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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


 試行遊戯(前編)
 
 近頃は運転手つきで、自分で運転させてもらえない。
 そのせいも手伝ってか、久しぶりに車に乗ると今までにも増して速度はあがっている。もちろん、楽しいドライブに事故を起こしてはいけないから、ハイスピードながら安全運転。
 今日も絶好調に加速していると、目の端に何かが映った。
 気になる何かを見落とさないのは、脅威的な動体視力が成せるわざ。これも特技のひとつであるかもしれない。
 キキッと急速停止して、バックギアへ。気になるそれが貼られた地点へと戻り、まじまじと見つめる。

仕事内容:ゲームのテストプレイ(綺麗なオフィスでのお仕事です)
募集人員:若干名(男女不問・未経験者歓迎)
契約期間:一日から(時間はわりと自由です)
報酬待遇:食事つき、日当一万円(場合により増減します)
特記事項:なんか怪奇現象(?)とか起こったりするみたいです

 最後の部分に社名があり、そこには『東海堂人材派遣サービス』とある。
「ん?」
 東海堂。
 東海道ではなく、東海堂という珍しい名字にして人材派遣会社というのであれば……もしかしたら、雇い主が話していた人かもしれない。
 興味をそそられ、張り紙が示すマンション三階の一室へと向かってみた。
「こんにちは」
 声をかけながら扉を開く。
「では、私は草間さんのところにも張り紙をお願いしてみます」
「いってらっしゃーい。……あ、いらっしゃい」
 眼鏡をかけた中年の男が自分と入れ替わるように出て行き、事務所に残ったひとりがにこりと笑みを浮かべて出迎える。
「どうも。東海堂さん……東海堂いつみさんですか?」
「あ、はい……ええーと?」
 思ったとおりであるらしい。目の前の青年は東海堂。雇い主が話していた派遣会社で間違いないようだ。
「やっぱりそうですか。張り紙を見たんですけれど、まだ募集していますか?」
 にこやかに訊ねると、東海堂は驚きつつも喜んだ。
「ええ、募集中ですとも」
「では、参加希望です」
 気分転換にいいだろうと軽い気持ちで参加を表明してみると、あっさりと通った。しかも、かなり喜ばれている。小さな派遣会社で人材不足らしい話も聞いたが、どうやらまったくもってそのとおりらしい。
「では、この書類に記入をお願いします」
 渡された書類にさらさらと必要事項を記入する。それを見ていた東海堂は名前の欄を見つめ、言った。
「マリオンさんですか。うちは初めてですよね。どこでうちを?」
「外の張り紙です。でも、話には聞いていました。雇い主の人がお世話になっていると思います」
「雇い主の人……? 人を雇っていそうな知り合いは……あ、もしかして、リンスターの!」
「正解です」
「そうだったんですか……でも、お世話になったのは俺の方ですよ。いつかきちんとお礼を言いたいなと思っているんですが、なかなか……この前のうちに足を運んでくれたみたいなのに、俺はいなくて……」
「縁がないんですかね。……冗談です。そんな泣きそうな顔をしないでください、笑ってしまいます」
 マリオンはくすくすと笑う。それから、新たに誰かが事務所へ訪れたらしいことに気づき、言葉を切った。
「こんにちは」
 中学生くらいの少女だった。
「あ、こんにちは。いらっしゃい」
 東海堂の口ぶりと表情からすると知らない相手というわけではないらしい。とりあえず、礼儀とばかりに会釈をしておくと、少女もにこりと笑みを浮かべて軽く会釈をしてくる。
「これ、この前はなかったですよね」
 掲示板に貼られた張り紙を見やり、少女は言う。張り紙は外に張ってあったものと同じものだ。
「ああ、それ……今日、入ったばかりの仕事なんだ」
「人、集まってますか?」
 それを問われると東海堂の笑みは苦笑いへと変わった。
「それが……まだ、こちらの一名様のみで……ははははは」
 思ったとおりの返答に少女が苦笑いを浮かべていると、さらに新たな訪問者があった。品の良さそうな中年の男だった。
「こんにちは〜、今日は仕事がありますか? ……おお!」
 ふらりと現れ、掲示板を見やり、張り紙を見つめる。そして、言った。
「食事つき、日当一万円! やります!」
「え? やってくれますか? ありがとうございます!」
「やります、やります、やらせていただきます! 食事つき日当一万円、こちらこそありがとうございます!」
 人材を確保できた東海堂も浮かれているが、志願している中年の男も浮かれている。見ていて微笑ましい……もとい、おかしい。
「よかったですね、東海堂さん。でも、シオンさん、怪奇現象、怖くないんですか?」
 少女の言葉にシオンと呼ばれた中年の男の動きが止まる。
「怪奇現象ってなんですか……?」
「ほら、ここのところにあるじゃないですか」
 少女は張り紙の一番下の一文を指で示す。
「……なんと!」
「気がついていなかったんですか?」
 驚くシオンを見てマリオンはくすりと笑う。
「報酬待遇のところで目が止まりました。怪奇現象……。怪奇現象はイヤです、怖いです。しかし……魅惑の食事つき日当一万円……」
 シオンは腕を組みながらうーんと唸る。
「この怪奇現象ってどういうことなんですか?」
 少女の問いかけに東海堂は深く頷いた。
「そうだね、説明しないといけないよね。じゃあ、順を追って説明しようかな。実は、さっきこんなことがあって……」
 そう言って東海堂は話し始めた。
 
