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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


出せない手紙


◆黒い封筒

 神聖都学園高等部昇降口。朝8時を過ぎたそこは、登校した大勢の生徒で賑わっている。
 水嶋・聖が自分の靴箱の蓋を開けた途端。

 バサバサバサッ。

 中から大量の手紙が溢れ出した。溜息をこぼし、拾おうと身を屈めると、
「おはよう聖ちゃん」
「あ、おはよう千尋くん」
 同じ生徒会メンバーの池田・千尋が声をかけてきた。極度の霊媒体質でしょっちゅう霊に憑かれる彼だが、今日は今のところ無事なようである。聖の隣に屈み込み、
「今日もたくさんラブレターもらってるんだねぇ」
「そうなの。読むのも大変で困っちゃう。昨日なんて一回の手紙で便箋30枚以上書いて来た人も居たし」
「30枚!? す、すごいね……なんていうか気合いだね」
「そんな気合いがあるなら別のことに使って欲しいわ。――あら?」
 ふと、手紙を拾う手を止める聖。
 一通だけ漆黒の長4形封筒が混ざっていた。宛名も差出人もない。千尋も覗き込んでくる。
「うわー、なんかラブレターじゃなさそうな感じだなぁ……。まさか不幸の手紙とか?」
「今時そんなの書く人居るのかしら」
 糊付けされた封筒の上部を少しずつ破って開封する。が、中には便箋一枚入っていなかった。
「封筒だけ……?」
『初めまして、水嶋・聖さん』
「えっ?」
 千尋の声に振り向く。しかし意思は当人のものとは違うようだ。童顔の彼には似つかわしくない、大人びた余裕のある笑み。
 警戒して封筒を握りしめる。
「どちらさまですか?」
『驚かせてすみません。僕は黒崎と申します。10年前までこの高等部に勤めていた事務員です』
「事務員さん、ですか……。わたしにどんなご用件でしょう?」
『実は、ある事情で昔出せなかった手紙を探して頂きたいのです。校舎のどこかにあるはずなのですが、10年前とは構造が変わってしまっていて、なかなか思い出せなくて……』
 千尋の身体を借りた黒崎は、落ち着いた口調で苦々しく事情を打ち明ける。悪霊ではなさそうである。
 出せなかった手紙というのは、この黒い封筒に入れるはずだったのだろうか。
「お手紙を? でもこの校舎も広いですから、かなりお時間を取ることになってしまうと思いますが、それでもよろしいですか?」
『ええ、構いません。有難うございます』
「あの、もう少しそのお手紙の場所を絞り込めませんか? 大体の見当で結構ですので」
『そうですね……。多分、現在の西校舎に当たる場所だと思います』
 西校舎には音楽室、美術室等の特別教室が集中している。各クラブの部室もそこだ。
「わかりました。では、休み時間や放課後に探してみます」
 自分ひとりでは大変だから、誰かの手を借りなければ。聖はホームルームで顔を合わせる級友への相談を決定した。


