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<白銀の姫・PCクエストノベル>


女神たちの迷宮【ダンジョン4:モリガン】

ACT.0&ACT.1■プロローグはいきなりダンジョン

「これ、モリガン! どういうことぞ。おぬしから楽しい午睡のお誘いを受けたからこそ、胸をときめかせて出向いてきたものを。何じゃ、この殺伐とした光景は……おうわぁ!」
 甘く華やかなはずのモリガンの寝室では、まったく似つかわしくない対モンスター戦が繰り広げられていた。
 部屋中に立ち込めているのは、むっとした霧のような湿気だ。モンスターたちはシヴァのぼやきなど斟酌せず、次々に鋭い攻撃を繰り出してくる。
 魚そっくりの、尾びれを使って器用に移動し、鞭の形に変化した背びれを振るうもの、ジェット噴射しながら走り、大きな二枚貝の殻を開いて小銃を撃ってくるもの……水棲の生き物たちを連想させる彼らは、なかなかに手ごわい。
『白銀の姫』に関わってかなり時も過ぎ、ダンジョン探索もいくつかこなしたというのに、シヴァの『陽光の聖女の剣』を駆使する様子は心もとなかった。刀身で銃弾をはじき返せるのが不思議なほどである。
「話が違うではないか。純情な男心(?)をもてあそびおって」
「別に騙したわけじゃないわ。午睡のお誘いは本当だったのよ。創造主の著作をネヴァンが発見したときはゼルバーンがらみで苦労したみたいだし。で、『勇者の泉』にも出向いて、居合わせたみんなも誘ってみたの。つかの間の平和な午後を過ごしましょ、って」
 ……それなのに、まさかねぇ、自分の寝室の真ん中にダンジョンが出現するなんて思わないじゃなぁい? 
 口調だけはのんびりと、しかし、突きと蹴りは目にも止まらぬ早業で、モリガンは片っ端からモンスターの急所を押さえ、ぽいぽいとダンジョンの中に戻していく。
 見れば、カーテンの前、窓のそば、広い寝台の上でも、巻き込まれてしまった冒険者が何人も奮戦していた。
「あーあ。またダンジョンっスかー。それにしても女神さまとかシヴァさまとかの近くに良く出るンすね」
 手慣れた調子で投げ網を使い、藍原和馬は魚の大捕物中である。
「これって、やっぱ意図的ものなんですかね、ダンナ?」
「さあなぁ。そうなると、俺たちの周辺に出現する傾向にある、ということにもなるしなぁ」
 最近、何となく和馬とコンビを組むことの多い武田隆之は、愛用の特殊カメラでモンスターを封印していた。
「わーい! ダンジョン、はじめてなのー。がんばるのー!」
 次々に排出される珍種魚貝類のポラロイド写真を、歓声を上げて回収しているのは藤井蘭である。尖った帽子に黒いマントの、可愛らしい魔法使い姿であった。
「お魚さんがいっぱいなの。おともだちになりたいのー!」
「最初からあんまり飛ばすなよ、慣れないうちは和馬の後ろに隠れてろ。蘭と話の通じる魚がいればいいけどな」
「きっといるのー」
「取りあえず、凶暴なやつらは、片っ端から俺が三枚おろしにしてやる」
「あら。武田さんがそんなに料理上手だなんて知らなかったわ。第一、女神モリガンみたいなタイプは苦手なんじゃないの? 午睡の誘いに乗るなんて珍しい」
 モンスターの動きを読んで器用に身をかわしながら、シュライン・エマは首を傾げる。シュラインは午睡というよりは、シヴァ一行に付き添ってきたのだ。シヴァが、たまには武彦以外の男とつき合ってもバチはあたらぬではないかと、泣きついたせいもある。
「料理はまあな、独り暮らしが長いから。それに、もう3つもダンジョンを制覇した以上はコンプリート……というのは冗談で、撮影を頼まれたんだよ」
「たかゆきおじさん、夏に飛空ていがついらくしたとき、いっしょに海水浴したの。そのとき、モリガンさんにきにいられたの」
 蘭はにこにこと経緯を説明する。隆之の撮ったスナップ写真がお気に召したモリガンは、とっておきのエクストラピンナップ撮影のために寝室に出向くようにと、半ば脅迫したのだ。ずっと逃げ回っていたところを勇者の泉で掴まって、渋々出向いてみればこのありさまというわけである。
「それはそれは……」
 撮影どころではない、というか、こんな超色モノ戦闘ショットはアトラス編集部くらいでしか扱ってはもらえないだろう。シュラインは肩をすくめた。
「さかなもんすたー。おさしみしたら、かなものだからまずい?」
 お馴染みぷちアリス状態の石神月弥は、いつものうさリュックを背負い、すっかり定位置となったブランシュの救急箱の上に座っていた。モリガンのウケを良くするため、前回配布された獣化キャンディを出がけに食べてきたので、のっけから魅了度120%のうさ耳状態である。
 ちなみに戦闘力皆無のブランシュは、月弥と自分の身を守るため、モリガンを盾にして後ろにくっついている。シヴァのことは、最初から当てにしていない。
 和馬が捕獲した大漁網の中、ぴちぴちはねる魚群はしかし、アスガルドモンスター特有の銃器一体型であるため、月弥は食材としての質に疑問をいだいている。シュラインもつい、真剣に検討するのだった。
「お刺身よりは、焼魚にしたほうがいいかも知れないわ。『勇者の泉』の影の薄い店主さんに、お醤油でもお借りしてくればよかったかしら。そろそろ寒ブリの恋しい季節よね」
「ちょっとみんな。できるだけモンスターは殺さないで。みんなもなるべく怪我はしないでね」
 モリガンが、皆を見回して言う。シヴァはモンスターの攻撃をよけながら感心していた。
「おお、モリガンらしからぬ優しいことを。ナイーブなネヴァンの気持ちがおぬしにも通じたのじゃな」
「違うわよ! 寝室に血しぶきが飛んだり、生臭くなったりするのが嫌なの。かといって焼いても煙がこもるのよねえ。魚系や貝系モンスターの死体ってすぐ腐敗するし、掃除や片付けがすごく大変――って、んもう香津夜、言ってるそばから」
