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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


河川敷の花火大会 2007


|Д゚) 回覧板〜
 いつもの小麦色が恵美に回覧板をわたした。
「あ、どうもです」
|Д゚) かわうそ? これで失礼する
「でも、普通は近所の…」
|Д゚) あーあのおばちゃんはダンス同好会で忙しいと言うから、かわうそ?がお駄賃貰って届けてきただけ
|Д゚) あと、ダンスの他にテニスも始めたとか何とか
「そうですか、ありがとうございます。元気で何よりですね♪」
|Д゚)ノ では、かわうそ?はこれで♪ また後ほど
「のちほど?」

 かわうそ?は軽やかに屋根に飛びのり屋根伝いで何処かに消えた。
 小首をかしげる。
 後ほどって何?

 恵美は回覧板の内容をみる。廃品回収日のことや地域コミュニティの情報など…。
 そして…『河川敷花火大会』の広告。
「そうね…梅雨が明けたら…花火大会よね」
 先ほどの小麦色の言葉も分かる。ああ、アレも行くんだ、と。
 この地域の川は結構大きく綺麗で有名だ。
 そこで花火が催される。一寸大きなお祭りである。
「みんなで見に行った方が面白そうよね」
 そう言って、友だちを誘うことにした恵美であった。


「屋台で遊んだことない。」
 草間興信所で五月が、競馬新聞を見ている草間武彦に言った。
「む、いきなりなんだ?」
 五月は何かのポスターを草間に押しつけた。
 河川敷の花火大会のポスターだ。
「花火大会か。なるほど。」
「あそびたいなー。ね、おじちゃん。」
「そうだな。童心にかえって、遊ぶのも良いか?」
「わーい!」
 五月は草間の優しい笑顔を見てはしゃいでいる。
 ちょうど、電話が鳴り、零がとった。
「はい、あら恵美さん。ええ、兄さんもこっちも楽しみにしているそうです。」
 零は、微笑んで、子供(?)をあやす兄を見て、電話越しの恵美に答えた。


〈本業と家業で疲れ気味〉
 宮小路皇騎は、本業と家業で忙しい日々を送っていた。大学の研究やら、偉い人との会食でかけずり回っていたのだが、今はやっと本業の大学生活に戻ることが出来た。とはいっても、とある研究にかかりっきりになりラボにこもりきりで、殆どでていない。季節感が全くなくなっていた。
 ある日、携帯の着信音が目覚ましの代わりになって起こされる。
 気がつけば、夕方だった。ラボで仮眠のつもりが、完全に12時間も眠っていたようだ。無精ひげにボサボサの髪で、携帯をとると相手がわかる。
 長谷茜からだった。
「皇騎さーん♪ いきてる〜?」
 事情を知っている長谷茜は、どこでもあるような恋人同士や友達のような、携帯での会話のやりとりは皇騎とはあまりしない。能力の「念話」も出来ることもあるが、あまり使わないのだ。用件だけを伝えるときのみとしている。暇つぶしでの使い方はしないそうだ。
「あ、茜さん。おはようございます。」
「何言ってるの? もう。夕方だよ?」
「え、かなり寝ていました。」
「家?」
「いいえ、ラボです。」
「あまり、根を詰めちゃダメよ? もう、あの人、人使い荒いね。」
「まあ、いろいろと……。」
 と、たまにかければ、普通に会話が弾む物である。
「そうそう。もうすぐ花火大会あるんだ。いく? でも、時間無かったら……。」
 茜が用件を切り出すが、ちょっと寂しそうな声になっていく。
 皇騎は、それでは困るので、目が更に覚めて、
「大丈夫です! 行きますから! 一緒に!」
「うん。了解! では、あやかし荘が待ち合わせだからね♪」
「はい。」
 元気になった茜の返事で安堵し、さて、山となってる研究の結果をまとめようと、研究に没頭するのであった。