◆探索開始

 放課後。聖の相談に乗った烏有・大地の付き添いで、環和・基は2年生の教室へと赴いた。清掃も終わり、生徒は部活に行くなり帰宅するなりして閑散としている。
 霊に憑依されているらしい千尋を、眼鏡の奥から生温い目で眺めつつ、
「あー、また面倒なのをくっつけて」
「すみません、環和先輩にまでご迷惑を……」
「や、別にいいけど」
 苦笑する聖にさらりと嫌味なく返し、再び千尋へと向き直る。
「黒崎さん、だっけ? 憑依なんて回りくどいことしなくていいぞ、視えてるから」
『あ、そうなんですか。それはこちらとしても助かります』
 千尋と黒崎の声が重なって聞こえる。黒崎の方は穏和なテノールだ。青年とも中年とも取れないが、どちらかといえば割と若々しい声音。
 千尋の背後に佇む彼の姿を、基は明瞭に捉えていた。年の頃は30代前半といったところか。黒髪を七三に分けた地味で真面目そうな顔立ちに、きっちりと着こなした紺のスーツ。陰気な印象はなく、むしろ清潔感が溢れていて好感の持てる外見だった。
「手紙を探して欲しいんだよな? でも、だからって靴箱からメッセージはどうかと思うぞ。水嶋の靴箱はポストじゃないんだから」
『ええ、それについては僕も申し訳なく思っています。ただ彼女は超常現象を解決して下さる生徒会のメンバーだと知りまして……霊である僕の願いも聞いて頂けるかと』
「それでわたしに依頼されたということですね」
『はい、本当に皆さんにはご迷惑をおかけして……』
 深々と頭を下げる黒崎に、聖も「いえ、そんな」と会釈する。悪霊じゃなさそうだな、と基は安堵した。
「――ところで」
 黙っていた大地が口を挟む。
「その黒い封筒ってのが奇妙で気になるんだよな」
「あ、大地、それ俺も気になってた」
「やっぱりか」
「ぶっちゃけ黒いと宛先とか読みにくいことこの上ないだろ。それとも黒崎だから黒とか……」
『いえ、違います』
 即答で否定された。本当だったらちょっと面白かったのにな、と内心で少し落胆する。黒崎は哀しげに溜息を吐き出し、
『実は僕のドジで、仕事の最中に封筒に黒インクをこぼしてしまって……』
「あー、なるほど。それで真っ黒に染まっちまったわけか」
「流石に10年以上経ったからインクの臭いはしないな」
 封筒を鼻に近づけて嗅ぐ大地に、聖がくすりと笑んだ。
「では、これからどうしましょう?」
「そうだな……。まず10年前について最低限知識を仕入れておくか。職員室に行って古株の教師つかまえれば、詳しい話聞けるかもしれない」
「よし、そっちは大地に任せた。俺はその辺の霊に何か知ってることないか訊いてみる」
「じゃ、決まりだな」
「そうですね。何かわかったら携帯で連絡を取り合いましょう。わたしは烏有くんと一緒に職員室に向かいます」
 頷き合う3人。黒崎がまた深く礼をする。
『皆さん、ありがとうございます。宜しくお願いします……!』
「はい、頑張ります」
「黒崎さんはどうする? 俺と行くか、大地と水嶋と行くか。それともここで待ってる?」
『こちらで待たせて頂きます。彼――池田くんの身体を酷使してしまうのは申し訳ないですから』
 千尋のことをきちんと気遣う黒崎の態度に、基は確実な安心感を覚えた。やっぱりこの人は悪い人じゃない。
「じゃあ、ちょっと時間かかるかもしれないけど待っててくれな」
 そして3人は教室を後にする。廊下に出た途端、基の肩を大地の手が掴んだ。
「基」
「何?」
 振り向くと真摯な眼差しに見つめられる。感じ取れるのは、磨き抜かれた剣の切っ先にも似たまっすぐな想い。
「何かあったらすぐ連絡しろよ。貧血出た時は特にな。おまえ、ひとりになると危なっかしいんだから」
「わかってる。多分、大丈夫だろ。そんな激しい運動するわけじゃないし」
「だといいけどな」
「では先輩、またのちほど」
「ん。そっちも気を付けろよ」
 軽く手を振って別れ、ふたりの背中を見送る。
 いつもなら多少鬱陶しく感じる大地の心配性も、今は嬉しく思っていた。
 ――きっと大丈夫。今なら、頑張れる。
 小さく吐息し、基はふたりとは逆方向に歩み始めた。