 黒いコートのガンナー、津田香都夜は、鮮やかな銃さばきでモンスターの急所を撃ち抜いていた。苦情を言うモリガンを冷徹に見据える。
「この程度で騒ぐな。お前の崇拝者にでも片付けさせればいいだろう」
「何ですって」
「匂い消しが必要なら、後で友人の薬師に頼んでおく」
 香都夜はたいそう不機嫌だった。色香を武器として全面に押し出すモリガンを敬遠していたし、そもそもここに出向いたのも、別に午睡のためではない。不穏な予感がしたのと、あまり戦闘力のないものたちが巻き込まれるのを懸念したためだったのだ。
「香都夜は相変わらずクールでかっこいいのう。しかしモリガン、倒さずにいちいちダンジョンに戻していてはエンドレスじゃぞ。どうしてこんなことになったのかえ」
「知らないわ。いつものバグでしょ、アリアンロッドが東京に関わりすぎたための。でなきゃ、またルチルアがゼルバーンになって暗躍してるかね」
「許しませんわ! ゼルバーン! モリガンさまの神聖なる寝室に、このような不埒な真似をするなんて!」
 モリガンの勇者である鹿沼デルフェスは、敬愛する女神の部屋の異変に怒り心頭である。
「よくも!」
 右に左に跳躍し、『還襲鎖節刀・双石華』の力でモンスターを次々に石像に変えていき、
「わたくしがそれはそれは楽しみにしてました午睡のひとときをっ! どうしてくれますのっ」
 えいっえいえいっとダンジョンに放り投げる。目にも止まらぬ早さだ。
「今日は、モリガンさまに膝枕をしていただく予定でございましたのにっ!」
「……ううむ。デルフェスとは長いつきあいだが、こんなに立腹した姿は初めて見るのう」
「だってシヴァさま……。膝枕がおあずけに……」
「うむうむ。気持ちは良くわかる。われとて同じじゃ」
「ここで食い止めていてもキリがありませんわ。前回、ネヴァンさまが見つけた本には、何かダンジョン対策が書いてございませんでしたの?」
「それがのう、あれはあくまでも初期設定集で、特に世界を救うための方法も、ダンジョン多発防止策も記されてはいなくて――お? 悪い」
 言いながらシヴァは、襲い掛かって来た巨大魚の鱗をうっかり剣で削ぎ落としてしまった。モリガンが悲鳴を上げる。
「部屋を汚さないでったら!」
「よう、モリガン。情熱的な午睡の誘いにさっそく参上」
 したのに取り込み中か、と、入口からゆったり、彼瀬春日が現れた。男くささの際だつがっしりした体躯に、大陸風の紅い装束がよく似合う。
 今、シヴァが鱗を削いだばかりの巨大魚を、まわりの皆がやっているように一蹴でダンジョンに戻してから、モリガンのそばに行く。
「どうしたんだ? ひとときの甘い時間を過ごすはずじゃなかったのか?」
「ああ春日。見てのとおり、ダンジョン出現なのよ」
「そういう事情なら、何とかしてみよう――お楽しみは後でな」
 細腰を抱きよせて、そっと顔を近づけようとする春日に、デルフェスの平手打ちとシヴァの蹴りがダブルで入る。
「わたくしのモリガンさまに何をなさるの!」
「われのモリガンに手を出すなぁっ!」
 ふたりに邪魔された春日は悪びれもせず、あっさり標的を別に移す。
 モリガンの後ろにいたブランシュに、さらに背後から抱きついたのだ。
「いつぞやの別嬪さん、また会ったな。これはまた、まごうかたなき美女になってて、嬉しいねぇ」
「jysvうfdかmじゃhdcばsjはsっ!!!」
「蛇も水も女精――なるほど、似合っているぞ」
「dhdえsgぎhjdbk、mxscんbsがk〜〜〜〜!!!!!」
 不意打ちされ、ブランシュは思わずアスガルドモンスター語で絶叫した。春日はぐいとその顎に手を掛け、接吻しようとする。
「やめてくださいっ〜〜〜。この場には、小さいお子さんがふたりもいるんですからっ! 教育上よくないですっ!!!」
 わけのわからない抵抗をするブランシュに、
「そりゃそうだ。蘭、ちょっとあっち向いてな」
 和馬が蘭の視線の向きを変え、
「ひゃくさいだからへーき。でも、しえるさんがおこる、せんとうになるー」
 月弥は救急箱の上から身を乗り出して、錯綜した愛憎劇の落ちを推理した。
 嘉神しえるは、ずっとモンスターに囲まれていて手が離せなかった。モリガンの「部屋が汚れるのは厭」という主張に個人的に共鳴したせいもある。異臭や汚れは、黒い『アレ』の呼び水になる。それだけは耐えられなかったのだ。
 しかし、ことは恋人の貞操の危機。速攻で、魚貝類たちの包囲網をかいくぐる。
 ――はたして。
「ちょっとおおおお、そこのおじさんっ! 東京ダンジョンだけでなく、よっくっもアスガルドに来てまで私のブランシュにっ!! 今度という今度は許さないわ! ええ、許しませんとも!!!」
 短剣状にした『蒼凰』で電撃を放ち、モンスターを気絶させる戦法を取っていたしえるだが、本来の霊刃にしゃきーんと戻し、大上段に振りかぶった。春日の脳天直撃を狙うためだ。
「いいねえ。強い女性は好きだ」
 ブランシュを離した春日は、しえるの宣戦布告を受けて立つ構えである。
「あのねえ、あなたたち。どうせ戦闘するのなら、いっそダンジョン内に入ってくれないっ!?」
 しえるがスルーしたモンスターを引き受ける羽目になり、巨大貝と格闘しつつモリガンが怒鳴る。
「おお。それは良い考えじゃ。しえる、春日は超女好き……もとい、博愛主義に満ちた殿方でな。ゼルバーンにすら粉をかけているという噂も聞く。戦闘能力も抜群で、好敵手と認めたマッハとは、3日間闘い続けて引き分けたそうな。相手に取って不足はなかろう、思いきり拳をまじえるがよいぞ」
 調子良く便乗したシヴァに、モリガンは気絶させた貝を投げつける。
「あなたもよ、シヴァ! もうここはいいから、おおもとを何とかして来て!」
「何をしやる。つれない女神じゃ――うあぁぁぁ〜!!」
 足を取られてよろめき、巨大貝と抱き合ったシヴァは、ごろごろとダンジョン内部への階段落ちをしたのであった。

