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――プロローグ
沖合・衿子が殺されたのは午前0時前後のことだという。
依頼人沖合・衿子の母親、千江美はそう語った。
警察の捜査報告がなく、調べてほしいという依頼だった。
衿子は生前、兄である雅也と折り合いが悪かったとのことで、実子である彼のことも視野に置いて捜査してくれと言っている。
衿子は三ヶ月ほど前からストーカーに悩まされており、警察にも相談したのだが、結局犯人は挙がらなかった。ストーカー犯は送りつけてくる手紙にも、指紋一つつけていなかったそうだ。
そして、彼女の大量の血の痕から手を精一杯伸ばした場所に、「+」とも「×」とも見える文字が発見されている。
草間・武彦は彼女の勤める会社である牧野精製へ出向き、彼女の評判を訊ねて回った。
営業でトップを誇る成績の彼女の評判は、女子社員からも「最低」と言われ同じ営業の男子社員からも「ありえない」と言われていた。彼女が取引きをしていた会社は、横浜食品、並木株式会社、アシタフードヘルスケアの三社だった。因みに、課長との折り合いも悪かったらしい。
しかしただ一人、彼女の肩を持つ意見も聞けた。
市瀬・孝子という女子社員は生前の衿子と仲がよかったのだそうだ。
「女だからって男の営業部員にはバカにされるし、女の子からは営業って花形だから妬まれるし。彼女、すっごくがんばってたのに。皆ひどすぎるわ」
そう聞いてから、他の社員に「嫌う理由」を尋ねたところ、「お高くとまってる」「偉そう」「数字にこだわってる」などと、たしかに妬みととれる意見も多かった。
さて……ダイイングメッセージも考慮して、草間は犯人を突き止めなければならない。
まず兄の雅也、牧野精製の社員、その課長、横浜食品などの取引先会社の担当、そして一応市瀬・孝子も洗わなければならないだろう。これは骨が折れそうだ……。
そこで、いつものように手伝いを要請することにした。
――エピソード1
その時の衿子の言葉に、私は一瞬凍りついた。彼女は自分の部屋へ入って、私を指差しドアへ向けて言った。
「出て行って」
あまりの仕打ちに取り付く島を見出そうと、私は口を開いた。けれど、うまく言葉が出てこなかった。私はなんと言えばよいのだろう。この気持ちは、もう愛ではない。いや、愛ゆえの憎しみだろうか。
衿子は私から視線を背けることはしない。私は背中のズボンに挿していた包丁を取り出して、彼女に向けた。衿子の気の強そうな眉が、一瞬あがる。そして彼女の小麦色の顔がみるみると青ざめていく。
私はかすかに安堵した。私は彼女に何かを与えることのできる人間なのだ。
彼女がすうと息を吸い込んだそのとき、私は彼女の懐へ飛び込んで腹をずぶりと刺した。そのときの感触は、とても心地よいものだった。やわらかな肉を押す刃とぷつりと何かが切れる音が聞こえるかのようだった。私は素早く包丁を回収し、あたたかな返り血を浴びたままその部屋を出た。
非常階段を降りてマンションの駐車場まで走ったが、幸い誰ともすれ違わなかった。車に滑り込んで自分の姿をかえりみる。血だらけの手と身体に少しぞっとして、衿子は死んだのだろうかと考えた。静まりかけていた動悸が、バクバクとぶり返す。死んでいなかったらどうなるのだろう。いや、たしかに彼女はぐったりしていたし恐らく死んだだろう。
やや安堵して、車を出した。少し経つと、思い起こされるのは甘美な体験だけになった。はじめて触れた彼女の肉の感触を、何度も反芻してたしかめる。
――エピソード2
低い草間・武彦の声が響く。
「……だぁれがぁ、パーティーの用意しろなんて言ったぁ」
草間興信所はにわかに活気づいている。どこから連絡がいったのか、パーティーにわざわざ足を運んだ連中もいるようだった。
誰が一番初めに言い出したのか、
「草間興信所に初の普通の依頼だ、お祝いだ」
ということになり、現在にいたっている。
キッチンで唐揚げをあげていたシュライン・エマが汗を拭きながら事務所の中を見る。
「あら? 誰だったかしら」
「あら? じゃない! お前も唐揚げあげるのをやめなさい」
草間はぴしゃりと言った。シュラインは困ったように笑って、「じゃあ、この回が終わったら中止するわね」とキッチンへ引っ込んだ。
ソファーに座っている黒・冥月は、どこから持ってきたのか大きなケーキをガラステーブルへ出しているところだった。
「おい、冥月お前までか」
「よかったじゃないか、おめでただろう」
冥月は白いケーキを出し終えて、蝋燭をどうしようか迷いながら言った。
「こんな言い方はある意味不謹慎か」
彼女はそう言ってキッチンへ包丁と小皿を催促した。
ソファーの反対側に座っているシオン・レ・ハイがガラステーブルから顔を上げる。ジャーンと彼が広げてみせた紙には、「おどれ大捜査戦本部(昆布という文字が二重に打ち消されている)まぐれデカ純情派」と書かれていた。シオンはデンジャラス刑事のような黒いサングラスを着用だ。
そしてルンルンと興信所のドアへセロテープを持って去って行く。
シオンの隣に座っていた梅・黒龍は、顎に手を当ててなにやら考え込んでいる。
「どうした」
冥月が彼に訊くと、黒龍は眼鏡をあげて答えた。
「どうしたって。普通に考えろ、事件を」
普通はパーティーに頭は切り替わらない筈だろう。
草間が同意をしようと思ったところへ、ドアを開けてシオンと雪森・雛太が入って来た。
そして入って早々、雛太がクラッカーを鳴らす。
パーン!
