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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 1 黒崎狼編

 織田義明はなにか違和感を覚えていた。
 平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
 今の状態は満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
 と、独り言。
 一人暮らしをしてから数ヶ月。
 先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
 このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
 さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう?
 神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか? 考え方が異なるから敵対するだろうか?」
 義明はそう思った。
 
 
 数日後……

 毎度の事ながら退魔行を任された義明は、戦いの中で一人の少年と出会った。
 戦いが住んだ後……お互いが見る。
 歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ?」」
 同時に喋った。
 緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……?」
 義明が、“彼”の能力(一部だが)を見る……。
「見えるのか? あんたこそ…その刀はなんだ?」
 少年が喋る。
 おそらく義明の「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
 彼が警戒してもおかしくはない……。
  
 この緊張感のなかあなたはどうする?


〈一休みの合間に〉
 黒崎狼は友人である未刀と共に悪霊退治をしていた。
 数は多く、質が悪かったが、2人がかりであれば簡単に済んだ仕事。
「じゃ、暖かいもんかって来る。そこ動くなよ」
 と、狼は未刀に言う。
「ああ、わかった」
 返事だけ返す、未刀。
 じっとさせていた方が良いのだ。
 何せ、世間知らず。

「確か彼奴コーヒー飲んだこと無いよな?」
 と、冬場になるとジャンバープレゼントキャンペーンになる有名どころの缶コーヒーを2つ買って、路地裏から黒い翼で飛ぶ。
 “力”が2つ……。
 ひとつは未刀の霊気だが、もうひとつは、いわゆる“神”の力だ。
「おいおい、まてよ」
 急いで飛んで帰る。
 いくら、未刀の力でも神を封じることは無理だろう。抑止力として働くなら尚更だ。
 上空からの景色。暗闇の中でなら見えないであろうが、未刀が対峙している相手が青白く光っているので、ハッキリわかる。しかし、今の状態で、いきなり間に入れば、合図になって戦いになると勘でわかった。
 しかし、相手に少し見覚えがある。
「あれ、織田じゃないか?」
 狼はホバリングして、少し考える。
 数度しか会っていないが、かなり良いヤツと覚えている。
 腐れ縁か親友の死神が良くライバル視していることも聞いている。
 狼は義明よりあの小麦色と縁がある。そこから、聞いていてもおかしくはない。
「見た感じでは、未刀が警戒しているだけだな……」
 と、狼は判断した。
「おい、緊張するな」
 と、上空から大声をかける狼。
「……狼?」
 未刀が気付く。
「連れがいたのか。……ああ、久しぶりだ。たしか、黒崎狼?」
 義明は“水晶”を納刀して、“消した”。
「ああ、覚えてくれて嬉しい」
「「知り合い?」」
 同時に義明と未刀が狼に訊いた。
「そうだ。ほれ、コーヒーだ。ここでは立ち話も何だから」
 と、狼は2人にコーヒーを差し出した。
 未刀も、安心したのか、“未だ見ぬ刀”を収めた。

「ありがとう」
 義明はコーヒーを手に取る。
「??」
 不思議に思う未刀。
 ジュースは飲んだことはあるのだが、コーヒーは飲んだことがない模様。
「前に飲みたいって行ったコーヒーだ」
「あ、そうか」
 おずおずと、未刀は受け取った。
 しかし、プルタブの開け方がわからないようだ。
「おいおい……」
 苦笑する狼。
「あ、思い出した」
 と、未刀はプルタブを開けて、飲む。
「……苦……」
 コーヒー自体飲んだことがないらしく、初体験だった模様。
「そんなに苦いか?」
 狼と義明は首を傾げた。
――衣蒼の家にいたときは日本茶しか飲まなかったんだろうか?
 と、狼は思った。

「誰! そこにいるの!」
 女性の声。
「やば! 警察!?」
 狼が焦る。
 目はかなり良い方だ。
「逃げるぞ!」
「ああ!」
 義明はすぐに反応。しかし未刀は何がなんだかわからない。
「ああ、もう!」
 狼が未刀の手をとって闇夜の空に消える。
 義明は、常人以上の跳躍力でその場から去っていった。

「いた気配がする……」
|Д゚) にゅ?
 婦警さんがたどり着いたときには、誰もいなかったが、小麦色の生き物が犬のように何かを嗅いでいる。
「かわうそ? くんわかる?」
|Д゚) ……
「……知っていそうな顔しているよ?」
|Д゚) にゅ
|Д゚) 悪霊のたまり場
「……え?」
|Д゚) ゆきのん、よく“見る”
 ゆきのんと呼ばれた婦警さん――氷雨雪野――は辺りを見渡すと……。
 “有りもしない”ものを見てしまった。
 浄化された悪霊群の“痕跡”……
 路地裏で雪野の悲鳴が響いた。
|ДT) く、くるしいぃ!
 因みに雪野に首を絞められているナマモノであった。
|ДT) (流石によっしーや狼いたとかいえない……)