 □□ □□

「おやおや、シヴァ様。大丈夫ですか……?」
 ちょうどダンジョン入口近くにいたセレスティ・カーニンガムは、自分の方に飛んできたシヴァをひょいと避けてから、階段下の様子(おもにシヴァの絶叫)に耳を傾けていた。
「こらぁ〜〜! セレスティ! 今、さらっと身をかわしおったなっ」
「シヴァ様なら、真っ先に突入なさっても安心ですから。それにしても、半獣化状態ですと、いつもより敏捷な行動が取れて便利ですねぇ、モーリス?」
「今日は午睡のために出向いたわけで、べつだん戦闘の予定も、ダンジョン探索の予定もあったわけでもなく、まして――前回配布いただいた獣化キャンディを食べる必要もなかったはずなんですけどね」
 キツネ耳とキツネの尻尾をふさふさ生やしているあるじを見て、モーリス・ラジアルは溜息をついた。そういうモーリスにも、ばっちり猫耳と猫の尻尾がついている。
『魅了』の達人、女神モリガンの寝室にお呼ばれするのですから、こちらも勝負体型で臨みませんと、というあるじが率先して半獣化したため、モーリスも仕方なく、というか、はんば自棄気味でキャンディを摂取したのだ。
「シヴァ様は……お元気そうですから心配ありませんね」
「しぶとさが売りだし、平気でしょ」
 一応、確認してみるモーリスに、しえるも頷く。
「ですね。……どうですか、そちらの様子は?」
「怪しい魚貝類がいっぱいで、『〜異界〜築地・改』にでも来たようじゃ。あまり高級食材は見あたらぬが……おうわっ! これ、早くおぬしらも加勢に来い!」
「そうですねえ。少し、事情聴取してからにいたします」
 寝室にたむろっていたモンスターたちは、一同の善戦により、あらかた片づきつつあった。
 モーリスは『快楽の鞭』によって魚たちを幻覚にいざない、いい夢を見させていた。それらは放置プレイのままで、和馬の網の中から、出来るだけ小さくて穏便そうな、どこかしらエンゼルフィッシュに似た個体を選び、自分の作った檻に移動させる。
「話していただけませんか。どうして女神の寝室に来ることになったのですか?」
「ッhdg……yっks……。hxhxbんs。bうxkjひ……」
 檻に入れる前に、暴れてついた傷をモーリスが治してやったため、エンゼルフィッシュは感謝していた。おずおずと話し始めるのを、モンスター言語習熟済みのシュラインが、皆に同時通訳する。
「このダンジョンの最奧には大きな湖があって、そこからやってきたんですって。いきなり天井に穴が開いて階段が出来たから、きっとアサルトゴブリンとかトーチハウンドのような別種族のモンスターが食料調達のために攻めてきたんだ、負けるものか、戦って身を守れ、むしろこちらの食料にしてしまえ……ということらしいわね」
「お魚さん、こんにちはなのー」
 挨拶は基本とばかりに、蘭がぴょこんと頭をさげる。
「いじめないよっていったら、仲良くなれるかな? こっちの網のお魚さんたちとも」
「どうかな。彼らにとっては、勇者だって別種族のモンスターと同じだ。誰か、首領に相当する存在がいるんだろう。そいつを倒すか、説得するかしなければ」
 魚たちに無邪気に近づく蘭が不意の銃弾を受けたりしないよう、黒いコートで庇いながら、香津夜はモリガンを振り返る。
「……ダンジョンに入るぞ、モリガン」
「いやよ。そんな生臭そうなところに、私が行く必要はないでしょ?」
 渋るモリガンに、蘭が走り寄って抱きついた。
「いこー。いこうなのー」
「ちょっとお……」
 男性勇者たちをその色香で翻弄してきたモリガンだが、小さな子に懐かれる機会は少ない。蘭の無敵スマイルに少し心を動かしたあたりで、救急箱から飛び降りた月弥が、強力な駄目押し悩殺をした。
 目を潤ませ、うさ耳をロップイヤーのように垂れさせて、懇願したのである。
「いっしょ、いこ? だめ? だめ……?」
「月弥どのの『魅了』……。これは是非、参考にさせていただかなくては!」
 それまでは黙々と、飛び散った鱗やら血しぶきやらの清掃を行っていたデュエラが、モリガンの前に陣取る。前回のダンジョン探索以降、モリガンに弟子入りして『魅了』修行中であるが、未だはかばかしくない状態なのだ。
「ねえ、デュエラさん。前々から言おうと思ってたんだけど」
 真剣そのもののデュエラに、シュラインがアドバイスをした。
「蘭くんや月弥くんの魅力というのは、無意識から発する『天然』なのよ。だからデュエラさんも、無理に色気を作るよりは、得意なワザを魅せる方向に特化した方が魅了の確実性が増すと思うの。そう……たとえば剣舞とかどうかしら? 上品な艶をお持ちだし、それなら性別や年齢に関係なく、見るひとを惹き込めると思うわ」
「剣舞ですか。ありがとうございます。考えてみます!」
 いっこうに上がらぬ修行の成果に、デュエラは人知れず悩んでいたらしい。ぱっと光明が開けた嬉しさのあまり、シュラインにがしっと抱きつく。
「……あら」
「これは珍しいツーショットですね。隆之さん、記念に撮ってください」
「あ? ああ」
 セレスティに言われ、ちょっと戸惑うシュラインを、隆之は激写する。
 そんなこんなで一同が息を呑んで見つめる中、月弥の魅了は、むしろモリガン以外に効果を及ぼした。
「……う」
「……うっ」
 シュラインとブランシュが、相次いでくらりとした。デュエラとしえるがそれぞれ支える。
 モリガンはかなり動揺したが、それでも踏みとどまった。
「モリガンさま。わたくしからも同行をお願いいたしますわ。これは、午睡を楽しむための準備体操のようなもの。もしもゼルバーンの仕業であれば、ひとこと文句を言いにまいりましょう」
 必死に訴えるデルフェスの肩をぽんと叩いてから、香津夜はモリガンの襟首を容赦なく掴んだ。 
「お前は女神なのだろう? 立場というものには、それなりの重責が付随するはずだ。お前の責任と義務を果たせ」
 モリガンを引きずって、香津夜は階段を降りる。一同はその後に続いた。
「素晴らしいです、香津夜さん。あのっ、現実世界に帰ったら、ぜひとも弁天さまにも同じ台詞を仰ってください、お願いします〜」
 ――とは、いたく感動したブランシュの心からの叫びであった。

