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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


月夜の石集め
〜情報収集?〜

砂浜地点。
皆があちこちを探し回る中、一人だけ探しているようで探していない人物がいた。
――――すばるだ。

「…やはり情報の集まりは悪いか…」

辺りを探し回る面々を見回しながら、すばるはぽつりと呟く。

カメラアイやサーチアナライザであちこちの地点の画像を撮って解析して調べたものの、目ぼしいものは残念ながら見つからず。
しかもこの辺りは奇妙な力場が形成されているようで、霊的な力を持つものが感知しにくくなっているようなのだ。

彼女は今回の収集品である『石の欠片』や会長である繭神陽一郎について調べている。
何かとイベントの場で発見される欠片やよく見かけられる陽一郎の姿は、すばるのみならず一部の能力者達の間で有名だ。
興味を抱いた者がそのことを積極的に調べている節もある。
…まぁ、すばるの場合は『興味を抱いたから』と言う理由で調査を行っているわけではないのだが。

そもそもこの世界自体が不安定なのだ。
精神を集めた学校。
しかもわざわざ外見年齢を相応の物に変えてまで、だ。
何者かの意思が介在しているのは明確。

ならば――――――それは、誰だ?

それが分からない。
どれだけ調べても、これと言う情報が手に入らないのだ。

そこですばるの中で今最も有力な情報源になりえるのは――――陽一郎。

しかし彼は神出鬼没なばかりか、見つけるのも中々困難だ。
そんな中で彼の存在をかぎつけた、更に石の欠片を調査できるかもしれないと言うチャンスを得たからこそ、すばるはここにいるのだが…。

…結局今のところ、石の欠片も情報も見つかっていないわけだ。

「…どうしたものか…」
むむ、と無表情で考え込むような仕草をするすばる。
――――――と。

「なんだ?何か調べモンか?」

ひょい、と覗き込むように、鎖々螺が現れた。
「…まぁ、色々と…な」
しかしすばるは顔色一つ変えず、淡々と答える。
ふぅん、と生返事を返した鎖々螺は、すぐにぽつりと呟いた。


「――――――この学園や石の欠片についてでも調べてるのか?」
「!!」


この言葉に、流石にすばるも素早く反応する。
「…何か知っているのか?」
じっと射るような視線でこちらを見るすばるにくっと口の端を持ち上げた鎖々螺は、まぁそう睨むな、と言ってすばるの近くにあった倒木に腰を下ろす。
座るように促されて渋々座ったすばるを見、鎖々螺は口を開く。

「まず、何で俺がお前が調べてることを言い当てることが出来たかっつーとだけど。
 まぁ、知り合いに情報通のヤツがいてな。
 そいつが色々この学園のことを調べてるヤツがいるって面白そうに漏らしてたからなんとなくカンで当てたわけだ」
「…なるほど」

まぁ、それなりに道理にかなっている。
自分が調べたことを調べている人間がいても可笑しくはないだろうし。

「…とりあえず、石とかについて、俺が知ってるだけの情報を教えてやるよ」

そう言うと、鎖々螺はぽつぽつと話始めた。

「その石の欠片は元からあった『何か』が砕けたものだ。ちなみに何かは俺も知らない。
 …まぁ、その辺は見たらわかるかもしれねぇけどな。
 それと、この石は超常現象の直接的な原因じゃねぇよ。むしろこれは『抑える』力を持ったモンだ」

そしてこれは一番重要、とぴっと人差し指を立てた鎖々螺は真剣な表情で口を開く。

「―――繭神は決して俺らに害を与えない。むしろ全く違う目的で動いている」

そこまで言ってから、鎖々螺は肩を竦めた。
「…とまぁ、俺が教えられるのはこれくらいだ」
これで話はおしまい、と言って立ち上がる鎖々螺の背に、すばるは声を投げかける。

「……あなたは一体…」

その問いかけに、鎖々螺は振り返ってにっと口端を持ち上げて笑う。

「――――こう言う現象には耐性があってな。
 滅多なことが無い限り、それに完全な影響を受けることはないんだよ」

こう言う部分的な影響は受けるけどな、と自分の体を指差し、くく、と笑うと、鎖々螺は歩き出す。
その背を見送って、すばるはぽつりと呟いた。

「…特殊能力者の中でも更に特殊、と言うわけか…」


<結果>
入手:鎖々螺からの断片的な不確定情報。嘘はついていなさそうな様子から、恐らくはほぼ合っていると思われる。

終。

■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号/名前/性別/クラス/属性】

【2748/亜矢坂9・すばる/女/2−A/風】

■ライター通信■
大変お待たせいたしまして申し訳御座いませんでした(汗)
学園ダブルノベル(海キャンプ編)個別をお届けします。 …いかがだったでしょうか?
ちなみに今回は残念ながら巳皇と話す方はいらっしゃいませんでした…結構好きなんですけどねぇ、私は(お前の好みは関係ない)
その代わりにB地点…鎖々螺のところが予想以上に多くて驚きました。やっぱり海辺は人気高いんですかねぇ…?(何)
そして例によって例の如く、PC様によっては入手アイテムなぞつけてみました(笑)
GETした人とGETしてない人がいるのは…単に私の趣味です(ぅをい)
場所ごとにNPC達の裏事情を散りばめて見ましたが…どうでしょう?わかっていただけましたか?(笑)
実は鬼斬の裏事情が一番多いのですが、それは単に彼の裏設定が一番多く決まっていたからに他なりません(ぇえ)
裏事情を垣間見て、NPC達に更に馴染んでいただければなぁ、と考えております。
全体的に色々と謎を残す不思議な展開・奇妙な終わり方を目指しておりますので、その謎について色々と考えてくだされば嬉しいです。
なにはともあれ、どうぞ、これからもNPC達のことをよろしくお願い致します(ぺこり)

【すばる様】
ご参加どうも有難う御座いました。
個別では、鎖々螺からちょっとした情報提供を。
鎖々螺は意外と自分にとって利益にならないような情報にはまったく頓着しないので、結構さらっとヒミツの情報もばらしたりします。
ただし、鎖々螺の話もあくまで聞いただけの情報が多いので、正確さは100%とは限りません。
また、すばる様の目的などについては全く気づいていないのでご安心下さい。単なる石や会長に興味を持った生徒の一人、ぐらいにしか思っていない様子ですので。
本当はドジも入れようかなぁと思ったのですが、流石に真面目っぽい話なのにドジはあれかな…と思いましたので(汗)
喋り方など全体的に、こんな感じでよろしかったでしょうか?ちょっと自信ないです…(爆)

色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、またお会いできることを願って。