〈集合〉
 恵美と零との話から、一度あやかし荘に集合という話になっていた。
 浴衣姿から、動きやすい夏服とまさに、“祭り”に向いている雰囲気の人々が集まってきた。
「その浴衣似合うよー」
「ありがとー」
「やっぱ、私も浴衣が良かったかなー」
 柴樹は藍色、アレーヌは朱、ミリーシャは黄緑の浴衣を着て、恵美達に、ほめられており、賑やかな会話がなされている。
 天薙撫子は、たすきがけをして今は恵美の台所を借り、弁当の仕上げをしている。
「草間さんは五月ちゃんと、屋台巡りになると聞きましたが。」
 影斬が草間に尋ねると、草間も張り切っているのか、
「ああ、昔射的では、物を言わせたぜ。」
 力こぶを見せていた。
「えー? なら、私と相手くださいな!」
「おう、受けて立つ。かかってこい。」
「おじちゃん、がんばれ。」
 アレーヌと草間の話が盛り上がる。
 因みに、アレーヌ、柴樹、ミリーシャは、浴衣姿になって、本当にあのいかがわしいサーカス団の一員なのか? と思いたくなるほどの可愛い格好である。
「焔……おいで。」
「にゃあ。」
 ミリーシャの態度は相変わらずであるが。
 初顔合わせの人は挨拶を回っていた。
「初めまして、アリス・ルシファールです。」
 アリスは、花火についてどんな物かを調べた事を聞いてくれそうな人々に話していた。
 力仕事として、手伝うのは宮小路皇騎と草間と影斬。酒瓶とたくさんの弁当を持っている。
「まったく、弁当はそんなに多く持って行かなくて良いだろう。結局たいていは屋台周りで食べるし。」
 影斬が言うと。
「そんな、わたくしの弁当はお気に召さないので……。」
 ショックな顔をする彼女だが、シュラインが割って入った、
「これは、作りすぎだと言うことね。何事もほどほどってことよね。織田君?」
「ええ、そう言うことです。」
「うう、気をつけます。」
 つまりは、張り切りすぎて作ってしまった。人数分? 亜真知も張り切って作りかけたようである(結局、差し入れ程度に抑えた)。言っている3人のなかで、ミリーシャが指をくわえ、撫子の弁当を見ていたのだ。
「ほしいのでしょうか? ミリーシャ様。」
「……うん。」
「差し上げます。どうぞお召し上がりください。」
「……ありがとう。」
「わあ、ありがとうございます!」
 サーカス3人娘は撫子から弁当を受け取って、はしゃいでいた。
「まあ、屋台で食べる人もいるからね。」
「ですねぇ。」
 一方、天華と彩は全くの初顔合わせなので、まず恵美に、そして草間に挨拶をしていた。最終的に全員に挨拶して、弁当も受け取って、天華と彩はお互いを見る。
 すると、“何か”感じた。
 “絶対気が合うと”いう、確信だ。
 額から電波が通って様なそう言う物である。
(゚Д゚) キター! ←電波
 思わず、二人は、力強く握手を交わしたほどだった。そのとき無言。
「はーい、皆さん。集まってください〜」
 恵美が手をたたいて、雑談を止める。
「では、撫子さんからのご厚意によりお弁当もあります。ほしい方はいただいて、皆さんでゆっくり行きましょう〜。」
「はーい。」
 と、大人数で大移動するのであった。


 一方、祭りの屋台街から、少し離れた公道。ここにはたくさんの車が止まっていた。違法駐車だ。その列に、背中から黒光りする長い物体を取り出す女が一人。それはどう見ても銃だった。
「お仕置きだー!」
 と、叫ぶかのように、ライフルを構える。
 因みに対戦車銃ということは、対戦車砲系(R-P-G)と同じで、破壊力がばかげている。衝撃は周りに及ぶこともあり得るのだ。いくら改良しても、この大きな衝撃は抑えられない。つまり歩く凶器。
 しかし、あやこが1台に狙いを定めて、撃とうとするところ、後ろから肩に手が置かれた。
「え?」
「銃刀法違反で逮捕します。」
 氷雨雪野の声がする。
 狙いを定めるときは、結構周りの視野が狭くなる。
「え? だから、これは制裁を!」
「そんなことはしなくても良いの。それは、委託業者がやることです。破壊するまでの過激なことはしてはいけません。爆発して、他の人に迷惑がかかっても良いのですか? あとは、署の方で言い訳を聞きます。」
 氷雨雪野達警官隊数名に、引きずられていくあやこだった。もしここでばれていれば、公務執行妨害もつく。更に、超常能力を使い、それがばれると……IO2か、影斬がくるのである。
「まってー! 彼氏もゲットしてないのにー!」
 と、じたばたもがいて叫ぶあやこであった。
|Д゚) 常識考えろ
|Д゚) ←あまり説得力のないナマモノ。
 ちなみに雪野達が気配を消したように接近できたのは、この同行している小麦色の謎の補佐があったためと付け加えておこう。
|Д゚) 影斬と恐怖の仲間、あやこを殴りかねないし
|Д゚) グーで
|Д゚) 容赦ないから
|Д゚) ゆきのんたちだからだいじょぶ
|Д゚) SHIZUKU、キャンセル連絡、入れるか


