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神の剣 異聞 Invisible Blade 4 秋築玲奈編
衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
魂の友であり、兄弟だ。
其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
抑止の一、光刃の柱になっていようとも。
影斬・現世名 織田義明
これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
彼にとって、衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。
彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。
あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
それが、『何処か』に記されるだろう。
彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。
〈帰省です〉
ボクは玲奈。秋築玲奈。
ひょんな事から、織田義明さんと衣蒼未刀さんと知り合ったのです。
ボクの思い出は、2人のお兄さんとの楽しい旅行。
とはいっても、ボクからすれば帰省なんだけどね♪
夏休みまで後一週間。
そんな時に実家の尾道にいるお母さんから手紙が来た。
ボクは大家族の中の末っ子で、とても愛されて育ったの。
でも、他の人から見れば“溺愛”されて居るみたい。
手紙はもう心配していることが伝わるほどの内容。
そう、東京の水は合っているのかとか、身体は大丈夫? とか、虐められてはしないかとか。
そして、
――夏休みは顔を見たいから帰ってきなさい。
と、書いていたの。
そりゃ、帰らなきゃ行けません。
でも、少しビックリさせようかな?
電話をする。
「もしもし、お母さん。夏休み少しだけ帰るから。うん……うん。そう……。あ、そうだ。友だちも連れてきて良い? 前に話していたあの人の友だちで……。……ホント? うん! ありがとう!」
友だち。
お母さん喜んでいるけど。
少し反応が楽しみなボクでした。
だって、
義明さんと未刀さんを連れて行くのだから♪
|Д゚) ←?
|Д゚) 宅配、印鑑
|Д゚) 30分、棒立ちする、座った
|Д゚) 旦~~
「あ、ごめん、ごめん。手紙の他に色々送ってくれていたんだ。はい……印鑑」
|Д゚) まいどー
この謎生物が宅配便しているのは何故だろう?
考えない方がいいんだった。所詮、かわうそ?だし。
|Д゚) がーん!
尾道に行かないかと早速、2人を誘います。場所はあやかし荘、蓮の間で。
「「はあ? 尾道に?」」
何となく間の抜けた返事が返ってきちゃった。
しかも、同時に反応するので面白い。
義明さんと未刀さんっていつも反応や言葉が一緒なんです。
双子のよう。
「しかし良いものか? 親御さん驚くと思うんだけど……」
義明さんは苦笑しているけど……。
「僕は……どうしたらいいかな」
未刀さんも悩んでるっぽい。
「ボクが良いって言うのだから、良いの!? お世話になっているから紹介したいし」
「とはいってもね……玲奈ちゃん、あの人の知り合いというだけでは通じないこともあるんだよ? 男を連れて行くというのは、女の子の家族では大事だと聞いているよ?」
「うう……」
義明さんはたまに堅い事を言う。
しかし、その話をずっと聞いていた、銀髪隻眼の男の人が(どこが不思議って言うと、甚平さん着て、蕎麦を食べているから。箸を器用に持っているし……)。
「親の承諾があるのだ。多少問題はあるだろう。しかし、彼女が良いと言っているのなら、悩む必要はあるまい? 責任はその子がとるのだから」
と、“怖い”と“優しい”が両方感じる口調で義明さんに言った。
「師が言うならそうですが……。まいったな」
頭を掻いている義明さん。
真面目なのか不真面目なのか全く分からない人です。
暫く話しているうち、一緒に来てくれることになりました。
準備のときの義明さんと未刀さん、そして私の会話。
「途中お土産はいるよな? 何がいいかな?」
と、義明さんが考えてる。
「そんなの良いよう……」
「あっちにそうなくて、かなり珍しいモノが良いかな?」
「だから……。って、どうしてメッコールの箱詰めになるの!」
「ん〜やっぱり地酒かなぁ。東京近くの隠れ酒みたいな」
「義明、遊んでるつもりなのか? 真面目なのか? ハッキリしろよ」
「でも、未刀、お前もその土産はおかしいだろ? 自分の好物ばっかりかってケーキなんて道中で痛むぞ。普通はお菓子詰め合わせだろう」
と、よく分からないことをしてくれるし、楽しいな。
〈家族〉
「広島駅でお姉ちゃん2人が迎えに着てくれるから」
「そうか。一体どんな感じなんだ? 実家って」
「凄い田舎だよ〜」
「……」
と、ボクは義明さんと未刀さんと新幹線で話している。
未刀さんは新幹線に乗ったことがなかったのか、おどおどして緊張して無口になる。その、感情が顔に出てくれるので見ていて楽しい。
だって時速200km以上も出していることが信じられないみたい。
かわいいな。
「な、なにみてんだよ……」
窓を眺めている未刀さんがボクを睨む。
そんな、のんびりした新幹線の中です。
|Д゚) ジュース、コーヒー、ビール〜
謎の物体は気にしないことに……。
そして広島駅。
「玲奈ちゃ〜ん。あいたかった〜」
と、ボク達を見つけて抱きついてきたのは一番上のお姉ちゃん。
もう結婚してるけど真っ先に帰省していたの。
「む、お帰り、玲奈」
と、眼鏡で無口な2番目のお姉ちゃんがボクの鞄を持ってくれる。
「で、玲奈ちゃん……後ろのそちらの方々は?」
「友だちの織田義明さんと衣蒼未刀さん♪」
あ、お姉ちゃん達固まってる。
「織田です」
「衣蒼です」
と、同時に挨拶しているし……
「あ、妹がお世話になってます〜」
なんか、ほんわかとお姉ちゃんが挨拶している。
「……」
もう1人のお姉ちゃんは黙っているけど。まあ、何とかなるかな?