◆昔の証言

 神聖都学園は全国有数の心霊スポットのひとつに数えられている。故に学園内で超常現象が起こる頻度も半端ではない。世間に蔓延る一般的な犯罪の件数よりも多いのではないかと噂されるほどだ。
 今こうして手紙探索に携わっている間にも、おそらく学園のどこかで別の事件が発生しているのだろう。大地は歩きながらふとそんなことを考えていた。
 ――基がそれに巻き込まれなければいいが。
 隣を歩む聖が声をかけてくる。
「烏有くん、どうかした? 考え事?」
「いや、大したことじゃないんだが。この学校ってやたら変な事件起こりまくるだろ。だから、解決するおまえら生徒会も大変だろうな、って思ってた」
「うん、そうね。5人じゃとても追いつかないから、いつも学内で協力者を募集してるの。今回も烏有くんにお願いしちゃったし……いきなりごめんね」
「別にいいって、丁度暇だったし。しかしおまえも毎日ラブレターもらって疲れないか?」
「沢山もらうから読むのは大変。でも疲れるっていうより、なんだか申し訳なくて……。好きだって言ってもらえるのはとても嬉しいけど、結局わたしはその人たちの気持ちには応えられないから……」
「そうか」
 美しく清楚な外見と水の如き透明な優しさがあるからこそ、聖は同性にも異性にも好かれるのだろう。黒崎が依頼したのもわかる気がするな、と大地はこっそり微笑した。
 やがて職員室に到着し、ノックして入室する。聖が近くの女性教諭に訊ねる。
「すみません、牧野先生はいらっしゃいますか?」
 牧野は30年以上勤務している世界史担当の男性教諭だ。来年度一杯で定年退職すると授業で話された。
 若手の現代国語担当教諭は「あぁ」と思い出したように、
「牧野先生なら、さっき事務室に行かれたみたいよ」
「事務室ですか。ありがとうございます」
 好都合だな、と大地は密かに呟いた。牧野には10年前の西校舎について、事務員には黒崎について訊けば一石二鳥、手間が省ける。
 早速聖と共に事務室へ急ぎ、牧野を発見した。女性事務員と何やら話し込んでいるようだ。
「牧野先生」
「おぉ、水嶋くんか。烏有くんもどうした?」
 笑顔で振り返った好々爺。大地の胸辺りまでしかない小柄な身体に、すっかり後退した白髪と皺の刻まれた顔。生徒の顔と名前を憶えるのが得意という優れた記憶力を持ち、授業内容もユーモアがあって面白いため、生徒の人気も高い。
「お話中にすみません。10年前の西校舎について少しお伺いしたいことがありまして」
「10年前の西校舎?」
「ええ。今は特別教室やクラブの部室がありますけど、10年前は何があったのか憶えていらっしゃいますか?」
「10年前ねぇ……」
 ふむ、と牧野は腕を組んで数十秒思案に耽り、「あ」と面を上げた。脳内電球が点灯したらしい。
「そうそう、昔は西校舎に職員室や事務室があったんだよ。特別教室は当時は北校舎だったからなぁ。8年前に大改装してから、教室の配置も随分変わってしまったが」
「そうか、だから西校舎に手紙が……」
「ん? 手紙?」
「あ、いえ、こちらの話です」
 聖と顔を見合わせる大地。手紙があるとすれば、元事務室に当たる場所だろう。
「今の西校舎で事務室だった場所というのはどの辺りか、おわかりになりますか?」
「確か……1階の音楽室か美術室の辺りだったと思うが。ところで君達、それを聞いてどうするんだい?」
「えーと、ちょっと調べ物を」
 苦笑いでごまかしたが、牧野はそれ以上追及してこなかった。礼を言ってから、今度は女性事務員に訊ねてみる。
「あの、10年前までいらした黒崎さんという事務員の方をご存じありませんか?」
「黒崎さん……? あぁ、黒崎くんね!」
 50代程度のふくよかな事務員は笑って答えた。
「ええ、居たわよ。結構ドジだったけど、すごく真面目でよく周りに気を遣ってくれたし、いい人だったわ。でも……」
「でも?」
 急に翳った彼女の表情に、大地は若干の不安を抱く。重々しく紡ぎ出された次の言葉は。
「――10年前、交通事故で亡くなったのよ」
「交通事故?」
「雨の日にね、どうしてだかすごく慌てた感じで走って帰っていったのを憶えてるわ。私が彼を見たのはあれが最後……。大きな道路で車に撥ねられて、即死だったそうよ」
「そうなんですか……」
 黒崎の死因は交通事故。何だか悪いことを訊いてしまったようで頭を下げる。
「すみません、突然こんなことを」
「ううん、いいのよ。でも、あなたたちどうして黒崎くんを知ってるの?」
「あ、いや、えーと……」
「ちょっと調べ物を」
 再び苦笑いでごまかすふたりに、事務員はおかしそうに笑みをこぼした。
「変わった調べ物してるのね」
「まあ無理しない程度に頑張りなさい」
 牧野にも応援され、再度礼をして西校舎へと向かう。歩きながら大地は携帯で基に電話をかけた。ベル3回で繋がるライン。
『もしもーし』
「基、俺と水嶋はこれから西校舎に行くから、おまえは黒崎さんのところに戻って話でもしててくれ」
『何かわかったのか?』
「まあな。そっちは大丈夫か? 霊に変なことされなかったか?」
『何だよ、変なことって』
 微笑混じりの声にほっと息をつく。貧血にはならず、別の事件にも巻き込まれなかったようだ。
 互いの得た情報を話し合ってから通話を切ると、聖にくすっと笑われた。
「何だ?」
「あ、ごめんなさい。烏有くんと環和先輩って、本当に仲いいのね」
「……ああ」
 基は年上とは思えないし、上下関係など無きに等しい。大地にとっては誰よりも大切な存在だ。
「何か羨ましいなぁ。歳に関係なく何でも言い合える仲、って感じでしょ?」
「確かにそんな感じ」
 改めて考えると不思議な関係かもしれない。
 窓から差し込む橙色の夕陽の光が、すべてを包み込むように優しかった。


