、ぺって!!」

混乱のあまりペットや赤ちゃんに対するリアクションになってたり。
美咲は大慌てで護羽に詰め寄ると、襟首を引っつかんでがくがくと揺さぶりまくる。
しかし護羽はけらけら笑うと、美咲の手を止めてにっと笑って見せた。

「…これ美味いで?毒もあらへんみたいやし。
 美咲も喰うてみー?」

―――何時の間にか手にしていたもう一つの熟した実を、美咲の口の中に突っ込んだ。

「むごっ!?」
驚いて目を見開く美咲だが、口の中には柔らかい果肉と甘い果汁があっという間に溢れてくる。
苺のような、メロンのような、バナナのような…今まで食べたどれとも少し違う、不思議な甘さ。

―――本当に、美味い。

毒もなさそうだし大丈夫だろうとさっさと結論づけた美咲は、もぐもぐとある程度租借して飲み込むと、口から半分残った木の実を取り出した。
その様子を見て、護羽はにやりと笑って覗き込む。

「―――な?美味いやろ?」
「…まぁ、今回だけは認めたるわ」
悔しいけど、といいながら残りの半分をもぐもぐと食べる美咲を見て、護羽は満足そうに笑ってみせた。


―――その後、美咲は友人達にも食べさせてあげようと、何故か護羽が持っていたビニール袋を貰って、幾つかの木の実を持って帰ることにしたのだった。


<結果>
入手:不思議な木の実を幾つか。

終。

■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号/名前/性別/クラス/属性】

【3315/笹原・美咲/女/2−C/無】

■ライター通信■
大変お待たせいたしまして申し訳御座いませんでした(汗)
学園ダブルノベル(海キャンプ編)個別をお届けします。 …いかがだったでしょうか?
ちなみに今回は残念ながら巳皇と話す方はいらっしゃいませんでした…結構好きなんですけどねぇ、私は(お前の好みは関係ない)
その代わりにB地点…鎖々螺のところが予想以上に多くて驚きました。やっぱり海辺は人気高いんですかねぇ…?(何)
そして例によって例の如く、PC様によっては入手アイテムなぞつけてみました(笑)
GETした人とGETしてない人がいるのは…単に私の趣味です(ぅをい)
場所ごとにNPC達の裏事情を散りばめて見ましたが…どうでしょう?わかっていただけましたか?(笑)
実は鬼斬の裏事情が一番多いのですが、それは単に彼の裏設定が一番多く決まっていたからに他なりません(ぇえ)
裏事情を垣間見て、NPC達に更に馴染んでいただければなぁ、と考えております。
全体的に色々と謎を残す不思議な展開・奇妙な終わり方を目指しておりますので、その謎について色々と考えてくだされば嬉しいです。
なにはともあれ、どうぞ、これからもNPC達のことをよろしくお願い致します(ぺこり)

【美咲様】
ご参加どうも有難う御座いました。
今回の個別、なんとなく護羽と漫才コンビみたいな感じになるといいなーとか思いながら書いてたら…こんな感じに(をい)
護羽は何か起こらないと何もしないようなヤツなので、美咲さんの先導はむしろ楽でいいやぐらいに思ってるみたいです(笑)
ついでに同じ口調なので、親近感を抱いてるらしく強引さ当社比1.5倍です(待て)
まぁ木の実は本当に害がない単なる美味しい木の実なので、お友達の皆様と沢山食べてください。
護羽の袋の出所は不明です。たまに四次元ポケットですから、この人(ぇ)後実は護羽には毒の類は効きません(笑)…まぁ、毒の有る無しは分かるようですが。

色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、またお会いできることを願って。