「めでてえなっと!」
クラッカーは草間の頭に黄色の細い紙とチリのような紙くずを飛ばした。草間はぎゅうと拳を握りしめる。
「ひーなーたー」
「おっちゃん血圧高そうだぜぇ」
雛太はからから笑って、買ってきたパーティーグッズを掲げてみせた。
キッチンからシュラインが出てきて、慌てて雛太の元からパーティーグッズを奪い取った。
「だめよ、この人今ちょっと気が立ってるから……」
「へ? あれ、ダメだった?」
雛太はきょとんとシュラインを見上げる。シュラインは苦笑いをして、それから草間の様子を窺った。草間は握りこぶしを作って下を向いている。
地の底から唸るような声だった。
「おーまーえーらー……この」
絶妙のタイミングでドアが開き、パンとさっきと同じ音がした。
「ア・ハッピー殺人事件!」
金属製のドアの横には、相変わらず人畜無害のような顔をした黒装束姿の神宮寺・旭が立っていた。
「さて問題です。一神宮寺・旭登場、二神宮寺・旭参上、三神宮寺・旭・旭」
「……なんだか三は避けたような」
「そうね、でもどれも避けたいわね」
雛太とシュラインが目の前に現れた眼鏡の男につい洩らした。
「このままだと三番になりますよー」
旭はほくほくと笑いながら言う。
ほうっぽりっぱなしだった草間が、全員が耳を覆いたくなるような大声で怒鳴った。
「いい加減にしろ!」
恐らく全員は一瞬の耳鳴りに襲われただろう。草間はワナワナと唇を噛んでから、ホワイトボードに書きつけてある沖合・衿子の名とその写真、そして「+」と「×」の文字を指した。
「わかった奴、挙手」
冥月がちらっとホワイトボードを見てから言った。
「情報が足りない、書きかけの文字か暗号かさえわからないのだからな。そもそも、私は解読の役ではないだろう」
そこへしつこく旭が言う。
「このままでは三番になってしまいますよ」
雛太は知らされたダイイングメッセージに興味を示し、ホワイトボードに近付いた。
「おっちゃん、現物はねえのか、写真とか」
「今青島に頼んでる、そろそろ来るだろう」
外で本人の声がした。
「なんだぁ、おどれ大捜査線て」
シオンが反応してサングラスをかけてドアを開ける。
「ようこそ、捜査本部パーティーへ」
「パーティーにすんな、シオン!」
イライラと草間突っ込むと、シオンは少ししゅんとした表情でシュラインを見た。
「パーティーおしまいですか」
「えーと……、捜査本部一本ってことね」
言い難そうにシュラインは宙を眺めながら言う。シオンはそれでもめげない様子でうなずいた。
「捜査は現場百遍が基本です」
両手に資料を持っている青島・萩がシオンを振り返ってニヤリと笑う。
「いいこと言うな、おっさん」
青島・萩は現場の刑事である。今回の一件にはまるで関わりはないらしいのだが、怪奇体質の事件を一手に引き受けていることもあってか、あちらこちらに顔が利く。今回もその伝手を利用して、捜査資料を入手することができたらしい。
全く相手にされていない旭が寂しそうに
「あのー、私はどうしたら……」
「黙ってろ」
言った瞬間に雛太に粉砕された。
萩が草間の机の物をガスガス床の上に落としながら、大量の捜査資料を机の上に置いた。それから彼は言った。
「警察はこの資料で解決しちゃいないんだ、つまり現場の状況以外の、任意の事情聴取の内容はあてにならない可能性があるってことだな。俺達が捜査するっていうのなら、最初から先入観なしで、被害者の関係者を当たるのが一番だと思うぜ」
慌ててゴミ袋を持ってきたシュラインが机の回りのゴミを片付ける。
「所詮警察か」
冥月が投げ捨てるように言った。
「そう言うなよ、鋭意捜査中だ」
「じゃあお前等が尽くすべき市民の為に捜査報告をしてみせろ、今すぐ」
萩は困ったように頭をかいた。
「だから……」
草間が萩の台詞を遮って言った。
「何をイライラしてるんだ」
冥月は一瞬草間から目を逸らして、すぐに肩をすくめて言った。
「折り合いが悪いぐらいで実の息子を疑うか? 嫌なご時世になったもんだ」
全員がホワイトボードに注目する。確かに、息子の沖合・雅也も容疑者に上がっていた。なんともいえない空気の中、考え込むように腕を組んでいたシュラインが決定的なことを言う。
「依頼者の千江美さんだって怪しいわね、「+」に「ノ」を足せば、「千」だもの」
「市瀬も解体すれば一ノ瀬になる。「一」と「ノ」が被った可能性だ」
黒龍が静かに言った。
そこへずっと静かだった旭が眉間に人差し指をあてながら、発言する。
「被害者の気分になってください」
