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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


フリーマーケット・レン
ここは、アンティークショップ・レン。
碧摩・蓮(へきま・れん)は困っていた。
何に?この曰く付きの商品の多さに。
このままではお店がパンクしてしまう。

最近はなるべく仕入れはしないようにしていたが、
曰く付きの商品を売りに来る客があまりにも多すぎる。

「お姉ちゃーん。遊ぼうよ。キャハハ」

としゃべるフランス人形に、

「お姉さん疲れてるからダメ」
「えー」

と会話する。
壺なんかのぞきたくない。
鏡になんて移りたくない。

……

疲れた蓮は客が置いていった地方新聞を読んでいた。
するとこのようなことが書かれていた。

「○日にフリーマーケット開催!参加者募集中」

そうだ!売れない在庫はここで処分してしまえばいいんだ。
もちろん命に関わるものはこちらで処分するとして。
面白い商品なら売れるかもしれない。

すぐさまフリーマーケットの準備をする蓮であった。


○日、日曜日。ふれあい広場でフリーマーケットが行われた。
皆手慣れたもので、洋服ハンガーを持参してたくさんの洋服を売ってる人、
いらなくなった本をずらりとならべている人、
ダンボールをテーブル、置き場所として利用してる人、
折りたたみテーブルで、自分のアート作品を並べている人。
皆それぞれ売りたい物も売り方も様々であった。

そこに二人の男女も遊びに来ていた。
名前は夜崎・刀真(やざき・とうま)、女の子の方は龍神・瑠宇(りゅうじん・るう)。
刀真は見た目18歳、瑠宇は13から14歳に見えるが、実際はもっと長く生きてるのだ。

「わー……見て見てトーマ、これスゴいよー♪ オモシロいよー♪」
「あぁ、そうだな」

とそっけなく返事して、値段交渉をする刀真をそのままに、瑠宇は未知の世界へと旅立った。


ある場所で絵本がたくさん売られてるところがあって、

「ウチの子がもう絵本読まなくなっちゃったからこうして出してるの」
「瑠宇、マンガなら読むんだけどなぁ」
「でも絵本は子供だけの読み物じゃなくて、子供も読めるものだから、
 よかったら見て行ってね」

瑠宇はそこでしばらく読書してると、ぼろぼろ涙をこぼし始めた。

「カワいそう。でもゴメンね。瑠宇お金持ってないの……」

と言って、申し訳なさそうにとぼとぼ歩いてると、
ぬいぐるみやカワいいポストカードが売られているところがあった。

「私たち二人で活動してて、私はポストカード専門、彼女がぬいぐるみ専門なのよ」

カワいいな〜と思いながら、一つだけ頼みごとした。

「コノおっきいぬいぐるみ抱かせてー」
「いいですよー」

そうやってぬいぐるみを抱いてる瑠宇の姿はとてもカワいかった(瑠宇風)

「瑠宇〜頼むから単独行動はしないでくれよ〜」

と、刀真が探しにやってきた。

「まさかそれ買ったんじゃ……」
「んーん。買わずにだっこさせて貰ってるだけ」

刀真は内心ほっとして、瑠宇の腕をつかんで安売り商品を再び探しに行った。

「ねぇ!あのティーカップ可愛いよ。ひよこちゃんだし」
「そういうのはいらないから、お前の服買おうな」
「わぁーーい」

そして女物の服を扱う店をまわってみた。
瑠宇は可愛いからそういう服を着せてやりたい。

そこでピンクを基調した白ユリの可愛いデザインのワンピースをみつけた。
「瑠宇これ欲しい!カワいいもん」

しかしそれはブランド品で2000円だった。
がっかりする瑠宇。

するとそこの店員は売り場の中から黄色のチュニックを出してきた。

「これも似合うんじゃない?キャミソールとデニム短パンとセットならお安くしますよ」

黄色のチュニックはさっきのワンピースよりデザインは劣るが、白や黒の水玉が散らばっている。
キャミソールも可愛いデザインをして、デニム短パンもなかなかいい。
全部合わせて1000円で売ってくれるらしい。

「瑠宇。これにするか?」
「ウン。瑠宇もコレ気に入った!」

刀真、1000円お買い上げ。

ある程度収穫があったので帰ろうとすると、フリーマーケットの一角に
アンティークショップの蓮をみつけた。

「あ、蓮だ。ヤホー」
瑠宇はブンブン手をふる。

刀真は、
「あんた…蓮、か?また妙なとこで会うな」
刀真と蓮の会話を聞いてると、曰く付きの商品でも無害なものを
持ってきたのに売れなくて困ってるんだそうだ。

「どうすれば売れるんだろうねぇ。あたしより年喰ってるあんた達ならわかるかい?」

「カワいいもの置くと売れるよ〜」
「そういう問題じゃなくて」
と突っ込む刀真。そこで刀真は蓮となにやらいろいろ説明してる。

「すごいねーここ、何かオモシロそーなのがいっぱいあるよー」と言いながら、
蓮の商品を眺めていた。水瓶をのぞいてみると小さいころの自分がうつる。
鏡をのぞくと今の自分が見えるだけ。サングラスをかけてみたり、万華鏡をのぞくと……

ゴトン!

「ああ、それは簡単に見るもんじゃないよ。あたしも見た時はしばらく震えが止まらなかったさ」

刀真の服の袖をぐいぐいと引っ張って、「瑠宇も手伝っていい?」と聞いてみた。
正直あの万華鏡の映像が怖くて、お店を手伝って忘れたかったのだ。

「そこの蓮さんの許可を得たならいいぞ」
「はーい」

さぁ、勝負のフリーマーケットが始まった!

