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<東京怪談・PCゲームノベル>


□複雑な関係? 

 宮小路皇騎は、実は……神聖都学園の非常勤講師なんぞやっている。IT関連の講師である。
 今の世の中、IT無くして何が出来ると言うほどになっている(情報戦メインではあるが)。興味がなければ無くても生きていけるわけだが、やっている人間との情報差が激しくなるのは一目瞭然だ。
 閑話休題。
 フェミニストで美形ゆえに、ミーハーな女生徒に人気があって、囲まれている皇騎。
 実のところ、一寸したきっかけで、長谷茜と付き合っている。有る事情で家出していた彼女を助けて心を支え恋仲になったのだが、茜の親は頑固(?)なので、無事に父親との説得。めでたく親公認(?)に付き合っているのだ。しかし、そんなこと公開してない、さらにはここで講師をしている事を皇騎は教えていなかった。
 事実は小説よりも奇なり。
 取り囲まれている皇騎の目の前で、長谷茜が目を丸くして立っていた。
 ――あ、教えていなかった。しまった〜忘れていた……
 ――あれ? どうして皇騎さんが? あ〜そういうことなの……
 時間にしてみれば1秒程度の高速思考。
「こんにちは」
「こんにちは、先生」
 此処は、お互い挨拶をした程度で通り抜ける。
 皇騎君汗だらだら。
 茜、少し怒りの焔を少々、中華用コンロの火力並なのでさっくり炒飯が作れます。
 何というか、青春真っ盛りである。

 天薙撫子は、神聖都にレポート作りに勤しんでいた。
 でも、心半分恋人の義明に逢うためにある。
 しかし残っている半分は実のところ神聖都にある霊的均衡の崩れた箇所の浄化にあった。所謂“仕事”である。
 でも、恋人と一緒に仕事が出来るのだから実際レポートなんてはかどってない。
 ぽけぽけ(?)な撫子さんは
「はやく、レポートとお仕事を済ませて、義明くんと……きゃ」
 と、言った感じである。

 
 そして放課後、撫子は義明と茜に待ち合わせ場所に集合し霊的均衡の崩れた危険地域浄化を行うためだ。
「こんにちは」
「こにちは、撫子」
「はい、こんにちは。茜さん、義明くん」
「さて、どうやって浄化するかだよね」
 今は、浄化が最優先でお仕事。結構簡単に片が付く訳ではないが、3人寄れば何とやらである。神クラスの力2つに“世界の加護”が居るのだから。
 しかし運が良かったのか悪いのか、皇騎もやってきた。
「あ」
 全員の時間が止まる。
 気まずい空気がその場を支配した。気まずい妖精数匹が、陰気な踊りをしてその場を更に気まずくさせている。
 皇騎と撫子は、いとこ同士が此処で対面するなぞお互い思っても見なかったのだ。
「あ、え〜っと、まず……浄化を優先に、皇騎ちゃん」
「そ、そうですね」
 とにかく気まずい雰囲気を無くすために、仕事の方を優先する事に。
 義明は苦笑する。
「あ、でも、皇騎さん」
 しかし、茜がフグになっている。
「な、何でしょうか? 茜さん」
 冷や汗をかきながら、皇騎が尋ねる。
「いまはいいの。後でいいます」
 と、拗ねてハリセンフグが言う。
「おーい、早くしないとおいていくぞー」
 既に義明と撫子は現場に向かっていた。
「わ、まって!」
 2人は追いつくために走り出す。



「かなり淀んでいますね」
 撫子が現場を霊視。
「曰く付きの土地にこういう物を建てると、寄って集って来るものだから」
 義明が言った。
「無茶はしないで下さいね」
「ああ、分かっている」
 
 一方、茜と皇騎、沈黙。
 ――あー怒っているんですかぁ?
 ――……
 以心伝心というのか雰囲気があちらと対極である。何とか茜の機嫌を直して欲しい皇騎だが……。無理もない。秘密にしていた訳でもないが相手からそう見られては。

