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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 1 天薙撫子編

 織田義明はなにか違和感を覚えていた。
 平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
 今の状態は満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
 と、独り言。
 一人暮らしをしてから数ヶ月。
 先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
 このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
 さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう?
 神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか? 考え方が異なるから敵対するだろうか?」
 義明はそう思った。
 
 
 数日後……

 毎度の事ながら退魔行を任された義明は、あなたと一緒に戦いの中で一人の少年と出会った。
 戦いが住んだ後……お互いが見る。
 歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ?」」
 同時に喋った。
 緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……?」
 義明が、“彼”の能力(一部だが)を見る……。
「見えるのか? あんたこそ…その刀はなんだ?」
 少年が喋る。
 おそらく義明の「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
 彼が警戒してもおかしくはない……。
  
 この緊張感のなかあなたはどうする?


〈再会〉
 好奇心と警戒。
 剣客とはこういう生き物と義明は思っている。
 しかし、少年と、義明と一緒にいた着物姿に刀を持っている女性は、お互いを見て、
「未刀様?」
「な、撫子?」
 お互い、少し声を大きくして驚く。
「え? 知り合いなの?」
 目を丸くして、水晶を消す義明。
「え、まあ、そのお、何て言うか、ええっと」
 撫子はおろおろと何かを言いたそうである。
「……撫子の知り合いか……。なら大丈夫だ」
 と、未刀も安心したのか、「力」を収めた。
 ――手持ちが2に6、9か?
 ――呪符が4枚。しかし……?
 只心の中に、二人の戦闘能力者として好奇心は残っている模様。
 あうう、と慌てている撫子であるが、ひとまず殺気はお互いになくなったのでホッとしている。
「あ、そうだ」
 と、未刀が近くの壁辺りで身を震わせていた女性に近づいて、
「立てる?」
 と、聞いた。
「え? ええ、大丈夫……です」
「ここから逃げた方がいい。それに忘れた方がいい」
「わ、わかりました。あ、ありがとうございます!」
 と、お辞儀をして彼女は去っていく。
「あの、私たちも此処から、去りましょう」
 撫子は二人を促す。
「「ああ」」
 義明と未刀は同時に返事する。
 と、3人は闇の中に消えていく。



〈関係〉
 そして、撫子と義明がよく来る公園に3人はやってきた。
「夜食とお茶、お菓子持ってきているから一緒に食べましょう」
 撫子からすると、どうも義明と未刀2人がまだピリピリしている事が気になって仕方がない。
 撫子にとって恋人である義明に、親友以上恋人未満の関係である未刀。
 正直、複雑極まりない。
――あうう、どうしたらいいのでしょう?
 この2人の仲を取り持つのは苦労しないだろう。見知った相手であること、信頼をお互いにあること。ただ、問題は彼女の心自身である。
 どちらも好きだし、秤にかけられないのである。
 もし、これがいつもの小麦色などに耳に入るのなら、からかわれるだろう。それだけは避けたい。
 それ以外では、未刀にしても義明にしても暖かいお茶とおにぎりを食べている。
 無言であるが。
 見た目、のんびり冬の空、仲良く空を見て饅頭を食っているようなものだが、お互い隙をうかがっているのだ。
「あの、紹介します」
「「ん?」」
 同時にまた反応する二人。
 ここまで反応が同じと双子だ。
――似ているのかしら?
「義明君、こちらは衣蒼未刀様、過去に色々彼の家の問題に……」
 兎に角、撫子の口から、義明には未刀の事を話す。
「衣蒼未刀だ、よろしく」
「ああ、よろしく」
 屈託ない笑顔の義明に未刀は驚く。
 少し、今までの緊張感が無くなったようだ。
 安堵したのか撫子は
「未刀様、こちら織田義明くん、天空剣師範代をされておられて……」
 と、今度は未刀に義明のことを紹介した。

