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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


アバンチュールしてみませんか? 〜in海キャンプ〜

ACT.SPECIAL■海原みあおの憂慮

 海キャンプ最終日である。
 今日も生徒たちは、海で砂浜で洞窟で、それぞれの夏を満喫している。
 しかしその歓声にも笑顔にも、そこはかとない寂寥が漂うことはいなめない。
 今日は8月31日。もう夏は、終わりなのだ。

 夕方には、帰りのバスに乗らなければならない。二度と帰らぬ夏の、さまざまな出来事を反芻し、想い出を抱えながら。
 海はまだ、果てしなく青い。だが吹きすぎて行く風には、もう秋の気配すら感じてしまう。
(いろんなことが、あったな)
 発端は、美術部存続のために繰り広げられた、男子たちの勧誘劇だった。
 弁天部長とハナコ副部長から是非にと乞われ、また姉からも言われて、みあおは参謀として協力した。
 もともと美術に興味があったわけではない。ターゲットとなった、他の女子たちにとっては魅力的であるらしい4名の男子に、関心を持ったわけでもない。
 だから、みあおの前で目まぐるしく展開された各種の恋愛模様にも、比較的冷静でいられた。
 ――ただ。

「どうした、みあお? 早く食べぬとなくなるぞ?」
「あ、はい。いただきます」
 海を見ていたみあおは、弁天の声に我に返った。
 今、砂浜では、またもバーベキュー大会がとりおこなわれている。
 3日めに行われた勧誘の一環としての企画ではなく、1年生から3年生まで各部各クラス入り交じっての、垣根を取り払ったコミュニケーションを意図したものであった。
 料理上手な鈴人が、今日もかいがいしく走り回っている。
「新入部員を何人も得て、どうやら美術部は安泰のようじゃ。勧誘に成功したのはみあおのおかげじゃ。礼を言わねばの」
 真昼のはずなのに、空気のいろが夕暮れ時のようだ。弁天の口調もいつもとは変わっていないはずなのに、どこかしみじみとした憂いがある。
「いいえ、だってあたしは」
 ――だって、あたしは。
「弁天さんと一緒にいられたから、いいんです」
「みあお」
「意思の強い人って、憧れます」
 言ってしまってから、みあおは少し赤くなる。だが、今を逃してはこのようなことを言う機会はないだろうし――それに。
(それに、『17歳のあたし』にとっては、これで最後になるかもしれないし)

「……いただきます」
 何か言いたげな弁天をはぐらかし、みあおは焼き上がった食材に箸を伸ばした。


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■   登場人物                  ■
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【1415/海原・みあお(うなばら・みあお)/女子/2年C組】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、神無月です。お待たせいたしました!
この度は、ギャグイベントしか発生しない、いきあたりばったりのおとぼけ恋愛SLG(違)に勇気を振り絞ってのご参加、まことにありがとうございます。
夏の貴重なひとときを、弁天とハナコにお付き合いくださいましたことに感謝いたします。
なお、個別ノベルでの時系列は、大別して「キャンプ前」「キャンプ中」「キャンプ後」となっております。

□■海原みあおさま@キャンプ中(最終日)
み、みあおさま。かっこいい。大人だ! 
いつもとはまた違った雰囲気に、ライターもドキドキです。参謀役、お疲れ様でございました。

ご参加、ありがとうございました。
いつかどこかで、またお会いできますことを願って。