「……どういうことだ」
雛太が聞き返す。旭はゆっくりと確かめるように言った。
「今まさに死のうとしているとき、どうやってダイイングメッセージを残すか。考えている暇はありません。まさに、死のうとしているときですからね」
シオンが驚きの声を上げた。
「旭さん、コロンボさんみたいです」
「うちのかみさんがね」
「似てねえよ」
つい調子に乗って物真似をしたところを、雛太に頭をするどく突っ込まれた。
萩はそのやり取りを呆れるように見ながら、草間に向かって言った。
「警察の捜査的に言わせてもらえれば、ダイイングメッセージなんてものに惑わされてちゃダメだってことだ。そんなもの犯人が捕まれば解ける謎だろ? まず犯人ありきさ。犯人を捕まえる為には、現場百遍、怨恨知人調査上等ってところだな」
「聞いたとおりだ、全員調査に向かってもらう」
草間は鼻息荒く言った。その場にいた全員が、うなずいた。
今のホワイトボードには、
『市瀬・孝子 沖合・雅也 沖合・千江美 ストーカー(?)』
そうある。市瀬・孝子含む牧野精製の調査に全員が向かうことになった。会社にはストーカーもいる可能性がある。慎重に捜査をしなくてはならない。
牧野精製はさほど大きな規模の会社ではなかった。池袋の東口から明治通り沿いに十分ほど歩いた場所にある、十二階建ての建物の三階と四階に事務所を置いていた。本部はサンシャイン六十にあるらしいが、沖合・衿子が働いていたのはこちらの職場だった。
入り口に設置してある内線で問い合わせると、広報部がやって来たので青島・萩の特権を利用して全員社内を歩けるようエントランスカードをもらった。まず市瀬・孝子の話しを聞こうということになったが、いくら刑事でも八人一塊で行動していたら目立つので、同じフロアーにある営業と流通企画部、総務の三つの部署に話しを聞きに行くよう人を分けた。
青島・萩と黒・冥月、雪森・雛太は営業部のブースに入った。総務や流通企画とは低い背の棚が分けている。その棚の上から萩が近くに座ってパソコンを打っている男に声をかけた。
「警察だけど、ちょっと沖合さんの件いいかな」
「……え? 俺ですか、ちょっと忙しいんで、えーと五十嵐さん」
その男は顔を上げたあとすぐに後ろを振り返り、ファイルを持って歩いている女性社員を呼んだ。
「はい?」
「ちょっとさ、刑事さんに話してくれない、俺もう行かなくちゃ」
「はあ……」
男は頭を五分がりにしているちょっと男くさい匂いのするタイプだった。
彼は背凭れにかけてある背広を持ち、鞄の中にいくつもクリアファイルを押し込んで、ドタバタと出て行った。
「あの、刑事さん、よろしければ来客ブースの方へ」
「ああ、はいはい」
営業部の出入り口付近にある、衝立で囲まれたスペースへ入り話しがはじまった。
「あの男性社員の方は?」
萩が慣れた調子で質問すると、五十嵐と呼ばれている女性社員はなんの疑問も持たずに答えた。
「江頭さんです。今は、営業のトップですね。沖合さんのお仕事を引き継いだのはほとんど彼だそうですよ」
雛太が眉をあげる。
「あんまり詳しくねえの?」
「え? はあ、私は沖合さんの代わりに配属されたばかりなものですから、よくわからないんです」
「それは大変ですね、江頭さんはずっと沖合さんの下の成績だったわけですか」
「そう聞いていますけど。私元は総務にいたんです、ちょっとわかりません」
五十嵐は薄く化粧の乗った顔を困惑させて、おずおずと訊いてた。
「私じゃ役不足ですよね、他の誰か呼んできましょうか」
「いや、君は沖合さんは知ってるのかな」
萩は困り顔で聞き返した。さすがに対応も慣れている。
「少しなら、そりゃあ有名人でしたし、うちの会社は朝礼もありますから知ってますけど」
「有名人ですか、それはまた、どうして?」
「声も大きいし、指示も厳しいし、トップでしたし」
江頭はだんだん尻すぼみになりながら言った。そして、誰か呼んできますと言って立ち上がった。
「どう思う」
短く冥月が訊く。萩がわからないなと首を斜めにすると、雛太は言った。
「五十嵐って奴、怪しいんじゃないか」
「たしかにな」
少しすると、江頭が頭を七三に分けた神経質そうな男を連れて入ってきた。
「刑事さんにはもう言うことなんてないんですが」
男は名刺を出したので、萩も懐から名刺を一枚取り出した。男の名前は和田・春樹といい、営業部一課の課長である。
「すいません、度々」
「そりゃあ警察に協力するのは市民の義務ですからな」
