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<幻影学園奇譚・ダブルノベル>


科学部の危険な喫茶店

 学園祭一日目が終わった。
 後片付けを終えて月神と草間はビーカーコーヒーを飲んでいる所だった。
 準備室のドアを開ける音と供にササキビ クミノが入ってきた。
「あれ? どうしたの?」
 一度帰ったと思っていたクミノが戻ってきた事を不思議に思い、月神は声をかける。
「どうしたの、じゃないです。私は白衣をあらっていたんですよ。綺麗になって乾いたから明日用にまた準備室に届けにきたんです」
 たんたんと冷静沈着にクミノは答えた。
「あ、有難う。大変だったな」
 それに草間が答える。
 二人は机に向かってなにやらメモをとりながら相談事をしているようだ。
「草間さんと月神さんは、何してるんですか?」
「う〜ん、なんかこうね、メニューを新しく考えているんだ」
 それを聞いてクミノは納得する。
 今日の客は二人だった。来てもメニューを見ただけで逃げ出した客も少なくない。
「そういえば、クミノさんって喫茶店持ってるんだよね。なんかいい案ないかな」
 ペンを持ってメモる準備をしながら月神はクミノに聞いた。
「う〜ん、そうですね……」
 クミノは人差し指をあごにあてて、天井を見つめた。
「変わってて面白いものならありますよ」
 それを聞いて月神は破顔する。
「どんなの?」
「そう、たとえば……」

 と、その瞬間、彼女の手には機関銃が握られていた。彼女は銃器系の武器を具現化する能力を持っている。
 月神と草間は驚きで声をあげることも出来ず、固まった。
 途端、その機関銃がダダダダッと音を上げる。
 正面にいた草間にそれは命中した。
「がっあっ…うっ……」
 ちょうど胸にあたった場所を草間は押さえて蒼白になる。
「大丈夫です。連続発射水鉄砲ですから。それは水です」
「……」
「……み…ず?」
 月神は大きく目を開いていて声が出ない。かろうじて草間がそれだけを言った。
「このようにですね、連続発射水鉄砲にコーヒーを入れて、お客様の口の中に直接ぶちこむ、という水鉄砲コーヒーとかはいかがです?」
「……」
「……」
 二人は返答に窮した。
 絶対、無理。
 お客さんが逃げてしまう。
 月神はかろうじて笑顔を作ってみせた。
「えーと。それじゃ制服がよごれるから……」
「駄目ですか? なら小型の水鉄砲にしょうゆとソースを入れるとか。一回に使う分が調節できて経済的です」
 草間は頭を抱えた。
 が、月神はなぜかそれを聞いて表情を明るくした。
「それいいね! それを入れようよ、草間!」
「……俺は責任持たないからな」
「ちょっとした冗談だったんですけどね……。いいのかしら」
 科学部の喫茶店は日を追うごとに怪しくなりつつある。
          ☆END☆



登場人物                
【整理番号 / PC名 / 性別 / クラス】
1166/ササキビ クミノ/女性/ネットカフェ所持


 ライター通信
 武器を具現化できるという事で、ちょっとしたジョークを言ってもらました。
 このジョークは月神が気に入り、羽角様の個別ノベルの方で使われています。
 気になりましたらご一読ください。
  有月 加千利 拝