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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


調査コードネーム:大熊猫−大熊=猫
執筆ライター  :ゆうきつかさ
調査組織名   :界鏡現象〜異界〜
募集予定人数  :1人〜3人

------<オープニング>--------------------------------------

●大熊猫−大熊=猫
「何だよ、今度は? ‥‥またパンダか?」
 パンダ依頼には懲り懲りしたのか、鬼頭・一哉(きとう・かずや)が溜息を漏らす。
「今度は猫よ! パンダは大熊猫って書くから、猫つながりね」
 軽く冗談を言いながら、久遠・美麗(くおん・みれい)が一哉の背中をポンと叩く。
「何だよ、その妙なネットワークは……」
 心底疲れた表情を浮かべ、一哉が使い慣れない言葉を使う。
 ちゃんとした意味を理解しているわけではないため、一哉の脳裏にはネットで通信をしている猫とパンダがポカンと浮かんでいる。
「……ネットワークだったの?」
 キョトンとした表情を浮かべ、美麗が驚いた様子で一哉を睨む。
「いや、知らんけど……。そういう依頼ばっかりだろ、最近さ」
 気まずい雰囲気になったため、一哉が視線を逸らして頬を掻く。
 何とかして彼女の頼みを断りたいとは思っているが、なかなかうまい言い訳が浮かんでこない。
「ひょっとして運命ってヤツ?」
 一哉の顔をマジマジと見つめ、美麗がハッとした様子で汗を流す。
「……やな運命だな」
 青ざめた表情を浮かべながら、一哉が頭を抱えて後悔する。
 このままのペースで行けば、ほとんど依頼は断れない。
「改造人間にとっては避けられない運命ね」
 一哉の心境を悟ったのか、美麗がぽふりと肩を叩く。
「いや、避けようと思えば簡単だろ」
 ポケットの中からライターを取り出し、一哉が煙草に火をつけ美麗を睨む。
「無理よ、諦めなさい。……借金があるから!」
 借用書をチラつかせ、美麗が怪しくふふりっと笑う。
「それって改造人間とか関係ないじゃん。……それで今回はどんな話なんだ?」
 ようやく観念したのか、一哉がおきな溜息をつく。
「猫を……捕まえてほしいの」
 一哉の両腕をしっかりと掴み、美麗が瞳を潤ませる。
「ん? 猫だぁ? んなモン、俺達じゃなくてもイイだろ?」
 鬱陶しそうに腕を引っ張り、一哉が不満げに愚痴をこぼす。
「駄目よ! だって、その猫……フツーじゃないモン!」
 不機嫌そうに立ち上がり、美麗が頬を膨らませる。
「んじゃ、ナニか! 猫が魔法を使ったり、二足歩行で逃げたりするのか!?」
 不機嫌そうな表情を浮かべ、一哉が喧嘩腰で美麗を睨む。
「正解!」
 満面の笑みを浮かべながら、美麗がパチパチと手を叩く。
「正解じゃねえよ! どんな猫だよ、そりゃ! 何か原因があるだろ、フツー」
 美麗の胸倉を掴むほどの勢いで怒鳴り、一哉が大袈裟にツッコミを入れる。
「それを探るのは私達じゃないわ。……何処かの偉い人達よ、多分」
 深刻な表情を浮かべ、美麗がボソリと呟いた、
「……何だか特撮の香り漂う依頼だな。とにかく猫を捕まえりゃいいんだろ。分かったよ」
 一哉も少し怒りすぎたと思ったのか、ガックリと肩を落として溜息をつく。
 目の前で揺れる借用書を眺めながら‥‥。