 それでも、現場の裏山で除霊を開始する。下級霊や中級霊などは簡単に始末。この調子だと仕事は早く終わるようだ。
「! 危ない!」
 しかし義明が何かを感じ、撫子を庇った。
 その声に反応してか、皇騎も茜を庇う。
 轟音と共に負のエネルギーが辺りを不浄なる土地に変化していく。
「大丈夫ですか? 茜さん」
「う、うん……皇騎さんありがとう。……あ、2人は!」
「よ、義明くんが……」
 2人が見た義明の姿に驚く。
 彼の神格障壁を破り、急所すれすれに槍が刺さっていたのだ。
「普通の人間だったら……死んでるな」
「よ、義明くん!」
 焦る撫子。
 目の前に現れているのは、悪魔(デヴィル)5体だった。
「厄介なやつに……ごふっ」
 吐血する義明。
「よ、義明くん! 義明くん!」
「よしちゃんを! この〜」
 茜が念を込めて、“霊木”から力を引き出す。
「此処は俺が!」
 皇騎は剣を召喚し、悪魔と立ち向かう。
 5対2、危険な状況である。
「早く、俺は良いから」
「しかし、義明くん」
「何て事無い」
 無理矢理槍を抜いた義明は、苦痛の叫びを上げる。血が噴き出し、意識が朦朧になりかけるところ、一気に神格を覚醒し、槍の傷を治した。
「まったく……修行禁止にしたから鈍っていた……」
 久々だったのか、覚醒のため息が荒い義明。古傷が痛むようだ。
「義明くん」
 既に自分も神格(天位)を持っている。其れなのにと……撫子は思った。
 この状況からして……、彼はまた水晶を出してくるだろう。
「わたくしに任せて下さい」
「え?」
「茜さん! 皇騎ちゃん避けて!」
 撫子が叫ぶ。
 2人は何かとんでも無いことをするとわかり、悪魔達から離れた。
 一瞬にして、撫子の力が光となり、裏山を包み込む。
 撫子の姿は、いとことの契約時の姿に変わっていた。



 撫子の強烈な浄化効果で、悪魔は己の棲む場所に強制退去させられ、裏山の霊的均衡は元に戻った。瞬間のことだったのか、撫子には一切疲労感がなかった。
 浄化と言っても無差別に発散されるエネルギーなために皇騎が結界を貼り、茜を庇っていた。
「おわりましたね」
「撫子、君も無理しすぎ」
「でも、……義明くんはまだ……」
「先見能力は無いからなぁ。流石にあの不意打ちは痛かった」
 と、何かブツブツ言っている義明。
 さて、撫子はいとこと茜をみる。
 茜を優しく抱きしめて庇っている皇騎が見えた。
「義明くん、先に戻りましょう」
「え? あああ、うん」
 義明も2人の関係を見ていて納得したのだが……。
――撫子、茜はあの人といつからあんな仲になっているの?
――わたくしも分かりません。でも良い雰囲気ですから……
――ふむ
 笑う撫子。
 義明はまあ良いかと言う顔をして、撫子と一緒にお気に入りの場所に帰っていった。


 皇騎と茜はというと。
「ありがとう」
 と、茜が照れながら礼を言う。
「約束したじゃないですか」
「でも、ちゃんとお礼言わないと行けないし」
 にっこり微笑む茜。
「先に帰っちゃったみたいだね、2人」
「み、みたいですね」
 裏山で二人っきり。
 一寸、お互いドキドキしている。
「そうだ、穴場のカフェでゆっくりしましょう」
「うん」
 そして、2人も裏山を去っていく。
 茜と皇騎の腕を組んで歩く姿は、如何にも恋人同士で微笑ましい。
 そんな状況を楽しむ存在がいる。
 |Д゚) ←コレである
「あーそうだ」
「どうしました?」
「なぜ、神聖都の非常勤でいるの!? ビックリしたじゃない!」
「あ、それはその〜」
「じっくり教えなかった理由とか、他の子となにか約束してないでしょうね〜」
 喫茶店で、茜からかなり尋問を受ける皇騎君。
 |Д゚) うひゃひゃ
 しかし、皇騎はしっかり謝って、事なきを得た。
「家まで送りますよ」
「ありがとう」
 と、皇騎に寄り添う茜。
 もう暗いので一緒に買えることは当たり前である。
 因みに神社まではいると、色々と厄介と思われる事が多々あるので、鳥居前で送る。
 別れ際、茜は
「神聖都に来るときはちゃんと連絡入れてね」
 皇騎に言ったとたん、彼の唇に自分の唇を重ね合わせた。
 皇騎と茜の時が止まった。
 2人は抱きしめて暫く2人のぬくもりを感じている。
 |ノД゚)ノ ←かしゃっ
「またね!」
 元気よく去っていく茜。
「はい、おやすみなさい、茜さん」
 皇騎はニコリと笑い彼女を見送る。
 これからも一緒にいられると思うと嬉しかった。
 ただ、問題は……、
「カメラのシャッター音が聞こえたなぁ……気のせいであって欲しい……」
 この先に何が起こるのか……神ではなく……。
 |Д゚) ←こいつの気分次第という所にある。


End

■登場人物
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生(巫女):天位覚醒者】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】

【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家継承者)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】


■かわうそ?通信
|Д゚) さて、この瞬間写真、神聖都中にどのようにしてばらまく?
|Д゚) というか、かわうそ? かなり蔑ろ。
|Д`) 切ない
|Д゚) 考えてみたら、よっしー出番あまりなし。
|Д゚) それも切ない。