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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


VS フラッシュタイガー

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0.オープニング

「いやぁ…すみませんねぇ」
頭を掻きながら言う男。
あたしはクッと笑って返す。
「まだ、請け負うとは言ってないよ」
あたしの言葉に参ったな、と笑う男。

まぁ、前回とは、少し状況が違うね。
前回は、店に来るなり早々に厄介事を引き起こしたわけだけど。
今回は、事前にアポイントが入ってる。
依頼内容は、至って簡素。
”虎を大人しくさせてくれ”
ただ、それだけさ。
男が、コトンとカウンターに白いクリスタルを置いた。
はいはい。これに、その”虎”が封じられてるんだね。

さぁて、どうしようか。誰に頼もうか…。

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1.

カランカラン−
「こんにちは〜。解決に来ました〜」
店に入り、ニコッと微笑んで言う私。
私を見た行商人の男性は、助かった!と言わんばかりに安堵の表情を浮かべる。
店内を明るく照らす虎を見やりつつ、男性の説明を聞き、
私はウンウンと頷いて。
「お任せ下さい」
猛獣使いの姿に変身し、ヒュンッと鞭を振るう。
私の姿を見た光の虎は、私がどういう人間であるかを悟り、
唸りつつ、ジリジリと私に歩み寄る。
んー。凄い気合ね。鞭を左右に振りつつ苦笑していると。
「ガルッ!!」
「っと!!」
虎はガバッと私に襲い掛かる。
やぁね。乱暴なんだからっ。
ペシッ−
床を鞭で叩き、召還。最愛のパートナー。
「轟牙っ!!」
「ガルルルルッ!!」
私の影からヌッと姿を現した轟牙が、遅い来る虎を迎え撃つ。
「うわぁぁぁっ!!」
二匹の虎が取っ組み合いをしながら迫って来た事で、
行商人の男性は慌てて、その場を離れる。
ドカッ−
ガシャンッ−
男性が立っていた位置から少し離れた位置にあったテーブル。
轟牙と虎は、そこに突っ込んだ。
「あぁぁぁっ!!ちょ、ちょっと、それ!!あぁぁぁぁ!!」
蓮さんの背中に隠れつつ、叫ぶ男性。
キョトンとする私。
男性は、テーブルから落ちて砕けたクリスタルを指差している。
あ。もしかして、あれに封印しなきゃ駄目だったのかな。
うぅん。失敗失敗。
テヘッと笑う私。

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2.

まぁ、どうにでもなるのよ。封印は。
問題は、大人しくさせる事。結構、乱暴なコなのよね。
腕が鳴るわ。
「レッツ・ショータイムっ」
帽子を高々と掲げ、スタートコールする私。
「いや、ショータイムじゃなくて!クリスタルが…ぁぁぁぁ」
行商人の男性は、ガックリと肩を落としている。
ペチンと床を鞭で叩けば、もう、そこからは私と轟牙の時間。
鞭の音に反応し、轟牙はヒョイッと二本足で立ち、
宙返りを交えながら、雄雄しく歩く。
「あっはっは!大したもんだ!」
楽しそうに笑い、拍手しながら、それを見やる蓮さん。
まだまだ。これからよ。
私はクスッと笑い、次々と物を手元に召還して。
それらを轟牙に向かって投げ放つ。
林檎、大根、果てにはスイカまで。
放たれた物々を、轟牙は居合斬りで見事に両断していく。

「ガルルルル…(訳:どうだ。凄かろう)」
俺がフッと笑い、誇らしげに言うと、
虎はフン、と笑い、生意気な口調で返す。
「グルルル…(訳:くだらねぇ)」
くだらない、とは心外だ。
俺は、この能力・仕事に誇りを持っている。
紗枝と共に、努力をし、身につけた技だ。
それを愚弄するとは、無礼な若造め。
「ガルルルッ…(訳:ならば、問おう。お前に、これが出来るのか?)」
眉間にシワを寄せて俺が言うと、
虎は、またもフン、と笑い生意気な口調で返す。
「グルルッ…(訳:当然だろ)」
ほぅ。ならば、見せてもらおうか。
俺は、チラリと紗枝を見やる。

うん。やっぱり、そうなったわね。
身の程知らずの、負けず嫌いなのねぇ。困ったコ。
私はフッと笑い、再度、次々と物を手元に出現させ。
それを、虎に向かって投げ放つ。
ドカドカドカドカッ−
「ガウッ」
見事に一つも両断できず、全てを顔面にくらって、その場に倒れる虎。
スタスタと歩み寄り、私の膝に頬擦りする轟牙。
そんなに簡単じゃないのよ。ねっ、轟牙。
私は轟牙の頭を撫でつつ、辺りを見回す。

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3.

「蓮さんっ、これに封印しても良いかしら?」
棚にあったガラスのソース差しを手に取り、見せながら言う私。
蓮さんはクックッと笑って返す。
「あぁ、構わないよ」
「ちょ、そ、それソース差しじゃ…」
行商人の男性がギョッとした表情で私を見やる。
えぇ、そうね。これは、ソース差し。
とても綺麗な、ソース差しよ。

「さぁ、この中にお帰りなさいっ!」
ソース差しの蓋を開けつつ、叫ぶ私。
フラつく虎は、戻る事を拒み暴れたけれど、
私の封印能力に勝れるわけがなく。
スポンッ−
吸い込まれて、ソース差しの中へ。
ニコッと微笑み、蓋を閉じて、ソース差しを男性に差し出す私。
男性はガックリと肩を落としつつ、
綺麗な、それは綺麗なソース差しを受け取った。


「お開きです。ありがとうございましたぁっ」
「グルル…」
ペコリと頭を下げる私と轟牙。
それが示すは、ショーエンド。
パチパチと拍手し、満足気に笑う蓮さん。
「いやぁ、良いもの見たよ。立派なもんだね、その虎」
「ふふ。私の最愛のパートナーですから」
轟牙を撫でつつ言う私。
「クリスタルが…ソース差しに…売れない…売れないですよ、こりゃあ…あぁぁぁ…」
虎が封じられたソース差しを切ない表情を見やりつつボヤく男性。
私は男性の肩をポン、と叩いて言う。
「そのコ、元気いっぱいですから。たまに遊んであげなきゃ、また暴れますよ」
「えぇぇぇ…」

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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  
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【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

6788 / 柴樹・紗枝 (しばき・さえ) / ♀ / 17歳 / 猛獣使い&奇術師?

6811 / 白虎・轟牙 (びゃっこ・ごうが) / ♂ / 7歳 / 猛獣使いのパートナー

NPC / 碧摩・蓮 (へきま・れん) / ♀ / 26歳 / アンティークショップ・レンの店主

NPC / 早川・太助 (はやかわ・たすけ) / ♂ / 25歳 / 行商人


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           ライター通信          
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こんにちは。いつも、発注ありがとうございます!心から感謝申し上げます。
納品が遅れてしまい、大変申し訳ございません;
仲間PCさんとの参加ありがとうございます。とても楽しかったです^^
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします^^

2007/04/13 椎葉 あずま