〈花火見学〉
 まだ、屋台は混み合っている。当然、花火を見るスポットも。場所を確保してから、みなは思い思いの位置に座って、雑談を交わし、花火が始まるのを待った。
 位置的には問題ない。しかし子供達にはどうだろうか? と思ってしまう。
「みえるかな?」
 五月がちょっと心配そうに、つぶやく。
「大丈夫よ。見えない場合は武彦さんが肩車してくれるはず。ね?」
「あ、いいぞ。それぐらい。」
 シュラインの言葉に、草間は苦笑していたがまんざらではなさそう。
「わーい」
 本当に家族のようで、微笑ましく見える草間一家。
「私たちもそうありたいですね。」
「だな。」
 撫子も影斬もそんな感じに微笑んでみている。
「そんなところごめんね。なれそめを聞かせてほしいな。」
 彩が割ってはいる。
「ですわね。わたくし達も気になるところですよ。」
 天華も。
 影斬と撫子は困った顔になった。
「もう、そこ、興味持つのは良いけど。その二人怒ると怖いわよ。」
 シュラインが苦笑して、はじめてあったこの若い元気な娘達に注意した。
「ききたいですよー。」
「まあ、クリスマスの時に、婚約発表もしちゃったみたいだけどねぇ。」
 誰かが言った。
 しらないひとは「おおっ」となる。
「え、えっと、だからそのそれはその! もう! 皆さん冷やかさないでください!」
「私は黙秘。」
「義明さん!」
 動じないように見えて動じている影斬に対して、撫子があたふたしていた。
「わ、めっちゃたのしそう。いろんな意味で」
 柴樹が草間一家とこの影斬と撫子のやりとりを見てつぶやいた。
「でも、わたくしたちもそういうの、あるのかしら?」
「……たぶん、……ない。」
「ミリー、ひどいこと言うわね!」
「……焔、おいで。」
「にゃあ。」
 サーカスにいる以上は、出会いなんてある物じゃなさそう。サーカスの支配人とかがあれだし……、と、ため息をつく。

 アリスと亜真知、茜は、皇騎の異変に気がついた。茜が彼を支えている。
「若いって言っても、過労死したらだめよ。」
「ですよ? 皇騎様。」
「いや、これぐらい、なんでも、な……。」
「皇騎さん!」
「眠っておられますね。」
「まったくもう。」
 茜は皇騎を背負って、近くのベンチをあけて貰い、其処に横に寝かせる。
「救護班呼びましょうか?」
 アリスが言うと。亜真知が止めた。
「ここは二人きりの方が、良いと思います。」
「あ、そう……なのですか?」
 アリスは亜真知に訊くと、亜真知や他の人も頷いた。

 そして、皇騎と茜を除く人々は、花火の音を聞いてから、そっちに集中した。
 喝采があがり、いつになく大人びている子供のアリスと亜真知は、年相応の顔になり、世間を知らない天華と彩のお嬢様達は、感動の後にはしゃぎ、いつも落ち着いている撫子と影斬の方はというと、いつになくのんびりと花火を眺めている。五月がやっぱり見えなかったために、草間が肩車をして見せてあげた。シュラインは、零と恵美と一緒に迷子になってないか確認なども怠らないが、楽しんでいる。柴樹達も、あまり外に出ることのない家業なので、この花火は感動的な物であった。無口なミリーシャも少し感情を出して、笑っていたように見えたと、後に二人は話すのだった。


