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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ タケヒコ狩り(後編) ]


 此処数日、武彦は何かがおかしいと思っていた。勿論自分の頭痛のこともそうであるし、このタケヒコ狩り騒ぎもそうだ。ただ、眩しいほどの朝日が差し込む月刊アトラス編集部の一室、そのソファーで寝転がっていると、不意にそれを思い出す。
「そう言えば……零は、何処行ったんだ?」
 依然痛む頭で考え出せば出すほど答えは出ず。もう考えることを投げ出してしまおうと思ったとき、唐突にドアを開き駆け込んできた三下忠雄に、眠る思考が停止した。
「く、くくっく…草間さん!」
 頭に響くその声が煩いなと思いながら、忠雄が手に持った封筒を開け、どうやらその中身を読み上げ始めたので大人しく聞く事にした。どうやら内容は武彦宛の手紙だ。
「『草間武彦殿。妹さんは預かりました。返して欲しければ何をするべきか、分かるわね?期日は三日。それ以上掛かったら妹も貴方も、コソコソ嗅ぎ回っている人間の命も、この先のタケヒコ達の命すらなくしてあげる。』って! これはど、どうど…うすれば!? しかも数日前に投函されていたらしくて期限が明日なんですよ!! あ、と、少し覗いてきた事務所が凄い有様だったんですけどぉ……」
 コレ自体は興信所のポストにひっそりと突っ込まれていたらしい。手紙に気づかなければ有無を言わさず皆を狩って行くつもりだったのだのか……そして手紙の最後にはどういう意図か、携帯電話の番号が書かれていた。恐らく、彼女のものだろう。
「――……よこせ」
 武彦は忠雄の手の中からその手紙を奪い取ると、痛む頭を左右に振りながらも身を起こす。
「ここまで言われて俺一人、寝てるわけにもいかないからな……ったく、会議室借りるぞ」
「は、はひっ! い、今一応許可とってきますっ」