◆告白の紙

 西校舎1階。大地と聖はまず音楽室へ移動した。授業以外では合唱部と吹奏楽部が使用することが多いのだが、今日は活動日ではないようで誰も居なかった。
「烏有くん、何か感じる?」
「んー……あんまり。一通り探してみるか、一応」
「そうね」
 自分でもよくわからないが、大地は何故か失せ物探しが得意だった。物に持ち主の魂が宿っていてそれを感じ取れるんだろうな、と勝手に納得している。
 しかし数十分経過しても手紙らしきものは見つからず、隣の美術室へ移ることにした。
「――!」
 足を踏み入れた瞬間、大地の第六感が鋭い反応を示す。無人の室内が音も無くふたりを招き入れる。
「烏有くん?」
「……ここにありそうな気がする。あの辺りだな」
 指差したのは、奥の美術準備室のドア。美術教諭が居るようであれば、事情を話して探索させてもらうしかない。
 こんこん、とノックしてみるが返答は無い。ノブを回すと鍵はかかっていなかったようで、あっさりと入れた。
 油絵の具のような匂いが立ち込めている。大きめの木製の棚に収納された絵画や彫刻が、ふたりを静かに見つめているように感じられた。大地は眉をひそめる。
「おいおい、無用心だな。ま、こっちにとっちゃ助かるが」
「今のうちに早く探しましょ」
「ああ」
 手分けして壁や床、棚をくまなく調べていく。勿論、探索の痕跡が残らないよう慎重に。
 フローリングの床に手を這わせていた大地は、一瞬何かを感じ取った。ある一点から掌に伝わってくる波紋じみた気配。
「水嶋、ちょっと来てくれ」
「えっ、もう見つかったの?」
「何かここら辺ぽい」
 聖が向かいに屈んで床を見つめる。
「埋まってるのかしら……」
「だとしたら取り出すのが面倒だな」
「あ、待って。いい方法があるわ」
 言うと、聖は青いブレザーの懐から一枚の札を取り出した。
「術で少し穴を開けられるの」
「そんなことして大丈夫か……?」
 思わず不安に駆られる大地。ある意味、基が危険に晒される可能性よりも恐ろしい。聖の瞳に自信ありげな光が宿る。
「わたし、これでも一応陰陽師の端くれよ。ちゃんと元に戻す術だって心得てるわ」
「それならいいんだが」
「じゃあ手早く済ませるわね」
 札を該当箇所に置き、詠唱を開始する聖。