 始まりは事務所にかかってきた一本の電話だった。
『イツミはいるか?』
 こちらが名乗る前にそんな言葉が耳に届いた。その声には聞き覚えがあった。
「……いないです」
 がちゃん。俺は即座に受話器を置いた。それは半ば反射だった。しかし、すぐにまた電話は鳴り響いた。取らなくてもわかる。今、切った相手だ。
「どうしたんですか……?」
 うちの経理の西園寺が、即座に受話器を置き、そのまま動かない俺を怪訝そうな顔で見つめてくる。仕方がないので、覚悟を決め、西園寺を手で制して受話器を手にしたよ。
「はい、東海堂人材派遣サービス……」
『イツミ、何故、切る?』
「相手があなただからです」
『ん? 何か言ったか?』
「うう〜、なんでもありませんっ。いったい何の御用ですか、先輩……」
 電話の相手は思ったとおり、先輩だった。
『うむ。イツミはなかなか根性があるな。少し、見なおした』
「は? いきなりなんですか?」
『正直、これほど会社を持たせるとは思わなかった。大抵の場合、これだけ圧力をかければすぐに崩れるのだがな』
「え? 何か言いましたか?」
『いや、こちらの話だ。まあ、そういうわけで、意外と頑張りやさんなイツミに塩を送ってやろうか。涙して受け取るがいいぞ』
「え……遠慮しておきます……っていうか、塩を送るって……俺、先輩の敵ですか?」
 正直、その表現、いかがなものかと思う。
『テストプレイヤーを数人派遣してほしい。詳細は添付ファイルを参照だ』
 ぷつん。つー、つー。電話は切れた。
「あ、ちょっとせんぱ……切れちゃったよ……」
 いや、切られちゃったが正解かなと思いながら受話器を置くと、すぐに西園寺が言った。
「メールが届きましたよ」
「早っ。それ、先輩からだと思う。仕事の依頼らしいんだけど……」
「あなたの先輩ですか。さぞかし素敵な方なのでしょうね。……本当に素敵な方のようですね。本当にあなたの先輩なのですか?」
 メールを確認しながら西園寺は言ったけど、それもそのはずで、先輩は世界的に有名な企業に身を置いている人。小さな派遣会社の経営主と繋がりがあるようには思えないのはよくわかる。
「うん。大学のとき、文化祭で知り合ったんだけど……知り合ったことを後悔してるよ、今は。とにかく、めちゃくちゃ強引な人でさ、しきりに会社に来い来い言うんだけど、先輩、オカルトというか、不思議大好きなんだよね……俺、オカルトは嫌いだしさ……」
 そう、先輩は娯楽としてオカルトが大好きで、すぐにそういう話をしてくるうえに、かなり一方的で強引な性格。それが苦手であまり会いたくない相手なんだけど……。
「あなたがオカルト嫌いというのは、それはそれでどうなのかと思いますが……それはともかくとして、電話のやりとりからすると強引な方であることは確かであるようですね。……どうやら、制作しているゲームをテストする人材を求めているようですが」
「うん、テストプレイヤーだとか言ってた」
「エレメンタル・ブレスというファンタジー系ロールプレイングゲームだそうです。神に支配された世界を救うことが最終目的のようですね。各地に封印されている魔物や精霊と契約をかわし、力を身につけ、仲間を増やし、最終的に神を倒す、と。……社会の構造に不満を持つ人ですか?」
「ははは……。でも、先輩が普通の仕事をまわしてくるとは思えないんだよな……」
「では、少し調べてみましょうか」
 西園寺はそう言うと、ネットを使って情報収集をはじめた。しばらくして、西園寺はふぅと小さくため息をつき、言った。
「テストプレイはそれなりな時給にも関わらず、長続きしていないようです。採用され、一日だけ出勤して辞めてしまったり、中盤まで進めておいて辞めてしまったり……とりあえず、終盤まで進めた人はいないようですよ」
「うわー、イジメとかあるのかな?」
 俺は陰湿なイジメが行われ、一日だけ出勤して辞めてしまう図を思い浮かべたけど、そういうわけではなかった。
「怪奇現象が多発しているようですよ。急に電気が消えた……誰もいないのにカチャカチャとキーボードを叩く音がした……廊下を歩く音を聞いた……笑い声を聞いた……背後に気配を感じた……ディスプレイに顔が映った……黒い影を目撃した……耳元で囁かれたとか……まあ、よくある怖い話のようなことを訴えるらしいですね」
「和哉くんが聞いたら喜びそうなのにね……入院してなきゃ、颯爽と出かけて行っただろうなぁ……」
 事務員の和哉くん、未だに入院しているからね……思ったより重傷だったみたいだ。
「この程度の怪奇現象など、疲労が見せる幻ですよ」
 政府の陰謀と言うまでもないですと西園寺はうんうんと頷いた。
「うーん、募集していいのかなぁ……」
「とりあえず、募集にあたってそのあたりのことをきちんと書いておけばいいのではありませんか? ……疲労でしょうが」
「わかった。じゃあ、そうするよ」 
 