    □□□


 会議室に集まったのは、以前と同じく藤郷弓月、シュライン エマ、人造六面王 羅火、神納水晶の四人。
 時刻は正午を少し回った頃。期日は丁度明日の正午になる。
「悪い。ただ、俺も出来る限りフォローするつもりだ。いつも任せっぱなしだしな」
 そんな四人に武彦は短く言う。
 今回関われば危険が及ぶ事は事前に伝えていた。故に、それを承知で四人は此処に来たと言うことだ。もっとも、この中には危険など感じていない者が若干二名居るが。
「やっとあちらさんから動きがあったワケだし、いいじゃん?」
 頬杖をつき、しれっと水晶は言う。
「ちょっと犯人のお姉さん追い詰められてるっぽいけど……ここまで来たんだから、最後までお付き合いしますよっ」
「もう、今更そんな言葉はいいわよ。それよりも武彦さんの体調は大丈夫なの?」
「あぁ。ピークは達したしいつまでも動けないんじゃ、依頼だけ押し付けてる役立たず探偵だからな」
 弓月とシュラインの言葉に苦笑いを浮かべた武彦は、四人を見てそう言った。
「ならわしから草間に頼み事があるんじゃがいいかの?」
 そんな武彦に、すかさず羅火が言う。
「死人を連れて来い、ということみたいじゃからな。その鏡とやらの死んだ場所を探してはくれぬか? 死人を連れて来るアテ、があるでの」
「へぇ、要求聞くアテあるんだ?」
 羅火の言葉に、隣に座る水晶は「なぁんだ」とポツリ漏らす。彼にしたら、犯人の要求を叶える事は不可能であり、それを聞くつもりなど無かった。
 しかし武彦が答える前。シュラインが羅火に言う。
「それなら私でもいいかしら? 武彦さんには西の探偵さんについて調べてもらいたいのよ。彼にしか出来ないことだし、もしかしたらそっちからも情報が入る可能性は十分あるのだけど」
「分かるならどっちでも構わん。無理は承知じゃが出来るだけ早めに頼むの」
「分かった。でも西の探偵ってなんだ?」
 なにやら話は纏まってきているようだが、突然シュラインに降られた『西の探偵』の単語に武彦は首を傾げた。
「犯人のお姉さんに殺されちゃった…西の探偵さんですよね?」
「おそらく、女に目当ての男は死んでおる、と伝えたのじゃろうな。鏡とやらは女の、昔の男なのじゃろ」
「そう、それが認められず暴走した可能性があるから。西探偵事務所でこの件や芸能関係、鏡氏の療養場所等の資料調査をお願いしたいの。本当は彼女、彼と話したいだけなんじゃないかって」
「あ、芸能関係なら私やりますよ? 彼が芸能界に入ってから最後までを調べようかな、って思ってたので」
 シュラインの提案に挙手したのは隣に座る弓月だ。その言葉にシュラインは芸能関係は弓月に任せることにし、武彦には事務所のことと、療養場所等の調査を任せることにした。
「でもそれならさ……ホント、何言ってもつーよーしないじゃん。一度死んでるって言われても又他の奴に探し出せ、なんてさ」
「案外、死人でも全く構わんかもしれぬ。女が鏡と会えるならば、と考えればじゃがの。そうすれば、草間の所に辿り着いた理由にもなるじゃろう?」
 羅火とシュラインの考えは、どうやらある程度一致しているらしい。
「おいおい、やっぱり俺んとこはそういう方面に有名になってんのか……」
 さり気ない羅火の一言に、武彦は思わず頭を抱えた。世間的には武彦に頼めば幽霊の一人や二人は会えるとでも思っているのだろう。
「それに俺、零が大人しくしてると思えないんだケドさ、やっぱあの死霊で動けなくされてんのかな?」
「それは私も同感ね。相手の能力が上回りすぎてる、或いは何か他に理由があって、とか」
「なんかもう、零さんも犯人のお姉さんも心配だなぁ……」
「零はまぁいいとして、犯人まで心配するんだ?」
 少し俯き加減で言った弓月に、水晶は物珍しそうに向かい合わせの彼女へと言葉だけを飛ばした。目、と言うか顔は合わせていない。
「心配ですよ。それに私、出来るなら――ううん、出来なくてもどうにかして犯人のお姉さんとお話してみたい。話したら、何か変わるかもしれないし」
「まぁ、好きにすればイイんじゃない? 俺も多分俺のしたいようにやるしね」
「でもホント……無事で居て欲しいわ、零ちゃん」
 心痛を抱えそっと押し黙った二人に対し、この四人の中で戦闘要員と言えるべき羅火と水晶はどんどん話の先を行く。
「後、女を待って時間を稼ぐか、呼び出しおびき寄せるかは状況次第じゃの」
「呼び出すなら広い所がイイな。暴れても大丈夫そうなさ。後は、零も連れて来て貰った方が手間も省けるんじゃない?」
「――時間は無いけれど、これについてはギリギリまで保留にしておきましょう」
 ただ、二人の言葉にシュラインもそっと口を挟んだ。
「私はちょっとコネを使って鏡氏の出身履歴だとか、犯人との接点、後は遺骨の場所を当たることにするわ。とはいえ、鏡氏本人を連れてくるなら最後は不要になるかもしれないけれど」
「これで大体話はまとまったか? 後は各自連絡を取ることにして、一旦――」
 まとめかかる武彦は、自分宛の手紙を適当に折りたたむと席を立つが、羅火がそれを静止する。
「いや、ちといいかの? あの女、見たところ能力の制御は出来ぬようじゃ」
「あ、ソレ確かに言えてる」
 実際犯人と戦った羅火と水晶はそれをよく知っている。
「強く強く憎んだ時に……死霊どもがその意に従い鏡を屠ったのじゃろうて」
「あら、それってもしかして直接手を下さないにしろ、彼女が鏡氏を殺したって事かしら?」
「わしが考える可能性の話じゃよ。まぁとにかく、問題は出くわしたら何が起きるか分からぬ事での」
 言いながら羅火はいつの間にかその手に持っていた、パッと見は炎のようなオレンジ色を持つファイアーオパールにも似た石を武彦も含めた五人に配った。
「うわぁ、綺麗ですね。何ですか、これ?」
「これって、もしかして羅火の?」
 弓月は手渡された石を部屋の灯りに翳し、水晶は石を片手に持ち何度か真上に投げ羅火を見る。
「まぁ、主にこの場では神納限定じゃろうが能力の増幅と、ぬしらには護符として役立つじゃろう」
 最後にシュラインと弓月、そして武彦を見た。羅火が皆に配ったのは、彼が溜めておいた、彼自身の体表に出来た力の結晶である。
「助かるわ。犯人に遭遇しないに越したことは無いけれど、何が起こるか予測は不能だから」
「分かった、俺もありがたく貰っておく。もう他には無いな?」
 そう、今度こそと武彦は椅子から立ち上がった。
 時刻は丁度午後一時。誘き寄せるのならば時刻は早まるだろうが、タイムリミットまでは残り二十三時間…‥


    □□□


 時刻は午後二時過ぎ。この辺りにならば居るだろうかと訪れた街の雑踏の中、ひときわ目立つ体を持つ、羅火の捜す『アテ』がいた。
 賑やかな街の雑踏に紛れる彼は今、のんびりと喫茶店をウインドウ越しに眺めている。そっと近寄ると、どうやら彼はウインドウに映った姿に気づいたようで振り返った。
「兄貴?」
 そして少し意外だ、という表情で羅火を見た。
「しろ、ぬしにちと話があっての……その、いいかの?」
「なに? えっと、もしなんなら場所移そうか?」
 「しろ」と呼ばれた彼、二階堂裏社は、絶え間なく流れる人の波を決して器用とはいえないが避けながら、双子の兄である羅火に言う。
「だと有り難いの。あまり人に聞かれるのも良くない話じゃからの」
「わかった、じゃあこっちがいいかな」
 言うなり裏社は歩き出す。裏社の案内で、二人が人のいない場所に着くまでに、そう時間はかからなかった。