〈昏倒な人と膝枕〉
「まさか、ベンチでずっと座っているとは。」
 長谷茜はため息をついていた。
 一緒に色々回りたかったし、花火も一緒に見たかったのに、と。
 そう、今の彼氏は彼女の膝枕で眠っている。
「万能は身を滅ぼす。とか、誰かいったけ?」
 これはこれで悪くないが、実際予定を組んだことが大部分狂ってしまうと、腹が立ってしまうモノだ。
 彼氏、つまり宮小路皇騎は、静かな寝息を立てながら茜の温かく柔らかい、太股にうずくまっている。端から見れば、彼氏が彼女に甘えているという甘ったるいシチュだが、それはよそでしてくれと思う輩もいるだろう。
「あ、ここは?」
 皇騎が目を覚ました
「やっとおきた。」
 茜はため息。
「私は一体? あ。」
 何かを言おうとしたが、茜と目が合いとまった。
 彼女なりの心配な瞳が、かなり罪の意識に苛む。
「過労で倒れたの。もう、御曹司の仕事なんて、どうでもいいじゃない。大学生は大学生らしく、普通に学生すればいいじゃない。」
 と、茜はため息混じりに皇騎に言った。
「す、すみません。」
「いい? ご両親は健在なんだから、もうそっちは任せること? いい? 約束。」
 茜は皇騎の鼻をつまんで言った。
「わきゃりまひぃた……。にゃんひょか……。」
 変な声が出た。
 それで二人は笑って、花火の続きを眺めるのであった。


〈終わりをつげ〉
 花火のクライマックスは、全員で見る。そう言う暗黙の約束が出来ていた。
 大きな花火が空に咲き乱れ、昼のような明るさにする。
 この、花火が夏のはじまりを告げるのだ。
「たのしかったね。」
「ところでかわうそ? は?」
「どこかのバイトじゃない?」
「あの小麦色一度とっちめないと気が済みませんわ!」
「たぶん無理。」
「えー!」
 屋台を荒らしまくった女性陣はかわうそ?についてどんなモノかとか談義に走る。保護者班の恵美とシュラインと零はといえばそれを温かく見守っている。影斬と皇騎、草間は、ゴミを分別ししっかり自分の家まで持って帰る事にするようだ。
|Д゚) ごみかいしゅういたしまーす
「あー! さっきはやってくれましたねぇ!」
 ナマモノ登場で、アレーヌはそれを追いかける。
「まだまだ元気あるな。若い者は。」
「影斬、キミも若いんじゃなくて?」
 彩がつっこんだ。
「おお、それもそうだ。」
 自分の年齢がもう不明状態なのか? と彩は思った。
 彩と天華は、影斬と撫子、皇騎に茜とともに愉快な仲間達のはなしをきいて歩く。

 ある交差点で、あやかし荘組と興信所組、個人宅に直帰するモノと別れることになった。
「さよーならー。」
「また、出来れば海水浴で〜。」
 などと、別れの挨拶を交わした。


〈皇騎の〉
 長谷神社に着いた皇騎と茜。
 手をつないで一緒に帰っていた。
「今日は本当にすみません。」
 今日も謝りっぱなしだ。と皇騎は思った。
「今度から気をつけること。いい?」
 茜は笑う。
「あ、そうだ。」
 皇騎は大事な何かを思い出す。
「なに?」
「今度は時間をしっかりとって、お邪魔しないといけませんね。平八郎さんとゆっくりお話がしたいので。」
 と、皇騎は言うと。
 茜は、小首をかしげるもその意味がなんなのかわかり赤面する。
「ま、まさか。」
「それでは、またです。茜さん。」
 固まっている茜の頬にキスをして、皇騎は去っていった。
「……。どーしよ。」
 彼女はこの先が、胸の奥が熱くなる。幸せと不安でいっぱいになったのであった。


 花火は夏のはじまりの合図。
 色々忙しくなるだろう。
 さて、このはじまりはあなたにとって……どういう一ページになるのだろうか?


END

■登場人物■
【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生・巫女・天位覚醒者】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生・財閥御曹司】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体…神さま!?】
【3024 龍宮院・天華 17 女 死神【皇族】】
【6047 アリス・ルシファール 13 女 時空管理維持局特殊執務官/魔操の奏者】
【6759 神凪・彩 20 女 姫巫女 概念装者「心」】
【6788 柴樹・紗枝 17 女 猛獣使い】
【6813 アレーヌ・ルシフェル 17 女 サーカスの団員】
【6814 ミリーシャ・ゾルレグスキー 17 女 サーカスの団員】
【7061 藤田・あやこ 24 女 女子大生】

■|Д゚) 通信
|Д゚) おつかれなりよ
|Д゚) いや、結構まったりだったり、騒がしかったり
|Д゚) つーか、本編でも言ってるように、銃はやばいだろ。と

 滝照です。参加された方々ありがとうございます。
 可能な限りの行動は執筆しました。一部を省かせて貰った部分もありますが、如何でしたでしょうか?
 神凪様、竜宮院様、藤田様初参加ありがとうございます。

 又どこかでお会いしましょう。

かわうそ? & 滝照直樹
20070625