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●捕獲された宇宙人(違
「‥‥魔法を使う猫の着ぐるみ着た人、なんてオチじゃないでしょうね」
 苦笑いを浮かべながら、 シュライン・エマ(しゅらいん・えま)が猫を探す。
 鬼頭・一哉(きとう・かずや)達の探している猫は彼方此方で目撃されていた事もあり、それほど苦労する事も無く重要と思われる情報が色々と集まった。
「着ぐるみだと‥‥? そんなわけ‥‥あるかもしれねぇな。いや、俺が見た限りヤツは猫だったぜ。尻尾の先から足の先まで完璧に猫だった!」
 まるで『宇宙人を見た農民(USAヴァージョン)』のような表情を浮かべ、一哉が不満げな表情を浮かべて愚痴をこぼす。
 よほど猫を捕獲するのに手間取っていたのか、いつもより妙に熱くなっている。
「‥‥何だかやけに中途半端ね。そう言う場合は頭の先から尻尾の先まで猫だったっていうのが普通でしょ?」
 呆れた様子で一哉を見つめ、エマが疲れた様子で溜息をつく。
 一哉の場合、本気とボケの区別がつきづらい事もあってか、何処で突っ込んでいいのか分かりづらい。
「いや、言われてみりゃエマの言っている事も間違ってねぇんじゃねえかと思ってさ。百聞は一見にしかずって言うか‥‥脳ある鷹は爪を隠すと言うか‥‥つまりそう言う事だろ?」
 途中でわけが分からなくなったのか、一哉が気まずい表情を浮かべて話題をエマに振る。
「‥‥ごめんなさい。よく分からないわ。それに‥‥ことわざの使い方も間違っているし‥‥」
 気の効いたツッコミをする事が出来なかったため、エマが寂しそうな表情を浮かべて汗を流す。
「ご、誤解するなよ。これは一種のジョークさ。場を和ますためのシャレみたいなモノだな。はははははっ‥‥」
 だんだん気まずくなったため、一哉が乾いた笑いを響かせた。
 これ以上、場の空気が寒くなった場合、本気で立ち直れなくなってしまうため、一哉も本気でアセッている。
「‥‥泣きたい時は泣いていいのよ」
 うまい言葉が見つからず、エマがぽふりと肩を叩く。
「ちゃうわい! ちょっと目にゴミが入っただけさ!」
 そう叫んだ一哉の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
 ‥‥涙は心の汗である。
 そう言える状況に持っていく事の出来なかった自分自身を恥じながら‥‥。

●猫さんと一緒
「猫さん♪ 猫さん何処かなぁ〜?」
 近所の猫達を引き連れ、千影・ー(ちかげ・ー)がほてほてと辺りを歩く。
 猫達は千影に寄り添うようにして歩き、その中でも一番なついている猫は頭の上に乗っている。
「チカも猫さんになれてお空も飛べるけど、にほん足で歩くのはむりかもぉ〜?」
 猫の姿で歩いている自分を思い浮かべながら、千影がプイプイと首を横に振ってクスリと笑う。
 一緒に猫達も二本足で歩いてみようとしたようだが、うまく歩く事が出来なかったためバランスを崩してコテンとコケる。
「あははははっ、無理しちゃ駄目だよ。ネコさんの足は二本足で歩くようには出来ていないから♪ ‥‥と言う事はみんなの追っている猫さんは本物じゃないって事かな?」
 大きなハテナマークをピコピコさせ、千影が問題となっている猫の特徴を思い出す。
 見た目は猫と同じだが、それ以外は人間に近い猫‥‥。
 しかも依頼主は誰だか分からず、どうして猫を探しているのか、その目的すら分かっていない。
「猫さんだけど、猫さんじゃない‥‥ってコト〜?」
 余計にワケが分からなくなったため、千影が猫達と一緒に首を傾げて困り出す。
 猫達も色々とアイデアを出しているようだが、『これだ!』と断言出来る答えが出てこない。
「ひょっとして考えたら負けなのかな? 分からない事ばかりで、頭から煙が出てきそう‥‥。とにかくみんなと合流した方がいいかもね〜」
 苦笑いを浮かべながら、千影が猫達を連れて合流地点へとむかう。
 猫達は頭を使い過ぎてしまった事もあり、ぱたりと倒れてグルグルと目をまわす。
「だ、大丈夫〜? あんまり無理しちゃ駄目だよ〜。今回の依頼は猫さんの謎を解く事がメインじゃないんだしぃ〜」
 慌てた様子で猫達に駆け寄り、千影が優しく頭を撫でる。
 一緒についてきた猫達のためにも難しい事は考えない方が良さそうだ。