「今すぐ、という話ではないんじゃが。ぬしに連れて来て欲しい男がおる」
「わざわざ俺に? 兄貴じゃだめなの? それに今すぐじゃないって……」
 人気のない公園に着いてすぐ、羅火は裏社に切り出す。
「ぬしが適任じゃと思っての、引き受けてはくれんか?」
「兄貴が言うなら、うん。いいよ」
 そう言い裏社は笑みを浮かべ、そんな弟を前に、羅火も厳しかった表情を少しだけ綻ばせた。
「うむ、頼りにしとる」
 そしてそのまま後を続ける。
「名は鏡威彦、半年前に死んでおる。そやつの死んだ場所は今探させておるから、それが分かり次第ぬしに動いてもらうことになるじゃろう」
「ということは、その鏡威彦を連れて来ればいんだね? その場所に居たら、丸呑みにして持ってくるよ」
「……それで大丈夫なんじゃろうな?」
 さらりと言ってみせた裏社の言葉に、羅火が微かに苦笑するが、弟は「大丈夫だよ」と笑いながら言った。
「この前に歌舞伎町で大物食べたから、人間一人くらい消さずに持ってくることくらい出来るって。あ、でももし居なかったら……この世界のそっち方面の管理者に話しつけて少し借りてくるから、少し回り道になるかも?」
 少しの間の後、羅火は「分かった」と頷き、何か聞きたい事があれば応えられる範囲で答えると言う。
 その言葉に、裏社は事件の全貌を教えてもらうことにした。どうして『鏡威彦』と言う死人が必要なのか。それが分からなければ、もしかしたらすぐに連れて来れないかもしれない。事情を話せば纏まらない物も纏まるかもしれない。
「……ようそこまで頭が回ったの」
「へへへ……って――もしかして俺、馬鹿にされてない?」
「ぬしはそんな性格じゃからのう……」
 少し照れくさそうに言った後、羅火の顔を覗き込んだ裏社に、兄はそっと目を逸らし『タケヒコ狩り』について、掻い摘んだ形にはなるがとっとと弟に話すことにした。

 タケヒコと名のつく者達が襲われたり殺されたり。その被害は草間武彦にも及び、先日犯人と遭遇したこと。その犯人は既に死亡している――とはいえ、犯人がそれを知っているか否かは不明――鏡威彦を探しており、明日の正午までに犯人に会わせなければ、武彦は勿論今回調査に当たっている者の命を消しにくるらしい。
「まぁ、こんなもんかの」
 そこで羅火は言葉を切り、逸らしていた目を裏社へと向ければ、それまで神妙な態度だった筈の弟は珍しく少し顔を引き攣らせ兄を見ていた。
「え、兄貴まで……ターゲットに?」
「わしはあんな輩如きでやられん」
 一度逃がしてしまったとは言え、やられるような強さを持った者ではなかったと羅火は言う。しかし、裏社の言葉はそんな心配を含んでいた物ではない。ただ、裏社は何か言うわけでもなくそっとかぶりを振った。
「うん、兄貴なら大丈夫だろうね。でもさ、その男ってその女が願ったから『殺されて、死んだ』って思うんだ」
「わしも似たような考えじゃ。じゃが、他の考え方もあるみたいでのう。一概にそうとも言い切れん」
「そうなんだ? なんにしろ、二人を会わせたら一波乱起きそうだけど……」
 一瞬考え込んだ裏社に、羅火も同意する。
「犯人の女が特に危険じゃろうな。男の方は情報が無いからなんとも言えんがの」
「もしそうしたらさ? 一波乱起きちゃったらどっちも食って、いいよね?」
 その言葉を受け、羅火はただ頷いた。その反応に、裏社は少し嬉しそうに笑って見せる。
「では、場所が分かり次第ぬしに連絡を入れるから、その時は頼むの」
「わかってるって。楽しみに待ってるよ、兄貴からの連絡」
 そう言い羅火は裏社に背を向けた。