ACT.2■人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり

「ええい〜! これ、和馬に隆之に蘭! デルフェスにシュラインにしえる! 月弥に春日にセレスティにモーリス! 香津夜にモリガンにデュエラについでにブランシュ〜! 早く来ぬか〜〜〜。われをいつまでひとりにする気じゃあ〜!!!」
 一行が到着するまでの間、シヴァは、剣の腕の問題により、襲ってくるモンスターを傷つけずに済ますことは出来なかった。
 ざっくり、ぐっさりと、もたもた下手くそに戦っていたのだが。
「今回のダンジョンも楽しそーだね! ドロシィちゃん、また来ちゃった♪」
 魚の群れの中に、見覚えのあるプラチナブロンドがきらめいていた。いつものエプロンドレスに分厚いファンタジーの本を抱えたドロシィ夢霧は、しかし、従えているのはお馴染みのデーモン『オーバー・ザ・レインボゥ』ではなかった。
 青白く光る鱗に覆われた、上半身が魚で下半身が人間のような、不思議な生き物である。
「おおドロシィ。神出鬼没じゃの。いったいいつからそこに。……して、その御仁は?」
「ずっとみんなが寝室で戦ってて、することないし先に入ってたの。ネゴシエーターが必要みたいだったから『OZ』から半漁人の交渉人Aを呼び出したんだ。人間語と魚系言語を話せるんだよ」
「……交渉人Aどのか。ドロシィの交友関係はお役立ち人材満載じゃの」
「Aはねー。言語能力は高いし交渉の腕はいいんだけど、お金と女に弱いのが玉に瑕なんだよね」
 ドロシィがぼやいている間にも、交渉人Aは、素早くあちらの魚、こちらの貝、向こうの両生類に声を掛けて渡り歩く。ひととおり仲良くなったかと思いきや、今度はモンスター同士が戦い始めた。どうやら、全員が女性で、Aを巡っての命がけの恋のさや当てに発展したらしい。
「う……うむ。凄腕というか何というか」
「あらあらまぁまぁ。水に属するものではあるようですけど、機械が混ざってしまっているから話が通じるかわかりませんねぇ」
 ――突如、やはりモンスターの群れをかき分けて、巨大なタコ――クラーケンが現れた。しっとりと響く女性の声に、シヴァは目をぱちくりさせる。
「これ、ドロシィ。こちらの八本足のビッグな御仁もおぬしの人材バンク出身か? 交渉人Bか?」
「ちがうよー? ドロシィの知り合いじゃないもん」
「まぁ。シヴァさんは噂どおりの愉快なかたねぇ。このクラーケンは私が召還した使い魔なのよ。人魚の身では、歩くのが面倒くさくって」
 よくよく見れば、クラーケンが言葉を発していたわけではなかった。その上に乗っている、黒いサリーの美女が話しているのだった。
 20代半ばに見える長い黒髪の女性で、腰から下は漆黒の尾びれが広がり、手には壷を抱えている。どうやらそれを使って、使い魔を召還するらしい。
「ええっと。すると、おぬしがラスボスじゃなっ! いざ、尋常に勝負……してはまずいな。行け、交渉人A! この際、口説いても構わぬ。なんとか穏便に撤退してもらうよう説得するのじゃ」
 さっそく走り寄ったAが、モンスター言語で話しかける。しかし美女はくすくす笑ってばかりだ。
「ああ楽しい。私がラスボスなら話は早いのですけど。残念ながら、冒険者のひとりですので」
「なにぃ〜〜〜!! 魚貝類に混ざってまるっきり違和感のないその姿でかっ!」
「はい。竜宮真砂と申します。私も、皆さんが戦闘でお忙しそうなので、ひとあしお先にダンジョン探索をしてましたの」
 真砂はクラーケンの上から、遙か前方を指し示した。
「向こうに大きな湖がございました。モンスターたちは、そこから現れているようですわ」