そして、駅から車で家に向かっています。
「うわー、なんか事件が起こりそうな屋敷だー」
と、義明さんが言ってます。
そうです。ボクの家は「その手」の推理小説で出てくるようなおっきなお屋敷で、まわりがまさに田畑で一杯です。近くの街に行くには車で30分かかり、ディーゼルのローカル線が1時間に1本あるかないかの度田舎なのです。
で、お母さんを呼んで。2人を紹介したときに……
「玲奈、お友達じゃなくて彼氏連れてきたの?」
「ちがうよ!」
とか言われちゃった。とほほ。
居間に家族全員が揃って騒いでいるよう。
やっぱりこの方法失敗だったかなぁ?
義明さんも未刀さんも何か緊張して居るみたいだし。
ひとまず、ボクの家族構成を。
父さんにお母さん。そして車で迎えに来てくれたのがほんわかな長女と無口で眼鏡の次女。おおざっぱで豪快な3女、大人しい4女でボク除いて全員年子(28、27、26、25)なの。ボクだけかなり歳が離れているから妹と言うより娘みたいなものなのかな?
「織田義明です」
「衣蒼未刀です」
と、2人の自己紹介と家族の紹介が済んでからは……。
2人のお兄ちゃんは3番目のお姉ちゃんに家の案内に引っ張り回されていました。
「此処が皆の部屋がある棟でね」
「ここが風呂」
「ここが土間。結構良いものよ♪」
と、引きずるようにして
「そしてこれが、かわうそ?」
|Д゚)ノ
……
疲れているのかな、ボク……?
|Д゚)
「なんで、あ、あんたがいるの!」
|Д゚) ?
|Д゚) いるとき、いる
「あれ? 玲奈の友だちじゃないの?」
「どうなんだろう?」
「俺は腐れ縁だから……いいけどさ」
「僕も……」
「玲奈ちゃんの本命って誰?」
「未刀君? 義明君?」
「ちがうよー!」
と、色々、お姉ちゃん達に玩具にされている2人を見て、僕も一緒に玩具にされていた帰省をすごしたのです。
帰りは、名産やらお土産を一杯貰って帰ることになりました。
2人が作ってくれた鞄が役に立っています。
「お邪魔しました。ありがとうございます」
「気をつけてね〜。これからも玲奈を宜しくお願いします」
お母さんがそんなことを言うと、
「はい」
と、とても優しく力強い返事をしてくれる2人でした。
やっぱり、僕にとって
義明さんと未刀さんは頼れるお兄ちゃんです♪
Fin
■登場人物
【4766 秋築・玲奈 15 女 高校生(予定)】
【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】
■ライター通信
滝照直樹です。
『神の剣 異聞 Invisible Blade 4』に参加して下さり、前話参加順序よく入って下さりありがとうございます。
またまたまた、変なものが出ていました。が、如何でしたでしょうか?
|Д゚) シリアス以外、皆勤♪
どうも、|Д゚) は玲奈ちゃんを気に入った模様です。
|Д゚*)
4次元鞄ともいえる“玲奈の旅行鞄”をプレゼントです。
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