 羅火の元に情報が入ってきたのは、それから少し経ってからのこと。連絡は勿論シュラインからの物だった。武彦ならば多分早くて、ようやく現地に付いた頃だろう。
「死んだ場所は都内のマンション……ふむ、此処なら超高級マンションだと有名な所じゃな。早速――」
 連絡をと思った矢先のことだった。通話ボタンを押しかけた手が止まり、羅火は携帯電話をしまう。
「ちと、ぬしはしつこいでないかの?」
 振り返ることは無く。ただ背後の気配に神経を研ぎ澄ます。そこに女がいた。前回羅火がちま猫姿の状態で遭遇した犯人の女だ。
「女は諦めが悪い生き物なのよ、いつかの猫ちゃん」
「……知っておったのか」
 半分関心のような、半分やはりと言うべきか。
「今知ったの。お名前が同じだから。そんな珍しい名前の人、二人も居ないわ」
「にしても、まだ表に出てくるには早いんじゃないかの?」
 そう言い女の方を見ると、彼女はまるで子供のように頬を膨らませた。
「暇なの。待ってられなくなっちゃったのよ。ようやく今日、白王社なんかに集まって会議なんてして。みなあきくんには斬られちゃったけど、ゆつきちゃんは倒れちゃった。らかくんはどうかしらね……そしてしゅらいんちゃんに最後は、タケヒコ」
 ポツリポツリと呟き彼女は薄暗い笑みを浮かべた。しかし、彼女は言葉通り怪我を負っている。顔は死人のように青白く、左脇腹を水晶に深く刺されたらしい。白いブラウスが今ではそこを中心とし、ほぼ全体が赤黒かった。更には両手でそこを押さえつけたのか、左足はその血が伝い落ちたのか、同じく紅く染まり血腥い。ただ、こんな状態でも致命傷にならなかったのか、彼女は今確かに此処に平気な顔で立っている。
「今のぬしとわしとで、勝てると思うか?」
「確かに、今の私じゃ分が悪すぎるわね」
「明日なら勝てると?」
「この体の具合と、お友達の機嫌次第かしら」
 笑い言う言葉には余裕が見える。恐らく回復するのだろう。何かしらの方法で。
「ぬしを此処で止めることは簡単じゃが、それでは鏡とぬしを会わせられぬでの」
「威彦と……私を会わ、す?」
 女の表情が変わった。その声色までもが今までの余裕を無くしたような、驚きの物に変化する。
「アテがあっての。ぬしの望みは叶える筈じゃよ」
「……そう」
 そして次には、少し沈んだようにも見えた。
「嬉しくは、ないのか?」
「さぁ…、分からないわ。ずっと会いたいと思っていたけど、それがあっさり叶うと言われても……一度絶望した心はどうしようもない」
「やはり西の探偵に言われたのじゃな? もう、男は死――っ」
 言葉は思わず途切れたと言って良いだろう。もうそこに女は居ない。最後は強くかぶりを振りながら。それを否定するかのように。走り去り、消えた。
「まったく、人の話は最後まで聞くもんじゃろ……と、もうこのメールの転送で十分じゃな」
 やれやれと溜息を吐くと、携帯電話のメール画面を開き、先ほどシュラインから来たメールをそのまま裏社へと転送した。
「厄介なことになっとらんといいの」
 弓月が襲われシュラインがこれから襲われるかもしれない。ただ、走り去った女の背中はもう何処にもなく。やがて忠雄から連絡が入り、羅火は白王社に戻る事となった。
 電話の内容は勿論と言うべきか、弓月とシュラインが女に襲われたと言う内容である。


    □□□


 帰ってくれば水晶が一番乗りで、その後羅火がやってきた。暫く茶を飲みながら時間を潰しているとやがてシュラインが、続いて弓月が「遅れました、ごめんなさい!」と部屋に入るなり深々と頭を下げる。
「私も少し襲撃受けたから……事情はもう、大体皆分かってるわ。何より、お互い無事でよかったわね。それもこれも、コレのお陰なのだけど」
 言いながらシュラインは、ポケットから石を取り出した。それは羅火が皆に配っていた物だ。
 弓月も思わずポケットからそれを取り出し、改めてジッと石を見つめた。そして唐突に石を見ていた顔を上げ、真っ直ぐと羅火を見る。
「な、んじゃ?」
「どうもありがとうございます!」
 そのあまりにも純粋すぎる行動に、思わず羅火は視線を逸らした。
「む。その程度なんぞ礼には及ばん…しかし神納は随分派手にやりおったの。あやつ血塗れじゃった」
「ってゆーか、あそこまで血ぃダラダラ流してまでさ、よくみんなをしゅーげきしに行ったよネ……」
 呆れた根性とでも言うべきか。皆で襲撃された時間をまとめた結果、水晶、弓月、羅火、シュラインの順で女は襲撃に訪れたらしい。シュラインが軽症で済んでいたのは、石のお陰も有るが、女も相当ダメージを受けていたのだろう。
「それにしても、そろそろ武彦さんから連絡が入ればいいのだけど――」
 シュラインがそう言うのと同時、携帯電話の着信音が鳴り響く。
「む、わしのじゃ」
 電話に出ると、羅火は二三言葉を交わしすぐさま切り、皆を見た。
「鏡を連れて間も無くこっちに来るらしい。じゃが、そのまますぐに長野の大きな湖がある場所に飛べと……なんでも鏡の実家がどうと」
「長野、彼の実家のある場所ね。大きな湖なら諏訪湖、かしら?」
「今からって…どー行くワケ?」
 既に特急は止まっているどころか電車が止まる時間だ。
「それなら桂を使うといいわ」
 見れば、いつの間にかそこには麗香と桂が立っていた。
「ずっと犯人の方を追いかけていたのですが…回復に集中しているようで動かなくなったので、皆さんをお連れ出来ると思います」
 そして桂は微笑む。

