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神の剣 異聞 Invisible Blade １ 皇茉夕良編
織田義明はなにか違和感を覚えていた。
平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
今の状態は満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
と、独り言。
一人暮らしをしてから数ヶ月。
先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう？
神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか？ 考え方が異なるから敵対するだろうか？」
義明はそう思った。
数日後……
毎度の事ながら退魔行を任された義明は、戦いの中で一人の少年と出会った。
戦いが住んだ後……お互いが見る。
歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ？」」
同時に喋った。
緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……？」
義明が、“彼”の能力（一部だが）を見る……。
「見えるのか？ あんたこそ…その刀はなんだ？」
少年が喋る。
おそらく義明の「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
彼が警戒してもおかしくはない……。
この緊張感のなかあなたはどうする？
〈穏やかな旋律〉
皇茉夕良は人気のないところでヴァイオリンの練習をしていたところ、悪霊群に襲われていた。大事なヴァイオリンに傷が入ることも恐れていたし、能力で撃退するにはレベルが違うと心の中で焦っていた。その時にあの２人に助けられた。
そして、いま２人の緊迫感の中で思案している。
もし戦いになるなら、困ったものだし、お礼もしていない。
演奏練習も途中だから、全部叶えたい。それは自分でも我が儘かな？ と、茉夕良は思った。
まず今できることと言えば、助けてくれた人の戦いを止める方法だ。
才能に恵まれたので今の自分があるが、やはり環境によるものもある。
得意なのは、そう、歌の他にヴァイオリンだ。
練習途中であったが、少し節を戻し、弾く。
癒されるような音色が、悪霊のたまり場であったこの場所に響いた。
「なあ」
義明は少年に言う。
「まずは、巻き込まれた人を助けるのが先だな」
「……同感だ」
緊張は少しあるもの、お互い“奥の手”はしまう。
２人は、助かった少女をみる。そしてその奏でる音色を聴いて、彼女が演奏を終わると同時に拍手をする。
「どうもありがとう。おかげで助かったわ。できればお礼をしたいのだけど？」
「助かってないによりだ。俺は此処で失礼する」
と、黒髪の少年が茶色の髪の少年を見て去ろうとする。
「でも、お互い知りたがっているんじゃなくて？」
クスリと笑う茉夕良。
「む」
「……」
初対面であるし、退魔業は闇の側面。あまり人に知られるわけにはいかない。
魔を退き、一般人の日常生活に支障がないようにするのが仕事。
だが……
「ああ、君も何かの能力者か……」
茶髪の少年が彼女の力を“見ていた”。
「そうですね。あなた達には負けますけど」
「お言葉に甘えよう。しかし、今数人こっちに来ている。裏道を通っていくけどいいか？」
「そこはおまかせしますわ」
と、茶髪の少年に頷く。
そして３人はその場から去っていく。
５分後にどこかでみたような小麦色の襟巻きをしている婦警がたどり着いた。
「此処で喧嘩があったって本当ですか？」
｜Дﾟ) …… ←襟巻き？
「はい」
かなり不自然であるが、襟巻きのアレは放っておこう。
見た目には何もないし足跡ももう追跡しようがない。
ただ、その婦警には“視える”ので、此処で何があったかわかり、寒気がする。
悪霊の“血の様なもの”を視たのだ。
――また、アレがいたの〜！ かわうそ？くん連れてきて良かったぁ
――｜Дﾟ) 今は“ただの”えりまき？〜
心の中で心底安堵する。婦警さん。
「居なくなっては仕方ないから、通報ありがとう」
「はい」
婦警さんと連絡者達は去っていった。