●縛るなら、ほどよく縛れ、ホトトギス(違)
「美麗サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン! 猫を、猫をハッケンしましたよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』のメロディに乗り、リュウイチ・ハットリ(りゅういち・はっとり)が戦隊もので言うピンクの如くタイツ姿で登場した。
「えっ、ホントに? 何処、何処?」
 リュウイチに抱きつくほどの勢いで瞳をランランと輝かせ、久遠・美麗(くおん・みれい)が嬉しそうな表情を浮かべて辺りを探す。
「にゃん!」
 それと同時にリュウイチがタイツの紐を引っ張り、頭に仕掛けてあった猫耳をピンと立てる。
「‥‥ぶっ殺していいかしら」
 リュウイチの目の前で振り上げた拳を止め、美麗がぎこちない笑みを浮かべて彼を睨む。
「じょ、じょ、冗談デスよ。だからもっとぶって! 蔑んだような目でリュウたんを見てえええええええええええええ!」
 美麗の目を見ているうちに何か別の感情が芽生えたのか、リュウイチがウットリとした表情を浮かべて彼女に迫る。
「こんな事をしても喜ばれるだけだと分かっているけど‥‥我慢出来ないわ」
 すぐさまバックの中からマイロープ(ショッキングピンク)を取り出し、美麗がリュウイチの身体をがんじがらめに縛り上げピシパシと鞭で叩く。
「さすが美麗サン‥‥。生かさず殺さずの精神が‥‥ス・テ・キ☆」
 幽体離脱しそうな表情を浮かべ、リュウイチが美麗の鞭さばきを褒める。
 美麗の使用しているロープは今までにも数多くの男達を縛り上げて来たものだが、まるで身体の一部であるかのようにリュウイチの身体にピッタリとフィットしているところが怖い。
「そんな事より猫、猫、猫っ! 猫を見つけたんデスよ〜! あっち、あっち!」
 絞られた状態のままピョンピョンと飛び跳ね、リュウイチが目と舌と顎を駆使して猫のいる場所を伝える。
「さすがね。‥‥急ぐわよ!」
 一哉と連絡を取るため携帯電話を取り出し、美麗がリュウイチの指差した方向にむかって走り出す。
「了解シマシタ! 美麗サンのためなら例え地の果て、海の果て!」
 ロープからにゅるりと抜け出し、リュウイチが美麗の後を追う。
 まるでサナギから蝶になるかのように‥‥。

●ファンタジーランド
「‥‥本当に猫を見つけたのか?」
 胡散臭そうにリュウイチを見つめ、一哉が不満そうに愚痴をこぼす。
 一哉はなぜかリュウイチをライバル視している事もあってか、彼が先に猫を見つけてしまった事にどうしても納得が出来ないらしい。
「失礼ネ! リュウたんを信じてないのっ!」
 一哉をジト目で睨みつけ、リュウイチが彼に文句を言う。
 リュウイチには犬並みの嗅覚がある(かも知れない)ため、一哉達の探している猫を用意に見つける事が出来たらしい。
「いや、信じているさ。確かに信じていいのか、たまに不安になる時はあるけど‥‥」
 未だに納得する事が出来ないのか、一哉が悔しそうな表情を浮かべる。
 そんな一哉の気持ちを知らず、リュウイチが派手な踊りで彼の心を逆撫でした。
「それって一体、どういう意味!? リュウたんを信用出来ないってワケ!?」
 踊りに妙なアクションを加えていき、リュウイチがプンスカと怒り出す。
「信じているさ。‥‥色々な意味でな」
 リュウイチの顔があまりにも近かったため、一哉が払いのけるようにしてぱちんと叩く。
「‥‥芸人同士通じ合うものがあるのね」
 生暖かい目で二人を見つめ、美麗が疲れた様子で溜息をつく。
 エマもまるで二人がそこにいないかのような雰囲気を漂わせ、途中で合流してきた千影と一緒に黙々と猫を探す。
「ひ、ひどい‥‥。そうやってみんなでリュウたんを苛めるなんて‥‥イイッ!」
 仲間達の生暖かい視線を浴びて昇天し、リュウイチの魂がランプの精の如く勢いで空をビュンと飛んでいく。
 著作権の都合で目張りの入ったランプの精を引き連れて‥‥。