 □□ □□

『勇者の泉』でモリガンが午睡に誘ったのは、シヴァたちをのぞいて総勢13名。
 その全員が、好むと好まざるとに関わらず、ダンジョンに突入したことになる。
「こんなに冒険者がいるんだから、私が来なくてもよかったのに……」
 モリガンはまだぶつぶつ言っては、香津夜に睨まれていた。
 だが、確かに道行きは順調だった。道は幾重にも枝分かれしていたし、湖に近づくにつれモンスターの数も段違いに増えてきたが、何しろ充実メンバーである。
 敵位置捕捉担当のシュライン。牽制・狙撃担当にして弱者防御もこなす香津夜。魅了及び人間変化系モンスター救助及び回復担当の月弥。魅了もモンスター捕縛もいけるセレスティとモーリス。石化担当のデルフェス。封印担当の隆之。交流担当の蘭。マッピング及び電撃及びブランシュのボディガード担当のしえる(ときどきモンスターと交流を図ってはいるが、脅迫しているようにしか見えない)。ばちんばちんとクラーケンの足を使って魚貝類を気絶させ、道なき場所に道をつくる担当の真砂。クラーケンのぬめぬめをものともせず、ちゃっかりその上に同乗し、真砂の美しさを褒め称える担当の春日。交渉人A派遣担当かつ、交渉決裂の場合は『OZ』の砂漠地帯へモンスターと和馬を共に飛ばして戦わせ、終わったら和馬を回収する担当のドロシィ。
「って、シヴァさま! 俺ってどういう役回りっスか!」
 それでも異世界『OZ』での戦闘に勝利し、和馬はぼろぼろになって生還していた。
「和馬はオールマイティゆえ、ついつい皆が頼りにしてしまうのじゃ。ほれ、月弥が呼んでおるぞ」
 大量に出現した小魚たち用に、月弥はうさリュックから魔物の餌を取り出して投げている。
「あみー。よろしくー」
「はいよっと」
 和馬は投げ網を放った。小魚は一瞬で一網打尽。見事なコラボレーションである。
「すみません、和馬さん。こちらもお願いできますか?」
 今度はセレスティだ。湖から調達した水をバルーン状にして、モンスターを閉じこめている。
「この水玉ごと、湖に戻してさしあげたいのですけれど、私では力がなくて」
「はいはいはい。力仕事ならおまかせください。こいつを転がせばいいんですね?」
「和馬さん。出来ればこのモンスター入り檻も、湖まで運んでいただければ助かります」
「はいはいモーリスさん。運送業は慣れてますからおまかせくださいよ」
「しまった!」
「どうしたんスか、武田のダンナ」
「うっかり写真を破いて封印が解けちまった。凶暴な牙つきマグロ風モンスターのを」
「そんなもん、『黒狼の魂』ですぱすぱ切っちゃいますよ! マグロなら食べられそうだし」
 言葉通りにマグロを輪切りにしてから、和馬はしえるに言う。
「食べ物は粗末にしちゃだめだよな。火ぃ起こしてくれませんか」
「いいけど、それ焼くの? 誰が食べるのよ」
「そりゃ、封印解除した張本人スよね? ダンナ?」
「いや! 俺は遠慮する! モンスターを喰う趣味はない!」
「まあそう言わずに。ルチルアや名前の言えない誰かさんの某煮込み料理よりは、きっと美味しいと思いますよー?」

