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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


●Il luna vede

「精神エネルギー…ですか?」
 セレスティは総一郎の言葉を聞いて目を瞬いた。
「えぇ、そうなんです。この花たちが一面に咲いたら私を解放してくれると約束してくれたんです」
「でも、それは悪魔の言った事なのでしょうに…」
「わかっています…でも」
 総一郎は微かに微笑んだが、その笑みには苦悩が滲んでいる。
 自分の妻になるべき人を失い、ある一定の量を超えた精神エネルギーを提供すれば総一郎の呪いを解くと言う約束を信じて今日まで過ごしてきた。
 エネルギー総量のバロメーターは花がどれだけ咲くか。それを見ながら暮らすのは辛い。
 しかし、悪魔がそれを守るかどうかは謎なのだ。
「私は…もう限界だ。快楽のみを追求する生活には…」
 白薔薇の花檻に閉じ込められた総一郎は年をとらなくなってしまっていた。だから、そのことが辛いのだ。
「総一郎さん…」
 元々、開放的ではない総一郎には、そのエネルギーを集めるのに苦労した。モラルや恥ずかしさが先に立って、思ったように能力者のエネルギーが集められないのだ。
「そう言う事なら私は協力しますよ」
 エネルギーをどの様に分けて差し上げたら良いのかを戸惑いつつ、セレスティは見つめ返した。
「リードして頂きたいと思いますが」
「え?」
「遊び相手としては体力はあまり無いので、お手やらかにお願いしますね」
 自分と一夜を共にして欲しいと言い辛かったのだろう、セレスティの言葉を聞くや、ホッとしたような恥ずかしいような表情を浮かべた。
「お願いします…セレスティさん」
「私のことはセレスティと…」
「あぁ、セレスティ…ありがとう」
 ほっと溜息をつき、総一郎はセレスティをおずおずと抱きしめる。
 その仕草がとても頼りなかったので、セレスティは思わず笑みを浮かべてしまった。
 総一郎はセレスティを横抱きにし、青磁色のベットカバーを掛けた寝台に寝かせた。月が覗いている窓の外も、風一つ無く静かだ。
 ただ静寂があって、その中に忘れ物のように自分たちがいる。
 木下闇さえも休息という楽園で眠りにつき、ここに存在(あ)るのはまるで奇跡のようだ。
「優しくしてください…」
「無茶はしませんから」
 セレスティのどこか懇願するような響きを帯びた声を聞くと、総一郎はそっと額にキスをした。本当に壊してしまいそうなのに、ぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られて総一郎は戸惑ってしまう。
 服の上から少年の危うい脆さを形にしたような体にそっと触れた。
 カッターシャツに手を掛けて、一つ一つボタンを外していく。身じろぎするたびに長い銀髪がベットに広がり、さらと音を立てた。
「ひ……っ」
 鎖骨辺りに舌を這わせ、反応を見ればセレスティが悲鳴に似た声を上げている。
 このような美しい少年が自分の手の中で悶えているのを見ると、我知らず心の中に滾るものがあった。その声に誘われるように、無心に愛撫を続ける。
「…ぁ…あぁっ…」
 内腿を弄る手の感覚に啼く。
「ひどくは…しないから…」
 その手を休めずに総一郎は言った。
「もっと聞かせて欲しい…」
 月の下の夜啼き鳥はこの窓辺に舞い降りたのだ。
 今日だけは月祭の宴のことなど忘れて、この少年の事だけ考えていたいと総一郎は思った。
 こんな優しい静かな夜ならば、ずっとこのままでもいいとさえ思えるのが不思議だ。
 二人の息遣いだけが静寂を支配する。
「ひ…ぁ…。あ、あ、あぁッ!」
 止まらない快楽に上がる嬌声。
 限界が近い。
 さぁ、開放する瞬間がやってきてる。
 それは総一郎の手に委ねられていた。
 
 ■ Il luna vede.〜END〜■

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
 1883 / セレスティ・カーニンガム/男/3年A組


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、朧月です。
 まだまだお暑い日々が続いておりますが、如何お過ごしでしょうか?
 どこまで書いたらいいのだろうかとか、ドキドキしながら書いていました。
 なぜか、セレさんだと綺麗な情景とか思い浮かびます。
 月の下での密会。ちょっとだけ総一郎さんは幸せ感じていたようです。
 それでは発注をありがとうございました(礼)

 朧月幻尉 拝