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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


虹彩の砦


●序

 きらきらと、光る。光り、光……与えて欲しい。


 涙帰界に、鐘の音が鳴り響いた。それにいち早く気付いたのは、穴吹・狭霧(あなぶき さぎり)だった。
「力が、具現化したのね」
 涙帰界は、狭霧とヤクトの力が具現化する世界だ。具現化しなければ、飛び散っていった力は回収できない。歯痒い構造だと、狭霧は苦笑する。
「早く回収して、ヤクトを止めなければ」
 ぽつり、と狭霧は呟いて歩き始めた。掲示板を見に行く為に。

 そのすぐ後に、ヤクトがにやりと笑った。鐘の音に気付いたのだ。
「やっと動きやがった……」
 本能のままに、破滅だけを考えていた。だが、その為には力が全く足りない。狭霧に封じ込められていた所から逃げ出した時に、散らされてしまったヤクトの力が。
「今度こそ、頂くぜ」
 にやりとヤクトは笑うと、たんと地を蹴って掲示板へと向かうのだった。

 掲示板には、いつものように張り紙がしてあった。アヤ、と名乗るその字は、たどたどしい子どものようであった。
『ちから、ほしい人。Eブロック、来て。ひかりを、連れて――アヤ』
 Eブロックは、真っ暗な森のブロックだ。全てが闇に抱かれたかのように、真っ暗な場所であった。


●ひとつ

 暗い、位、くらい……哀しい。


 守崎・北斗(もりさき ほくと)は辺りを見回し、ひゅー、と小さく口笛を吹いた。
「また来ちゃったのか」
 苦笑を交えつつ呟き、北斗はうーん、と伸びをした。背中が伸ばされる感覚が、妙に気持ちいい。
 どうしてこの場に再び足を踏み入れたかはわからない。だが、来たからには目的だって自然と生じる。
「じゃ、また狙ってみっか」
 にやりと笑いながら北斗は呟くと、掲示板へと向かって行った。この世界に於いて、まずは掲示板をチェックするのがルールだからだ。
「ナニナニ?……あー……光?」
 張り紙を見た瞬間、北斗の顔は歪んだ。その抽象的な言葉に、思わず考え込んでしまうからだ。
(光って言われても……閃光弾、とか?)
 違うよなぁ、と呟きながら北斗は考え込む。閃光弾ならば、ぴかっと光って綺麗だろう。むしろ光そのものと言って良いだろう。
「そうじゃなかったら……花火とか?」
 そう呟き、北斗は「あ」と何かに気付いた。ゆっくりと両手を広げ、目を細めた。ゆらゆらと揺らぐ、炎のようなものが見えた。
(それも、アリだよな?)
 北斗はにやりと小さく笑い、ぎゅと両手を握り締めた。途端、目の前で揺らめいていた炎のような光が、ぱっと消えてしまう。
「そういや、兄貴も来ているんだろうな」
 ぽつりと北斗は呟き、考える。もしも兄ならば、どのような行動をするだろうか、と思案しつつ。
 そして一つの場所を思いついた北斗は、ゆっくりと歩き始めた。苦笑すら交えつつ。


