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虚無の境界支部に潜入する茂枝萌
ヴィルトカッツェの二つ名が、闇夜の闇に紛れている。
即ちそれは光学迷彩、ステルス使用の少女のスーツ。
NINJA。
NINJA、とは、IO2における捜査担当、迷彩なやうな潜入に特化したパワードプロテクターを纏い、調査、そして可能ならば犯人を逮捕及び抹殺するのが目的。
それは、殺しあう異界だろうと変わらない。世界だろうと異界だろうと、14歳の少女はそういう存在なのだけど。だから、今日も、ヴィルトカッツェは、
山猫という二つ名は。
背に、鉄すら切り裂く高周波ブレードを負って。潜入対象に――絶海の孤島か、謎の研究所か、
違う、
「……本当に、ここ?」
何処からどう見ても、民家だったのだ。
所在地は住宅地である、逆にそれが怪しいとは思うのだけど忍び込むしかない彼女は。
事前にリサーチした情報、支部には敵が居るらしい。だが、それらしき気配は無い。だが、
時々、いや、常に見られている感覚が、茂枝萌の肌に這う。
◇◆◇
屋内。(茂枝萌との接触、今回の出来事を真ん中で踏んでいる。
◇◆◇
忍びの名を冠する者が、一般人に見つかってよかろうか?
全国の忍者ファンを代表すれば否、である、英語ではNOと強く言いたい所である。彼らの職務は闇から闇へ渡る事、古来、黒船潜入調査の最後の命まで仕えた忍者、その名が由来のNINJAとて、その宿命は負うべきである。
しかし彼女を代弁すれば、余りにも不意だった、という事になり。食べ物が入っている冷蔵庫、
女子、一人有り。
「………」「………」
視線を感じたのだ、いや性格には何か居る気配が、それがどうも冷蔵庫らしきものだったから、そして何か飛び出しても対応出来る自身は有ったから、萌は無造作に開けた所、女子、一人有り。
時間は、見詰め合う、である。見詰め合う事により、茂枝萌の網膜には女子の情報がくるくると入ってくる。そもそも女子と言うべきか、綺麗な魅力。子供と呼ぶのははばかれそうな、自分より0,5回り年齢は離れてそうな。
けれど何よりはその銀髪、
極細のつらら、それを幾重にも織り上げたやうな、美しく長い銀髪、そんな姿が冷蔵庫に治まっていたものだから、
ヴィルトカッツェは冷蔵庫を閉め、「し、閉めないでぇええ!」
そんな事言ってもフリーザーのオープンしぱなっしは中の冷気を逃がす事になり、そして電気代がかかり、「ででで出てから出てから!」
余りにも言葉が、押入れの布団のようにうるさいものだから、仕方なく彼女に自由の行使を。すると選択はもち、脱出。
「た、助かったよぉ」ほとほとその事実に感謝している彼女の苦笑いに、
つい、っと高周波ブレードを喉元に突きつけられる。
表情がひゃっと凍りつきわたわたする彼女に、茂枝萌は潜入してから始めての言葉を落とした、以下のように。
「何者なの?」
無駄な言葉は何も無い、用件のみの尋ねである。冷蔵庫に閉じ込めての問答でも良かったのだが、良く考えれば命を掴んでいた方がやり易い。
0,5回り程年上っぽい彼女は、敬語よりも友達のように話しかける。「あ、彩峰みどり、職業は、ええと」
「目的は」
興味の無い事は断絶して、茂枝萌はそれを聞いた。
すると、その目的は想定に入ってなかった。
「萌ちゃん、萌ちゃんに会いにきたの、聞きたい事があって」
初対面なのにちゃん付けされた事も含めて、萌は呆気に取られる。そして、どう目を凝らしても敵意らしき物が見当たらない彼女から、やっとこさブレードを引き下げる。ほっと息を漏らすみどり。
そして彼女の疑問に気づかない彼女では無かった、
「びっくりしたかな、いきなり会って聞きたい事があるだもんね。だいたい冷蔵庫に開けて人が居たら」
「ただの人なの?」
、
茂枝萌、
「……どういう事?」
「……私は茂枝萌、ヴィルトカッツェの二つ名を持つ、IO2所属の存在」
その素性を知ってる人間が、そして、NINJAの任務を知ってる人間が、
「唯の人なの? と聞いているの」
警戒は続いていた。ともすればさっきのブレードが、彼女の足の腱を裂くくらいには。それくらいの技量は彼女には有った。
彩峰みどり、「私、は、」
何かを祈るような面持ちで何かを語ろうとした、
その時、
――食べ物が入っている冷蔵庫、
矛盾していなかった。
人の命を食料とするのなら、「……え」余りにも唐突に、余りにも予定的に、
人食いの家。
具体的には、足元が、溶ける。「くそぉ!?」具体的には、天井から、溶解液がしたたる。ステルス迷彩のスーツを侵食する、咄嗟、窓を破ろうとする萌。だが硬くて閉じて空かない。まるで冷蔵庫の内側からの行動。
閉じ込められた。
ここで死ぬ気は無い彼女、肩口に液が垂れて溶けそうな、壁という壁にブレードを、
してる時、
ふと目に入った、
彩峰みどりの行動、
◇◆◇
劇。
「この、空を」
◇◆◇
殺されそうな状況で、何をしている?