「さーさー、よってらっしゃい見てらっしゃーい。珍しいものがたくさんありますよー」

その声につられて、客が少しずつ足を止めるようになっていた。刀真が、

「買っていった男性の方全員にここの看板娘、瑠宇とのツーショット写メが撮れますよー」
「あー勝手に決めるなー」

なんて話している間にお客さんが来てくれていた。親子連れのようだ。


「えーと、こちらでおめしあがりですか?」

そのセリフを瑠宇が言った時から冷たい空気が流れ始めた。

「じゃあお持ち帰りですね。何をお持ち帰りしますか?」

すると親子連れのお子さんが、

「あのフランス人形が欲しい」

と言い出したら案の定、フランス人形はしゃべった。

「お譲ちゃん、買ってくれたら遊んでくれる?」

すると親子連れの女の子が言った。

「うわーー日本語しゃべれるんだー」
「私、かまってくれたらくれただけ、あなたに恩返しするわ」

そこで不安そうに両親は見る。それを見た蓮は、

「安心しな。心があること以外は何も悪いことしたりしないよ
 お子さんがその人形に飽きた時はウチの店に売りに来るといいさ」
「で住所などは……」
「住所なんかないよ。その人形を持ってふらふら歩くとたどり着くからね」

親御さんはこの人形に不安感を覚えたが、

「あたし、この人形が欲しい!」

実はこの家庭、共働きの一人っ子で、家に帰っても誰もいないことが多かった。
親御さんは人形のことが少し不安ではあるが、

「じゃあこの人形買いましょう」
「ありがとうございまーす」

と刀真と瑠宇は同時に挨拶した。

次にじーーっと見ている女性のお客さんがいた。手毬(てまり)を見ているようだ。
そこですかさずお客さんに話しかける瑠宇。

「手毬カワいいよねー瑠宇もカワいいもの大好き」
「かわいいものが好きというか……和のものが好きなんです」

「和」ってなんだ?と瑠宇は頭を回転させていると、

「その手毬はきれいなだけじゃないさ。自分の体調までわかるんだ。
 体調がいい時は軽いけど、疲れている時や体調の悪い時は重くなるんだ」

と蓮が口出した。

「えーーそんなこともわかるんですか。なんか素敵」

と何の疑いもなくそのお客さんは買って行ってしまった。

その後は運命としか言いようがない。
美容学校の教師がいくらでも伸びるマネキンを気持ち悪がって売りにきた。
しかし。

「あたし美容師の卵なんだよねー。こういうのあると便利!」

と言って、専門学校生の女の子が喜んで買っていった。

続いてやっと男性のお客さんが来た。
瑠宇は元気よく、「いらっしゃいませー」と言うと、

「可愛い店員さんだねぇ。じゃなくて、僕は怪奇現象を研究している者なんだ」
「それならこれがおすすめですよー」

と瑠宇は「霊能力がなくても幽霊が見れるサングラス」を勧めた。

「これはいいね〜買わせてもらおうかな」
「ありがとうございますーー。あの希望者に瑠宇とのツーショット写メを
 撮ることになってるんですが、まだ一人もいないんです」
「そうなんですか?じゃあ一緒に」

お客さんの携帯カメラがパシャっと鳴った。
どれどれと出来上がった写真を見てみると……。
瑠宇がいるはずの場所が白く写っていた。

男の客は怖くなり、すぐに逃げていった。そこで瑠宇は、

「怪奇現象を研究してるのに逃げるなんて失礼!
 じゃなくて、瑠宇はユーレイみたいなものだから映らないのか」

なんて思った。


あんまり商品を持ち込んでないだけあって、在庫も少なくなってきた。
あと残ってる在庫は……

過去を見ることができる水瓶
未来の自分が見える鏡
自分の死ぬ瞬間が見れる万華鏡
かぶると万人が恐怖する般若のお面
神社から盗まれたと思われる狛犬

終了時間も迫っていることもあって、蓮は、

「そうだねぇ。これが限界ってことかな。そろそろ片づけするよ」

急いで片づけに入る3人。

「実はこういうものを持ってきたんだ」
と蓮が言って、大きい袋を取り出した。

「四次元袋と言って、いくらでも入るし重くもないのよ」
「わぁ〜〜。素敵ですね〜〜」

四次元袋を持った蓮がにこりとあいさつしたところで、二本の手が蓮の前に差し出された。

「それ、なによ」
「バイト代」
「ウチの商品じゃだめかね?」
「貧乏なのはお互い様」

結局、蓮は売り上げ金額の半分を瑠宇達にやった。

「楽しかったー。イロイロ見れたし、お洋服買ってもらえたし、お店屋さんもできたし
 オこづかいまでもらっちゃったし。ラッキーデイだねっ」

瑠宇はそう言いながら、刀真と一緒に夕暮れの道を歩きながら満足そうにしていた。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【4431 / 龍神・瑠宇 / 女 / 320歳 / 守護龍/居候】
【4425 / 夜崎・刀真 / 男 / 180歳 / 尸解仙/フリーター】


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■         ライター通信          ■
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初めまして。ご依頼ありがとうございます。物語の基本になるのは刀真の方で、
こちらはパラレルワールドというか、細かい部分がちょくちょく変えてあったりします。
宝探しのように、瑠宇のオリジナルなシーンやセリフを探してみてください。
瑠宇のしゃべり方のイメージを崩さないように気をつけてみました。

また会える日を楽しみにしています^ ^