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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 4 黒崎狼編

 衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
 出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
 元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
 魂の友であり、兄弟だ。
 其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
 私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
 抑止の一、光刃の柱になっていようとも。

                               影斬・現世名 織田義明

 これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
 短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
 彼にとって、衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。

 彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。   
 あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
 それが、『何処か』に記されるだろう。
 彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。 



〈平穏な日々〉

 俺、黒崎狼は、義明と未刀で、こうのんびり日々を暮らしている。
 義明のガッコが終われば、3人でどこかに出かけているのがしょっちゅうだ。
 時には街の中をブラブラ歩いたり、義明の家で何だかんだ教えて貰ったり、未刀と義明の行動をみて俺はいつも気疲れする。
 未刀は世間知らずだが好奇心旺盛だし、義明は結構オタクと分かったし……何だかんだとこの2人に振り回されている感じの俺。

 ある日、義明の家。
 どうも、義明の趣味というのは“何かを作る事”みたいだ。
 義明は結構熱心に作っている。未刀は相変わらずぼうっとして空を眺めているようだし、
「ん? 義明、お前銀細工も出来るのか? この部屋の奥にあるビーズとかは何だ?」
「ああ、自分で作りたくなってね。ビーズとか、それは茜が勝手に置いているモノだ。一応“力”が篭もっているけどね」
「人外魔境か?」
「蓮の間に比べたら優しい方さ」
「行ったことはないけど確かに」
 

 のんびり、茶をすすって未刀と他愛のない話をしている間、義明はずっと作り続けていた。

「よし。出来た」
「出来たのだ」
「何作ったのだ?」
「前に壊しただろ? 逆十字の鎖とか」
「ああ、これか……」
 俺は未刀に言われ首に掛けている逆十字の首飾りを手にとって見た。
 前というのは、あの事件のこと。
 奇妙な塔での戦いで、封印の逆十字をぶら下げている鎖を引きちぎった。
 自分の真の力を封印するものだ。
 実際現物を引きちぎるだけなので、それほど困ったことはないのだが、
「首飾りの其れより力は落ちるけど、暫くは意識を保てる様にするのだけどね」
 封の技と、未刀の封魔の力をつかって加工してくれるらしい。
 其れを行って1時間が経とうとしている。

「そう、チャラチャラ下物は好きじゃないけど……」
「なに、目立たないよ」
 確かに目立つことはない銀の鎖で出来た腕輪。
 其れをまいてみたときに、
「あ、溶け込んだ」
「いざというときに役に立ってくれると嬉しいけどね」
「ああ、さんきゅ」
 ちょっと嬉しい。
 二人して心配してくれている気持ちがこの腕輪から感じ取れる。


〈常花の館〉
 常花の館。
 此処はヤッパリ落ち着く
 未刀や義明達にも気に入ってもらえた。

――俺は良く此処に行くのだけど。

 菩薩樹の下にテーブルと椅子を持ってきて、木陰で義明と未刀と茶を飲みながら何もかも忘れて他愛のない会話をしようと思った。
 此処にはもう一匹良く来るヤツが居るが

|Д゚) 
 あの小麦色が居るのだが、
|Д゚) 動けません
|ДT) ヘルプ!
 ここの主の植物に雁字搦めにされている。
 これもいつもの光景だし、無視しておこう。
|Д゚) なんと!

「息抜きなのに、何故勉強道具取り出すのだよ」
「いや、落ち着いて勉強できるかなって、今のうちに宿題……」
 義明は学校の帰りなので此処でさっさと済ませるらしい。
「家でしない癖に。茜から聞いたぞ」
 未刀がつっこむ。
「なに、直ぐ終わるし」
 まあ、コイツのことだから直ぐに終わるのだろうけど、
 未刀は何でもかんでも聞きたがるから……。
 何故ここで勉強会になるのか……
「で、あるから……」
「ふむふむ」
 俺も少しは勉強した方がいいかとその中に入る。
 未刀もかなり真剣だし、
 流石剣の師範代位をもつ義明の教えは巧かったので、其れ程好きじゃない(嫌いの部類に入る)勉強が楽しい。これで未刀が打算的になったら少し悲しい気もするが、世間を知る事で彼がどうなるか楽しみなことはある。

 一段落ついて
「お茶をするか」
「そうだな」
 と、3人でぼうっとして周りを見渡した。
 花が咲き乱れる所。
 都会の喧噪から離れ、こうしてゆっくり出来るのはよい。
 紅茶を飲んで、ほっと一息
「なんか、年寄り臭いなあ狼は」
「義明、お前に言われたくない。お前の方が歳より……いや、年齢的趣味が極端すぎるのだ」
「僕は落ち着くな」
「俺だって落ち着くさ」
 と、ぼうっとしている。

 あのナマモノが突然変異種の青薔薇に追いかけられるところを此処の主がみつけ……その2物体を追いかけている。

(⊃Д`) へるぷみー
「かわうそ? ちゃん 鬼ごっこですの〜?」
|ДT) ちがう〜

 無視をしておこう……うん。
 しかし主の方を無意識に眺めてしまう。
 なにやら、後ろから視線を感じるのだが
 未刀は何か分かって無いというか、
――かわうそ? が気になるのだろうか?
 其れは大きな勘違いだ。
「狼はずっと向こうを見ている……ああ、あの子か」
――義明はこう言うときにだけは鋭い……
 かわうそ?との付き合いは長い方らしいから、義明関係なくアイツの影響を受けているのは確かだろう。

 未刀も何となく分かった模様で
――うわ、コイツも何か言いたげで笑っている。
――義明に(どっちかというとあの小麦色)毒されたか!

「な、なんだよ……」
「「いや、ずっとあの追いかけっこ見ているから、狼」」
 こう言うときにも同時発言か2人。
「気のせいだ」
「ふ〜ん」
「そうなのか?」
 にやけて笑っている。
 やられっぱなしだ。
 ここで、ナマモノと愉快な謎生物連中が揃ったら、からかわれ続けるのは間違いない。
 何かやり返さないと。
「ところで、お前達のほうは他に友人や……えっと、彼女とかいるのか?」
「ああ、居るけど?」
 うわ、義明すっぱり言い切りやがった。
 未刀は……
 と……表情を出さない(天然過ぎてその事が分からない)未刀が顔面真っ赤になって顔を下向けている!
「いるんだ! 紹介しろよ」
「なんでだよ! ま、未だそうと決まった訳じゃないし……!」
「気になるなぁ どこの誰」

|Д゚)ノ かわうそ? も! きになりゅ!
|⊃Д`) いやー(捕獲された)

 こんな話になったらこうも何故盛り上がるのかはさておき、暫くは未刀をからかえそうだ。



 こんな平凡な日々を3人で送っていた。
 今でも忘れられない思い出。
 しかし、昨日にあった出来事のように覚えている程鮮明だ。
 時折見る白昼夢のように鮮明に……
 此処まで覚えているのは、

 必然と

 あの2人と一緒にいることが、とても楽しかったんだな、と確信している。


Fin


■登場人物
【1614 黒崎・狼 16 男 流浪の少年(『逸品堂』の居候)】

【NPC 織田・義昭/影斬 18 男 天空剣士/装填抑止】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 4』に参加して下さりありがとうございます。
|Д゚) 狼、おつかれ〜♪
 最後までの順序よく参加して下さったことに感謝致します。
 “意志持続の腕輪”をプレゼントです。

 ではまたの機会が有ればお会いしましょう。

滝照直樹拝