 事の運びから、彼女は長野の地に呼び出すことに決まった。ただし、その連絡は恐らく武彦の役目であり、尚且つ朝一で長野まで来るようにと、シュラインはメールを飛ばす。
 それが済むと会議室を出た。なるべくなら、その空間に穴が残っても差し支えの無い場所に移動する方が良い。
「というわけで、さんしたくんのロッカールームよ」
 最終的に麗香が選び出したそこに、桂は躊躇いながらもポッカリと穴を開けた。その穴を抜ければもう長野らしい。
 水晶、弓月、シュラインと。皆は次々と穴へと飛び込み、最後の羅火が後ろを振り返った時その黒狼は居た。
「無事、連れて来れたようじゃの」
 今は黒い狼の姿ではあるが、裏社の姿を確認すると羅火は「こっちじゃ」と穴へと案内する。
 抜けたその先には、満面の星空が広がっていた。


    □□□


 出た先は、湖の湖畔近く。この辺りは高台ということもあり、更に水辺もあり風が少し冷たい。
 此処へ来て羅火は裏社を紹介するが、黒い狼の姿をしていているせいか、羅火以外の三人にはどうもぴんと来ないようだった。だが鏡を連れてきたと言うと、一同の表情が緩んだ気がした。多分、認められたのだろう。タダの狼ではないと。
 裏社は丸呑みにしてきた鏡をようやくペッと吐き出すと、そこにぺったり座り込んだ。
「ええっと、初めまして」
 裏社の口から出てきた鏡威彦――の霊は、丁寧に頭を下げると四人と一匹を見渡す。
「色々事情を話さなければとは思うのですが、一旦実家に戻って幾つか物を取ってきますので、少しだけ待ってください。申し訳ないですが二階堂さん、僕を連れてってくれますか? 流石にこの姿じゃ物を持てないので」
 そんな鏡の申し出に、裏社は頷き立ち上がると、鏡を呑み込みあっという間に走り去っていってしまった。
 あっさりと本人が捕まっていたのはいいが、まだ先へとは進めないようだ。
 そんな中、シュラインの携帯電話がメールを受信し、その内容に一同は今自分達が潜り抜けてきた穴を振り返る。
「――悪い、遅れた」
 結局武彦はその手にボロボロになったファイルを抱え、桂に連れられこの場に現れた。
「零を連れて此処に来いってのは言っておいた。相手は普通の方法で来るしか無いだろうから、今から高速飛ばしたってまだ数時間はかかる筈だ。所で四人揃ってんのにどうして何もして無いんだ?」
「どーしてって、やること無いんだよネ。鏡はどっか行っちゃったしもう一人とゆーか、一匹も一緒に行っちゃったし」
「折角だし、今の内に武彦さんが持ってきてくれた情報、教えてもらえるかしら?」
「大きな収穫、ありました?」
 シュラインと弓月の言葉に、武彦は手にしていたファイルを広げる。
 武彦の話によると、既に西の事務所は壊滅状態のまま放置されていた。かろうじて残っていたファイルから、何とか今回と関連のありそうな物を幾つか手に帰ってきたが、ファイルを読み進めていく限り大方の読みは合っているらしい。
「鏡威彦については全てが調べ上げられていて、その全てが犯人である依頼人に伝えられたと見ていい。多分、伝えた瞬間吹っ飛ばされでもしたんだろうな……その後の記録が無い」
「やはり。で、ファイルごと持って来たと言う事は、何か分かったんじゃろうな?」
「依頼人は橘縁、二十九歳。鏡威彦との関係は…幼馴染、ってのが本人の話らしい。依頼事項は勿論鏡の居場所調査」
「幼馴染?」
 その言葉には全員が全員首を傾げる。そんな関係は誰の頭に微塵もなかった。
「しかもコレが一度目の依頼ってわけでは無いらしい。少し依頼を遡ると、女と同居していることも調べられているな。そして、最終的に伝えられたと思われる報告書がこれだな」
 そう、一枚の紙を武彦はファイルから抜き取った。
 東京に来てからどの住まいを持ち、人間関係や何年何月何日の何時何分に何処で死亡したか。その死亡理由までもが、そこには明確に書き示されている。が、それを見て一同は目を見張った。彼が死亡したのはつい二ヶ月前。まだ日が経っていなかったのだ。
 それぞれが武彦の持つ資料に夢中になっている最中、不意に弓月は振り返り呟いた。
「…………おね、さん?」
「アレ、到着早いじゃん?」
 やがて水晶、羅火、シュライン、武彦、桂が振り返ったそこには女、縁の姿がある。
「早い? どういう嫌味かしら…ようやく、此処に辿り着くまで酷く時間がかかったのに。おまけに約束の時間六時間オーバーだわ」
 そう、怒りを露に縁は今この場に居る六人を見た。そんな彼女の言動に、桂は小さく皆に言う。
「多分空間だけじゃなくて、時間も少し先に進んでしまったのかもしれません。彼女と世間にとっての『今』は、ボク等にとっての『翌日』の夜六時になってる筈です」
「と言う事は、体力も全快してる可能性があるの。…鏡は一体何時帰ってくるんじゃ?」
 要するに自分達にとってついさっきのことが、縁にとってはもう昨日の事と言うことだ。
「零ちゃんは、一緒じゃ無いの?」
