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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


404号室〜消えゆく人たち〜
四菱・桜は走る。
初等部の校舎から高等部の校舎まで。

そしてたどり着いたのが、

「怪奇探検クラブ」

桜は勢いよくドアを開けた。

「ねぇ!桜ちゃんね、いい情報を仕入れたのだ」

そこにはSHIZUKUと影沼・ヒミコがいた。
部室らしい部室は与えられていない。
ただ、教室の中で机を並べているだけであった。

そこでSHIZUKUがイスから立ちあがり、両手を机において、

「怪奇話、歓迎!どんどん話してくれる?」

と、桜の話を聞くことにした。

かつて死体ロードと呼ばれた道もいつの日か死体が出なくなったという。
そこに面してる、「お参りすると人が消えて死体になる」という
神社の話は解決したと聞いた。
そこで工事中に起こった事故もあり、死傷者が出た。

「そこで四菱会社はそこの安い土地を買占め、マンションが建ったのだ」

「へ〜すごいじゃない」

と、ヒミコ。

「でもね、変な噂を聞いちゃったの。
 404号室に住むとね神隠しにあうのだそうだ」

「それはぜひ解決したい問題だわ」

SHIZUKUはやる気になっている。が、その次の瞬間。

「あー!これから仕事なのよ!!」

SHIZUKUは取りだしていたペン入れなどを片づけて、

「じゃあヒミコちゃん、後はよろしく〜」

と言ってSHIZUKUは帰って行った。
ヒミコは、

「とりあえずオカルトに詳しい人を探し出して一緒に行きましょう」

と桜をなぐさめた。

そこでふと目についたのは、部屋の隅で本を読んでいる女の子の姿だった。
その子の名前は「吉良原・吉奈(きらはら・よしな)」

ヒミコ達は吉奈の読んでる本にふと目がいった。

「殺人心理学〜何故人は無差別に人を殺すのか〜」
という小難しい本であった

そこでヒミコは、
「吉奈ちゃん、404号室の神隠し興味ない?」

と聞いてみた。すると即答で、

「興味はありますが……好奇心は猫を殺すとも言いますからねえ……」
「それどーゆう意味?」

桜は不思議そうに吉奈をみつめた。

「好奇心もほどほどにしなさいという意味よ」
とヒミコは言葉の意味を教えてくれた。

「んでも放っておけないよ〜。家の会社の物件なんだよ〜」

そう桜が言ってくるもんだから、
「しょうがないわね。行こうか。桜ちゃん」

そしてぽつんと残された吉奈に視線が集中した。
「私も行けってことですか先輩。しょうがないですね」

「じゃあ出発シンコー!」

あのおどろおどろしい雰囲気など感じない立派なマンションが建っていた。
桜がパスワードを入力し、自動ドアが開いた。
次々と入ってくる怪奇探検部員達。

「…パソコンでもありますよね、エラーコード404とか。関係あるんでしょうか?」
「あぁ、あるわよね。そういうエラー」
「HTTPプロトコルの404と何か関係あるんだろうか……」

そう吉奈とヒミコが会話していると、あっという間に404号室に着いた

「ここが404号室かぁ」
「一見何の変哲もない場所よね」

と二人で話していたのだが、吉奈はとてもそんな気分になれなかった。
首筋がピリピリした。これは危険を察知する吉奈の能力である。

(一人で行くならまだしも、後二人を守るのはきついな)