 茸研究所に足を踏み入れようとした瞬間、同時にやってきた人物を発見した。
「……あら」
 シュライン・エマ(しゅらいん えま)は呆気に取られていた。
「……シュラ姐」
 同様に呆気に取られながら、守崎・啓斗(もりさき けいと)がまじまじとシュラインを見ていた。
「兄貴は想像できたけど、シュラ姐まで来てるなんてな」
 かかか、と北斗は笑いながら言った。
「私は逆に、啓斗君は想像できたけど北斗君は想像できなかったわ」
 苦笑しながらシュラインは言う。その言葉に、北斗は「それはさ」と口を開く。
「俺、兄貴なら絶対ここに来ると思ってさ」
「絶対、といわれて本当に俺がここに来たのが、何となく悔しくなるような発言をするな」
 啓斗はそう言い、苦い顔をした。
「二人とも、光鈴茸さん?」
 シュラインが訪ねると、啓斗と北斗はこっくりと頷いた。
「俺は他にも候補を持ってるけど」
 北斗はそう言い、ちらりと啓斗を見た。啓斗も北斗をちらりと見、溜息をつく。
「俺は、これ以外に殆ど思い浮かばなかったんだ」
「光を連れて、ですものね」
 シュラインは苦笑する。光を連れてくる、というのは中々にして難しいような印象を受けてしまう。
 その時、後ろの方でりん、という音が響いた。三人は一斉に音のした方に振り返る。
「……あら、早いのね」
 シュラインはにっこりと笑い、後ろにいた光鈴茸を見つめた。啓斗の手が一瞬妖しげに動いたが、それ以上は動かなかった。
「今回は、捕獲目的じゃないし……」
 ぼそり、と呟いたが、幸運な事に誰の耳にも届かなかった。
「なあなあ、ちょっと一緒に来てくれねーか?」
 北斗が光鈴茸に話し掛けた。すると、光鈴茸は暫く考え、傘を横に振った。
「何で駄目なんだ?……何も、力ずくに連れて行くとは言っていないんだぞ」
 妙に迫力のある言い方で、啓斗は言った。だが、やはり光鈴茸は傘を横に振った。
「……どうしても駄目なの?」
 シュラインが尋ねると、光鈴茸はこっくりと頷いた。
「何でだ?」
「無理に連れてったら駄目な訳?こいつ」
 啓斗が真剣な問い掛けをする中、北斗は光鈴茸を指差してきっぱりと言った。シュラインは「こら」と言いながら苦笑する。
「無理強いは駄目よ。……どうしても駄目なら、仕方ないわ」
 シュラインがそう言い、啓斗と北斗を促した。……と、その時だった。光鈴茸はぴょんと飛び上がり、三人の真ん中に飛び出して何かをちょこんと置いた。
「……まあ、可愛い!」
 それは、ぴかぴかと光る小さな茸だった。掌にちょこんと乗るような、赤ちゃんの光鈴茸。
「……これ、栽培できるかな?」
 真剣な眼差しで小さな茸を見る啓斗に、北斗は「兄貴……」と悲しそうな目を向けた。
「シュラ姐、さっさとそれ持って行こうぜ」
 北斗は啓斗の背を押しながらそう言い、にかっと笑った。シュラインは光鈴茸の方を振り返り、にっこりと笑う。
「有難うね」
 光鈴茸はこっくりと頷いた。そうして三人は、改めてEブロックへと向かうのだった。


●かぎり

 求める、何かを。助けて、誰かが。ここは……ここは……。


 Eブロックには、結局6人が集結していた。Eブロックの入り口だという情報の場所に来たのに、入り口が見つからないので待っていた、というモーリス・ラジアル(もーりす らじある)、月宮・誓(つきみや せい)、月宮・奏(つきみや かなで)の三人。そして、今やってきたシュライン、啓斗、北斗の三人である。
「おや、シュラインさん。何を連れているんです?」
 モーリスが、シュラインが何かを持っているのに気付き、尋ねた。
「可愛いでしょう?光鈴茸ちゃん」
 シュラインが掌を差し出すと、その上にいた小さな茸の光鈴茸はぺこりと頭を下げた。ちりん、という可愛らしい鈴の音と共に、傘の部分が豆電球のようにふわりと光った。
「光、と聞いてそれを連れてきたのか」
 まじまじと茸を見つめながら、誓が言った。
「それくらいしか、考えられなくてな」
 苦笑しながら、啓斗が答える。
「可愛いね」
 微笑を浮かべながら見つめる奏に、北斗は「でも」と言いながら口を開く。
「食いではないけど」
 北斗の言葉が発せられると同時に、じろりとシュラインが睨みつける。
「駄目よ、北斗君。この子はアヤちゃんに会わせる為に連れてきたんだから」
 シュラインはそう言い、北斗を宥めた。北斗は「わーってるって」と言いながら、苦笑した。
「まだ、入り口は開かないのか?」
 啓斗は森の方を見つめながらそう言うと、モーリスは「そうでうね」と言いながら森を同じように見つめた。
「ここが入り口、という情報に間違いは無いと思うんですが……」
「無理矢理にでも入ったらいいんじゃねーの?」
 北斗がそう提案すると、モーリスと奏が一斉に誓を見て、くすりと笑った。誓は苦笑しながら「やれやれ」と呟く。
「……あ」
 ぽつり、と奏が呟いた。皆、一斉に奏の見ている方向を見た。
 そこには、小さな女の子の影があった。長い黒髪のシルエットが見える。女の子は手をゆっくりとあげ、6人に向かって手招きした。
「……アヤ、か?」
 誓は少女に問い掛ける。だが、少女は何も言わぬまま、またすっと森の中へと消えていってしまった。
「ともかく、行くしかないみたいだな」
 啓斗はそう言い、皆を見回した。皆、こっくりと頷く。すると、突如森がさあ、と開けた。入り口である。
「待ってましたと、言わんばかりですね」
 モーリスは苦笑しながらそう言い、入り口へと向かった。続いて、他の五人も足を踏み入れていく。
 アヤの待つ、森の中へ。


