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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


アバンチュールしてみませんか? 〜in海キャンプ〜

ACT.SPECIAL■舜蘇鼓の絶体絶命

 海キャンプから帰還した、とある日の放課後。
 仕方なく、しぶしぶ、嫌々ながら、蘇鼓は自分が壊した美術部のドアを補修していた。
 他の美術部員は学園祭の打ち合わせに出払っていて、部室にいるのは弁天だけである。
「よォ弁天ー。揚げパン1年分はー?」
「さんざん引っかき回しておいて何を言う。おぬしが勧誘に役立ったことがあったかえ?」
「あんなに一所懸命だったのになァ」
「おぬしの嘘八百は聞き飽きたわ。ところで蘇鼓」
 テーブルの上のノートパソコン(文芸部から蛇之助が持ってきたらしい)で何やら熱心に調べものをしていた弁天は、おもむろに呟く。
「国際結婚の手続きというのは面倒なものじゃのう。法務局やら外務省やら中国大使館やらへ行かねばならぬのは当然として、おぬしの場合は交換留学生ゆえ、文部科学省がらみでいろいろありそうじゃ」
「ちょっと待てェ。てめぇ何を検索してやがる!」
 せっかく直しかけたドアをまたもやバターンと倒し、蘇鼓は弁天の手許を覗き込んだ。

【国際結婚にまつわる法律】
【外国人配偶者が日本に住む手続き】

 ……そんなコンテンツがずらっと並んでいる。

「あのー。部長さま、コレは何の冗談すか?」
「わらわたちの結婚を、おぬしのお父上は快く祝福してくれたぞ。JR吉祥寺駅徒歩圏内に、豪華一戸建ての新居をご用意くださるそうじゃ」
「そんな筈あるかぁー!」
 蘇鼓は取り出した携帯で、即、父親に連絡を取った。
「もしもし? うん、俺。――ハァ? 面白い良いお嬢さん? 全面的に賛成? ダブリを2回もやらかしたのは彼女と離れたくなかったからかって、ちがーう、きっぱりすっぱり自分の意思だぁー!」
 ぶち、と携帯を切った蘇鼓は、そのままテーブルに叩きつけた。
「言っておくがなぁ、弁天。俺は誰かの思い通りに振り回されるのが何より嫌なンだよ!」
「気が合うのう。わらわもじゃ。おぬしの嘘に翻弄された者の気持ちが、少しはわかったであろう?」

 ふふん、と弁天は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「婚約を解消して欲しくば、さっさとドアを補修するが良い!」
「……婚約してないっつーに」

 後悔も反省もしない主義の蘇鼓だが、ほんの気まぐれで美術部に関わったことについては自分を責めたくなる、夏の終わりであった。


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■   登場人物                  ■
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【3678/舜・蘇鼓(しゅん・すぅこ)/男子/クラスは諸事情によりヒミツ♪】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、神無月です。お待たせいたしました!
この度は、ギャグイベントしか発生しない、いきあたりばったりのおとぼけ恋愛SLG(違)に勇気を振り絞ってのご参加、まことにありがとうございます。
夏の貴重なひとときを、弁天とハナコにお付き合いくださいましたことに感謝いたします。
なお、個別ノベルでの時系列は、大別して「キャンプ前」「キャンプ中」「キャンプ後」となっております。

□■舜蘇鼓さま@キャンプ後
初めまして。お会いできて光栄です。どうぞ宜しくお願いいたします。
蘇鼓さまは大変にノリの良いキャラクターで、楽しく書かせていただきました。
初対面でいきなり弁天が入籍を迫ったことにつきましては、夏の日の過ちということで、お許しくださいませ(オイ)。

ご参加、ありがとうございました。
いつかどこかで、またお会いできますことを願って。