そう思っていたら、もう二人は中の方へ入って行った。

「ちょっと、待ってください!」

吉奈はあわてて二人の後を追う。

その時ふと鍵が落ちる音がした。おそらく404号室の鍵であろう。
その部屋はまるで部屋とは呼べない部屋であった。
窓から見えるのは血がついたような真っ赤な空。

空だけじゃない。壁も家具も、全てにおいて真っ赤なのだ。

「きゃー!」

悲鳴だ。どうやら桜の声のようで、桜の視線の先を見た。

「これは……人骨ですね」

それを聞いた途端、桜はヒミコのところで抱きつく。

「もうやだよー。こんなとこ早く出たい!」

そうできればいいが、できなかった奴がこうして人骨になっていくのだ。

扉はいつの間にか閉まっている。悪夢なら覚めてほしい。そう願っても、時すでに遅し。

「いやーー!」

今度はヒミコの悲鳴が聞こえた。

「上からどんどん何かの液体が落ちてくるの」

吉奈は一刻を争う事態だと気づき、残り二人に命令をした。

「とにかく家具を中心に開いたり、割って壊して、脱出経路をみつけましょう!」

そして吉奈達は部屋中の家具を調べ、取り壊していった。
メイク用タンスには何もなし、ベッドの下も異常なし。

「調べられる場所は調べたのに……みつからないのか??」

吉奈まであわてた言動をし、絶望の淵に立たされた3人。
肩などにかかる胃液のようなものは皮膚を溶かし、激しい痛みを感じる。
そこで桜は言いだした。

「あのタンスの裏はどうなってるの?」

タンスは確かに調べた。でも引き出しの中だけ調べてそのまま放置していた。

「よし、みんなで動かしてみるのだ!」

桜が提案した最後の提案。これさえ叶えば外に出られる。叶わなかったら吉奈達は骸骨だ。
三人で一生懸命にタンスを動かした。すると見えるじゃないか。脱出口が。

タンスを全部移動させた三人はその中に飛び込んだ。

……


飛び込んだのはいいが、見慣れない風景が続いていた。
どこかの外国のような街並み。
歩いてるのはいわゆる白人たちなのだろう。

「ここどこでしょう?」

ヒミコは不安そうにそう言った。

「まずはこの辺を歩いてみませんか?探索すればわかることもありますし」

そう吉奈は不安をかき消そうとして、少し歩いてみることにした。
すると三人にとって見覚えのある塔をみつけた。

「東京タワー……じゃなくて、エッフェル塔!」
ヒミコは嬉しそうに指をさす。

そう、ここはフランスなのだ。

「フランスならケータイ使えるから、お父さんに連絡するのだ。ちょっと待ってて」

そう言って桜は父親――四菱グループの社長と話をしている。
携帯電話をスライドさせて戻した桜はこう言った。

「まずホテルは桜ちゃんのクレジットカードで料金支払うから、
 一泊くらい泊まっておいて、次の日に専用のジェット機で迎えに行くって。
 それまでホテルで待機だそーだ」

適当なホテルに入り、ツイン部屋にヒミコと桜、シングル部屋に吉奈が泊まった。

そこで吉奈はいろいろ考える。
骨になった人間、たれてくる胃液のようなもの、脱出できても元の場所でないこと。
どれも一人で考えても答えが出てこない。そして何より自分の能力では
あの部屋をどうにもできないこと。

そう考えながら、吉奈は眠りについた。

……

朝何時頃だろうか。ピンポン、ピンポンとうるさい。
あんまりうるさいんで、ドアを開けた。

「吉奈ちゃん!おはよう」
「吉奈ちゃんに朗報なのだ。お父さんが迎えに来たのだ。早く用意するのだ〜」

誰かと思えばヒミコと桜であった。
吉奈は急いで外行きの服に着替えて外に出た。さすがは四菱グループ。
ジェット機のある場所まで送るハイヤーを用意していた。

そうして吉奈たちは日本のT都に帰ってきた。

「ヒミコちゃ〜〜〜ん。桜ちゃ〜〜ん。吉奈ちゃ〜〜ん。心配したのよぉ〜〜」

とSHIZUKUはヒミコや桜に抱きついて感動の再会をしていた。
吉奈はその様子を遠くから見て、

「私たちってどのくらいいませんでした?」

という、不思議な質問をした。

「えっと、一か月くらいかな?」

おかしい。
自分たちが一か月もの間、あの空間にも、フランスにもいなかったはずだ。
どうしよう。私は今まで霊能者として自信があったのに、この超常現象を解読できない。


気がついたらここに立っていた。

「鍵屋智子研究室」

そのドアをゆっくり開けると、智子はノートパソコンをカタカタと音を鳴らしていた。

「何の用?」

智子はこちらも見ずにそう言った。

「解決したい心霊現象があるんです。聞いていただけないでしょうか?」
「作業しながらならね」

そして吉奈は今まであった出来事を話した。
すると智子はやっと手を止め、イスを回転させて初めてこちらを見た。

「それは心霊現象とは少し違うわ。異空間での問題よ。たまたま404号室が入口になっただけ。
 そして移動された場所は何か巨大生物の胃袋である可能性があるわ。そしてその出口は
 かならずしもフランスに着くとは限らない。運が良かったわね。出所が異界などではなくて」

「じゃあどうすればいいんでしょう?私たちにできることって……」
「ほら、空間を閉じればいいだけの話よ。空間を閉じる……封印を得意とする生徒会長とかね」
「わかりました。鍵屋先輩ありがとうございます!」

続いて吉奈は生徒会室に向かった。
だが時間が遅すぎたのか、ライトもついていなかった。しかし、人の影がある。

「すみません。誰かいるんですか?」
「私だ。繭神・陽一郎(まゆがみ・よういちろう)だが……」
「あの、話があるんですが……」
「少しくらいなら構わないが」

そして陽一郎に今までの話を全部した。

「私たちじゃどうしようもないんです。もし繭神さんの封印能力で空間を封印できたら……」
「確かに能力などの封印は得意だ。一緒に行ってみよう」

入館のパスワードは桜に教えてもらった。
陽一郎と吉奈は例の404号室へ着くなり、ドアをすぐ開けた。

「ここからすでに異空間とつながっているな。今から入口を封印する」

陽一郎は呪文を唱えながら、異空間への扉を小さくしようとしていた。
胃袋のような空間はだんだん入口が小さくなり、最後にはそのまま閉じて、
普通の家の風景が広がっていた。

「これでよかったのか?」
「はい、繭神さん。十分です」
「吉良原。自分で何でも抱え込むな。助けを呼ぶことは恥ずかしいことじゃない」

そのセリフを聞いてぐっとこみあげてくる何かと、涙腺の異常を感じたが、
平静を装ってそのまま帰っていった。


その後、404号室での神隠しはなくなったという風の噂が、吉奈にも届いたのである。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【3704 / 吉良原・吉奈 / 女 / 15歳 / 学生(高校生)】

他、たくさんのNPC達。

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■         ライター通信          ■
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二度目のご依頼ありがとうございます^ ^
これは最初にご依頼をしてくれた「死体ロード」の続編で、
おかげさまでこうして完結することができました。
ほんとにありがとうございました。