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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


星空を見つめて…

 翌日、こってりと教師からも友人たちからも説教された龍堂 玲於奈は一躍『時の人』となった。それもこれも友達連中が『玲於奈が沖に流されて鉄球が錨になって沈んでるかもしれない!』などと言い触らしたのが問題だった。おかげで救助用の船は日暮れまで彼女を探すので大忙し、担任教師もいろいろな方面に捜索の協力をお願いしたりしてへとへとになっているところに彼女が帰ってきたのだからたまったものではない。そして半日振りに戻った彼女の第一声は、今では伝説になっている。

 「先生、ご飯ある?」

 帰ってすぐ水着のままでご飯を探しているところを発見され、そのまま本部へ連行。教師がかわるがわる説教し、翌朝は友達がその任を引き継いだ。口では『無事でよかった』というものの、そんな安心など微塵も感じさせない容赦のない説教だけが玲於奈の頭の中に残った。彼女は口を曲げながらも最後まで我慢してそれを聞き、なんとか昼前までには釈放された。そして彼女はそのまま砂浜へとダッシュで向かう。どうやらまったく懲りてないようだ。
 彼女には約束があった。砂浜では昨日一緒に遊ぶと約束した寒河江 深雪が待っている。玲於奈は後ろから監視の人間が堂々と追ってきているのも知らず、ただひたすらに走った。白い砂を周囲に撒き散らすたびに太陽がそれをわずかに光らせる。

 玲於奈は彼女を見つけると大きな声で呼びかけた。
 
 「おーーーい、深雪っ!」
 「あ、玲於奈さん。大丈夫でしたか?」
 「耳が痛くなったけど大丈夫。半分以上は聞き流したから。」
 「あ……そ、そうでしょうね。でなかったらあんなに監視の人はいないでしょうね……」
 「えっ、監視って……おうわぁ! なんだ、あの人だかり!」

 彼女が後ろを振り向くと、少し離れたところに監視の教師が数人潜んでいた。そしてさらにその周りには野次馬たちが玲於奈を見ようと集まっている。さすがに衆人監視されているとは思わず、玲於奈もビックリした。

 「帰れる時はさっさと帰らないとダメみたいだね……」
 「玲於奈さんは今年受験だって言ってましたけど、こんなことしてて本当に大丈夫なんですか?」
 「勉強してるから大丈夫だって。ぼくが遊ぶのって久しぶりなんだ。だから……」
 「いえいえ、そうじゃなくって私が言いたいのは内申書のことです。こんな大騒ぎ起こしたなら、きっと一筆書かれますよ?」
 「…………………ウソ?」
 「ホントです、はい。」

 深雪の言葉に息を飲む玲於奈……さすがに血の気が引いたらしく、いつもの元気が失われつつあった。だが、それも一瞬。すぐに元気よく腕を振り上げて声を上げた。

 「そこは積極的な行動性があると書いてくれれば、オールオッケー!」
 「……それでいいんですか、玲於奈さん?」
 「だって学園も進学率上げたいからそんなこと書かないって! さ、早く遊ぼ!」
 「もう……せっかく心配してあげたのに。ふふっ。」

 あまりにも楽しそうに喋る玲於奈の雰囲気に負けたのか、深雪は素直に彼女の後ろについて海へと入っていった……


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】

0669/龍堂・玲於奈 /女性/3−C


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■         ライター通信          ■
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こんにちわ、市川智彦です。今回は幻影学園奇譚ダブルノベルをお届けします!
いつも勉強でがんばってる玲於奈ちゃんですが、今回のバカンスはいかがでしたか?
個別ノベルでは本編のその後を描きました。個別で唯一、コメディーやってます(笑)。
素敵なネタがありましたので、そちらは本編で使わせて頂きました!
やっぱりいいものはみんなで共有するのが一番ですからね。そちらもお楽しみに!

今回は本当にありがとうございました。また本編や別の作品でお会いしましょう!