「私は知っていた、この空を」
けれど、彼女は劇だった。演技だった。
「私は知っているこの空を! 赤く、赤く燃えたこの空をっ!」
それが、世界の終わりの始まりだったと、ただ《空を見上げる姿勢》が語った。
溶解液の天井が、彼女の手と、足と、心で、空になる。
何を、している? けど、
茂枝萌は静止する、(余りにも、彼女の姿は《凄すぎ》た。天地創造に匹敵しよう)初めに言葉があるのが神というのなら、
その姿はとうに神を超えていた、超えて、いたのだ。衝撃は四肢を電気のように伝い、或いは無機物すら固まるように、
すると彼女は右手首を掲げる、バンダナが、巻かれている、
瞳が恋人をみつめる目だった、ああそうか、亡くしたのだ、
赤い空の下で、あのバンダナを付けていた、恋人を。
だから、何をしている?
「続く、続く、空の下、幾つ、幾つ、落としてきた」
それからも数え切れなく、死んだのか、親しい人が、そして、その時、
唯の人が、終わりを告げる。彼女の人格は崩壊し、唯の人以上の物として世界を行動した時の、萌が、IO2のNINNJAの背筋が震える程の表情が、
「だけど、」の一言で、優しく、溶けた。ああ、
何処かで、優しさを知ったのですね、
こんな世界でも、そんな風に生きている人たちを見て。そう、彩峰みどりは演技している、言葉以上に萌に入ってくる。
そして赤い空を見上げていた彼女は、
溶解液をしたたる風景を、己の存在感で消去させ、
これだけは、言葉で言った。「聞きたい事は、ただ一つ」
――世界を理解してしまったゆえに世界を流浪する存在
「私の友達の事、知っていますか?」
茂枝萌は知っている、S三下に並ぶ危険人物、だが同時に、ディテクターからこう聞いている。
世界を理解してしまった、可愛そうな着物の女。
その声が余りにも強すぎて、みどりに、溶解液が降りかかるのには気づかず、萌。
けれどみどりは、萌に、溶解液が降りかかるのに気づき、だから、
唯の人は終えよう――
銀髪、
、
雪女。
◇◆◇
彩峰みどりは、三年前まで、自分の中の存在を、責めていた。
人と妖の間に、酷く、揺れていた。
けれど、今は一つである。だから優しい彼女は、萌を守る為、
行動する。
家が、凍った。
微細も無く、完膚なき、絶対零度。
凍る。
◇◆◇
家という日常は、氷河という異常に。
そうしてやっと、はっと、萌は我を取り戻したようだ。演技を止めた彩峰みどりの、笑顔もその理由だが。
ここまで凄烈な事をしてのけながら、彼女はにこやかに、或いは少し照れたような感じで、
それがおかしかったのか、萌は笑った。
こればかりは万人共通の、言葉の要らないコミュニケーションで、
(そういえば、冷蔵庫から出て来てもピンピンしてたっけ)と思いながら、萌は、
質問に答える。
◇◆◇
本性に目覚めて、彼女のように優しくなれず、殺戮存在となってしまった彼女の情報聞いているその間に家も砕けたりして、そして、夜だから帰ったりして、
彩峰みどり今回の行動におけるresult、まずはともかく、ある流浪する京都言葉の女の存在の情報、と、(彼女が殺されるまでは)これからも情報を受諾出来る未来と、
切欠は情報という需要が供給を求める事であったが生死なる人間の根本に深い経験の共有に伴いそれにより発生した相互の支援関係、
要約すれば、小さな友情が芽生えた、事である。
◇◆ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ◆◇
3057/彩峰・みどり/女/17歳/女優兼女子高生
◇◆ ライター通信 ◆◇
――今回は個別に仕上げております
初めましてですのに納品ギリギリですいません、七日延ばしておきながら_| ̄|○
というか直ぐ納品出来るとか宣言もしてたのにね! ち、違うんです、全部世界の任天堂が悪いのです! だってきみしね出すわさワリオだわでも何よりもバンブラでの作曲が楽しいわ!
すいまへんでした(海よりも深く
と、とりあえず、他PCとの因縁がありましたが、今回参加してないのでボカしておりますが、異界ページの方では其の侭記述しています。
後、家そのものに視線があるというのに気づいていたので、今回は圧勝という形にさせて頂きました。……演技がどうこうはちとやりすぎたかもしれまへんが;
とにもかくにもご参加おおきにでした、またのご利用をお待ちしています。
[異界更新]
異界の彩峰みどり、殺しあう異界の運命で一時凶暴な雪女の本性が発現するが、その後の数々の優しい人との出会いで、元の優しい性格と融合。茂枝萌と友情によるコネクション成立、某PCの情報を入手。
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