３人は裏道を通り、大通りにでる。
「この近くに美味しいカフェがあるの。普通ならこの時間にはないのだけど、ショットバーと兼ねているから。いきましょう。そこで各自自己紹介♪」
と、茉夕良が言う
２人に異論はないようだ。
特にカフェと聞いて黒髪の少年は反応している。心なしか楽しみにしているようだ。
「？」
茉夕良は未刀の反応に少し首を傾げる。
〈甘党未刀君〉
「お勧めケーキセット３つで」
茉夕良がウェイトレスに頼む。
「さて、私は皇茉夕良」
「俺は、織田義明」
「俺は、……衣蒼未刀」
お茶が来るまで、一応自己紹介。
未刀は未だか未だかと待っている。
その態度は義明、茉夕良にしても楽しい。
そして、ケーキセットが並んだとき、未刀の目の色が変わっていた。
クスクス笑う２人に未刀は
「な、なんだ？」
と首を傾げる。
「甘いモノ好きなのね？」
「わ、わるいか……」
少し照れている未刀。
思わず他のケーキを頼みたくなってそうな瞳をしている。
「いえ、そうではないわ。とても幸せそうだから」
茉夕良が言う。
「同感だ」
落ち着いて義明が首を縦に振った。
「……」
昔はバクバク食う方だったのか、味わって食べている未刀。
其れが美味しそうに食べているので義明も茉夕良も驚いている。
義明は、極度の甘党というわけではないが、此処の紅茶が美味しいと味わっている。
茉夕良がお互いの緊張をほぐすと、
「お互いに興味持っているのはわかるの。実は私も、話してくれないかな？」
と言った。
「「どうする？」」
義明と未刀がハモった。
それが可笑しくなったため、３人は笑い、簡単に話を
説明すると、義明は生まれながらにして一足飛びで神の力を得ており、家族から捨てられたと言うこと、未刀はその逆で、退魔の家系に生まれ、才能に恵まれてはいたが、腐りきった衣蒼家を捨て、自分の力も呪っていたが、あるきっかけで本来あるべき退魔行を行っているという。
「そうなんだ」
茉夕良にとって別段驚くことはない。
魔都東京ではこういう存在は良くいる。石を投げればどんな能力者にでも当たるというわけではない。夜、魔物が活動する時間に入れば、そうでもないのだ。
しかし、此処まで対照的な２人と出会えたのが少し興味を持った。
おそらく、義明も未刀も同じ思いだろう、と茉夕良は思う。
「さて、ご馳走様」
義明が礼を言う。
「いえ、助けてくれたお礼よ」
茉夕良は笑う。
「此処のケーキはうまい……ご馳走様」
未刀もぺこりとお礼を言う。
「あ、コレ名刺ね」
と、茉夕良は２人に名刺を渡した。
「「ヴァイオリン弾きか」」
と、また同時に言う。
「双子みたいね」
クスクス笑う茉夕良。
「確かにタイミングが」
「いつも合うな、あって間もないのに」
２人は笑った。
「不思議だな。あ、俺携帯と……あった。天空剣道場の名刺」
「俺は携帯だけだな……滅多に使わないので着信オンリーだが」
と、ぱっぱと携帯で連絡先を記憶する。
「又会いましょうね」
「「ああ」」
茉夕良はケースを大事に持ち、手を振って町中に消えていった。
「ま、縁があるだろう」
と、義明が言う。
「そうだな、今度手合わせ願おうか」
未刀。
純粋に剣を振って見たい好奇心。
剣客か剣士はそう言うものだ。
「お前酒飲める？」
「未成年同士だろ？ ヤバいのではないか？」
「師や周りが酒好きなんだ」
と、まるで昔からの友人のように話をしながら、２人も人混みの中に消えた。
To Be Continued
■登場人物
【4788 皇・茉夕良 16 女 ヴィルトゥオーソ・ヴァイオリニスト】
【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋（家離反）】
【NPC かわうそ？ ？ ？ かわうそ？ 今回臨時に婦警さんの襟巻き？】
■ライター通信
滝照直樹です。
『神の剣 異聞 Invisible Blade １』に参加して下さり、そして初参加ありがとうございます。戦いもなく、平和に事が進みましたので一安心です。
２話目は基本的に３人で遊ぶと言う感じになると思います。
｜Дﾟ) にゃん♪
通信になんかいますが気にしないで下さい。
では、またの機会に。
滝照直樹拝
｜Дﾟ;)！ なんと！
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