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海の蛍火
◆カレーライス準備編
実はディオシスが持参したのは豆腐だけではなかった。豆腐は勿論いれた。が、これは囮だった。1人1つずつ材料を持ち寄るのは構わないが、それだけでは不十分だと思ったのだ。やはりカレーライスは辛くなくてはならない。ならばハバネロを入れなくてどうするというのだ。
誤算だったのは灰司が突然抱きついて来た事だった。
「ディオシス〜」
「どぅわぁあああぁぁ」
予期せぬ行動にディオシスは身体のバランスを崩した。手にしたハバネロは瓶の中身全てが鍋の中へと消えていった。ポシャン‥‥と低い水音がしたが、奇跡的に誰の耳のも届かなかったらしい。
「え? ディオシス、どうかしたの?」
灰司はディオシスの顔を見上げて言った。
「ど、どうもしないに決まってるだろう。ったく暑苦しいなぁ、離れろって」
あわてて取り繕ったが、なんとなく不審そうな灰司の視線が気になった。
◆それぞれの捜索編
捜索は空から行った。雲が月を隠している間に翼を広げ飛び立つ。目的の場所にはすぐについた。
「特に何もないな」
勿論すぐ横には灰司がいるが無言だった。お互いに人間ではない。だから空を飛ぶなどなんでもない事だった。たださっきから灰司の様子がおかしいのが気になった。何をするのにも反応が鈍いのだ。
「少し捜索範囲を広げてみる」
ディオシスは翼で方向転換をする。揺るやかな風が雲を吹き流していく。ゆっくりと雲に隠されていた月が現れ、その冷たく青い光を地上へと降り注いでいく。
「あ!」
灰司の声が小さく響いた。ディオシス達のすぐ真下にある海は内側から淡く光り輝いていた。
◆それぞれの結末
手のひらに乗せた石を差し出すと、繭神陽一郎は真剣な視線をディオシスに向けた。キャンプ地の入り口付近だが、灰司以外に人はいない。大胆に内緒話が出来るというものだ。
「これを探していた。渡して貰えるか?」
陽一郎は単刀直入に切り出した。
「悪用しない、俺に説明をする‥‥この2つを守って貰えるなら協力は惜しまない」
「言うじゃないか」
陽一郎は浅く笑う。もう一度陽一郎はディオシスと灰司をじっと見つめた。それから目を伏せる。
「いいだろう。悪用はしない。これは元々儀式に使う要石だったものだ。これがなくては悪しきモノの封印が出来ない‥‥だから探していた」
「封印‥‥何を封印するつもりなんだ」
危機ながらディオシスは陽一郎が封印するものが何なのか自分は知っているのではないかと思っていた。そして多分それは間違っていないだろう。それでもディオシスは陽一郎が石を取るのを拒まなかった。一苦労して海に潜り手にいれた石が陽一郎の手に渡る。
「1000年の鬼とその夢‥‥そうすることが一族の使命だ」
陽一郎は寂しく笑って言った。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
【3737/ディオシス・レストナード/男性/豆腐とハバネロの一味唐辛子】
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■ ライター通信 ■
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このたびはダブルノベルにお申し込みいただき、ありがとうございました。おかげさまでカレーは食べる事が出来ないモノになってしまいました。一生懸命探索してもご飯にありつけなくて、悲しい思いをしたかもしれませんね(笑)。繭神陽一郎には協力するということで、ゲットした石は渡してしまいました。お疲れさまでした。また機会がありましたら、よろしくお願いします。
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