「……というわけなんだ」
 東海堂は語り終えた。
「それで、特記事項に書かれているわけなんですね」
 少女はうんと頷いたあとに東海堂を見つめた。
「あたし、参加したいんですけど……」
「え? 嬉しいけど、でも……怪奇現象が起こるかもしれないよ、いいの?」
 東海堂は心配そうに少女を見つめ、問いかける。
「私のときは心配しませんでしたね……?」
「だって、シオンさん、男だし。俺より年上だし。がっしりしてるし」
 あっさりと東海堂は言い放った。そのとおりだとマリオンも思う。だが、怪奇現象と呼ばれるものの耐性には男女は関係ないし、おそらく年齢も体格も関係ないだろう。
「怪奇現象をなんとかしろという仕事ではないんですよね? ……だったら、そんなに心配しなくても大丈夫なんじゃないですか? 聞いたところ、怪奇現象もそれほどひどいものではなさそうだし」
 マリオンはそう言ってみた。その言葉を聞き、東海堂はうーんと唸る。
「それに、人、集まりそうなんですか?」
 では、もう一言。マリオンの更なる言葉に東海堂ははっとする。
「そうですよ。怪奇現象なら慣れている……というとちょっとアレですけど、さっきの話くらいなら問題はないです」
 少女の大丈夫ですよという言葉に東海堂は頷いた。
「そう? じゃあ……お願いするよ。うちとしては、あくまでテストプレイヤーとしてゲームのテストプレイをしてもらえれば問題はないから。向こうで怪奇現象をなんとかしろと言われても無視していいからね」
 東海堂はそう言い、苦笑いを浮かべた。
 
