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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


月夜の石集め
〜信じてたのに!〜

―――影踏は、ちょっとルンルン気分だった。
     …なぜなら、今ちょっと離れた隣にいるのが鎖々螺だからだ。

自分よりも若干だが高い身長。
キリッとした目鼻立ち、強い意志を感じさせる鋭い瞳。
筋肉質過ぎずかといって貧弱過ぎず、ほどよい筋肉がついたすらっとした体躯。
低すぎず・高すぎず、心地よい声。
少々喧嘩っぱやいが、落ち着いた性格。


――――――正に、イイ『オトコ』。


あぁ、なんて素敵な一夜!!
なんだか半分陶酔してる感じな影踏。
しかしどんなに思っていても顔には出さない。その辺りは流石と言うべきかどうか。

「……おい、どうかしたか?」

頭の中で色々と考えていた途端、唐突に横から声がかけられる。
「…え?」
驚いて顔を上げると…目の前に、鎖々螺が立っていた。

「さ、鎖々螺っ!?」
「んだよ。
 そんなに驚かなくてもいいだろ?」
今まで考えていた相手が目の前にいる。
その展開に驚いた影踏。
しかしあまりの驚きように、鎖々螺は訝しげに顔を顰めた。

「あ、い、いや!
 急に顔のドアップだったから驚いただけだ!!」
「…そうか?」
「そうだよっ!!」
影踏はそう言いながらじりじりと後ずさる。
正直、顔のドアップは嬉しいけど恥ずかしい。
鎖々螺が意識していないとしても、こちらは意識してしまうのだから。
がっつく気はないけど、いっそこのまま抱きついてしまえたらどれだけ嬉しいことか。

頭がぐるぐるしている影踏を見ていた鎖々螺は、急に口を開く。

「……お前さぁ」
「え!?何!?」

急に話しかけられたせいで影踏の返事は完全に裏返っている。
いっそ滑稽なぐらいのその声にも表情は変わらず、鎖々螺は真剣な顔でじっと影踏を見つめた。

―――ま、まさか、このまま愛の告白タイム!?

そんなこたあるわけないのだが、影踏の妄想は突っ走る突っ走る。
愉快な期待に目を輝かせる影踏をよそに、鎖々螺はゆっくりと口を開いた。


「――――――俺のこと、男だと勘違いしてるよな?」


「……え?」
予想に反した言葉だったのもあるが、それよりも何よりも驚いたのが、鎖々螺の発言。

「…かん、ちが…い…?」
「あぁ。俺、これでも一応性別女だから」

頭が真っ白になった影踏の問いにきっぱりと答える鎖々螺。
ガーン!!!
今の彼の心情を音で例えるなら、そんな感じだろうか。

「…お、おん…な…?」
「そうだ。よく勘違いされるから慣れてるけど、一応言っといた方がいいかと思ってな」
なんか目が怖いし、と付けたす鎖々螺を見て、影踏のショックはグレートアップだ。

―――――しかし、影踏はそれ如きでへこたれるような男ではない!

「…なんていうか、女でもいいかも…」
「……はい?」
どこかうっとりとした視線で言われて、鎖々螺は思わず間抜けな声を上げた。
しかし影踏そんな戸惑いなんのその。
しなだれかかるように鎖々螺に顔を近づけ、そこはかとなく潤んだ目で彼女を見る。

