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遭難! 必死 de サバイバル!!
<サメに乗った青年>
小さい頃を思い出せば、こんな環境は屁でもない。
シオン・レ・ハイは勇ましく森を歩いていた。
いくつかの自生していた果物を見つけ収穫。
飲み水になりそうな湧き水の場所も何とか見つけ、後は行きにつけた道しるべを確認しつつ浜辺へと帰り着ければよかった。
父さんの訓練は厳しかったなぁ・・・。
大海原にほうり投げだされ命からがら泳ぎ無人島に漂流し、父さんが迎えに来た数ヵ月後までよくこうしていたものです・・・。
思わず感慨にふけるシオン。
こんな経験は久しぶりで、どこか懐かしかった。
そうだ。折角ですから魚も取りましょう。
動物性たんぱく質も大事ですしね。
シオンは枯れた太目の枝と大き目のとがった石を拾い上げた。
そしておもむろに石で枝を削りだした。
ずいぶん前のこととはいえ、体は覚えている。
道具の扱い方、道具の道具の作り方、そして研ぎ具合・・・。
段々枝の先がとがっていき、魚を刺すには十分は道具となった。
果物と即席の槍を小脇に抱え、シオンはまるでジャングルの王者であるかのようにツタを使い木々の間を渡って行った。
もちろん、『あ〜ああ〜♪』という歌うような掛け声は忘れなかった。
浜辺に降り立つと、まず岩場を見つけた。
日暮れ前の海。
影も長くなり魚たちも住処へと帰る。
ゴツゴツと入り組んだ岩場は魚たちの絶好の住処だ。
シオンは静かに時を待つ。
ゆらりと海面が動くのを見逃さずに、シオンは一気に槍を振り下ろした。
ほのかに銀色に光る魚が、シオンの手腕によって食料として得られた。
「・・・お魚です・・・」
これでこそサバイバル! これでこそ海キャンプ!
シオンはしばし、その魚を胸に抱き感動の余韻を味わった。
しかし、事はそこで終わらなかった。
きらりと海面が動き、反射した夕日がシオンの目を指した。
シオンはあまりのまぶしさにそちらを向いたが、目が慣れるのに少しの時間を要した。
「・・・サメ?」
板鰓亜綱(ばんさいあもう)・ネズミザメ上目・ネズミザメ科・ホオジロザメ属・ホオジロザメ・・・・。
人食いサメとしてはとてつもなく有名である。
「うわぁ〜。サメを見るのも久しぶりだなぁ・・・」
シオンは嬉しそうに呟いたが、そんな場合ではないのである。
サメは、一直線にシオンに向かってきているのだから・・・。
だがしかし、シオンはそんな恐ろしいサメに向かっていく。
そして、サメが大きな口を開けてシオンに噛み付こうとしたその瞬間、彼は跳躍した。
水しぶきがキラキラと夕日を反射し、まるで映画のワンシーンのようにシオンを映し出す。
きっと、このシーンを見たものならさながらそう感じたことだろう。
次の瞬間、シオンはサメの背中へと乗っていた。
「これに乗るのも、久しぶりです〜」
楽しげに・・・まるで馬にでも乗るかのようにサメに乗るシオン。
誰がそれを現実だと思うのだろう・・・。
誰がそれを真実だと思うのだろう・・・。
だが、彼は確かにサメの背中に乗っていたのだ。
「助けが来なかったら、このサメに船を引かせて帰るのもいいかもしれませんね〜」
そんなことをいいながら、いつの間にかシオンはサメを手なずけてしまっていた。
そして、彼は大海原へとそのまま散歩に出かけて行ったのだった・・・。
■□ 登場人物 □■
【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
3356 / シオン・レ・ハイ / 男 / 3年C組
■□ ライター通信 □■
シオン・レ・ハイ様
この度は『遭難! 必死 de サバイバル!!』にご参加いただきありがとうございます。
この個別ノベルは共通ノベル第4章を補足するものです。
皆様がいったい何をしていたのか・・・興味とお時間がございましたらお読みいただければと思います。
楽しいプレイングで、個別・共通ともに弾けさせて頂きました。(笑)
お父上との懐かしい思い出も微妙に気になるところではありましたが、鮫使いとのことでそちらを選ばせていただきました。
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
それでは、またお会いできる日を楽しみにしております。
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