 やはり、人の集まりは悪く、応募者多数で抽選……ということもなく、あっさりと採用が決まり、派遣されることとなった。
 だが、派遣という特性上、実際にテストプレイを行うことになる今回の依頼を持ちかけてきた企業へと訪れ、面接、そこで問題があれば不採用となることもあるらしい。しかし、東海堂は先輩は細かいことにこだわらない人だからよほどのことがあっても不採用になることはないだろうと言った。が、それはそれで問題があるような気がする。
 最終的に派遣されるのは自分を含めて、四名となった。……つまり、あれから一名しか増えなかったということだ。
「ゲームのテストプレイというからどんな人が集まるのかと思ったけれど……」
 そう言ったのはあれから一名増えたシュラインだったが、その言葉は自分の感想でもある。他にはどんな人が集まるのだろうと思っていたが、案外と普通といえば普通な人間が集まっている。
 マリオン=バーカンディ、275歳。自分。ゲームはそれなりにやる。
 海原みなも、13歳。あまりゲームはやらなさそう。
 シオン=レ=ハイ、42歳。やっぱりゲームはあまりやらなさそう。
 シュライン=エマ、26歳。これまたゲームはやらなさそう。
 こういうものはゲーム好きが集まるものかと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。
「最もこういったゲームを楽しみそうな十代後半から二十代の方はいないようですね」
 とは言ったものの自分自身はそれに当てはまる外見をしている。
「そうですね。意外な気がしましたけど……でも、ちょっと安心しました。ゲーマーさんばかりかなと思っていましたから」
 自分はゲーマーではないので少し不安に思っていたとみなもは小さく息をつき、安堵の表情で微笑んだ。
「そうですか。安心してください。私などゲーム初心者ですから。ロールプレイングゲームは、やったことがありません」
 シオンはにこりと笑うが、みなもの微笑みは少しだけ引きつった。安心させようとして言ったのだろうが、これでは逆に別の意味で心配になりそうだ。なので、軽くフォローしておくことにした。
「問題ないですよ。ロールプレイングというものは、基本的に特別な技術を必要としませんからね。操作も楽だし。必要なのは多少の戦略と根気……それと時間くらいかな、と」
 そう言ったあと、マリオンは背後を振り返る。声がしたからだ。
「ちょっと待ってくださいよ! 行ってくれるって言っていたじゃないですか!」
 東海堂だった。その言葉は正面に立っている西園寺に向けられているらしい。
「そうなのですが、少々状況が変わりました」
 先ほど新たな依頼がありましたと東海堂のネクタイを直しながら西園寺は答える。
「そんな……それなら俺が対応するから、」
「駄目です。あなたには荷が重すぎます。……それに、あなたの先輩は大手企業の重要なポストにいます。しかも、何故かあなたを気に入っているというのですから、それを利用しない手立てはありません。今後もご贔屓にしていただくべく上手く立ちまわってくるのですよ」
「ご贔屓になんかされたくないよ……」
「これも仕事。子供のようなことを言わないでください。ほら、皆さんが見ていますよ。あなたがしっかりしないと皆さんが不安になってしまいます。……これでいいでしょう。はい、いってらっしゃい」
 ネクタイを直し終えた西園寺は東海堂の胸を軽く叩き、送り出す。
「……はい、いってきます……」
 しかし、どうにもその言葉には覇気がない。そういえば、東海堂は今回の仕事を持ちかけてきた先輩のことが苦手であるようなことを言っていたような気がする。
「どうにも会いたくないという雰囲気だけど、その先輩とやらはどういう人なの?」
 シュラインが問いかけると東海堂は小さく息をついたあと、答えた。
「悪く言えば自己中心的、良く言えば革新的、平たく言えば変わり者」
「自己中心的かつ革新的で周囲には変わり者という評価と受ける人物なのね」
「それで間違いないかと。最近は顔を合わせていないけど、おそらくそう変わってはいないんじゃないかなぁ……今回の件も一方的だったし」
 東海堂はがっくりと首を折り、深いため息をつく。それから、顔をあげ、にこりと笑った。
「でも、本当に皆さんのおかげで助かりました。引き受けてくれる人がいないんじゃないかなと不安だったんですよ。怪奇現象の話もあったし」
「そんなの。よくあることですよ」
 マリオンはさらりと答え、穏やかに微笑む。
「モノには造り手の思いが宿るものだと思います。だからこそ、それを見た人が何かしらの感銘なり感動なりを受けるのだと。ゲームというモノにも造り手の様々な思いが宿るのではないでしょうか。制作に携わる人数が多いだけに、それは複雑で……制作現場でしばしば怪奇な現象が起こったとしても、なんだか納得できます」
 そう言って、マリオンは言葉を切った。それから、一息を入れたあと、人懐っこい笑みを浮かべる。
「でも、テストプレイの最中にそういう現象が起こったら、何かと煩わしいですよね。気になっちゃいそう。何も起こらないといいですね」
「本当に何も起こらないといいですよね」
 みなもが頷き、シオンが頷くそばから東海堂は言った。
「でも、起こるんだろうなぁ。……あ、ごめん……」
 