「此処に、居るわよ」
 そう、縁が左に一歩ずれると、後ろに零の姿があった。特に怪我も見当たらず、いつもと変わらぬ姿で彼女はそこに居る。
「零!」
「兄さん……あの、心配かけてごめんなさい」
「あのよーすだと、零が自分の意思で逃げなかったってのは、強ち嘘じゃないんだろーね……」
 ポツリ言えば、隣の羅火は水晶を見る。
「何か、あるんじゃろうな。まぁ、わしもぬしも……今からは、死霊を相手にしてればいいじゃろ」
「まーね」
「えっえっ!? 二人ともお姉さんと戦うんですか?」
 一歩前に出てすっかり戦闘態勢の二人に、弓月は思わず問う。とは言え、内心二人を止められないこと等分かりきっていた。
「相手もすっかりその気のようだから…私達は一歩下がってましょう」
 シュラインの言葉に、弓月と桂は数歩下がる。だが、武彦はただ縁の方を見つめ動こうとしなかった。そんな武彦の気配に気づき、羅火は声をかける。
「草間……わしは助ける、には向かぬでの」
「あぁ、そうだろうな」
 羅火の隣で水晶も頷いていた。そんな男三人のやり取りを、シュラインと弓月に桂は、ただ無言で見ている。
「妹は兄のぬしが救え。周りの屑は、適当に焼き払うでの」
「――助かる」
 そう言い武彦は苦笑した。そして一歩前へと踏み出す。
「零ちゃん、助けてきて。それに気をつけて、ね」
「分かってる、大丈夫だ」
 シュラインの声に武彦は振り返らず、ただ返事だけを返した。同時に縁も零をそこに置いたまま、一歩前へと歩み寄り、その手を掲げる。
 しかし、その動きを無謀にも止める少女の声。
「あのっ、お姉さん!」
「…あらゆつきちゃん、無事だったのね」
 女は死霊を半分招きだしたところでその動きを止め、弓月と隣に居たシュラインを不思議そうに見る。
「しゅらいんちゃんも平気な顔してるし、今回何かがおかしいのよね……」
「あの、人を好きになることは素敵なことだけど、自分が傷ついたからって相手を傷つけていいはずないですよ!」
「傷ついた? 私は傷ついてなんかいないわよ。ただ……ただ、なんだったかしら? まぁ、この場に結局威彦は居ないし。予告どおりにするだけよ!!」
 そして狂気に満ちた笑みを浮かべる同時、両掌をフッと上へ向ける。
「今回のは見える、のね。私達はもう少し、離れてましょう?」
「えっ、あ…はい」
 幾ら羅火の石があるとは言え、何の抵抗も無い自分達には危険だと、シュラインは弓月の手を引き四人と死霊から遠ざかった。
「俺、さっきもサクサク斬って来て正直飽きてるんだケド羅火は?」
「わしか? わしは話しただけで戦りあってはおらんの」
「なら俺実体化してるほーがイイな。もうふわふわしてんの飽きたからさ?」
 言いながら、何時の間にやら出していた刀を構え、水晶は灰色の眼で羅火を見る。
「しょうがないのう。まぁ、こっちもこっちで一掃するつもりじゃが……草間はわしらが奴の気を惹いている隙に、の?」
「分かってる、流石に此処まで来てヘマはしない。というか、出来ないな」
「それにしても、ワンサカワンサカ豪勢な死霊だことで……水辺だからかな?」
 女が背にしている湖を指差し、水晶はポツリ言った。
「一応暴れるにはもってこいの場所じゃないかの。他人も巻き込まんし、物が無い分わしらも楽じゃろ」
「ま、ニンゲンの事なんてどーでもいいケド、それは言えてる。じゃ、お先。ヘマしないよーにね」
 言うや否や、水晶は地を蹴り低い体勢で縁の方へと向かっていく。
「なぁにがヘマじゃ……しかし楽しそうじゃな。さて、わしも迎えが来たようじゃし、動かぬわけにはいかぬの」
 水晶の背を見送ると、羅火はこちらにふわふわと向かってくる死霊達を見た。確かに前回よりは数が多い。
「確かに、こんなもん斬ってたら飽きるじゃろな……とは言え、わしも焼くのに飽きそうじゃが」
 言うなり一先ず翼を出し、向かってくる死霊に正面からぶつかりに行く。
 夜の空に映えるような赤と金の髪が揺れ、それ以上に紅い炎が長閑な湖の水面上、死霊目掛け羅火の右手から広範囲に渡り放たれた。辺りに人はおらず、基より生命体には無効の炎故、一般人が居ようが害にはならない。
 しかしどれだけ焼いても後から後から新たな死霊が湧き出てくる。女の表情は余裕そのものに見え、暢気に水晶と羅火の戦いぶりを眺めているようだった。その後ろで、武彦が零を連れ出していることにも恐らく気づかずに。
「なんじゃ、あっちは簡単じゃったな。それに……ようやっと、帰ってきおったか」
 武彦たちの元に裏社の姿を見つけ、声を掛けようとした。が、裏社はあっという間に鏡を吐き出すと、すぐさま羅火の方へやって来る。その足は湖に浸かり、やがて羅火の真下付近にやって来た。
「兄貴っ、お待たせ。遅くなってごめん。俺も手伝うよ」
 そう言う裏社は嬉々とした様子で目を大きく開き、尻尾をブンブン振りながら羅火を見ている。
「…………頼むぞ」
