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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


夏だ!気合いだ!根性見せろ!〜宝探し?IN海中編〜


■バトルDEハッスル☆

「よ〜っし!行くぞ懐かし碁石拾い!」
「待った!いきなり飛び込むのはよくありませんよ、鎮クン」
「っととっ…冠城さん、なにも海パン掴んでとめなくても…」
「あ、これは失礼…!それよりも鎮クン!海に入るまえに体操ですよ、体操!」
 琉人は砂浜の波打ち際でそう言って鎮を隣に立たせると、
自分のやるように体操して下さいね、と告げ…一、二、三、四、と軽い準備運動を開始する。
鎮はとりあえず見よう見真似でやりつつも、気付くとラジオ体操と化していた。
「深呼吸〜〜〜で終了!さ、行くぞ!」
「待った!景気づけにお茶を飲んでから向かいましょう!」
「え?お茶…そ、そうだな…水の中つっても水を飲めるわけじゃないし…」
 鎮は琉人から500mlのペットボトルを受け取ると、二人揃って腰に手を当てて一気に飲み干した。
そして今度こそ、海へと飛び込む。
ひゃっほー!と掛け声をかけてストレートに勢い良く飛び込む鎮に対して、琉人はと言うと…
腰や腕を妙にクネクネと動かし”お茶に捧げる舞”を踊り海に飛び込む。
その舞に意味はあるのか?!と様子を見ていた周囲の生徒からツッコミが入ったのだが、
そのツッコミに琉人はシュノーケルを加えた状態でニヤリと微笑み返しただけだった。



 海の中は、透明度も高く神秘的な空間だった。
水中メガネで素潜り状態の鎮は、頬を膨らませた状態で目の前の魚をつついて楽しんでみる。
見たことも無いような魚が悠々と横切り、そのゆるやかな動きは癒やしそのものだった。
鎮は石を探すがてら…サザエでも見つかったらラッキーと、底を手探りで探していく。
 その少し向こう側では、琉人が真剣な表情で海底を見つめて石を探していた。
石と言ってもそう大きいものではなく、ぱっと見ではなかなかわからない。
それらしいと思って近づいてみても、貝だったり珊瑚の破片だったり魚だったりと言う事が多かった。
『冠城さん、なんか見つかった?』
『いいえ…そちらはどうです?』
『それがさ!旨そうなサザエがあったから確保しといた』
 ニッと笑う鎮。琉人は少々目を丸くしつつも、良かったですねと笑みを浮かべる。
どうして海中なのに会話が出来るのかという細かい点に関しては疑問には思わないようだ。
少し会話を交わした後、再び2人はそれぞれ捜索を再開する。
鎮は海底を探る事に疲れたら、浅瀬で立ちながら足先で砂を蹴りながら探す方法に変えて石を探す。
その様子を琉人にじ〜っと見つめられ…苦笑いしつつまた再び手で探しはじめた。
 息継ぎをしながら捜索する事しばし。
鎮がきょろきょろと辺りを見渡していると、岩の陰に何者かの気配を感じそちらに目を向ける。
じっと固まって動かないソレは、見た感じ色的にはタコっぽいのだが、
外見的にはイカっぽいスレンダーな体つきの、どこから銅見ても軟体生物で、
九本の足を伸ばすと五メートルくらいになりそうな大きさだった。
『さっすが海!珍しいもんがいるなぁ〜』
 鎮は驚くわけでも逃げるわけでもなく、
珍しいものを見て関心しつつ、その目の前を通り過ぎていく。
………それがその軟体生物の怒りを買ったのだろうか?
 通り過ぎると同時に、ソレはその長い手をにゅるりと伸ばして襲い掛かってきたのだ。
『うおっ!冠城さん!危ない!』
『む…?!』
 慌てて避けた2人は、ソレの表情に『エサ』と言う文字が書かれているように思え、
もしかしてと顔を見合わせると同時に、とりあえず急いで岸へと向かうことにする。
しかし、そんな彼らの足をソレの触手が掴んでぐいっと引き寄せ…
『あーっ!なにすんだこのイカタコー!!』
『ふっ…上等です…そっちがその気なら夕飯の茶漬けにしてやりますよ!』
『えっ!?せめてバーベキューの材料にしようぜ…』
 とうっ、と掛け声をかけて琉人は自ら軟体生物に突っ込んでいき、その顔にパンチを食らわせる。
まさか攻撃されるとは思っていなかったのか、ソレは一瞬よろりとよろけ2人の足から触手を放す。
『大人しく我々の夕飯材料になりなさーい!』
『今夜の夕飯にしちゃる!タコイカ獲ったるでぇ!』
『イカタコですか?タコイカですか?』
『いや、どっちでも…』
 まるでどこぞの番組の一ヶ月一万円生活のような勢いの鎮に、冷静に問い返す琉人。
しかしタコイカ…イカタコ…正直どっちでもいいその軟体生物は2人のやり取りにはお構いなし。
ひたすら触手を伸ばして襲い掛かる。
 モリでも持っていればよかったのに、と鎮は思いつつ触手と格闘する。
いや、格闘と言うかなんと言うか…。
今の鎮の目には、軟体生物ではなく豪華バーベキュー海鮮素材しか映っていないのだ。
むしろ狩猟である。
『酢醤油かポン酢かマヨ醤油か〜!!たこ焼きかー!!』
 そんな海中での熾烈な?バトルは両者の決着がつくまで繰り広げられた。
最後をキメたのは、琉人の華麗なるスクリューアッパーだった。
繰り出した拳のあとを水流が泡と共に沸き起こる様子はその威力を物語っていただろう。
『いいパンチでしたよ…』
『…ふっ…貴様のアッパーには敵わん…』
『…いや、君もなかなかやるな…タコイカくん…』
『……貴様もな…』
 まるでそう言っているような表情をするタコイカは、満足そうに笑みを浮かべる。
そして琉人はその手を…九本のうちのおそらく手と思われるものを握り、同じように笑みを返した。
『なんか…すっげー熱い男の友情みたいなのを感じるんだけど…』
 そんなやり取りを眺めながら、鎮は漠然とそんな事を思い呟いたのだった。



 結局、琉人と意気投合したタコイカの協力もあり、
2人は海底にて例の石を数個見つけて集合場所へ戻る事となったのだが…
海中で石を探索しつつ、友好を深めた2人と一匹。
そんな正体不明の軟体生物タコイカを真ん中に、肩を組んで戻ってきた2人を見た他の面々が、
思いっきり引いたことは言うまでも無い。





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■   登場人物                  ■
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1年A組
【2320/鈴森・鎮(すずもり・しず)/男性】
2年C組
【2209/冠城・琉人(かぶらぎ・りゅうと)/男性】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちわ。この度は『幻影学園奇譚』海キャンプに参加いただきありがとうございました。
まずはじめに、納品が大変遅くなってしまった事をお詫び申し上げます。
夏キャンプと張り切っていたのですが、今年の台風には勝てませんでした。(苦笑)
 今回はダブルノベルですので、共通ノベルで集合時のエピソードを、
こちらの個別ノベルにて個別行動のエピソードを書かせていただきました。
幻影学園でのエピソードに関しては、普段のPCさんと少し違ったやり取りや関係で書かせて頂いております。
それぞれの班に別れての行動ですので、宜しければ他の方も覗いてみてくださいませ。
 海班の琉人さんと鎮さん。
お二方とも、例のタコイカを食材に!と言う行動のプレイングには笑わせていただきました。
やはり食材か!と言う感じで楽しく書かせていただきました(笑)

またいつかどこかでお会いできるのを楽しみにしております…。


:::::安曇あずみ:::::

※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>