和田・春樹課長を見て萩は大きくうなずいてみせた。手帳を開いたまま、早速問いに入る。
「沖合さんはどういった仕事振りでしたか」
「大変結構な仕事振りでしたよ、ただ付き合いは悪かったようですが」
「付き合い?」
「ええ、社内の飲み会なんかには参加しませんでしたからな」
萩がふんふんとうなずきながら慎重に訊く。
「課長さんとはあまり折り合いがよくなかったとか……」
その質問にも慣れてしまったのか、課長は難色を示さず、ええ、ええ、とうなずいて答えた。
「沖合君のお兄さんがライバル会社に勤めていましてね。契約が持っていかれたことがあったんですよ、それは沖合君が情報をリークさせていたんじゃないかと疑ったのが最初でした。ですが、沖合君の取ろうとしていた契約が横取りされたこともありましたから、さすがに容疑は晴れたというわけですが」
「ははあ、お兄さんが」
萩が質問を替えた。
「五十嵐さんという社員さんは、どういう方です?」
「大雑把ですが、いい奴ですよ。女癖が悪いと噂では聞きますが」
和田・春樹課長の噂好きはすさまじく、愚痴とも井戸端会議とも思える話しをこの後延々聞かされることになる。
神宮寺・旭とシオン・レ・ハイは総務に来ている。二人とも身長がやけに高い上、高級スーツを着たジゴロ系に見えるシオンと、神父の黒装束の旭では目立ちすぎていた。声をかける前から、女子社員にヒソヒソと陰口を叩かれている。
旭はコホンと咳払いをして、女子社員に話しかけた。
「もしもし」
「亀よ、亀さんよー」
シオンが旭の言葉を継いで唄い出す。ついつい旭も
「世界のうちでーまゆみほどー」
「まゆみの呪い恐ろしい」
「どうしてそんなに呪うのか」
ついつい二人して唄ってしまい、唄い終わってから思いっきり引いている女子社員に二人は照れ笑いを浮かべた。
それからシオンはサングラスを華麗に外して、眉をきりりと凛々しくあげた。
「お姉さん、お話よろしいですか」
本人は渋く決めているつもりなのだが、普段がまったく渋くないので口調は軽くまるで渋さは感じられなかった。が、女子社員にとっては二人から聞くようやくまともな台詞ではあっただろう。
「ど、どちらさまですか」
髪をアップにまとめている女子社員がおずおずと訊ねる。
旭はブラインドの開いている窓の方向を見つめて、明後日を見ながら答えた。
「愛を追い求める永遠の狩人です」
「ハエを追い詰める減塩のマイルドです」
シオンも同じように答えた。
女子社員がクラリと頭を押さえたのを見て、シオンが慌てて女子社員に駆け寄る。
「大丈夫ですか!」
「雛太さんもいないのにボケ倒すと誰も止めませんね」
旭は確信犯的に微笑んだ。
ともかく女子社員は机に手をついて、二人を見上げている。旭達は一応ボケる為に来たわけではないので、話しを聞かなくてはならない。
「実はお話しを……」
「沖合さんのですか」
シオンが目を丸くしてびっくりする。
「エスパーなんですね、あなた!」
「ワイパーは便利ですね」
すう、と旭が胸ポケットからスプーンを取り出して女子社員に託した。託された女子社員は呆然とスプーンを持っている。すると、シオンが遠隔から念を送ってスプーン曲げに挑戦しだした。面白いので、旭もふん、と念を送り出す。
絵面的に、女子社員を取り囲んだ大の男が変なポーズを取って両手を女子社員へ向け、「ううーん」と唸っているシュールな現象が起きていた。もちろんスプーンは曲がらないし、そうなれば二人はやめないし、女子社員は途方に暮れていて困りきっている。
「……あの、仕事がありますから」
やっとのことでそう言った彼女は、旭にスプーンをつき返した。
「沖合さんの件を!」
「どちらさまですか!」
女子社員はうんざりと言った顔で二人の顔を交互に見た。
「私達はまぐろ刑事です」
旭が言うと、シオンが慌てて訂正する。
「まぐれ刑事です」
「……」
女子社員の白い額にピクピクと血管が浮き出たのを見て、旭が慌てて方向転換をした。
「いえ、探偵です」
「タンテイさん、ですか」
「沖合さんの件で動いておりまして」
すっとシオンが懐から白い紙を取り出す。名刺は名刺なのだが、即席で作った手作り名刺で、きちんと「おどれ捜査線……云々」の肩書きが書いてあった。
旭はそれが女子社員の手に渡る前にシオンから引っ掴み、ぐしゃりと手の中で潰してしまった。
「総務での沖合さんの評判の方は」
「……それ刑事さんも聞いていきましたけど、死んだ人を悪く言うのって嫌ですけど、仕事はともかく厳しかったですよ。こちらで処理し切れていないで次の契約が遅くなったりしたら、怒ることはしませんでしたけど、じっと睨んでくるような人でしたから」
