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遭難! 必死 de サバイバル!!
<幸福の青い鳥>
「夕方だから、鳥はもうおうちに帰っちゃったかな・・・?」
夕暮れの森の中、海原みあおは1人そんなことを呟いた。
ドサクサ紛れに乗った船は遭難し、もう日暮れも近かった。
いい思い出作りにと参加したキャンプだったはずなのに、なぜこんな事になったのだろう?
だが、最初はあせったが特に危機感はなかった。
「実はキャンプしていた浜辺からそう遠くない浜辺かもしれないし・・・」
楽天的・・・というのとは少し違うが、前向きがみあおのいいところである。
ひとまず、そんなわけで森の中へ情報収集をすべく足を踏み入れたのだった。
「お水に、食料・・・あとはここがドコなのか・・・」
みあおは木の上を探すように歩いていた。
夕焼けに照らされた緑の葉がキラキラと目にまぶしい。
たまには都会の喧騒を離れて、自然の中を歩き回るのも悪くないものだ。
バサバサッと鳥の羽ばたく音。
小さな羽根が1枚みあおの目の前に落ちてきた。
・・・そろそろ、いいかな?
みあおはふと立ち止まると周りをキョロキョロと見た。
他の遭難者たちも散り散りにこの島を歩いているので、誰かに見られていないかを気にしたのである。
『ねぇ、このあたりに人間の食べれそうなものや水はないですか?』
到底人間の言葉ではない発音でみあおは上に向かって話した。
すると答えが返ってきた。
『もう少し行くとアケビくらいは取れるかな。アケビは人間も食べるんだろう?』
普通の人の耳にはおそらく小鳥のさえずりにしか聞こえない声。
だが、みあおの耳にはそれはきちんとした言葉で聞こえる。
それはみあおの体が普通ではないから・・・・。
『あなた、ラッキーね。もうすぐいいものが見れるわ。少し待っててご覧なさい』
小鳥はさえずり、空へと飛び立った。
もうすぐ夜だというのに、どこへ行くというのだろう?
突然、夜が来たのかとみあおは思った。
だけど、そうではなかった。
みあおの頭上を幾千の鳥が飛んでいたのだ。
それは夕焼けの光を帯びて少し紫がかって見えたが・・・・
「青い・・・鳥?」
みあおは思わず呟いた。
幸せを運ぶという伝説を持つ『青い鳥』。
みあお自身が幸せを運ぶ役目を担うため、青い鳥が見れるなんて思ってもみなかった。
実際、今見たのは幸せを運ぶなんて到底無理なただの鳥たちなのだが・・・。
「・・・うん。青い鳥見たんだもんね。きっと帰れるわ」
赤い空に溶け込んでいく青い鳥を見つめ、みあおはにっこりと笑った。
食料のアケビをとり、あとは地形を確認しておこう。
きっと活路は開けるだろう。
そしてみあおは、大きな翼を広げると赤い空へと羽ばたいたのだった・・・。
■□ 登場人物 □■
【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
1415 / 海原・みあお / 女 / 2年C組
■□ ライター通信 □■
海原みあお様
この度は『遭難! 必死 de サバイバル!!』にご参加いただきありがとうございます。
この個別ノベルは共通ノベル第4章を補足するものです。
皆様がいったい何をしていたのか・・・興味とお時間がございましたらお読みいただければと思います。
ノベル中、クラスの関係で3年生の方々を全て『先輩』付けて呼んでいただきましたことをご報告いたします。
いい思い出になるかはわかりませんが、印象に残るものを・・・と共通とは違いしっとり感を出してみました。
誰かに幸せをもたらすのもいいですが、たまには幸せを運んでもらえるのも良いかな・・・と。
みあお様にとってよい思い出になれば幸いです。
それでは、またお会いできる日を楽しみにしております。
とーいでした。
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