●本当の敵
「ねぇ〜、見て、見て! ひょっとしてアレじゃないのかなぁ?」
 屋根の上を指差しながら、千影がニコリと微笑んだ。
 その横ではリュウイチの魂が楽しそうに飛び回っているようだが、千影の指差している場所とは違うため、とりあえず放置の方向で話を進めていく。
「どうやら間違いないようね。すぐに捕獲するわよ。逃げられる前に‥‥」
 双眼鏡を使って猫の姿を確認し、エマが息を潜めて接近する。
 問題の猫はエマ達の気配にすぐさま気づき、大袈裟に飛び上がると次々と弾けて全く別方向に逃げていく。
「ちょっ、ちょっと待って! 私達の探している猫ってトラ猫だったわよね? どうして長靴を履いた猫とか<テラ倫>とかいるの!?」
 著作権上マズイ猫には指差さず、エマが驚いた様子で汗を流す。
 大人の事情があるためか、猫によってはテケテケとモザイクまでかかっている。
「早く追いかけないと逃げられちゃうよ」
 一緒についてきた猫達を一斉に放ち、千影がエマ達にむかって声をかける。
 千影にはどうしても猫が悪い事をしているようには思えないため、エマ達に黙って逃がそうと考えているらしい。
「ハケッ、ハケッ、ハケッ、ハッケンしましたよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお。さっそく捕獲〜」
 本体がどす黒く変色し始めたのも気にせず、リュウイチが元気ハツラツな表情を浮かべて猫を追う。
 猫はいきなり羽根を生やして飛んでいったり、リュウイチの頭を踏み台にしながら逃げていく。
「や、やるわね。このままじゃ、逃げられるわ」
 ブロック塀を乗り越え屋根まで上り、エマがマタタビスプレー片手に猫を追う。
 そのため猫は二本足で走り出し、草むらの中へと飛び込んだ。
「逃がすわけにはいかねえんだよ。依頼主から前金も貰っているからな!」
 猫を追いかけて草むらに飛び込み、一哉が死に物狂いで猫を追う。
「もう止めよう。何か悪い事をしたわけじゃないんでしょ。猫さんが可愛そうだよ」
 一哉の足をギュッと掴み、千影が小さく首を振る。
「うわっ! ばふっ!」
 いきなり千影に足を引っ張られ、一哉が顔面をぶつけて鼻血を吹く。
「この依頼おかしいよ。絶対に‥‥」
 千影の言葉にエマがハッとなって動きを止める。
「ねぇ‥‥、この依頼人って誰だか分からないんでしょ? だったら今追いかけている猫が、依頼人の飼い猫とは限らないんじゃないの?」
 険しい表情を浮かべながら、エマが千影を抱き締め一哉を睨む。
 最悪の場合、自分達が利用されている可能性が高い。
「さあな! 借金を返すためには、依頼を選んでいる余裕はねぇよ!」
 不機嫌そうな表情を浮かべ、一哉が気まずく視線をそらす。
「本気でそう言っているの? よく考えて! 人として何が正しいのかを‥‥」
 ‥‥エマの言葉。
 それが一哉の胸にグサリと刺さった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/ PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 0086/シュライン・エマ/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
 3689/千影/女/14歳/ZOA
 2021/リュウイチ・ハットリ/男/36歳/『ネバーランド』総帥

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■         ライター通信          ■
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 どうも、ゆうきつかさです。
 お待たせしました、完成です☆
 最後は含みのある終わり方にしてみました。
 
 私信をくれた皆様へ☆
 お返事を書く事は出来ませんがありがとうございます☆
 これを糧に頑張りたいと思います♪