 森の中は外から見たのと同じように真っ暗で、鬱蒼と茂った木々に囲まれていた。
「これじゃあ、確かに光は必要かもしれないわね」
 シュラインはそう言い、掌の光鈴茸を見つめた。掌の上でほわほわとした光を放っている茸は、小さく頷く。
「いっそのこと、懐中電灯とか持ってくれば良かったかもしれないな」
 誓はそう言い、辺りを見回した。一本道を進んでいるのだが、生い茂っている木々のせいか、歩いていも歩いても同じ風景が続いている。
「足元は見えるようですけどね」
 モーリスはそう言い、小さく笑う。「それと、情報として真っ直ぐ、とありますし」
「俺らは結構平気だけど、足元には気をつけたほうがいいと思うぜ。なあ、兄貴」
 北斗はそう言うと、啓斗がこっくりと頷いた。忍者である彼らにとって、森の中くらいの闇ならば、夜目が利くのかもしれない。
「何で、アヤはこんな所にいるのかな?」
 ぽつり、と奏が呟いた。暗い森の中にいるなんて、理由でもあるのだろうか、と思ったのだ。
「ヤクトか狭霧の力が具現化しているから、どちらかがこういう経験をしたのかもしれない」
 啓斗はそう言い、溜息をつく。
「状況から見たら、どっちでもありえるけどね」
 シュラインはそう言い、ぴたりと足を止めた。少しだけ、開けた場所に着いたのだ。6人は辺りを見回すが、周りには何も無かった。
 今来た、道さえも。
「……ひかり」
 突如、少女の声が聞こえた。皆、はっとして辺りを見回す。すると、6人の目の前に、入り口で見た黒髪の少女が現れた。黒い瞳に、6人をそれぞれ映すかのように、少女は皆を見回した。
「ひかり、連れてきた?」
「アヤ、ですか?」
 モーリスが尋ねると、少女はこっくりと頷いた。
「アヤ、頼んだ。ひかり、連れてきて」
 アヤはそう言い、一人一人の前をゆっくりと歩いた。それぞれを見つめ、それから俯く。
「……ひかり……」
 アヤは再びそう言うと、ゆっくりと手をあげた。そして、突如闇が皆を包み込んだ。
 一瞬の内に、6人は闇の中へと引きずり込まれてしまったのだった。


