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<飲茶店 文月楼 綾和泉汐耶編>
「まさか、ここに来てこういう格好する事になるとは思わなかったわね。」
自らが身に包んでいる鮮やかな紫色のチャイナドレスを見つめて、そんな事を汐耶は呟く。
「でも紗霧ちゃんがこういう生活を何の気兼ねなく楽しめるなら、これはこれで良いのかしら。」
そう汐耶は自分を納得させると隆美達のいるカウンターの方に歩き出す。
歩き出したところで後ろから上がった悲鳴のような声に慌てて振り返る。
悲鳴の先には紗霧がガラの悪い男に絡まれている姿が目に入る。
「は、離してください!!」
「そんな事いわずにさぁ、少し僕達に付き合ってよ。
こんなお店やってないでさ、楽しい思いさせてあげるからさぁ。」
何年前の台詞だろうか?
いかにもお約束といったようなナンパ台詞を吐く男から誘いを受けている紗霧の様子を見てつかつかと汐耶は近寄っていく。
………
…………
……………パァン!!
ものすごく威勢の音がして、紗霧の腕を掴んで離さない男の横顔を汐耶は思いっきりひっぱたいた。
「な、何するんだ、このアマァ!」
紗霧の手を突き飛ばすようにいきりたって立ち上がる男を汐耶は冷ややかな瞳で見つめる。
その明らかに今まで経験してきたものの違いの『差』から来るモノに男は一瞬怯えた様な色を瞳に浮かべたが、すぐに虚勢を張りなおし汐耶に言い返す。
「お、覚えてやがれ、今度会った時がてめーの最後だ。」
去り際までお約束な台詞を吐き捨てて男は逃げる様に去って行った。
「大丈夫?紗霧ちゃん。」
「え、ええ、ありがとうございます。助けてくれてありがとうございました……。」
「良いのよ、気にしないで、私もああいう輩はあまり好きじゃないから。」
突き飛ばされて倒れた紗霧を助け起こしながら汐耶は安心させるように声をかける。
「大丈夫ね、それじゃ仕事に戻りましょうか」
そういって汐耶は紗霧と共に作業に戻っていった。
Fin
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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≪PC≫
■ 綾和泉・汐耶
整理番号:1449 性別:女 年齢:23
職業:都立図書館司書
≪NPC≫
■ 佐伯・紗霧
職業:高校生兼古本屋
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■ ライター通信 ■
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どうもこんにちわ、ライターの藤杜錬です。
いつも依頼にご参加いただきありがとうございます。
今回の汐耶さんはどちらかと云うと紗霧の保護者的に描いてみましたけど、どうだったでしょうか?
汐耶さん達の様な人達がいるから、徐々に紗霧が今の生活に溶け込めて行ってる様な気がしてライター冥利に尽きるのでうれしい限りです。
今回の依頼が汐耶さんにとって楽しめるものであることを祈ります。
ありがとうございました。
2004.10.3
Written by Ren Fujimori
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