シオンはがびんと旭を見ている。旭はニコニコと笑顔で女子社員の話しを聞いていた。
「ははぁ、そうですか」
「別に特に何かあったってわけじゃないですから。あの――市瀬さんが仲良かったみたいだから、彼女に聞いてみたらどうですか」
「そうします」
笑顔で女子社員が仕事に戻るのを見送って、旭は再びスプーンを取り出した。シオンがじぃと見ているのを確認して、すうと手を当てぐにゃりと曲げてみせる。
「おお、旭さんすごいです」
「ふふふ、実は私ハイパーなんです」
なにがハイパー? エスパーから関連するボケと認識できずに、シオンはきょとんと旭を見つめていた。
市瀬・孝子を近くの公園へ連れて行って、シュライン・エマと梅・黒龍と草間・武彦は彼女をベンチに座らせた。草間が飲み物を買ってくるからと言うと、彼女は困った笑顔で紅茶を頼んだ。 その間にシュラインは孝子の隣に座り、話しを聞くことにする。
孝子は小さな女性だった。シュラインと頭一つ違うのだから、かなり小さな背丈だ。髪を後ろでみつあみに結っている。彼女は眼鏡をかけていて、そばかすの残るかわいらしい印象の女性だった。
「衿子のこと……ですよね」
彼女がそう言ったので、シュラインは「ええ」と微笑んでみせた。孝子は少し思いつめた表情で、シュラインと黒龍を交互に見た。
「なんで解決しないのかな、悔しいな」
彼女はそう言って下を向いた。
「直に解決するわ」
シュラインがまた笑ってみせる。その笑顔をちらりと見て、孝子は弱々しい笑顔を作った。
「お察しの通り、衿子は会社じゃうまくやってなかったわ。私以外とあまり話さなかったようだし。でも社交性がないわけじゃなかったし、営業ではトップだったもの。みんながひがんでたのよ、彼女は優秀だったから」
「そうらしいわね」
「ホントはすごくお茶目な子だった。誰にでもあだ名をつけるのが好きで、会社の人には興味がなかったみたいだからやらなかったけど、取引先の人とか? 仲良くなるとあだ名をつけて、担当さんとかとはとても仲良しだったみたい。時々飲みに誘われたんだけど、私は総務だし、社交性がある方でもなかったから、一度も一緒に行かなかったんです」
彼女はしゃべりながら情報を整理しているようだった。思い出に襲われて、泣き出してしまうのではないかと思えた。
「あなたはなんて呼ばれてたの」
「私は、イッチーとかかな」
そこへ草間が戻ってきて、下を向いている孝子にアップルティのパックを渡した。シュラインにはリンゴジュース自分にはコーヒー、黒龍にはカルピスを買ってきていた。全員に渡すと、話しが再開される。
「ストーカーのこと、聞いてない?」
「言ってました。でも変な子ね、怖いとは言ってなかった。卑怯とか、言ってたかな」
「卑怯?」
「逃げ回って隠れてばっかりいて、全然男らしくないって」
ストーカーの被害に遭っていて、そうはなかなか言えないだろう。もしこれが本当ならば、衿子という女性は相当気丈な性質だっただろうと思える。シュラインは卑怯と心の中でつぶやいて、不思議な感覚に襲われた。やはり、ストーカーを卑怯だと感じる気持ちはちょっとわからない。
「君はどう思う、衿子さんのことを」
黒龍が突然訊くと、孝子は自分よりずっと年下の彼をじっと凝視した。ゆっくり視線を外して、ゆらゆらとシュラインと草間を見てから、膝に置いた自分の手に目線を落とす。
「友達だから、大切だったわ。自分にない部分ばかりを見て、そりゃあ悔しくも思ったけど、あの子いい子だったもの。一生懸命で前しか見てないところが危なっかしくて、そんなところが好かれて営業でだって成績が残せたんだと思うわ」
孝子の言うとおりの衿子だったとしたら、猪突猛進で自分の評価を省みることができない、真っ直ぐな女性のような気がする。
孝子の言うとおりなら、と仮定し続けるのに少し疲れてくる。人を疑ってかかるのは、やはりあまり向いていないとシュラインは感じていた。きっと孝子の言うとおりなのだろうと思う、気持ちのベクトルをコントロールするのが大変だった。
シュラインはリンゴジュースのパックにストローを挿した。それを見て、孝子も気付いたようにストローを取り外す。
「あなたは平気? もう大丈夫?」
シュラインが訊くと、孝子が驚いた顔を上げる。
「私? 私は……ずいぶん整理できたかもしれない。薄情だけど、私も明日があるから」
「衿子さんの家に行ったことはある?」