 ――どごっ。

 分厚い辞書で頭を殴打したような音と共に、床に小さな亀裂が走った。みしみしと嫌な音が続き、ぼこんとサッカーボール程度の穴が口を開ける。
「これでよし。烏有くん、あとは頑張って!」
「……おまえ、意外と大胆なんだな」
 苦笑しつつ穴の中に手を伸ばす。思いのほか穴は深いようで、肩のすぐ下辺りまで腕が埋まった。適当に手探りすると、かさっと紙に似た感触に行き当たった。
 ――これだ。
 慎重に指先で摘まんでゆっくりと引き上げる。やがて現れたのは黄色く変色した便箋のようなものだった。横罫線にボールペンで書いたような丁寧な文字が綴られている。少し力を込めるだけでも破れてしまいそうで、そっと片手に乗せた。
「やったわね!」
「ああ。中身は――勝手に読んじゃ悪いよな」
 ひとまず黒崎と基のところへ戻ろう、と美術準備室を出る。当然、聖の術で割った床をしっかり修復してから。


◆恋文の跡

 大地から受け取った手紙を感慨深げに読み耽った黒崎は、涙に潤んだ目で3人に頭を下げた。
『皆さん、本当にありがとうございました! もう何とお礼を申し上げればいいか……!』
「よかったな、黒崎さん」
「でもちょっと悔しいよな。せっかく見つけたんだから、その相手の事務員さんと会わせたい」
「そうですね……。もしお会いできなくても、住所を調べて郵送するとか」
『いえ、もう本当にそのお気持ちだけで充分です。この想いを忘れずにあの世へ参ります』
 ――さようなら。
 深く一礼した黒崎は唇だけで別れを告げ、千尋の身体から離れて光の粒となって天に溶けていった。手紙も同様に消失する。3人は小さく息をつく。
「何か切なかったなぁ」
「永久に一方通行か……」
「烏有くん、環和先輩、わたしからもお礼を言います。ありがとうございました」
「や、こっちこそ」
 笑い合うと、脇から素っ頓狂な声が上がった。
「あれっ? 僕、今までなにして――」
「あ、千尋くん! おかえり」
 黒崎の憑依が解けて我に返ったらしい千尋が、座ったままきょろきょろと周囲を見回す。
「聖ちゃん……。それに烏有くんに環和先輩? もしかして僕、またなにかに憑かれてた……?」
「うん。でももう解決したからだいじょうぶよ。あ、あとで今日の分の授業ノート見せるね」
「あぁぁぁ……いつもほんとごめん……!」
 暫し全員で談笑し、下校する頃には空が濃紺のカーテンを閉め終えそうだった。途中の道で生徒会ふたりと別れ、基と大地はのんびりと帰路を歩んだ。
「ラブレターって、書くのも勇気いるのかな」
「何だ基、渡したい相手でも居るのか?」
「や、別に。――そういえば俺、1年の時にラブレターもらったことある」
「はぁ?」
 基の何気ない呟きに目をまるくする大地。
「しかも差出人が男だった」
「……それ初耳だぞ」
「まあ言わなかったしな。でもなんで男から男に出すんだ? 女と間違えたとか?」
「……」
 やはり基は己の美貌には鈍感であるらしい。大地は夜の闇よりも深い溜息を冷えた空気にぶつけた。


−完−



■登場人物(この物語に登場した人物の一覧)■
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
6604/環和・基/男/17歳/高校生時々魔法使い
5598/烏有・大地/男/17歳/高校生

登場NPC
水嶋・聖
池田・千尋


■ライター通信■
烏有・大地さま
こんにちは、蒼樹 里緒です。毎度ご参加有難うございます!
そして大変お待たせしてしまい申し訳ございませんでした…!
今回は環和さんと烏有さんで部分的に視点を切り替えさせて頂きました。その違いもお楽しみ頂ければ幸いです。
よろしければ、愛と思いやりのあるご感想・ご批評をお聞かせ下さいませ。