 言うや否や、裏社は嬉しそうに飛び跳ね、まずは羅火が焼き終え湖にぷかぷか浮かんでいる死霊をばくばく食べ始めた。
「さて、全部食い終われる前にこやつらを焼いとかねばの」
 呟き、羅火は焼くことに専念する。相変わらずというべきか、もう大分距離の離れてしまった水晶も今は湖面で暴れているようだ。
 どれほどそんな事を繰り返していたか。羅火が焼いては裏社がそれを食う。無限増殖状態の死霊も徐々に力を増してきている反面、幾分は減っていた気がしてきた頃だった。
 視界の隅に入り込んだシュラインと弓月に気づいた羅火は、彼女等を邪魔する鬱陶しい死霊達を炎で焼き尽くす。
 今度はそんな羅火の行動に気づいた縁がシュラインと弓月を見た。同時、その表情が凍る。
「私達の、というか鏡さんの話を聞いてください!」
「た、けひ…こ?」
 動揺を帯びた声に、死霊達が一気に消え失せ。羅火に水晶、裏社達がこの事態を不思議に思い合流した。それと同時、シュラインと弓月は縁と向かい合う。勿論、彼女等の傍には鏡姿もある。
「お姉さん! これ、鏡さんからお姉さんにって」
「こちらはあなた宛の手紙よ」
 二人の差し出すそれらを見て、女はゆっくりと二人との距離を縮めた。
「威彦、から? 私に?」
 まずはシュラインから白い封筒を受け取り、その中身を読んだ。それは三枚にも及ぶ便箋に、少し歪んだ文字で書かれていた鏡からの手紙。手紙の正確な内容は誰も知らない。ただ、裏社だけは僅かに鏡から二人の事を聞かされていた。
 三枚目を読み終えた縁は、ゆっくりと手紙を封筒へと戻し、弓月から正方形の箱を受け取り。その中身に、涙を流す。
「……五年で帰ってくるって、約束した。果たせなかったのは事実だよ。残ったのは、こんな僕の姿とキミへの手紙とリングだけ。でも、キミも約束を果たすこともなく、この手紙もリングも受け取ることなく――僕より先に、死んだ」
 最も近くで二人のやり取りを見ていた弓月は思わず驚きを表情に出した。シュラインは、冷静に事の成り行きを見守っている。
「死…、私が? それは威彦でしょ? 私探偵に調べさせたの。やっと仕事が取れて、五年で帰ってくる約束で東京に行ったあなたの行方を。婚約までして、なのに近頃は連絡一つなくて心変わりしたのかと――」
「縁。キミは三年前に死んだ。ただ、キミはそれを自覚していない。他人に憑いてまで、キミであり続けている……」
「違う、そんなの違うわっ!?」
 縁は必死でかぶりを振る。彼女の周りから、僅かに死霊が顔を出した。しかし鏡はやんわりと言葉を続けた。
「キミはこの数年、鏡を…ガラスを見た? キミは、縁ではないよ」
 言われ、縁は視線を僅かに逸らし、首を横に振ってみせる。その様子に、一歩前に出た羅火が徐に炎を吐いた。勿論、彼女に向かい。
 反射的に縁は一歩後ろへ後退するが、勿論それで避けられるでもない。しかし実際、シュラインも弓月も体験したが、その炎は生命体には無効のものだ。
「熱っ…」
 それが彼女の体から抜け出すと、辺りはシンと静まり返った。それは、今まで縁であった女性が倒れ、その中からもう一人の女性――正真正銘、橘縁が出てきた瞬間。
「何かに憑かれてたーじゃなくて、自分が憑いてたのか…」
 一度彼女とやりあった時、違和感を覚えていた水晶の謎もようやく解けた。
「僕は本当に病だったのか、混乱したキミに殺されてしまったのか…本当は分からない。けれど、キミがこうして……彼女に憑いていたという事は何か意味が有ったのかもしれないね」
 そう言い鏡は苦笑した。
「彼女って、鏡さんはこのお姉さん…知ってるんですか?」
「僕の、前のマネージャーだよ。行方不明になった。見つけて…彼女の中の君に気づいていればこんなことにはならなかったのかもしれない」
「彼女は……大丈夫なのかしら? これで本当に、本来の彼女に戻ったとは言え少しおかしい気もするのよね」
 シュラインの視線の先、縁の霊はぼんやりと夜空を眺めている。今までの彼女が嘘のように。
「僕たちは大丈夫なのでもう、お帰りください……縁を助けてくれてどうも、有難うございました。でもあの、そちらの方々に少し話があります。他の方は――どうか先に」
 鏡はシュラインの問いに的確な答えは返さず、ただ裏社と羅火と水晶を指し、他の者には帰路へつくことを願う。その言い方には疑問が残るが、三人を残し皆はその場を離れ、やがて桂の開けた穴でこの場から消え去った。
「単刀直入に言いますが、僕らを燃やして無くして下さい」
「……ぬしはそれを望むんじゃな?」
 羅火の問いに鏡は強く頷いた。そして、もし彼女が咄嗟に抵抗するようなことがあれば、水晶に押さえつけていて欲しいと。そして、あとは裏社の好きにして欲しいとも。
「でもさ? いちおー聞くケド、女はともかく自分は成仏しよーとか思わないワケ?」
「縁と離れるなら、共に消えた方がマシですから。ただ、彼女…マネージャーだけは無事連れ帰ってもらえますか?」
「なら、希望通りにするまでだと。ね、兄貴?」