●りだつ

 いつまでも、閉じ込め。塞がれ。消える。……思いも。


 北斗はがしがしと後頭部を掻きながら、辺りを見回した。周りの景色など何も見えぬ、真の闇。夜目の利いていた、先ほどまでの闇とは比べ物にならぬ。
「なんだかなぁ」
 ぽつり、と呟く。誰の気配も感じられない、というのも変な感じがしてならなかった。勿論、啓斗の気配も。
「全く……」
 再び呟く北斗の耳に、突如「ひかり」という声が響いてきた。アヤの声だ。
「あー?なんだよ」
「ひかり」
 闇の中から、アヤが現れた。北斗はそれを見て、うーん、と唸る。
「光って言ってもな、何が良いんだ?閃光弾か?」
 北斗はそう言い、試しにひょいと閃光弾を投げた。闇の一部がピカっと光ったが、ただそれだけだった。アヤは無反応である。
「ち、違うのかよ。……ええと、じゃあ……これならどうだ!」
 北斗はそう言うと、一つ息を大きく吸い込み、ぐっと力を込めた。すると、両手が炎に包まれ、一つの火球となり、そしてゆらゆらと上へと昇って弾け跳んだ。まるで、花火のように。
「どうだ、カンエの力だぜ?」
 北斗は誇らしげに言った。以前、涙帰界で手に入れた、炎の力である。だが、相変わらずアヤは無反応だ。
「あー……もう一つのやつだったら、駄目だぜ?俺が光って思うもんだろ?」
 アヤは答えない。北斗は「ちっ」と舌打ちをし、大きな溜息をついた。
「替えがきかねーもんは、駄目だ。却下。他のもんならさ、しゃーねーなって諦められっけどさ」
「ひかり……」
「そ、光だろ?だからさ、却下な?だってさ、兄貴持ってかれちゃ俺、どうすりゃいいんだよ?飯とか……じゃなくて、その、だな……」
 北斗はそう言い、途中で「がーっ!」と叫ぶ。
「あーもう、当の兄貴にも言ってねーってのに、なんであんたに言わなきゃなんねーんだよ!」
 北斗はそう言うと、そっと懐から閃光弾を取り出す。
「てことで、兄貴は却下。それ以外のもんで満足すんなら、力と交換してくれねー?」
「……ふっ」
 突如、アヤが笑った。あははは、と大声で。
「汝が光は、根底にある。そして……軽きものにも」
「……言葉、変だぜ?」
 ぽつりと北斗は言ったが、アヤは気にしていないようだった。そしてゆっくりと闇の中に溶けて行った。途端、闇はゆらりと揺れ始めた。辺りの風景も、だんだん目に見えるようになってきた。
 ゆっくりと、だが確実に。


 闇が明けると、再び元の場所にいた。鬱蒼と生い茂る木々は変わる事なく、またちゃんと6人全員が揃っていた。
「……見せて貰った」
 皆の真正面に立っていたアヤが、ぽつりと呟いた。それにはっとし、皆は一斉にアヤの方を見た。アヤは皆を見回し、それからにっこりと笑った後、姿を消してしまった。
 その途端、ゴゴゴゴ、という大きな音が響き、森全体がぐらぐらと揺れた。
「逃げましょう!」
 モーリスの言葉によって、皆一斉に森の外へと向かって走った。中央部に辿り着いた時には消えていた一本道も、また元通りに戻っていた。
「……森が」
 ぽつり、と誓が呟いた。森は、爆音と共に一つに纏まろうとしていた。ちょうど中央辺りの上空に、ぽっかりと光の球体を浮かべてぐるぐると回っていたのだ。
「ワタアメみたいだな」
 ぽつり、と北斗が呟く。皆、思わず苦笑を漏らしていたが、目の前の光景は正にワタアメをまとめる時のそれに酷似していた。
 そうして、一つになってしまった球体は少しずつ小さくなっていき、野球ボール位の大きさになったところでふわふわと動き始め、シュラインの手の中にぽたり、と収まった。
「……これが、アヤ?」
 シュラインは手の中の光をじっと見つめながら呟く。その光の球体は、淡く赤く光っていた。
「ヤクトの力みたいだな」
 ぽつり、と啓斗が呟いた。赤き光がヤクトの、青き光が狭霧の力だ。
「ならば、彼は寂しかったんでしょうね」
 モーリスは光を見つめながら、そっと呟いた。
「光を、欲していたのかな?」
 奏も光を見つめ、そう言った。アヤの言動から、そうとしか思えなかったからだ。
「本来の持ち主に返すのが筋だが……渡すと危険だろうな」
 誓は光をじっと見ながら呟く。その呟きにシュラインと奏、そしてモーリスが頷いた。
「じゃあ、狭霧さんに渡しましょうか」
 シュラインはそう言い、皆を見回した。啓斗と北斗だけが少しだけ唸り、それから諦めたように頷いた。
「ま、しゃーねーか。その光は、シュラ姐のところにいったんだし」
 北斗がそう言うと、啓斗もそれに同意したかのように頷いた。
「ヤクトさんは、どうも好戦的ですからね」
 モーリスはそう言い、苦笑した。
「……森、無くなったね」
 じっとEブロックのあった場所を見つめていた奏が、ぽつりと呟いた。その声に、皆が一斉にEブロックを見つめた。
「でも、光には包まれるようになったわ」
 シュラインはそう言い、そっと微笑んだ。皆もそれに頷く。
 鬱蒼と茂っていた木々は無くなり、代わりに柔らかな草が生え、所々で花が咲き、朝露を得たかのようにきらきらと光っていた。
 求めるまでもなく、光がその場所を包み込んでいたのであった。