「…俺さ、27日、誕生日なんだ」
「……へ、へぇ…」

じりじりと後ずさる鎖々螺を追い詰めるように追いかける影踏。
見ようによっては完全に影踏が迫っている感じだ。
が、影踏本人はそれにはちっとも気づいちゃいない。

一旦恥ずかしがるように目線を反らした後、影踏はどこか怪しげに微笑んだ。

「18になれば、色々…出来るよ」

―――言ったー!!!
影踏の心情を表すならこんなところか。
中々勢いのあることで大変よろしい。

しかし鎖々螺は『はぁ?』みたいな顔で固まった後…深々と溜息を吐く。
そしてそのリアクションできょとんとした表情で固まった影踏の額をペチンッ、と指で弾いた。

「いたっ!?」
「―――――ガキが無駄に色気づいてんじゃねぇよ」

額を押さえて後ずさる影踏をよそに、鎖々螺は呆れ顔でぐさりとくるコメントを一つ。

「なっ…!だ、誰がガキだよっ!!
 これでももうすぐ18なんだぜ!?」
「ぁあ?
 18なんて俺から見りゃ幼児もいいトコだっての」

その言葉に含まれた意味に影踏は気づかないが、幼児扱いされた影踏は不満でいっぱいだ。
「……なんだよ…ガキ扱いしやがって…」
ぶちぶちぼやく影踏を見て呆れたのか悪いと思ったのかは分からないが、鎖々螺は再度影踏の前に立ち、ビシッ!とさっきよりも強く指で額を弾いた。
「いっ…!?
 鎖々螺!お前なにすっ…」


「――――――この先、お前がもっといい男になったら、その時は相手してやってもいいぜ」


影踏の顔の前に片手の平を差し出して声を遮ってから、にやりと笑ってそう言う。
ぽかんとした表情で固まった影踏を見てくくっと喉を鳴らして笑うと、影踏に背を向けて歩き出した。

鎖々螺が別の人と話し出す頃にようやく正気に戻った影踏は、ずるずるとしゃがみ込んだ。
くしゃりと片手で髪をかき混ぜ、困ったように笑いながら口を開く。

「…やっぱりカッコイイじゃん…」

―――そう呟きながら鎖々螺を見る影踏の目に浮かぶのは、恋とか愛とかの感情ではなくて…純粋な、憧れだった。


<結果>
入手:無し。敢えて言うなら鎖々螺が女だと言う事と男らしさが高いという情報を得た(笑)

終。

■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号/名前/性別/クラス/属性】

【2309/夏野・影踏/男/3−A/無】

■ライター通信■
大変お待たせいたしまして申し訳御座いませんでした(汗)
学園ダブルノベル(海キャンプ編)個別をお届けします。 …いかがだったでしょうか?
ちなみに今回は残念ながら巳皇と話す方はいらっしゃいませんでした…結構好きなんですけどねぇ、私は(お前の好みは関係ない)
その代わりにB地点…鎖々螺のところが予想以上に多くて驚きました。やっぱり海辺は人気高いんですかねぇ…?(何)
そして例によって例の如く、PC様によっては入手アイテムなぞつけてみました(笑)
GETした人とGETしてない人がいるのは…単に私の趣味です(ぅをい)
場所ごとにNPC達の裏事情を散りばめて見ましたが…どうでしょう?わかっていただけましたか?(笑)
実は鬼斬の裏事情が一番多いのですが、それは単に彼の裏設定が一番多く決まっていたからに他なりません(ぇえ)
裏事情を垣間見て、NPC達に更に馴染んでいただければなぁ、と考えております。
全体的に色々と謎を残す不思議な展開・奇妙な終わり方を目指しておりますので、その謎について色々と考えてくだされば嬉しいです。
なにはともあれ、どうぞ、これからもNPC達のことをよろしくお願い致します(ぺこり)

【影踏様】
ご参加どうも有難う御座いました。
今回は折角なので鎖々螺が女性だとバラす場面を個別に持ってこさせて頂きました(笑)
時間帯的には探索真っ最中の出来事です。
更になんというか…同い年のはずなのにささやかな大人の余裕、みたいな感じで影踏様のアプローチを交わしてみせる男前(?)な鎖々螺、をプラスです(をい)
楽しかったです、えぇ。なんだか新鮮な掛け合いで(笑)気づけば完全ギャグ仕立てですが(爆)
今回は全体的に鎖々螺にくっつくもすぐにささっと逃げてしまうけど、いざとなると大胆になっちゃう乙女みたいな動きをイメージしてみましたが…如何でしょうか?(をい)
というか(妄)想像が突っ走ってる的なキャラになってますが(爆)
残念ながら優勝は逃してしまいましたが、ある意味充実した一夜だったのでは?(笑)
影踏様は自分的に好みで書きやすいキャラクターをしていらっしゃるので、書いてて楽しいですv(何)

色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、またお会いできることを願って。