「ええ。何度か泊めてもらったことがあるわ」
「犯人に心当たりはないかしら」
孝子は首を横に振った。
全員が調査を終えて会社を出た後、それぞれが散って行った。シュラインと黒龍は孝子の身辺調査の記録を見に興信所へ戻り、萩と冥月と雛太は取引先の横浜食品と衿子の兄である雅也を調べに。草間を含めた旭とシオンが並木株式会社とアシタヘルスフードを調べることになった。
調査資料を見ながらシュラインは独り言のようにつぶやく。
「本人が書いたのは確かなのよね」
「そう書いてあるな、警察の調べによれば」
黒龍は資料をパラパラとめくりながらシュラインへ答えた。それから少し苦い顔をする。
「市瀬・孝子は警察にもかなり疑われてたようだな。犯行時のアリバイはないが、ストーカーとは別人だったらしい。アリバイの成立かな」
「ストーカーと本件は別件かしら」
「ストーカーがあがっているならまだしも、あがっていない状態じゃその線は薄いな」
シュラインはダイイングメッセージの写真を睨みながら考える。
「書き順は横線縦線だったようね。どちらも書いたということは、やっぱり書き途中かしら」
「犯人が帰ってきて消すことがないように暗号にしたということは?」
黒龍の言葉にシュラインは少し笑った。
「旭さんじゃないけど、死に際のことですもの。まさか、そんなことはないと思うわ。自分に置き換えて考えてみて……衿子さんは日本人だし、普通は名前を書き残そうとする筈でしょう。漢字で書くのも怪しいと思うのよ。平仮名か、カタカナか……」
「……そうなると、今のところやはりあがってくるのは市瀬・孝子だな」
「あら、どうして?」
「たかこの「た」の右側は、「+」だろう」
「でも彼女は苗字で呼ばれてたようだから、彼女なら「い」じゃないかしら……」
二人はそこで考え込んだ。
黒龍が不思議そうに言った。
「衿子はストーカーを知ってたんだろうか」
「え?」
「ストーカーていうのは本人の知らない奴だったりすることがあるだろ。もしそうだったら、名前はわからないし、このダイイングメッセージだってただの遺書だってことになる」
シュラインはかぶりを振った。
「ちょっと飛躍しすぎてるわ。全員の名前が出て、尚まったくダイイングメッセージに当てはまらなかった場合考えればいいことよ」
「まあ、たしかにな」
草間・武彦は疲労している。アシタヘルスフードでまともに話しが聞けなかったのは、主に神宮寺・旭とシオン・レ・ハイのせいだと彼は痛感していた。あり得ないコンビとなぜ聞き込みをしなければならないのか……。
草間は並木株式会社の応接室でコーヒーを飲んでいた。もちろん二人も一緒だが、草間が頭を一発ずつ殴ったので、二人は一応静かになっていた。
コーヒーを運んできてくれた青年に草間は訊ねた。
「牧野精製の担当さんはどんな方ですか」
「……えっと、あの、正月谷さんという方で……いい方です」
青年は歯切れ悪く答え、右腕を抱えるようにして「失礼しました」とささやいてドアから出て行った。
正月谷は小さな男だった。彼はドアを開けてヒョコヒョコ部屋の中へ入って来ると、名刺をささっと取り出して草間に渡した。正月谷・初日と書いてある。
「衿子さんにはもっぱら「おめでたさん」って呼ばれてましたよ」
愛想良く初日が笑った。
それからコーヒーを見て、少し不思議そうな顔になってから
「ああ、シモネタの奴がやってくれたんですね」
「は? シモネタ、ですか」
「いえ、下仁田くんという社員がおりまして。沖合さんならシモネタなんて呼ぶんじゃないかな、って社員の間では気の毒にもっぱらシモネタと呼ばれてます」
初日はからから笑って、草間の渡した名刺を見ながら嬉しそうに言った。
「探偵さんの名刺とは珍しいですなあ、記念になります」
「刑事さんのは嫌というほどもらったのでは?」
「まったくです。今でも時々やってきますから……」
会社とは全く正反対の評価を聞きつつ、草間は孝子の証言が正しいであろうと考えていた。ストーカーの一件についても、同じような内容しか出て来ないのだ。初日達も心配して、飲み会の帰りは家の前まで送るようにしていたそうだ。
ふむ……やはり、ストーカーの線が怪しいか……。
草間の隣に座っていたシオンが小さな声で呟いた。
「おしょうがつダニー」
幸い初日には聞こえていなかったようなので、草間はシオンの靴を思いっきり踏んづけてやった。
アシタヘルスフードでピカチュウこと雷門・光という担当の話しを聞いた後、青島・萩と雪森・雛太、黒・冥月は衿子の兄の勤める会社に出向いた。兄の雅也は警察手帳を見せられると嫌そうな顔をして、それでも渋々応接ブースへ三人を案内した。受付嬢にコーヒーを四つ頼んで、やおら腰を下ろす。
