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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


●Lotta del servo bello

 モーリスは少々退屈していた。
 ここで出るかもしれない美味しい食事に興味はあまり無い。家に帰れば白兎さんの作るご飯が待っている。だから、ファーストフードを食べるのも食事に招待されるのも大して変わらない。
 だが、モーリスにはこのことには裏がありそうだと感じていた。
 無防備にも執事ともあろうものが呪をかけられた主人に、たかだか高校生の手を借りる事はあろうか?
 どちらにせよ、調律者としての能力を持つ自分としてはどちらでもよし。
 ただ…この屋敷の執事には自分と同じものを感じていた。
(まさかね…)
 男の匂いしかしない男。
 島に居たしても、女ぐらいは連れこめるし、街にだって出ることは出来る。
 どう考えても、執事は…あれだろう。自分と同類の行為を好む者。だとしたら大いに楽しむのが理に適っている。
(眠れないこの島の主人さんを眠れなくなる前に能力で戻したらどうなるのでしょうね)
 モーリスは笑った。
(まぁ、楽しんだ後にでも考えましょう。夜が明けてから帰るのも、事が終わってから帰るのも、大切な私の主人次第ですけれどね…)
 ぼんやりと考えているとノックの音が聞こえ、モーリスはドアの方を見た。
「どうぞ」
「失礼致します」
 執事がワゴンを押して入ってくるとテーブルの横にそれを置いた。ティーポットをテーブルに置くとカップに手を伸ばし、紅茶を注いだ。
(おやおや…薬入りですか…)
 モーリスはクスッと笑う。
 如何な手錬れとて、モーリスの前では赤子も同然。薬を入れていることなんか隠せるはずも無い。
「何か…」
「えぇ、弛緩剤入りですかね。執事さん?」
「あぁ…ばれてしまいましたか」
 見つかっちゃいましたねぐらいの感じで執事は笑い、肩を竦めてみせる。
「薬を入れる理由は?」
「そうですね…。ばれては仕方ありませんからお教えしましょう。主人に呪いを掛けたのは悪魔でして…ある一定の量を超えた精神エネルギーを提供すれば主人の呪いを解くと…」
「その精神エネルギーとは何なんでしょうかね?」
 モーリスは悪戯っぽく笑って言った。
「至極、簡単な答えですよ。人間の欲求に基くもの…快楽についてです」
「そうですか…それなら私は適任でしょうね」
 さも可笑しそうに言うと、モーリスはセイウェルに近付く。
 自分より年下のモーリスに見つめられてセイウェルは苦笑した。
「何だか…貴方に襲われてしまいそうですね」
「ベットの上で年が上かどうかなんて関係ありませんよ」
 そう言うと、モーリスは相手の腕を引っ張り、自分が座っているソファーの方へ導いた。自分より一回り大きな男を組み敷くというのも、中々にオツだ。
 きっちりと絞めたネクタイを外し、ボタンを全て外す。肌蹴たシャツから手を差し込んで、さらに感じる場所へと移動した。
「…う…くッ…」
 耳をついと噛めば、そこが弱いのか声が上がる。
「んッ!」
「おや、弱いんですね…楽しいのは私だけになってしまいますよ?」
「ふっ…勿論…後でお返しさせてもらいます…よ…」
 相手のほうもその辺のモラルは無いようで、自分の上で悪戯を仕掛けるモーリスを楽しげに見ていた。
 整えていた金髪が乱れてソファーに広がる。
 意外に細い腰のラインを指先で撫でた。どうやら慣れているらしい相手の反応が面白く感じたのか、モーリスはテーブルに置かれたティーカップに手を伸ばす。
「な…何を?」
「折角、お茶を持って来てくださったんだから勿体無いじゃないですか。…でもね、私は喉が渇いていないんですよ」
 モーリスはもっともらしく言うと、口角を上げる。
 まるで最上級の悪戯を思いついた子供のように、純真で凶悪な微笑だった。
「ふふふ…良い物を持って来てくださいました」
「こ…こら…」
 こうなってくると先程の余裕は無くなってくる。
「遅いですよ」
 ちょいと体を動かないようにセイウェルの手の辺りの空気を固定する。
 さっきまでは動けたはずなのに、いきなり動きを封じられて焦り始めた。
 ティーカップを持つと紅茶を口に含み、彼に口付ける。モーリスが流し込んだ液体を嚥下するのを確認すると、カップをテーブルにそっと置く。
 セイウェルの体から徐々に力の抜けていくのが分かると、モーリスはズボンを脱がし始めた。
「うぅっ…」
 少年に言いようにされているのには羞恥心が増したようで、必死になってせり上がる快感を抑えようとしている。だが、我慢できなかったのか、時折、悲鳴に煮た声を上げていた。
「ひぁ…っ」
「おやおや、服が擦れているだけじゃないですか。あられもない声を上げて…」
 そんな事を言いながら、モーリスは「もっと啼いていいですよ?」と囁いた。ズボンを引き摺り下ろす。
(さて…どんなふうにいただいてしまいましょうかね)
 内腿に手を這わせて楽しげに笑った。

 そして、弛緩剤が効いてきて抵抗できない人の喘ぎが部屋に響いた。暫くして、しっかり堪能したモーリスは、自分の主人が居るであろう部屋に去っていく。
 無論、そこで何が起きているかは承知の上で…

 ■Lotta del servo bello.〜END〜■

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
 2318 / モーリス・ラジアル/ 男 /3年A組


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、朧月です。
 まだまだお暑い日々が続いておりますが、如何お過ごしでしょうか?
 初モーリスさん依頼で楽しかったです。
 もうちょっと長ければ会話文を書き込めたのかなと。
 でも、きっと書き込んだら一万文字書いてしまいそうですね<こら;
 大人を手玉に取る素敵な高校生。ナイスでございます。

 それでは発注をありがとうございました(礼)

 朧月幻尉 拝