〈逃げた後〉
 闇夜のカラスとは良く言ったもので、狼と未刀は巧く隠れ、その場から逃げた。
 場所は、あやかし荘近くの公園。
 2人とも、息が荒い。
 そして、その後ろには義明が闇から現れる。
「かわうそ? がいたよ」
 義明がそう告げる。
「そうだったのか? それなら、焦る必要なかったな……」
 狼は目を丸くする。
「いや、あれは……気分次第で俺たちを困らせる。悪いヤツじゃないが」
「た、確かにそうだった」
 2人とも溜息を吐いた。
 狼はあれと愉快な生物たちにからかわれた苦い経験があるが弟とかわうそ?の関係が哀れであるのだ。
 未刀は“かわうそ?”が何なのかわかっていないが、アレを説明するには骨が折れるので対面させた方がいいだろう。
「じゃ、改めてお互い自己紹介するか? 俺は黒崎狼だ。」
 と、ベンチに腰をかけて、狼が2人に言った。

 自分の名前と、出生や今まであったことを話していくうち、3人は意気投合していった。
 神秘のではないが神秘の力を得て、家族に捨てられた者。神秘の出で神秘の力を持っているが家を捨てた者の会話。何故かしら、通じるところがあったのか。未刀は珍しく穏やかな顔をしている。狼には其れが少し嬉しかった。
 ただ、未刀は2人の会話の中で首を傾げることがあるのだが、2人の言う一部専門単語がわからないだけで、それはしっかりフォローしている。
「俺は未刀に似ているけど、義明は全く正反対だな」
「「そうだな」」
 狼が言った時、また義明と未刀が同時に言った。
 会話中、その事が何度もあった。
 気が合うというか、魂の質が一緒なのか?
 此処まで反応のタイミングが同じというのは面白い。
 思わず、3人は笑ってしまった。
 近くに義明のアパートがあると言うことで、一寸コンビニでジュース(少しお酒)とお菓子(スナック菓子の他ケーキ系なのは未刀が欲しがった)を買ってから、向かっていった。


〈朝〉
 狼と未刀はいいにおいで目が覚めた。
 時計を見ると、もう12時。
「かなり夜更かししていたのか?」
 ぼうっと考える狼。
「頭が痛い」
 何かうなされている未刀
「あんたが酒に弱いなんて知らなかった」
「酒飲んだこと無いんだ」
 と、未刀は頭を抱える。
「起きたか?」
 何か相変わらずのボケッとした顔に洗いざらしのジーンズに黒トレーナー。そこに小麦色の謎生物がプリントされているエプロンの義明が顔をだす。
「義明、あれだけ飲んで大丈夫なのか?」
 狼は訊く。
「酔いはするけど、二日酔いはこのところ無いね」
「ああ、やっぱり酒豪か」
 狼は昨日のことを思い出した。
――彼の台所にはかなりの数の大吟醸やウィスキーがあったな。どうやって手に入れているのか想像付くが……。
「ほい、これ遅いけど朝飯な。俺は既に朝飯食って、鍛錬したし。でも一緒に食うよ」
「何だかんだ言って、すごいな」
「くらくらするー」
 感心する狼にまだ頭痛に悩まされる未刀。
 狼は只眠って何ともないが、未刀はくらくらしている。
 しかし、未刀も目の前の暖かいそうめんみそ汁(トリ肉を具に葱を少々)に食欲があると腹を鳴らした。
「気にするな。食べやすいモノにしたし。二日酔いに効く薬を渡しておくよ」
「あ、さんきゅ……」
 ちっこいテーブルに3人分の食事が並ぶ。
「いただきます」
 3人はそう言って、暖かい遅いご飯をいただいた。


 そのあと、良く3人は出会うことになる。
 それはのちのお話し。


To Be Continued


■登場人物
【1614 黒崎・狼 16 流浪の少年(『逸品堂』の居候)】

【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】
【NPC 氷雨・雪野 22 女 婦人警官】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 1』に参加して下さり、そして初参加ありがとうございます。
 無事、仲介もでき平穏な朝(?)を迎えました。
|Д゚) ←今度何か奢って貰おうとおもっているような顔の小麦色

 何かまたいますが、何れ、遭えるでしょう。

|Д゚) ←ほんじゃまたねとか思っているらしい。

 では、機会が有れば2話にお会いしましょう。

滝照直樹拝