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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


アバンチュールしてみませんか? 〜in海キャンプ〜

ACT.SPECIAL■石神月弥の冒険

 海キャンプが終わって2週間後に、学園祭が始まる。
 神聖都学園高等部はすでに学園祭ムード一色であった。
 ただ学園祭のイベントについては、美術部はほとんど目立たない。
 毎年、絵画や彫刻を展示したりはするけれど、生徒たちの人気はさほどでもない。華やかな脚光を浴びるのは、同人誌即売会を行う漫画研究部なのである。
 しかしそれでもこの時期、美術部員たちはそれなりに忙しい。なぜならば、同人誌発行に向けて追い込みいちじるしい漫画研究部から、アシスタントの要請があるからだ。
「弁天ちゃーん。どーしよ、女性向け創作サークルからお手伝いの依頼があったよ。アシスト代割り増ししてくれるって」
「うーむ。申し訳ないが、それは断っても良いのではないか?」
 もう美術部の部員は充実していて、学園祭用の部費も下りた。新しいキャンバスで、出品用の絵画にも取り組んでいる。何も今までのように、その場しのぎの出稼ぎに行く必要はないのだ。
「それがねぇ、月弥くんご指名なんだよねー」
「何じゃと? それはいかんぞ。可愛い月弥を腐女子の園に送り出してなんとする」
「ハナコもそう思うんだ。教育上(?)良くないよね。でも、そんなんじゃなくって、月弥くん、すごく漫画が上手だから是非にって頼み込まれちゃってさ」
 弁天ははたと部室内を振り返る。
 新入部員の石神月弥は、アリアドネ像を前に、懸命に石膏デッサンに取り組んでいるところだった。

「これ月弥。どうじゃ、調子は?」
「俺、絵ってあまり得意じゃないんですけど。でも楽しいです」
 月弥はデッサンの手を止めてにっこり笑う。
 出来映えをちらっと見た弁天は仰天した。

(う、上手い……! ピカソのデッサン並ではないか……!!!)

 しきりに謙遜する月弥に、そっと聞いてみる。
「おぬし、漫画が達者じゃという話を聞いたが、そうだったのかえ?」
 月弥は軽く手を横に振った。
「やだなあ。描くのは好きですけど、でもまだまだです」
(ふーむ。これは……。掘り出し物じゃな!)

 美術部発行の同人誌が大人気。
 ――ついつい、そんな妄想の虜になってしまった弁天部長であった。


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■   登場人物                  ■
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【2269/石神・月弥(いしがみ・つきや)/男子/1年A組】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、神無月です。お待たせいたしました!
この度は、ギャグイベントしか発生しない、いきあたりばったりのおとぼけ恋愛SLG(違)に勇気を振り絞ってのご参加、まことにありがとうございます。
夏の貴重なひとときを、弁天とハナコにお付き合いくださいましたことに感謝いたします。
なお、個別ノベルでの時系列は、大別して「キャンプ前」「キャンプ中」「キャンプ後」となっております。

□■石神月弥さま@キャンプ後
この度は美術部入部をご了承いただきまして、部長・副部長ともども御礼申し上げます〜。
個別ノベル、ちょっと暴走してしまいました。ゆ、夢の中の出来事なので、あ、あの(滝汗)。

ご参加、ありがとうございました。
いつかどこかで、またお会いできますことを願って。