 面接のために訪れた場所は、都心に近い場所にあるとある高層ビルだった。
「高いですねー。ここが仕事場となるところですか?」
 シオンは眩しそうにビルを見あげる。
「そうですね。えーと、資料によると64階だそうです。最上階はレストランになっているみたいですね。派遣社員も利用可。他には……社員用の福利厚生施設も利用できるみたいですよ。ジムやプールがあるそうです。仮眠室は各部屋バストイレ完備とあります」
 東海堂はカバンから書類を取り出し、眺めながら言った。
「なんだか、ホテルみたいですね」
 みなもはシオン同様ビルを見あげる。建物自体がそう見えなくもないし、施設の内容もそれらしい。宴会を行える多目的ホールなどもありそうな雰囲気だ。
「地下に駐車場があるので、車による通勤も可とあります」
 それを聞き、マリオンはひとり頷いた。車通勤、やはり基本でしょう。
「職場の環境は良さそうなんだけど……」
 ビルを眺めながらシュラインは唸る。確かに見ている限りでは職場の環境は良さそうだ。他に問題があるのか、はたまた外見と中身はまるで違うのか……。
「何か問題があったり、嫌がらせを受けたりした場合は、遠慮せず報告してくださいね。即刻、対応しますから。では、行きましょう」
 ビルのなかへと入り、受付へと向かう。面接までの流れは東海堂の仕事なので、何をするわけでもそのあとについて行く。受付嬢と言葉を交わすその背を見つめたあと、なんとなく周囲を見まわす。整然とした広いホールの一角はラウンジになっていて、観葉植物や前衛芸術的なオブジェが飾られている。
「30階だそうです」
 ホールから少し歩き、エレベータが並ぶ広い通路へと向かう。30階まで直通のものを選び、それに乗りこむ。身体に僅かな負荷を感じながら、なんとなく階層表示パネルを見つめ、30階へと到着。大人が四人ほど横に並んで歩いてもまだまだ余裕がある通路を歩き、とある扉の前までやって来た。
「この扉の向こうです。緊張せず、リラックスしていきましょう」
 そう言っている東海堂が最も緊張しているように見える。他の面々の顔を見やると、緊張している節は感じられなかった。東海堂だけが緊張しているように見える。心なしか顔色も青ざめているようにも思える。
「あの……顔色があまり良くないようなんですけど、大丈夫ですか……?」
 みなもは心配そうに東海堂の顔を覗きこむ。
「エレベータで酔いましたか? ああ、普段よりも高い位置にいるからかも?」
 実際にはそんなことはないだろうが、場を和ませるためにマリオンは言った。それがわかっているのか、東海堂は苦笑いを浮かべながら頷いた。
「そうかもしれない。普段はマンションの三階にある事務所にいることが多いし、気圧が違うのかな……?」
「山じゃないんだから……とにかく、覚悟を決めて扉を叩いたら? 取って食われるわけじゃないんだし……」
 シュラインに促され、東海堂は大きく息をつくと扉をコンコンと叩いた。そのあとで失礼しますと声をかけ、扉を開ける。
「こんにちは。東海堂人材派遣サービスの」
「私とおまえの仲ではないか。カタイ挨拶などまったくもって不要! 友の友は友、よって、部下の部下も部下……と、いうわけでよろしくな。うむ、おまえの部下は美人揃いで羨ましいな」
「誰が部下ですか! 人の話、聞いているんですかっ?!」
「聞いてないみたいですね」
 こっそりにっこりとマリオンが囁くと東海堂はがっくりと首を折った。
「能力があれば良いが、ないというのであれば、せめて目の保養程度の役に立ってもらわなければな。……何か言ったか?」
「ええ、言いましたよ……誰が、誰の部下ですか! 俺は、あなたの部下になった覚えはありません、ええ、一秒たりとも! この人たちはあなたの無茶な要求に応えてくれようという心の広い方たちですっ。それを部下扱いして……失礼千万、迷惑至極、市中引き回しの上、はりつけ獄門の刑です!」
 力いっぱいそう言いきった東海堂の背中をシュラインはちょんちょんとつつく。
「……あなた、自分で何を言っているのか、わかってる?」
「……最後の方は自分でもちょっとわかりませんでした。とにかく、いきなり失礼なことを言い出さないでください。先輩のルールは先輩のみ有効であって、俺やその他の人々には有効ではありません。……では、改めまして、東海堂人材派遣サービスの東海堂いつみです」
 東海堂は名刺を取り出し、両手で差し出す。それを片手でひょいと受け取り、軽く眺めたあとに胸のポケットへと放り入れる。
「そういうところは本当に変わっていないな。……COL社ゲーム開発部門を統括している黒野ありすだ」
 やんわりとした笑みを浮かべ、黒野は言った。
 
「まずはこちらの要請を受けてくれたことに礼を言っておこうか」
 ソファに面接を受けるべき四人が並び、その正面に黒野が座る。東海堂は黒野の右手側、言うなればお誕生日席にあたるそこに腰をおろしている。
「開発は順調に進み、完成間近ではあるのだが、デバッグが……ああ、動作確認作業がどうにも遅れている。辞めていくテストプレイヤーたちは体調不良を理由にしているようだが、本当のところは周囲で起こる怪奇な現象に耐えきれなくなったせいだろう」
 黒野はそう言って憂鬱な吐息をついた。黒野は二十代後半といった外見で背は高く、さらりとした長い金髪を後頭部で結った目鼻だちの整った青年で、スーツの上に白衣を羽織り、閉じられた状態の扇子を手にしている。それはともかくとして、やたらと広い部屋の壁にえらく達筆な文字で『天下泰平』と書かれた額縁があったり、日本刀があったり、招き猫があったり、番傘があったりするのがよくわからない。妙に和風テイストであることが部屋の落ちつきをなくし、違和感を与えていることだけは確かだ。自分と同じく懐古趣味なのかもしれないが……なんとも言えない。
「とりあえず、お願いしたいことは無事にテストプレイを終えることだ。通常は仕様に従って動作の確認をしてもらうところなのだが、まずは普通にゲームを楽しんでいただくことにしようか。感想を聞いてみたいしな。……なかなかの自信作だ」
 最後の言葉だけは何故か東海堂へと向けられたものであるらしく、黒野は東海堂を見つめる。見つめられた東海堂はよくわからないといった顔で小首を傾げた。
「はぁ? 何か勘違いされていませんか? 俺はテストプレイはしませんよ?」
「なにっ? おまえは参加しないのか……精霊との契約シーンは是非見て欲しかったのだがな……まあ、いい。実際にテストプレイを行う場所は29階だ。詳しいことは現場の人間に訊ねてくれ。何か質問は?」
 黒野は残念そうに呟いたあと、マリオンたちの方へと向き直る。
「あの……いいですか?」
 みなもは遠慮気味に手をあげた。黒野はみなもに視線を向ける。
「怪奇現象が起こるということでしたが、黒野さんは何かそういった現象を体験されたんですか?」
「いや、私自身はこれといった体験はしていない。強いて言うならば……そうだな、企画を通してから、マシンが壊れた。やけに忙しくなった。おかげでまだ完成間近のゲームをプレイしていない」
 黒野はちらりと机の上にあるパソコンに視線をやった。だが、それらは怪奇現象ではないような気がする。
「そうですか……ありがとうございます。あたしからはそれだけです」
「他には?」
「はい」
 シオンが小さく手をあげた。黒野はシオンに視線を向ける。
「この内装はあなたの趣味ですか?」
 