 ふぅんと、然程興味もなさそうに水晶は呟き。裏社は隣の兄を見た。羅火は、それ以上何も言うことはなく。ただ、一歩前へと…‥


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 ――それから数日後
 武彦の頭痛もすっかり治り、今回事件に関わった五人も強制的に、或いは義務、ボランティアと言った形で草間興信所の片づけを行っていた。ガラスのなくなった窓、その補強ダンボールさえなくなり、雨風に晒されていた事務所を綺麗にしたり、割れたガラス類の回収、ファイルの整理。
 とは言え、面倒だとほとんど動かないのが一名。こういうものは向かんと言うのが一名。片付けてはいるが、微妙に動きが人の邪魔をしているのが一名と。アトラス編集部から応援が来たにも関わらず、全てが終わったのは夕方近くのことだ。
 唐突の来客は、六人が休憩していた時現れた。それは縁――ではなく、彼女に憑かれていた鏡の元マネージャー。
 結局彼女は後から戻った三人に連れてこられ病院送りにされて以来、接触は図っていない。だが彼女は一人ずつ顔を見ながら名前を当てると、ニッコリ笑い巨大な菓子の詰め合わせ缶を六人の前に差し出した。
 実は自分の意思でなかったとは言え、今まで起こっていたこと全てを覚えているらしい。普通ならば発狂しそうな状況だが、彼女は笑って「助けてくれてぇ、ありがとぉございましたぁ」と一礼しあっという間に消え去った。
 ドアの閉まる音と同時、言いようの無い空気に五人は武彦を見る。
「あ? いや、元々無関係な人が一人、あぁして助かってるしめでたし…………なのか?」
 必死で纏めようとしている武彦の言葉は最後、結局疑問に変わり、最早纏まる事は無い。
「皆さん、お茶が入りましたよ。あ、お菓子ですか? 丁度いいですね」
 しかしそこに、タイミングよくお茶を持った零がキッチンから出てくると、武彦は早速缶を開け中身を配り始めた。
「折角貰ったんだ、食わなきゃ損だろ?」

 ただその中にコロリと転がるリングを見つけた時、一同が固まった事は言うまでも無い…‥


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [5649/ 藤郷・弓月  /女性/17歳/高校生]
 [0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員]
 [5130/ 二階堂・裏社 /男性/428歳/観光竜]
 [1538/人造六面王・羅火/男性/428歳/何でも屋兼用心棒]
 [3620/ 神納・水晶  /男性/24歳/フリーター]

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■         ライター通信          ■
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 この度は大変お待たせしました、亀ライターの李月です。最初に、今回誤字脱字こちらの勘違い思い違いなどありましたらどうぞご指摘ください。今回も情報の散らばり具合が凄いのと、結局引き出せた情報はそのまま結末で事実と合流状態。鏡の死亡時期は誤魔化されていたと言うのが正しく(タケヒコ狩り最中に原因は何であれ死んだと言うのは事務所的に隠蔽すべきと)結末は3つほどありましたが、その中の中間的な物に辿り着きました。縁に鏡にマネージャーの関係や目的等は宙ぶらりん状態ですが…多分三人にとってはそれぞれ望んだ終わり方ではあります。
 最後までお付き合い有難うございました。

【人造六面王 羅火さま】
 いつも色々と有難うございます。兄弟参加と言うことで、楽しく書かせていただきましたが、弟さんの呼び方…大丈夫だったでしょうか?その他何かありましたらご連絡ください。と、今回羅火さんの大抵の予想は当たっていましたね。炎は色々と活用されました。弟さんと一緒のシーンもホンの少しだけ変化があるので、お楽しみいただければと思います。

 それでは又のご縁がありましたら…‥
 李月蒼