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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


サキュバスの魅惑

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OPENING

男女問わず、気に入った者を夢へと誘う夢魔:サキュバス。
どこからやってきたのか、そのサキュバスが、
今、異界で、とある騒動を起こしている。
そこらを歩いている者に見境なしで声をかけては、
心を魅了する術を使って、己の虜にしているそうだ。
サキュバスの虜となった者は、彼女に絶対服従。
仮住処である廃墟には、被害者が多数。
特に気に入った者は、傍に置いておき奴隷のように使うようだ。
捕獲討伐に赴いた者は多い。
だが、皆、虜にされ、今だにサキュバスは捕獲討伐されていない。
一刻も早く、何とかせねば。

サキュバスの魅惑に惑わされない…心力ある者を求む。
―IO2緊急依頼書より抜粋

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「おっ…こいつはなかなか…美味そうな事件だな」
何か面白い情報はないかとハッキングしていたアリスが食いついた事件。
どこから湧いたのか不明だが、夢魔サキュバスが異界で好き勝手に暴れているという。
アリスは左腕の包帯に尋ねてみる。
「なぁ、これ。面白そうじゃねぇ?」
アリスの言葉に反応し同意するようにピクピクと動く”相棒”
「だ〜よな〜!よっしゃっ。行くか!」
ピョンと木から飛び降り、フードを、ばふっと深く被るアリス。
夢魔サキュバスは異界にある廃墟に潜んでいるらしい。
そこには、彼女の『コレクション』もある、とのこと。
アリスは道中、歯向かってくるザコモンスターをチョップや蹴りで秒殺しつつ廃墟を目指す。
意気揚々と、悪戯猫の御出勤。

異界にある廃墟 ―
夢魔サキュバスは、妖しく微笑みつつコレクションを眺める。
彼女のコレクションは、生きた人間。自身の魅惑に堕ちて虜と化した人間である。
男女二人ずついるコレクションは、皆とても整った顔立ちをしており、
彼女の命令で、布切れ一枚のみを羽織っている。
『ふふ…美しいわね』
満足そうに微笑するサキュバスは、
コレクションたちに口付けをするよう命じた。
コレクションは彼女の意のまま。命じたことを忠実に実行する。
『ふふふ…』
至福の瞬間に酔いしれるサキュバス。
中でサキュバスがウットリとしている頃、
ちょうど廃墟に到着したアリスは、ウロウロと辺りを歩き回っていた。
罠の類は仕掛けられていないようだ。二階にランプの明かりらしきものが灯っている。
おそらく、サキュバスは、あそこにいるのだろう。
「よっしゃ」
気合を入れて、プゥーっとフーセンガムを膨らませた。
どんどん大きくなるフーセンガム。それがパチンと弾けた時。
アリスは、ピョーンと高くジャンプ。
ガシャァァンッ―
二階、窓ガラスを割って廃墟へ豪快に侵入するアリス。
『!?』
至福に酔いしれていたサキュバスはハッと我に返り、割れた窓ガラスを見やる。
粉々に砕け散った窓ガラス。それらをカシャッと踏みつけて、アリスはニッと微笑んだ。
「よぅ、サキュバス」
『…元気なお嬢さんね』
口元に妖しい笑みを浮かべるサキュバス。
サキュバスの外見は、何というか…とてもセクシーだ。
ほとんど全裸に近い状態である。自分には絶対に出来ない格好だな、などと思いつつ、
アリスはガムを噛みながら室内をグルリと見回した。
なかなかセンスのある部屋だ。アンティークのランタンやチェアーが良い感じ。
どこから持ってきたのかはわからないけれど…。
サキュバスは長い髪を指に巻きつけながら言う。
『あなたも、私を殺しに来たのかしら?』
「ん?いや、別に」
『…そうなの?』
「おぅ。ちょっと興味があったからな。純血サキュバスってのに」
『………』
あまり知られていないが、アリスは人間とサキュバスのハーフだ。
アリスの体内には、半分サキュバスの血も通っている。
どちらかというと人間の血よりサキュバスの血のほうが濃い為、
彼女も、その気になれば ”魅惑” することができる。
滅多に、その気になんてならないけれど。
『珍しいわ。半血なのね』
「珍しくもないんじゃねぇか?今時」
『………』
ガムを噛みながら淡々と言うアリスを見つめ、サキュバスはフフ…と笑んだ。
勝気な態度、体内を通う同種の血。サキュバスはアリスを気に入ってしまったようだ。
『あなた、私のコレクションにならない…?』
トロンとした眼差しを向けるサキュバス。
この甘ったるい眼差しこそが、魅惑発動の証だ。だが当然、アリスには無効。
「うちには効かねぇぜ。つか、物好きだなぁ。あんた」
『………』
チッと舌打ちするサキュバス。同種には魅惑が効かない。それは知っていた。
だがハーフなら、もしかしたら…と思い試したのだが、無駄だった。
「ふーん。これが、あんたのコレクションか…」
サキュバスのコレクションを見やって苦笑するアリス。
(何だかなぁ。ほんと、イイ趣味してるぜ)
コレクション達は完全に魂をサキュバスに捧げた状態の為、
主の身に危険が及びそうだと危惧し、揃ってサキュバスを取り囲んでいる。
常人から見れば、かなりイカれた光景だが、
アリスはサキュバスの気持ちというか…そういうのを理解できてしまう。
それゆえに、彼女を傷つけるという行動に出ることはない。
だが魅惑によって虜と化したコレクションの面々は、普通の人間。
ハッキングで目を通した情報によると、彼等の身を案じている家族や兄弟がいる。
半分はれっきとした人間であるアリスは、そこを許すわけにはいかない。
「いくら気にいったからってよ、独り占めするのはどーかと思うぜ?」
淡く微笑んで言うアリス。サキュバスは沈黙し、思い耽っている。
今まで何度も自分を殺そうと何人ものツワモノが挑んできた。
その度に返り討ちにしたり腑抜けにしたりしてきたのだが…。
アリスは自分を殺そうとはしていない。
寧ろ、存在自体をきちんと認めてくれているのだ。
ポリポリと頬を掻きつつ、アリスは続けた。
「もうちょっとさ、厄介なやつを虜にしてくれよ。助かるから」
『厄介なやつって…』
「そこらへんにいるだろ。不気味な魔物どもだよ」
『…美しくないものを虜にしてもね』
「あ、そうか。それもそーだ。はははっ」