 黒野と別れ、実際の仕事場である29階へと向かう。
「どうも、はじめまして。新しいテストプレイヤーさんたちでしょう? 今回、皆さんの上司というか、責任者にあたる藤巻といいます。どうぞ、よろしく」
 藤巻と名乗った男は愛想良くそう言ったあと、軽く会釈をする。年齢は二十代半ばといったところだろうか。
「今回はお世話になります」
「いえいえ、こちらこそお世話になります。では、行きましょうか。今回は個室で仕事をしていただくことになります。そのうち、ひとつの部屋で……ということになるのでしょうが、今は部屋が余っているような状態ですからね」
 藤巻は廊下を歩きながらそんなことを言う。
「部屋が余っているんですか。それなら、ひと部屋わけてくださいよ」
 シオンは神妙な顔でそう言った。本人としてはもしかしたら本気かもしれないが、藤巻は当たり前のように冗談と受け取る。
「ははは、今ならひと部屋といわず、フロアすべてを貸しきれますよ」
「フロアすべてということは、例えば、この階層、29階すべてという意味ですか?」
 みなもが訊ねると、藤巻はそうですよと頷いた。
「このビルは64階まであるのですが、実質稼動しているのは29階、30階、31階と出入り口である1階、駐車場の地下1階、レストランがある64階くらいですよ。できたばかりなので、すかすかの状態です。今後は向こうからいろいろな部署が入って来るのでしょうが」
「そういえば、COL社は外資系でしたね。最近、こちらへ進出してきたとか……」
 そんな話を聞くとはなしに聞いたような気がする。ふと思い出したという顔でマリオンは言った。それを聞いた藤巻はにこりと笑う。
「よくご存知ですね。そういうわけで、他のフロアには人がいませんから、驚かないでくださいね。エレベータも30階直通と64階直通しか運転していない状態で、29階へは一度、30階へ行ってからおりてくるというかたちとなります。もちろん、階段を使って1階からのぼってきていただいても結構ですけどね」
「それだけで疲れてしまいそうね」
 話を聞いただけでうんざりとしたらしく、シュラインは小さく吐息をつく。
「フロアの話が出たついでに言っておきます。64階の展望レストランは一般開放されています。ここだけは一般の方が出入りしていますので開発関係の話をなさるときは注意してください。所謂、社内食堂でもあるので、皆さんがこちらでお仕事をしているうちは無料でご利用いただけます。特に回数制限ということもないので、お腹が空いたと思ったら、足を運んでみてください。それと、テストプレイですが、あまり仕事だと気負らずに無理せず進めてください。疲れたと思ったら適度に休憩を取ってくださいね」
 話を聞いていると、やはり雇用側が低姿勢のように思える。これも怪奇現象のせいなのかもしれない。
「それと……こちらでの噂話はすでにご存知だとは思うのですが……」
 藤巻は足を止め、振り返る。
「怪奇現象……ですか?」
 東海堂は遠慮気味にその言葉を口にした。藤巻は神妙な表情でゆっくりと深く頷いた。
「現象は様々なのですが、ほとほと困り果てています。どうにかできるものなら、どうにかしてほしいのですが……と、テストプレイヤーさんにお願いすることではありませんよね、すみません」
 藤巻の言葉にマリオンたちはお互いに顔をみあわせた。確かに、テストプレイヤーに望むものではないが……藤巻のその表情を見ていると事態は結構、深刻に思えてくる。しかし、ともかくはテストプレイヤーとしての仕事を果たすことが先決だろう。
「テストプレイはこちらの各個室で行っていただきます。何かわからないことがあったときは、奥の部屋にいますので遠慮なくどうぞ。休憩は各自でお願いします。そこに休憩室がありますし、勿論、部屋で休んでくださっても結構です。気分が悪くなったときはすぐにゲームをやめて、私を呼んでくださいね。いいですか、無理だけはしないでくださいね」
 無理をしないことを強調し、ゲーム機の操作の説明をしたあと、藤巻は奥の扉へと去った。それを見送り、東海堂はマリオンたちへと向き直る。
「俺の仕事はここまでだから……皆さんの健闘を祈っています……と、先輩?」
「話は終わったようだな。イツミ、もう少し時間はあるだろう?」
 積もる話があるのだと言いながらやって来るのは黒野だった。
「あ……う……」
「あなたの健闘も祈っているわ。頑張ってね、社長さん」
 そう言ってシュラインはひきつった笑みを浮かべる東海堂の背をぽんと押し、送り出した。
 
