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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


楽しい学園祭〜心霊写真コンテスト〜
「あ。カスミちゃんだー」
「あら、栄神さん」
「カスミちゃん、おつかれさまー」
 意味が分かって言っているのかどうか分からない労いの言葉を受けて、それでも嬉しかったかカスミがにっこりと笑う。
「でもカスミちゃんはちょっとねえ…」
 その後で、こっそり呟いてみたり。
「ねえねえ、カスミちゃんはなんでしんれーしゃしんキライなの?」
「っ、い、いやそれはね、あの、ほら、ぷ――プラズマだからよ!」
「ぷらずま?」
 真っ直ぐに聞き返され、カスミがどう説明していいのか分からないらしく、更に慌てて、
「プラズマって言うのはね、光なの。ほら、光って見えるでしょ?光の線とか、顔のように偶然見えるモノとかっ」
「へー、ぷらずまって顔になるんだ。おもしろーい」
 千影は千影で、分かる部分だけを拾い集めて文章を繋げるため、結果的にカスミの主張とずれてしまう。いやいやいや、と本気で首を振ったカスミが、
「だからね、ああいうのは在り得ないものなのよ、そうでしょう?」
「ありえないもの?…ありえないものって、何が?」
 はてな?と大きく首を傾げる千影。カスミがまだ慌てた口調のままで、
「こ、怖い話とか、幽霊だとか、そう言ったものよ」
 想像するのも怖いらしく、言うたびに眉がきゅっと寄せられる。
「えー?ゆーれーさん、いるよ?でもね、チカ嫌われちゃってるの」
「え…嫌われ?」
「うん。チカのこと怖がってね、にげちゃうの。だから、おともだちになってくれないの…」
 しゅーん、と俯いてしまった千影。
「そ、そんな、なんて羨まし…じゃなくて。――あのね、栄神さん。そういう怖いひとじゃなくて、ほら、たーくさん生きている人がいるじゃない。そう言う人とお友達になればいいのよ。ねっ?」
「…お友達、なってくれるかな?」
「なるわよ。先生が保障してあげる。あ、でもちゃんと相手の事を思いやってね?そうじゃないと、いくらお友達でも怒っちゃうでしょ?」
 何だか、小さな子供を前にした大人のような反応…なのだが、その不自然さには2人共気付いては居ない。
「うんっ。チカ、ゆーれーさんでも怖がらないでおともだちになってあげる。あっ、じゃあ、ねえねえ、カスミちゃんもおともだち?」
「幽霊はいいから…え?私?」
 ちょっと意外だったのだろう。その言葉を聞いたカスミがちょっとだけ考え、それからにっこりと笑いかけて、
「そうね、じゃあ先生のお友達になってもらおうかしら。あ、でも…怖い話は無しよ?」
「はーい♪」
 ゆびきりげんまーん、と楽しそうにはしゃぐ千影に、写真の選定で精神的に激しい疲労を負っていたカスミは何故だか癒されて行くのを感じていた。
「ねーカスミちゃん、あたしししゃも食べたいー。お魚を焼いてるお店、あるかなぁ」
「ししゃも?ししゃもねえ…ちょっと、一緒に探してみましょうか」
「うんっ、探すー♪」
 しっかと手を繋ぎ、楽しそうにはしゃぎながら出店を回る2人。教師と生徒…見た目はそうなのだが、イメージが小さな子とダブるのか、その2人を見た者は一様に穏やかな目になっていた。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】

【3689/千影・ー        /女性/1-B】

NPC
響カスミ

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■         ライター通信          ■
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お待たせしました。「楽しい学園祭」個別ノベルをお届けします。
真相に繋がるもの…この話でほぼ見えたのではないかと思います。思うところは各自あるのでしょうが、楽しい筈の学園祭にもこうした陰の部分はある訳で、その辺りを見ていただければと思いながら作成しました。
狙い済ましたようなチームワークが組めるパーティになりましたので(笑)あのようにタッグを組ませていただきました。楽しんでいただければ幸いです。

尚、今回はあえて月神詠子本人には登場願っていません。話題に出たり写真に載っていたり、――で出たりしている位です。最後のは曲者ですが、お分かりになったでしょうか。

それでは、またのお話で会えることを願って。
間垣久実