気さくで理解深いアリスの提案により、
サキュバスはコレクションを解放することを決意した。
ドラキュラには美男子が多いという情報に食いつき、あっさりと心変わりしたようだ。
サキュバスがドラキュラを魅惑で虜にすれば、
必然的にドラキュラたちの悪事が激減する。うん、一石二鳥だ。
他の魔物もまとめて魅惑してほしいところだが、
サキュバスは美しいものにしか興味がない為、
ほとんどが不気味な外見である他の魔物共は…相手にしないであろう。
「んじゃ、帰る。あんま迷惑かけんなよ。うちの肩身が狭くなるから」
ヒラヒラと手を振って、ピョンと窓の縁に飛び乗るアリス。
サキュバスは了解、と言ってクスクスと笑った。
「じゃーなー!」
窓からピョーンと飛び降りて、猫のように森を駆けていくアリス。
その姿を見下ろしつつ、サキュバスはフゥと息を吐いた。
IO2でさえも手を焼いていたサキュバス事件は、悪戯猫によって、あっさりと解決。
どこにも誰にも報告せずに単独で、興味本位で行ったことなので、
異界はしばらくの間、誰がサキュバスを治めたのかという噂で持ちきりとなった。
「…しくった。報告しとけば報酬が…」
新聞で事態を知ったアリスはガックリと肩を落とした。
残念ながら時既に遅し。今更気付いても遅いのだ。
タダ働き…ご苦労さま。
「あ〜。しくった…しくったぜ〜…くそ〜ぅ…」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
NPC / レリー・オージェイ (れりー・おーじぇい) / ♀ / ??歳 / サキュバス


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■


こんにちは! 参加・発注ありがとうございます。
人間+サキュバスの混血であるアリスちゃんならではのプレイングですね。
書いていて、とっても楽しかったです。まさか、こんなに和やかになるとは^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.03.14 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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