 そこそこの広さの個室には、当たり前のことだがテストプレイを行うための環境が整っている。ただ、あまり企業であるとは感じさせなかった。ゆったりとしたソファにローテーブル、テレビにゲーム機。応接室という雰囲気で、接待されているような気分に陥りそうになる。
「うん、環境は問題ないかな……」
 まずは普通にゲームを終えてみてくれ、話はそれからだ……と言われているので、とりあえずゲームを起動させてみる。ゲームの背景を語るデモ画面を流しながら、ローテーブルの上に置いてある仕様書を手に取り、簡単に目を通す。それによると、主人公は冒険者。各地で様々な事件が起こり、それを追うとなしに追っていくうちに、それぞれの事件の関連性や裏で糸を引く存在に気づき、最終的に巨大な陰謀に立ち向かうことになる……というありがちといえば、ありがち、王道といえば王道というようなストーリーであるらしい。
 デモが終わったところで、ゲームをスタートさせてみる。キャラクター作成画面となり、名前を入力することとなった。少し考え、『マーリン』と入力する。名前が決まったあとは、能力値にボーナスを振り分けるらしく、数値が表示されている。どうやら、ランダムであるらしい。平均値がいかほどのものかはわからないが、なんとなく数値は低いより高い方がいい。何度か頑張って、納得のいく数値が出てからそれを振り分けることにした。
「次は能力値か……それじゃあ……」
 能力値は全部で七つ。筋力、器用、敏捷、知力、生命力、精神力、運。これは職業によって振り分けた方がよさそうだと仕様書の職業欄を眺める。すると、職業は冒険者とあって、それ以外のことは書かれていない。関連性のありそうな事柄を探してみると、主人公は冒険者であり、技能を取得することによって魔法系にも戦士系にもなれるとあった。技能は戦士、盗賊、神官、魔道士、学者の五つがあるらしい。五つのなかで目が行くのは魔法系。神官は防御や回復系の魔法を修得し、魔道士は攻撃系の魔法を修得するとある。マーリンとくればやっぱりコレでしょうと魔道士技能を高めに設定しておくことにした。回復魔法も多少は使えた方がよかろうと神官技能も修得しておく。神官は火や風といった六つの元素のなかから自分が信仰するものを選ばなくてならない。少し考えてから『土』に決めた。それに伴い、魔法に関連しそうな能力値を中心にボーナスを振り分ける。
 最も高い技能が職業とみなされるらしく、完成したキャラクターのステータス画面の職業欄には『冒険者(ウィザード)』とあった。
 キャラクターが完成したところで、早速、冒険を開始。基本的には町にある冒険者の酒場に舞いこむ依頼を冒険者が引き受け、依頼を解決、報酬と経験値を手に入れるという流れらしい。
 ひとりで依頼を引き受け、解決することも可能ではあるらしいものの、仲間がいた方が楽であることも事実。酒場に同じような冒険者がたむろしているのでそのなかから自分にあった仲間を選ぶこともできるし、自分で仲間キャラクターを作成することもできる。既存のキャラクターを選ぼうか、それとも自分で仲間キャラクターを作成しようか少しばかり悩んだあと、やはりマーリンの仲間といえば、コレだろうと『アーサー』と名前をつけ戦士の技能を高くしたキャラクターを登録、さらに『ランスロット』と名前をつけたキャラクターも登録した。
 最初の依頼は下級妖魔退治で、平和な農村に突如として現れた下級妖魔を倒すというものだった。最初の依頼であるからそう変に凝った難しいものではないのかもしれないが、何が起こるかわからない。それなりにレベルをあげてから、下級妖魔がねぐらとしている洞窟へと向かい、わりと苦労もなく下級妖魔のボスを倒した。そして、以前は平和で下級妖魔が襲ってくることなどなかったのですが……という話を聞いたところで、ひとやすみ。
 コントローラを置く。
 長時間というほど長時間ではないが、それなりにゲームを続けてみた。話に聞いているような怪奇現象の類は起こっていないが、少し疲れたから、休憩しようと休憩室へと行ってみる。そこにはテーブルや椅子が置いてあり、テレビや給湯施設、自動販売機などがあった。
 そこでお湯を沸かし、部屋へと戻る。持参した紅茶とお菓子を広げてティータイム。さっくりと持参したクッキーを口にしながら仕様書を眺める。
 イベントはすべてクリアしなくてもストーリーは進み、ゲームを終えることはできるらしい。六つの精霊が関係するイベントさえクリアすれば最終ボスへの道は開けるようなことが書いてある。
 だが、それではやはりつまらないから、イベントは余すことなく楽しもう。せっかく、発売前のゲームをやる機会に恵まれたのだし。
 こうして一日目は何も起こらずのんびりとゲームを楽しむうちに終わりを告げた。
 