ACT.3■水中の惨劇

 一同はとうとう、湖の岸辺に着いた。
 周辺は霧に包まれ、草花が咲き乱れ、モンスターさえいなければ、平和で美しい光景である。
「建造物でもあれば、セレスティさまを中で休ませてさし上げられるかと思ったのですけれども。人工物は何もないようですね」
 モーリスが周囲を見回して言う。
「邪魔が入らなければ、この辺でピクニックも楽しそうなのにね。……ブランシュは私の手を離しちゃだめよ、何かと危ないから」
「はい、しえるさん」
 しっかりと手を握り合っているしえるとブランシュの後ろ姿は、微笑ましいような妖しいような光景で、春日は「美女ふたりが勿体ない……」などと呟くのだった。真砂に迫ってクラーケンにはじきとばされ、シュラインの肩を抱こうとして手をつねられ、デルフェスに近づいて石化の憂き目を見、香都夜を口説こうとして投げ飛ばされたうえに眉間に銃口を押しつけられるなど、ひととおりこなした後のことである。
 檻から出してずっと連れ歩いていたエンゼルフィッシュを、モーリスはここで解放した。
「もうお別れなの? 淋しいのー」
 名残を惜しむ蘭に、エンゼルフィッシュは胸びれを伸ばしてその頭を撫でる。
「jyどhsd……chgふぁ……」
「うん……。うん……。お魚さんも元気でね。また遊びにくるなの」
「gう゛ぁyh……。jdすjwj……」
「ほんと? 僕に泳ぎを教えてくれるなの? うれしいのー!」
「蘭のやつ、言葉もわからんはずなのに、何となく通じてるっぽいのがすごいよな」
 小さなオリヅルランに改めて尊敬の念を持った和馬に、シュラインも頷く。
「無邪気な笑顔は、種族不問の言語といったところかしらね。……ところでこの湖、どうしてこんなに霧が深いのかしら」
「いえ……。これは、霧というよりは……」
 真砂がしゃがみ込んで、湖に手を浸す。
「湯気です。この湖は、温水湖のようですわねぇ……」
「温水だと?」
 信じられないとばかりに、香都夜も手を入れてみて、やっと納得した。
「本当だ。かなり熱い」
「なんとモリガン。おぬしの寝室は温泉併設であったか」
「違うわよ!」
 湖は青く澄んでいる。目をこらせば、底まで見通せそうだ。
 モリガンは不審気に目を細め、そして、見つけた。

「底のほうに、何かいるわ。とても……大きな魚が」

 □□ □□

「え、や、だからといって、何で俺が行くんだ?」
 さくさくと、隆之の腰に命綱が巻かれた。その端は、和馬が持っている。
「ふっふっふ、ダンナ。俺の目は誤魔化せませんよ。本日の魔法寫眞機は、ちゃんと防水アダプタつきの水中カメラ仕様になってますよね?」
「しかし、ラスボスクラスだと封印できないぞ。それに呼吸、そうそう、俺じゃ水中呼吸ができないから長時間活動できないし、偵察だけなら他にいくらでも適任がいるだろう」
「それなら、こちらをどうぞ」
 真砂がさっと丸薬を差し出す。
「水中でも呼吸が可能になる薬です。50スターにおまけしておきますから」
「またもや有料か! いやあの、持ち合わせがないんで」
「お代は、あとで私の実験におつきあいくださる形でお支払いいただいても結構ですよ。いってらっしゃいませ」
「実験て何だぁ――!?」

 とっぷん、と、隆之は水中に沈んだ。
 ほどなくして――
 和馬の手に命綱を引く感触があった。
 勢いよく引っ張り上げれば――そこには。

 蒼白状態の隆之と、その足に噛みついている巨大ナマズがいたのであった。

 □□ □□

「しっかり、武田さん! 今、助けるから。蒼凰の電撃、最大出力でいってみよー!」
 どっかーん! と豪快な音を立てて、温水湖に稲妻が走る。
「待て……しえる嬢。せめて俺が湖から上がってからに……」

 ――間に合わなかった。

 水は電気を良く通す。
 従って、隆之は巨大ナマズと仲良く並んで、ぷかぁっと温水湖に浮かぶ羽目になった。

 ドロシィが片手を上げ、ぱちんと指をはじく。
 ――と。
 どこからどうやって出現出来るのか、どんな謎よりもミステリアスな夢霧家の黒服の下僕たちが、大勢現れた。
 ……人数分の、スキュバーダイビング用具を持って。
 