 そして、軽く自分の経緯などを撫子のフォロー(?)で話ができた。
「まさか、いつも思っていたことが起こるとは」
 義明が笑う。運命とか縁と言うものに対してだろう。
「? なんだ?」
 未刀が訊く。
「いや、能力者だけど環境が違いながら、“家から捨てられたもの”と“家を捨てたもの”というやつさ」
「そうだな。まさか正反対の立場の力の持ち主にあうのは面白い。それに出生もな」
「そのところは色々あったから、乗り切った」
「ああ、ま、今は自由にやっているよ」
 撫子の存在のおかげでお互いが笑った。

 安堵する、撫子だが……。
「で、撫子。まだ隠しているんじゃ?」
 義明が撫子に訊く。
「え? え? なんでしょうか?」
「未刀とは、えっと、どんな関係……だったんだ?」
 ちょっと子供のように拗ねた口調で言う。
「え? あの、そのな……」
 真っ赤になる撫子。
 天然剣客である義明であるが、やっぱり他に男に親しくしているのは嫌なようだ。
 未刀は二人のやりとりに「?」と首を傾げている。
「だ、 だから! えっと親友ですわ! もう」
 焦る撫子。
「ま、いいか約束したし……」
 まさに、義明はヤキモチを妬いている。
 ここでヤキモチを妬かれても困る撫子だが……。
「何の約束?」
 未刀は悪気もなく義明に訊く。
「あーそれはー」
「ああ、いっちゃダメです! 義明君」
「考えてみたら、俺には様付けだが義明にはくん付けだな? どうしてだ?」
 彼の言葉で、撫子は更に真っ赤になった。

 其れがトドメ。
 再会しても未刀の天然さは変わらず、義明を上回るだろう。

 照れで失神し倒れそうになるが、同時に二人が彼女を支えた。

「おい! 撫子! 気、失っている……」
「? あれ? どうしてだ?」
 目を回して熱病にうなされているように唸っている撫子。
 義明も未刀も同じ行動を取っていること、また、“自分の力”を比べてみたい好奇心にも感じ、苦笑する。
「近くに俺の幼なじみの神社がある。そこに彼女を寝かそう」
「そこまで、俺も手伝う」
「そうか、もう時間が時間だから泊まっていけ」
「あ、そう言うなら、いいのか?」
「なに、でっかい家で彼奴とおじさんの二人暮らし。空き部屋も沢山あるし、いつものことだ」
「なら、言葉に甘えよう」
 と、義明が彼女をおぶって、彼女の武器を未刀が持った。



〈朝起きると?〉
 撫子は見知った天井で目を覚ました。
「茜さんの?」
 寝間着はヤギパジャマである。
「おきた? 撫子さん」
 洗濯籠を持った女の子が襖を開けた。
「茜さん?」
 状況がつかめない撫子。
「話は一通り聞いたよ」
「ええ……すみません。ご迷惑を」
「ううん。気にしないで撫子さん」
 道場のほうで何か聞こえる。木刀の響く音だ。
「でも、よしちゃんに良い友だちができそう」
 と、茜が言う。
 剣戟でわかるが、コレはお互い敵意ではない。
 鍛錬だとわかる。能力無し純粋に剣技のみで。
「よかった……」
 撫子はホッと胸をなで下ろした。


 これから、あの二人はどうなっていくのだろう? と少し不安は残るものの、幸い今日は休み。一緒にいれば精神衛生上多少問題はあるが、これ以上喧嘩などは起こることもない。
 恋人の義明と、微妙な関係な未刀とどう過ごすかになるだろう。
 とりあえず、重要問題だとするのは……。

「お願いがあります。茜さん」
「なに?」
「かわうそ? 様には……くれぐれも」
「そ、それは難しいなぁ……それは……」
 苦笑する茜であった。


To Be Continued


■登場人物
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生・巫女・天位覚醒者】

【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家業離反)】
【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家継承者)】


■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 1』に参加して下さりありがとうございます。
 天薙撫子様には、気苦労が絶えそうにない状況になるでしょうが、また2話以降でも宜しくお願いします。

|Д゚) ……ふふふ
|≡3

 あ、今なんか居たような……(ぇ

 滝照直樹拝