「また衿子のことですか」
「ええ、まあ」
雅也は冷たい印象の男で、銀縁の眼鏡をかけていた。
「私も忙しい身ですので、手短にお願いします」
萩が曖昧に微笑んで、質問に入った。
「衿子さんとは折り合いがよくなかったと聞きましたが」
「母が言ったんでしょう。ただたんに仕事が同じですから、それでぶつかっていただけですよ」
「雅也さんが衿子さんの契約を横からかっさらうこともあったとか」
雅也は鼻を鳴らした。
「だから、同じ仕事なんです。業界は狭いんだから、そういうことだってあります」
運ばれてきたコーヒーは少し冷めていた。
「仮にも身内が死んでんだろ、そんな言い方ねえだろうよ」
雛太がボソリと言うと、雅也は雛太を睨みつけてからイライラとテーブルに指を打ちつけた。
「衿子が死んでからずっとだ、ずっとですよ。同じ質問、同じ疑惑、俺の時間ばっかり食いやがって。悲しむ暇もくれやしませんでしたよ、警察はね」
コーヒーには口をつけず、大した情報も落とさず雅也は怒って帰ってしまった。
雛太は確信を得たように言った。
「犯人は、あいつだ」
「なぜだ」
冥月が問い返す。
「ダイイングメッセージは「メ」すなわちメガネってことさ」
「……おいおい、兄ちゃんなんだから、なんでメガネって書くの」
萩が問うと、雛太はうっと押し黙った。それから少し考えて、ぬるいコーヒーを口に運ぶ。
「ストーカーだろ? ストーカーって名前知らない奴だったりするじゃん」
「だから、メガネか」
「そう」
冥月は一つ大きな溜め息をついて、困った顔をしてみせた。
「ただそれほど希薄な関係では、怨恨調査では浮かび上がってこないだろうな」
萩は目を瞬かせる。
「それだ、だから警察はまだ解決できていないに違いない」
ストーカーは顔のない誰か、なのかもしれない。
草間・武彦と青島・萩、黒・冥月は現場に集まった。マンションのあちこちに残るチョークの痕を見て回り、部屋の中にも入れてもらったが、部屋の中は整然と片付いていた。
青島・萩がしばらくマンションの外でストーカーが来ないかどうか張ってみると言い出したので、三人はそれに従うことにした。
容疑者の名前リストをみながら、雪森・雛太は腕組をして考えている。
「名前、面白いぐらいに名前じゃないのか? 「+」がつく名前なんかないじゃん」
「やはり名前じゃないのか」
黒龍がつぶやく。雛太も同じように「メガネはいい線だったな」と言った。
シオンがホワイトボードに線を引っぱっていき、アミダクジをはじめたのを眺めていると、いつの間にか付け加えられていた草間・武彦が当たりを引いていた。
「草間さんが犯人デース」
「お前少し黙ってろ」
スコーンと雛太がシオンの頭に一撃を食らわせた。その瞬間にシオンは閃いて
「ああ、「+」はギリシャ文字でデカです。きっと刑事さんが犯人!」
雛太がポキポキと指の関節を鳴らし、シオンのコメカミにぐりぐりと拳の先を当ててグイグイ押した。
「ぎゃぁぁぁぁ」
「言ってんだろ、死に際で、簡潔なメッセージだって」
シュラインが検死結果を見ながらぼんやりと言う。
「犯人も怪我はしてるのよね、どこか引っ掻かれたみたいだから」
雛太は頭をガリガリかいた。
「意外と簡単に星はあがるかもしれませんよ、ストーカーの性質を青島さんはよくご存知ですからね。きっと今頃……」
全員が旭を見ている。旭はなにやら照れ笑いをして、ジャイアント馬場の物真似をした。
マンションの前の木の陰に隠れて三時間後。もう時刻は十時を回っていた。そこへ現れたのは、シモネタこと下仁田という男だった。彼はじいとマンション二階の衿子の部屋を見つめていた。
「犯人か?」
萩が訝しげに訊く。
草間は驚いた顔のまま、静止していた。
「衿子さんとは関係のない人物だからまだ捜査の手が届いていない、下仁田……彼の名前も衿子さんは知らない、しかも彼は並木株式会社の社員だ」
「……どういうことだ」
冥月が聞き返す。その間に、下仁田はきびすを返して帰っていく。
「並木株式会社の社員としか、衿子さんは知らなかったんだ。並木の「な」の右側が「×」だ」
そうしている間に下仁田はもういなくなってしまった。車の発進音が聞こえる。萩が慌てた様子で草間を見た。草間は冥月を見た。
「奴が家についた頃、お前あいつの影から部屋へ入ってくれ」
「……それで?」
「簡単だ、凶器か証拠を見つけるのさ」