ACT.4■エピローグは謎と午睡と縁結び

「温泉ナマズのベアトリーチェさんと仰るそうなのよ、『彼女』は。いきなり天井に穴が開いて吃驚して、他種のモンスターが攻めてくると思っちゃったのはエンゼルフイッシュさんから聞いたとおりだけれど、ベアトリーチェさん的には、もっと別の想いがあったようなのね」
 おのおのダイビング用品を使ったり、真砂の呼吸薬を使用したり、はてはもともと水中呼吸可な体質だったりして、ともかくも全員が湖に入り、隆之と巨大ナマズを救出して介抱した。
 回復担当が尽力したおかげで、隆之もナマズも九死に一生を得た。息を吹き返したナマズにシュラインが意思の疎通を図り、聞き出した情報が前述の内容である。
「想いって……? なかよしになりたいとかなの?」
 湖の周りに、皆は腰を下ろしていた。ナマズのベアトリーチェだけは、湖の中から顔だけを出している。蘭は水面に手を伸ばし、まるでイルカでも撫でるように、ベアトリーチェに「よしよし」をしていた。
「ええ。ベアトリーチェさんはこの湖の主として他の魚貝類モンスターから崇拝されている立場で、知能が高い分、すごくナイーブでロマンチストなの。やってくる他種のモンスターの中に、もしかしたら『王子さま』がいるかも知れないって思ってたのですって」
「そうだったの。恋に恋する乙女心はわからなくもないわ。いきなり電撃で挨拶なんかして、ごめんなさいね」
 しえるが神妙にわびる。
 ベアトリーチェはひげを横に振った。「気にしないで」ということらしい。
「わかった。そういうことなら、縁結び担当のわれにまかせいっ!」
 シヴァがばしんと自分の胸を叩く。
「これっ。逃げるな隆之。ベアトリーチェ、こちら、武田隆之さん35歳バツイチ。こう見えて腕のいいカメラマンじゃ。只今再婚相手絶賛募集中」
「勘弁してくれー!」
 隆之はささっと和馬の背中に身を隠す。 
「さて、こちらは藍原和馬さん920歳独身。獣化能力をお持ちの何でも屋じゃ。職業はフリーターだが、このご時世、正社員だからといって必ずしも安定してるわけでなし、考えようによっては」
「俺なんか駄目っスよー! ベアトリーチェちゃんを不幸にしますっ!」
 和馬が頭を抱えたので、シヴァの目は蘭に止まった。
「この子は藤井蘭さん1歳。オリヅルランの化身にして藤井家の居候。ヒーリング効果をお持ちのレア植物ゆえ、世間の荒波に疲れた娘御の癒しにはうってつけじゃ」
「よろしくなのー」
 単なる友達紹介と思ったらしく、蘭は満面の笑顔である。
「さらに、こちらセレスティ・カーニンガムさん725歳。かのリンスター財閥総帥にして、見てのとおり超美形の超セレブであらせられる。ゲットしたあかつきには、おぬしもファーストレディの仲間入りじゃ。となりはモーリス・ラジアルさん527歳。リンスター財閥所有の庭園を全面管理する庭園設計者ぞ。甘いものが苦手ゆえ、お茶の時間は要注意じゃが」
「おやおや。照れますねえ」
「……甘いものは、時と場合によっては、いただくこともあります」
 どんな異常事態であろうと、ひとはいつしか適応してしまうものらしい。セレスティとモーリスは、それこそ中庭のテーブルでお茶でも飲んでいるときのように落ち着いていた。
「月弥は……幼女状態だから特によいとしよう。以上じゃ、ベアトリーチェ。好きなのを選べ」
「おい、ひとり抜けてるぞ。俺はベアトリーチェちゃんに紹介してくれないのか?」
 シヴァの背を、春日が指先でつつく。
「妻子もちはいかん。ベアトリーチェは王子さまを夢見ておるのじゃぞ」
「……ねえ。もうそろそろ帰らない? 眠くなってきちゃった」
 すっかり気の緩んだモリガンが、ふぁぁと欠伸をした。

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「結局、ゼルバーンの仕業かどうかはわかりませんでしたわね。そもそも、あの湖は何だったのでしょう?」
 モリガンに念願の膝枕をしてもらいながら、デルフェスは呟く。
 しえるはブランシュの手を握りしめたまま、すやすやと寝息を立てている。
 和馬と隆之が魚の鱗を片付け、血のりなどはセレスティとモーリスが元に戻して、寝室はすっかり片づいていた。ちなみに、モリガンのピンナップ撮影は仕切り直しである。
 帰ってきた直後、しえるがダンジョン入口を崩壊させて埋め立てたので、室内の見た目はもとどおりだ。
 知恵の環で調べたところによれば、くだんの湖へは、何日かかけて歩けば到達することが判明している。
 ――つまり、アスガルド自体がダンジョン化しているらしい。
「浅葱さんが目覚めた事で、構想段階か、もしくは初期設定のものが表面化したとか、なのかしら?」
 寝室の床に、シュラインは2枚の地図を広げた。1枚はアスガルドの、1枚は東京の地図である。
「ジャンゴは、現実世界では神聖都学園と重なっているのよね。同じように、今までのダンジョンが東京のどこかと重なるんじゃないかと思ったんだけど」
「地理的な位置関係が同じということか?」
 見比べて首を捻る香津夜に、真砂が草間興信所のあるあたりをなぞる。
「そうでなくとも、異界化した部分の侵食が、影響されやすい場所ということかしらねぇ」
「だんじょん1の『はくぎんのどうくつ』は、あんてぃーくしょっぷ・れんにつながってた」
 月弥が言い、
「ダンジョン2の『勇者の泉』は、草間興信所みたいだって、かずまにーさんがいってたのー」
 蘭が目を輝かせ、
「ダンジョン3は『知恵の環』だったってな。これは高峰心霊学研究所を連想するな」
 春日が顎を撫でる。
「じゃあ……今回のダンジョンは……」
 考え込むシュラインに、ドロシィがあっさり言った。
「あやかし荘でしょー? だって温水になってたじゃない。あやかし荘の巨大露天風呂と繋がってるんだよ」
 地図を持ち上げて検分していたシュラインは、はらりと落としてしまった。
「あやかし荘の露天風呂……」

