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一千の中の一つの夢
船から下りたシュライン・エマは大きく伸びをして陸にあがった。草間からもらった2本目の牛乳を手に砂浜のある方まで歩いていく。
「まあ、楽しかったといえば、楽しかったわね」
海の中の景色も素敵だったが、誰も見られないようなものも見れたのだから。
近くの砂浜まで歩いて、そこのベンチに腰掛けていると、その砂浜の近くの水道で草間が皆が使ったダイビング用品一式を洗っていた。
「あ、チョコ、皆の分の洗ってるの?」
「ああ、月神のやつ、無責任で全部おいてどっか遊びに行ったんだよ。しょうがねえな」
ぶつぶつと文句を言いながらも洗っている草間を見てシュラインはくすりと笑う。
文句を言っていても面倒見がいい。
「私も手伝うよ」
そう言って水道に近づくと、草間は腰を上げる。
「手伝ってくれるのは有難いんだが……。頼みがある」
「何?」
「シガレットが切れてる。買ってきてくれないか?」
……ニコチン中毒とは良く聞くが、チョコレートも中毒になるのだろうか?
「いいわよ。分かった。買ってくる」
「じゃあ、金渡す……ハイ」
シュラインは草間から百円をもらった。
このキャンプ場にはシガレットチョコレートの自販機がある。
シュラインはシガレットチョコレートなどくわえないが、愛好者は結構いるらしい。
自販機の前まできて、さて、買うか、と思ったとき。
あまりのシガレットチョコレートの種類に驚いた。
ホワイトシガレット、ストロベリーシガレット、ビターシガレット、ミルクシガレット、マイルドシガレット……。まだまだ種類は沢山ある。
「チョコってどれ咥えてたんだっけ……?」
暫く自販機の前でシュラインは悩む。
煙草なら銘柄が違うと吸えない場合がある。
シガレットチョコレートにもなんだか好みがあると思い、草間のイメージと重ね合わせる。
「ビターかしら……」
なんとなくの草間のイメージだ。
「それともマイルド……ミルクって事はないわよね……」
自販機の前で百円を握り締めて考える。
「……やっぱビターよね……そうよね」
そう言ってシュラインはビターを買っていった。
「はい、チョコ」
そう言ってビターシガレットチョコレートを渡すと、草間は「おう」と言って早速パッケージを開けて咥える。
「やっぱり休憩の一服は止められねえな」
美味しそうにシガレットチョコレートを咥える草間。
「牛乳も飲む?」
「ああ、有難い」
二本目の牛乳を飲みながらビターシガレットチョコレートをかじる草間。
それをシュラインはほほえましく見守った。 ★END★
登場人物
【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
0086/シュライン・エマ/女性/草間興信所事務員
ライター通信
今回発注有難うございました。
シガレットチョコの話です。草間のシガレットは私もかわいいと思っていました。
それプラス、学生、子供っぽく牛乳を使ってみました。
幻影学園忌憚ならではの草間だと思います。
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