コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE 01 スカウト

------------------------------------------------------

OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

------------------------------------------------------

スカウト活動を続ける少年と少女。
数時間前に、彼等が所属する組織INNOCENCEのトップである、
イノセンスマスターから”いつまでやっとるんじゃ”と催促の魔手紙が届いたばかり。
(※ 魔手紙とは、目には見えない魔法の手紙で、INNOCENCE所属者のみが扱う連絡手段)
マスターから届いた催促に、少女は急がねばと気を張るが、
相方である少年は、至って普通。のんびりいこうぜと余裕しゃくしゃくだ。
少年のそういう所が少女の悩みのタネなわけだが、
それが彼の性格。性格を変えるなんて、そうそう出来ない。
少女は肩を落としつつ、今日も少年と行動を共にしている。

「お。あいつ、良くね?」
異界にあるカフェにて、少年が、とある青年に注目した。
青年は、サイコロ型のピアスをしており、服装はスーツを着崩したラフで御洒落なもの。
パッと見、かなりのイケメンだ。
彼の周りのテーブルで食事をしている女性達がチラチラと彼を見やっている。
「うーん…確かに、能力は凄いと思うけど」
クランベリーソーダを飲みながら言う少女。
「だろ?よし、声かけてみよ」
ガタンと席を立ち、青年に駆け寄っていく少年。
「ち、ちょっと!」
少女は慌てて少年を追う。

「おにーさん、おにーさん。ちょっとイイ?」
少年が声を掛けると、ラムコークを飲んでいた青年は、
ん?と首を傾げつつ、少年を見上げた。
あどけない顔立ちとニット帽。パーカーのポケットに手を突っ込んで、
ニコニコと微笑む少年を見て、青年は優しい笑みを浮かべた。
青年の名は、星神・空斗 (ほしがみ・あきと)。
異界で有名なギャンブラー兼よろずやだ。
空斗は少年の頭にパフッと手を乗せると、
「んじゃ、出るか。外の方がイイだろ?」
そう言ってガタンと席を立った。
「おぅ!」
嬉しそうに空斗についていく少年。
少女は支払いを済ませ、慌てて二人を追う。



「さーて。で、何の用かな」
店の近くにある広場で、両手を腰にあてて尋ねる空斗。
すると少年は、バッと銃を抜き、銃口を空斗へ向けた。
「おっかねぇなぁ、おい」
クックッと笑いながら言う空斗。
「ちょっと!何やってんのよ、やめなさいっ」
バタバタと駆け寄って、少年を叱る少女。
少年はニッと不敵な笑みを浮かべ、
「大丈夫だよ。あいつなら、こんくらい」
そう言いながら、引き金に指をかける。
「ちょ、やめなさいって。失礼でしょ!?」
プンスカする少女。
二人の遣り取りを見ながら空斗はハッハと笑い、
懐から一枚のコインを取り出した。
このコインは、彼の能力の一つ。
コイントスをし、裏が出るか表が出るかで、異なる効果が発動する。
単純明快、ささやかなギャンブルだ。
「よっ、と」
空斗のコイントス。
結果は…裏。
「あ。あれ?」
「…?」
効果はすぐに発動。
裏が出た為、対峙している人物が行動不可能になった。
声を出し、話すことは出来るが、一切動けない。
必死に足掻いてみる少年と少女だが、
コイントスの結果は絶対。覆ることはない。
空斗はコインを持ったまま、動けなくなった二人に尋ねる。
「ま、穏便にいこうや。話ってのは何だ?」
どれだけ足掻いても無駄だと悟った少年は、
ハァと溜息を落として、空斗の質問に答える。
「スカウト。やろうとしたのは、お手並み拝見…ってトコかな」
「スカウト?」
「うん。INNOCENCEって知ってるだろ?」
「あーあーあー。知ってる知ってる。最近、色んなとこで評判だな」
「そこのエージェントなの。俺等」
「へぇ。まぁ、只者じゃないっつう気はしてたけどなぁ」
「ねー。おにーさん、ウチに入ってよ」
「んー?」
「その能力、すっげぇ役に立ちそうだし。戦闘能力も申し分ないしさぁー」
「はは。そりゃ、どうも」
「ねー。入ってよー。入ってー」
駄々をこねる子供のような少年の態度。
少女はハァ、と溜息を落とし、謝罪を述べる。
「すみません。突然言われても困りますよね」
「ん?いや。そんなことはないぞ」
「そ、そうですか…?」
「おぅ。でもな、どうすっかな。うーん…よし、こいつで決めようか」
コインを示す空斗。
空斗はピン、とコインを空に放ち、
左手の甲に落下したコインを、パンと右手で隠して言う。
「表が出たら、所属する。裏が出たら、俺は帰る。オーケー?」
「…いーよ」
キッと真剣な眼差しで、隠されたコインの結果を見やる少年。
空斗が、ゆっくりと右手をよける。
張り詰める空気。少年と少女はドキドキ…。
結果は…表。
「表、だな。オーケー、所属しよう」
コインを懐にしまって言う空斗。
「よっしゃー!!」
大喜びする少年。少女も、表には出さないが嬉しそうだ。
さて。晴れて、新エージェントを獲得したわけだが、問題が一つ。
「…なぁ、これ、いつになったら動けるの?」
「わかんねぇんだよな、それ」
「えー?」
「ランダムだから。まぁ、暫くの辛抱だ」
「えぇぇぇー」



コインによる行動不能の効果が解けたのは、一時間後。
銃を構えたまま、しかも引き金に指をかけた状態で動けなくなった少年は、
突っ張った腕と指を顔を歪めつつ伸ばす。
「いててて…」
「はは。悪いな。しんどかったろ」
「うん。かなりね!」
頬を膨らませて言う少年。
少女は少年の頭をパシンと叩いて言う。
「あんたのせいで私まで巻き添え」
「へいへい。すんませんでしたねーっと」
「む。何よ、その言い方」
少年と少女の遣り取りは、見ていて微笑ましい。
気のおけない感じ…おそらく、幼馴染か、それに似た間柄なのだろう。
二人に微笑みつつ、空斗は尋ねた。
「で、どうすりゃいいんだ?具体的にはよ」
「ん!そだな、とりあえず、ウチのアジトっつか本部に案内するよ」
「オーケー」

組織アジト・本部へ向かう一行。
道中、少年は空斗に能力について色々と尋ねた。
ゲーム性に富んだ空斗の能力を、気に入ったようだ。
話は盛り上がり、いつしかギャンブルの話へ。
ギャンブルに手を出したことのない少年にとって、
空斗の話は面白く興味をそそるものだった。
「楽しそうだなー。ちょっと俺もやってみよーかな」
「おぅ。色々教えてやるぞ」
「マジで?やったー」
また余計なものに興味を持った…と少女は溜息連発だ。

------------------------------------------------------


■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7407 / 星神・空斗 (ほしがみ・あきと) / ♂ / 25歳 / ギャンブラー・よろず屋

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。 はじめまして。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ。

-----------------------------------------------------
2008.02.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------