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『知恵の環』でネヴァンを交え、セレスティとモーリスは浅葱孝太郎の設定ノートを読み込んでいた。
 ページを繰るセレスティの指が、ある一点で止まる。
「おや? この設定集には、副題があるようですね」
「アドベンチャーゲーム『白銀の姫』:副題〜もうひとつの東京怪談〜」
 モーリスがはっとして、あるじを見る。
「東京……怪談?」
 聞き慣れぬ言葉に、ネヴァンの瞳が不安に曇った。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0592/ドロシィ・夢霧(どろしぃ・むむ)/女/13/聖クリスチナ学園中等部学生(1年生)】
【1466/武田・隆之(たけだ・たかゆき)/男/35/カメラマン】
【1533/藍原・和馬(あいはら・かずま)/男/920/フリーター(何でも屋)】
【1883/セレスティ・カーニンガム(せれすてぃ・かーにんがむ)/男/725/財閥総帥・占い師・水霊使い】
【2181/鹿沼・デルフェス(かぬま・でるふぇす)/女/463/アンティークショップ・レンの店員】
【2163/藤井・蘭(ふじい・らん)/ 男/1/藤井家の居候】
【2269/石神・月弥(いしがみ・つきや)/無性/100/つくも神】
【2318/モーリス・ラジアル(もーりす・らじある)/527/男/ガードナー・医師・調和者】
【2617/嘉神・しえる(かがみ・しえる)/女/22/外国語教室講師】
【3164/津田・香都夜(つだ・かつや)/女/26/喫茶店従業員】
【4451/彼瀬・春日(かのせ・はるひ)/男/42/鍼灸整体師兼道場主】
【5199/竜宮・真砂(たつみや・まさご)/女/750/魔女】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、神無月です。
第4回目のダンジョン巡りにお付き合いいただき、まことにありがとうございます。
えー。温泉ナマズのベアトリーチェ嬢が選んだのは、シヴァが縁結びしそこねた交渉人A氏とクラーケン氏でした。おふたりには、アイテム『乙女心の真珠』が渡されましたが、あにはからんや、乙女心は儚いもの。ダンジョンを出た瞬間に泡と消えた模様です。

はたと気づけば、もう師走。ダンジョンも残すところあと1回となりました。願わくば最終回をまっとうできますよう、そして、最後まで見守っていただければ、これに勝る喜びはございません。

□■シュライン・エマさま
まさかデュエラに魅了アドバイスをくださろうとは! ……むしろ、デュエラを魅了したような気がしなくもなく。現実世界に帰ったあかつきには、草間氏と張り合ったりなんかしちゃったり(略

□■ドロシィ夢霧さま
交渉人A氏の設定が大変秀逸でウケさせていただきました。A氏とは、またどこかでお逢いしとうございます。それにしても夢霧家には、何人の下僕がいるのでしょうか。

□■武田隆之さま
今回は水中カメラ! なのに瀕死状態で申し訳ございません。そして、恒例のミネラルウォーターシーンもございませんでしたが、それはですね、温水湖の水をたらふく飲んでしまったからということで……。

□■藍原和馬さま
和馬さまご希望の『可愛いお魚さん』を大胆に登場させてみましたが、如何でしたでしょうか(誤解を招く発言)。月弥さまとのコラボレーションは、まるで事前打ち合わせがあったかのようでした。

□■セレスティ・カーニンガムさま
よもや、冒頭からキツネ耳とキツネの尻尾でご登場いただけるとは、感涙でモニタが霞みます。最後までとっても自然体な総帥さまには、最終回への引きをご担当いただきました。

□■鹿沼デルフェスさま
嗚呼……。デルフェスさまがいたくご立腹に……。午睡が生臭い世界になってしまってお詫びのしようもございません。ラストではモリガンの膝枕をゲトされたご様子、どうぞお疲れが癒されますように。

□■藤井蘭さま
おっ。蘭さまは複数参加の依頼系では初めましてですね! 登場人物一覧の中にお名前があると、なんだかレア感がございます。初めてのダンジョンがアレで、ピュアな心のトラウマにならぬことを祈るばかりです。

□■石神月弥さま
おそらく事前の打ち合わせはなかったものとWRは推察しますが、それにしても和馬さまとのがっつりな餌撒き→投げ網の流れは感動ものでした。うさ耳魅了も全開。モリガン以外が、よりくらっと来たようです(笑)。

□■モーリス・ラジアルさま
まあ……。モーリスさままでのっけから猫耳でご登場とはWR冥利につきまする。シリーズものをやって良かった(そうなの?)! 

□■嘉神しえるさま
おや? 今回はぷちリフォームといった感じでしょうか。シリーズ最高の愛憎劇(?)が展開されたようでございますが、ラストは微笑ましかったです。

□■津田香都夜さま
クールな香都夜さまが、強引にモリガンをダンジョンに連行したのはその優しさゆえ。女神はいまひとつ役に立たず、香都夜さまが奮戦することになったようですが。お疲れ様でございました〜!

□■彼瀬春日さま
ミッションノベルでもその男っぽいフェロモンにくらくらいたしましたが、今回もまた。奥様がいらっしゃることをつい忘れてしまいますよ。罪な御方ですこと。

□■竜宮真砂さま
初めまして! 優美な魔女さまにこのようなダンジョンに潜っていただき、有り難いことでございます。クラーケン氏に乗ったお姿は、むしろラスボスより強そ……いえbdっっhんdfjmsん(訳不能