●終

 様々な、ひかり。色々な、ひかり。……今はもう、手に入れている。


 狭霧は柔らかく青色に光っている手の甲を見つめ、そっと息を吐き出した。
「これは、ヤクトの力。……闇に囚われる、ヤクトの心」
 青い花はじわじわと光る。狭霧を内側から苛めるかのように。だが、同時に狭霧は力を感じていた。暖かな波動のような力を。
「優しい光を、手に入れたみたいですね」
 手の甲の花に向かって、狭霧はそっと微笑んだ。誰に聞かせるわけでもない呟きではあったが、手の甲の光がふわりと光ってそれに答えたかのようだった。


 一方Eブロックで、がん、と地面を殴りつけるヤクトの姿があった。
「忌々しい」
 ヤクトはギリ、と奥歯を噛み締めた。いつも乗り遅れているような感が拭えずに居た。今回は特に、自分の持っていた力だというのに。
「あれは、俺の力だった」
 ギリギリと握り締めた拳も、震える全身も、どれも怒りに満ちていた。力を得損ねた事もだが、同時に自分が持っていた闇を知ってしまったことに関して、特に。
「だが……俺が、闇を抱えていただと?」
 笑わせる、とヤクトは呟く。本能のままに破壊をするのが自分の役目だというのに。
(闇なぞに怯え、光を求めつづけたアヤという存在。あれが俺の力の一部だと?)
 本当にそのようなところが自分にあったというのだろうか?
(……分からねぇ)
 ヤクトはぐっと拳を握り締める。もう二度と、分かる筈の無い感情だ。既にその感情は、力と共に狭霧の方に行ってしまったのだから。
「分かるはずがねぇだろう……!」
 ヤクトは叫んだ。Eブロックには、既に鬱蒼と茂っていた木々は無い。アヤという力の具現も無い。ただあるのは、柔らかな陽射しを受けて輝く、土地が残っているだけだ。
「俺が、光が欲しいだと?光が……光が……!」
 ヤクトは「うおおおお」と叫んだ。声にもならぬ腹からの叫び声は、涙帰界内に響いていった。
 既に得る事無い感情を、存在から打ち消そうとするかのように。

<虹彩に輝く砦が残り・了>

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【 0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 /翻訳家&幽霊作家+草間更新所事務員 】
【 0554 / 守崎・啓斗 / 男 / 17 / 高校生(忍) 】
【 0568 / 守崎・北斗 / 男 / 17 / 高校生(忍) 】
【 2318 / モーリス・ラジアル / 男 / 527 / ガードナー・医師・調和者 】
【 4767 / 月宮・奏 / 女 / 14 / 中学生:癒しの退魔師:神格者 】
【 4768 / 月宮・誓 / 男 / 23 / 癒しの退魔師 】

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■         ライター通信          ■
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 お待たせしました、コニチハ。霜月玲守です。この度は「虹彩の砦」にご参加いただき、有難う御座いました。
 今回は久々の力争奪戦という事でしたが、いかがだったでしょうか?ちょっと分かりにくかったのでは、と反省しております。といっても、皆様素敵なプレイングでしたので、大丈夫だったのかな?と思いました。本当は、もっと具体的な「ひかり」(懐中電灯とか、ライトとか)を出してこられるだろうと思っていたので、プレイングを見てびっくりしました。
 守崎・北斗さん、いつも参加してくださって有難う御座います。カンエの力、使ってくださり有難う御座いました。が、あまり派手ではない地味な使い方ですいません。そして茸。愛してくださって有難う御座います。
 今回の話は、個別の文章になっております。お時間がありましたら、他の方の文章も見てくださると嬉しいです。
 ご意見・ご感想等、心よりお待ちしております。それではまたお会いできる、その時迄。