三人は興信所へ向かって歩き出していた。
ほぼ犯人は確定している。
興信所へ着く頃、冥月は影の中へ消えた。
「おかえりなさい、おつかれさま」
シュラインが二人を迎え入れたとき、冥月から携帯電話が鳴った。
「どうだった?」
「どうもこうもない。奴は真っ黒だ」
冥月が吐き捨てるように言ったので、草間は彼女に指示をした。
「ドアを開けてそいつを見張っててくれ。警察に連絡して、俺達もそっちへ行く」
携帯電話を切ると、全員が草間に注目していた。草間はツカツカとホワイトボードへ近寄って、大きく「な」と書いた。
「並木株式会社の社員が犯人、それだけの謎だった。おつかれさん」
「やっぱり知らなかったのね、ストーカーの名前を」
「ああ」
彼女は知らない男に殺された。営業先でお茶を出してくれるだけの人間に、殺されたのだ。
――エピローグ
「俺達が出張らなくても、こういう山は調査が進んで行けば解決するもんだけどな」
青島・萩が言う。またもや興信所はパーティー会場と化していた。
キッチンではシュラインが骨付き肉をあげていた。
前回怒っていた草間も、まんざらではない顔で切り分けられたケーキを食べている。青島・萩と黒・冥月が似たようなケーキを一つずつ持ってきたものだから、ケーキ食べ放題状態だった。
そこへ汗を滲ませたシュラインが肉を大皿に盛ってやってきた。全員が諸手をあげて喜んで、レタスの添えられた熱々の肉に手を伸ばす。
シオンは雛太の買ってきたパーティーグッツの鼻眼鏡をかけていたので、視界が悪く、肉も思うように取れない様子だった。
「まあ、スピード解決だ」
冥月も満足気に言った。
「あの部屋はすごかったなあ」
雛太が思い起こして、肩をすくめた。
部屋の壁という壁に衿子の貼られた部屋は、一種異様な空間だった。そして大事に衿子の血のついた包丁は机の一番上の引き出しにタオルにくるまれて取っておかれていた。
黒龍は油にまみれた手をウェットティッシュで拭きながら
「それにしても最初の読みが当たるとはな」
言って眼鏡をあげた。
旭が懐からマヨネーズと取り出して肉へかけようとしたところ、立っていたシュラインがパコーンと彼の頭を引っぱたいた。
「小皿にとってから自分のだけにかけなさい」
「はい」
草間はなんともいえないほど上機嫌で、皆がわいわい食べているのを見守っている。
普通の依頼だってスピード解決できるわけだから、やはり自分は無能ではないと信じて疑わない。
が、トッピングの茹でタマゴが半熟なのを見つけて草間は大声をあげた。
「なんだそのタマゴは!」
興信所はいつも通りである。
――end
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086/シュライン・エマ/女性/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【1570/青島・萩(あおしま・しゅう)/男性/29/刑事(主に怪奇・霊・不思議事件担当)】
【2254/雪森・雛太(ゆきもり・ひなた)/男性/23/大学生】
【2778/黒・冥月(ヘイ・ミンユェ)/女性/20/元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】
【3356/シオン・レ・ハイ/男性/46/びんぼーにん 今日も元気?】
【3383/神宮寺・旭(じんぐうじ・あさひ)/男性/27/悪魔祓い師】
【3506/梅・黒龍(めい・へいろん)/男性/15/ひねくれた中学生】
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■ ライター通信 ■
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ライターの文ふやかです。
少しでもお気に召していただければ、幸いです。
推理もののくせにオチがあれかよ! と思われたらすいません。にも関わらず推理ものはこれからも書いていきたいと思います。もっと全員が推理をしているようなシーンを書きたかったです。プレイング軽視がありましたことをここでお詫びいたします。
では、次にお会いできることを願っております。
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文ふやか
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