 他の三人に話を聞いてみると、怪奇現象の類は起こっていないらしい。お互いにペースが違うので、日数が経過するにつれ、ゲームの進度に差が生じてきたが、それも当然といえば当然のこと。
 仕事というよりも普通に楽しみながらゲームを進めていくうちに、ストーリーの核心に迫る封印されている精霊と契約を結ぶというイベントが起きた。精霊を解放し、その力を得るためには代償として能力値を差し出さなければならない。仕様書にあった主要イベントのひとつだろう。
 どの能力値を減らしたものかと悩んだ結果、魔法系のキャラクターにはあまり筋力は必要なかろうと筋力を代償にすることに決め、イベントを進める。
 画面に描かれているよくあるタイプ(?)の魔法陣が光り輝く。キャラクターの能力値が1ポイント減り、新たな精霊力を手に入れたと表示された途端、何故か脱力感を感じた。身体の力が抜けるような奇妙な感覚に小首を傾げる。
「あれ……?」
 すると、声が聞こえた。
 ……もっと……もっと力を……。
「え……?」
 思わず、周囲を見まわすが個室には自分ひとりだけ。何も変わった様子はない。
 今のが、噂の怪奇現象?
 魔法陣のイベントと同時に起きたのは、はたして偶然なのか、それとも意味があるのか……とりあえずは偶然ということにしておこう。
 マリオンは多少の疑問を覚えつつも、さらにゲームを進めた。特に何も起こらず、やはりさっきのあれは疲労に違いないと思いはじめた頃、また魔法陣のイベントがあった。
「……」
 少しだけ、考える。それから、マリオンはイベントを進め、能力値を代償に精霊を解放し、新たな力を手に入れる。
 途端。
 また脱力感を感じた。
 ということは、また声もするのでは……?
 身構えていると、どこからか声がした。
 ……もう少し……もう少しだ……。
 どうやら、もう少しらしい……だが、何が?
 魔法陣のイベントを進めると脱力感は疲れとしても、どこからか不気味な声がするというのは、やはり仕様ではないだろう。ホラーなゲームならまだ理解できる演出だが、ファンタジーでの演出には必要ないだろう。
 このまま魔法陣のイベントを進めて行くと何が起こるのだろう。興味がないわけではない。しかし、疲れるのはあまりありがたくはない。
 考えながらゲームを進める。
 三つ目の魔法陣のイベントは近い。

 −完−


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【4164/マリオン・バーカンディ(まりおん・ばーかんでぃ)/男/275歳/元キュレーター・研究者・研究所所長】
【1252/海原・みなも(うなばら・みなも)/女/13歳/中学生】
【3356/シオン・レ・ハイ(しおん・れ・はい)/男/42歳/びんぼーにん(食住) +α】

(以上、受注順)

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■         ライター通信          ■
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依頼を受けてくださってありがとうございます。
納品が大幅に遅れてしまい、申し訳ありません。
三ヶ月のうちにマシンが二台壊れました……遅れた原因です。

相関図、プレイング内容、キャラクターデータに沿うように、皆様のイメージを壊さないよう気をつけたつもりですが、どうなのか……曲解していたら、すみません。口調ちがうよ、こういうとき、こう行動するよ等がありましたら、遠慮なく仰ってください。次回、努力いたします。楽しんでいただけたら……是幸いです。苦情は真摯に、感想は喜んで受け止めますので、よろしくお願いします。

こんにちは、バーカンディさま。
頭の回転がよく、可愛い顔でたまにキツイことも言うようなキャラさん……という感じに捉えて書かせていただきました。イメージを壊していたら、すみません。

後編は今週中、遅くとも来週には受注開始したいと思っています。プレイングが書きにくい状態かもしれませんが、できましたら後編もご参加くださいませ。

願わくば、この事件が思い出の1ページとなりますように。