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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


サキュバスの魅惑

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OPENING

男女問わず、気に入った者を夢へと誘う夢魔:サキュバス。
どこからやってきたのか、そのサキュバスが、
今、異界で、とある騒動を起こしている。
そこらを歩いている者に見境なしで声をかけては、
心を魅了する術を使って、己の虜にしているそうだ。
サキュバスの虜となった者は、彼女に絶対服従。
仮住処である廃墟には、被害者が多数。
特に気に入った者は、傍に置いておき奴隷のように使うようだ。
捕獲討伐に赴いた者は多い。
だが、皆、虜にされ、今だにサキュバスは捕獲討伐されていない。
一刻も早く、何とかせねば。

サキュバスの魅惑に惑わされない…心力ある者を求む。
―IO2緊急依頼書より抜粋

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(これは…)
情報網にかかった、とあるデータに反応する魅月姫。
夢魔サキュバス…どこからか湧いた、その魔物が異界で騒動を起こしている。
魅月は『ハイ・デイライトウォーカー』と呼ばれる吸血鬼であり、
非常に高い魔力を誇る『魔女』でもある。
彼女の卓越した能力のバリエーションは豊富で、
戦闘において彼女に匹敵する人物は、そういない。
異界で騒動を起こしているサキュバスは、
魅惑を用いて、あらゆる者を自身の虜にしているそうだ。
サキュバスに特に気に入られた者は傍に置かれ、飽きるまで愛でられる。
愛でられるといっても、それは見るに耐えない…下僕のような扱いだが。
魅月姫が、この事件に興味を持った大きな理由は、
サキュバスという妖の『存在』にある。
彼女は使い魔として、夢魔二名を従えている。
従順な彼等と同種であるサキュバスに興味を抱くのは自然なことかもしれない。
魅月姫はIO2に連絡を入れず、単独でサキュバスとの接触を試みる。
情報を見る限り、被害者は多いようだが死者は出ていない。
サキュバスの目的は、人を殺めることではない。
それならば、話し合いで何とか済ませることが可能なのでは。
魅月姫はパチンと漆黒の携帯電話を閉じて、サキュバスのもとへと向かった。

サキュバスの棲家は異界にある廃墟。
大富豪が暮らしていたといわれている敷地一帯。
富豪の死後、ここはすっかり魔物の棲家となってしまった。
金を求める意地汚い妖ばかりが寄ってくるのは、
そこらじゅうに点在している、かつての敷地主の貪欲な魂の所為かもしれない。
わざわざ、こんな不気味なところを棲家にしなくても…と魅月姫は思いつつ、
気配を断って周辺を歩き、状況を探る。
サキュバスは上位魔だ。
この辺りをウロついている低俗魔では、太刀打ちできない。
ゆえに、敷地内に感じるのはサキュバスの気配のみ。
邪魔者を払って、居場所を確保したのだろう。
魅月姫は、さて…と長い黒髪を耳にかけて、廃墟を見上げる。
二階に、うっすらと明かりが灯っている。
おそらく、あそこにサキュバスがいるのだろう。
魅月姫はフゥと一つ息を吐いて、意図的に呼吸を乱し廃墟へと入っていく。
外観と違って内装は、とても美しく施されている。
どこから持ってきたのかはわからないが、
飾られている絵や並ぶ家具は全てアンティーク。趣味は悪くない。
魅月姫は無表情のまま、二階…明かりの灯る部屋へと踏み入った。
カタン―
物音に反応し、壊れた扉を見やるサキュバス。
黒髪の美少女がキョトンとした顔でこちらを見ている。
バチリと交わる視線。魅月姫は囁くように言う。
「ごめんなさい。誰かが住んでるだなんて思わなくて」
少しオドオドしている魅月姫。もちろん、演技だ。
知らぬふりを装って、サキュバスとの自然な接触を試みる。
『可愛いお嬢ちゃんね…』
クスリと妖しい笑みを浮かべて魅月姫を見つめるサキュバス。
サキュバスの周りには、布切れ一枚だけを身に纏った男女がいる。
彼等は、サキュバスに気に入られた ”コレクション” である。
サキュバスがクスクスと妖しく笑む度、
コレクション達は身を捩じらせて快感に酔いしれる。
生粋のサキュバスは微笑みだけで、魅惑能力を発動するのだ。
だが魅月姫には無効。何の支障も変化もない。
『あら…?』
おかしいわね、と首を傾げるサキュバス。
「通用しませんよ。魅了ならば、私が先達ですから」
と言って、スッと目を伏せる魅月姫。
すると魅月姫の髪が逆立ち、辺りに漆黒の黒風が吹きすさぶ。
闇の中、不気味に光る魅月姫の紅い瞳。
サキュバスの背中に、ゾクリと寒気が走った。
別格。そう呼ぶに相応しい雰囲気と魔力を放つ少女に、
サキュバスの心は、いとも容易く折れてしまう。
敵うわけがない。そう悟ってからのサキュバスは、
それまでの高慢な態度から一変し、呼吸さえも遠慮するようになった。
魅月姫は、跪くサキュバスの頭に、そっと触れる。
ぐにゃりと歪む空間。まるで脳みそを掻き回されているかのような感覚に、
サキュバスはギュッと固く目を閉じ、必死に堪えた。
すぐにでも逃げだしたい…その気持ちを。

すっかり大人しくなったサキュバスは、魅月姫の意のまま。
コレクションたちを解放し、身勝手なことをしたと頭を垂れて謝罪した。
仰せのままにとばかりに従うサキュバス。
もう十分だろうと判断した魅月姫はフッと巨大な魔力を体内へと戻す。
それまでの禍々しい雰囲気から、可憐な美少女へと戻っても、
サキュバスの心に根付いた恐怖と絶対的な実力差は払拭されることがない。
サキュバスは、跪いたままスッと魅月姫の手をとると、
白く美しい魅月姫の手の甲へ軽く口付けをし、
『貴女に仕えさせてはもらえませんか』
目を伏せて、そう願いを告げた。
魅月姫は、ふふ…と妖しく微笑むと、
サキュバスの髪を指でツツーッとなぞりながら、
「契約が必要よ?」と言って、コウモリを出現させた。
コクリと頷くサキュバスの喉に、コウモリが噛み付く。
首を伝う血を指で拭い、それをペロリと舐めやる魅月姫。
その瞬間、サキュバスは魅月姫の第三の使い魔と化す。

異界で起きたサキュバス騒動。
それは魅月姫により、迅速かつ妖しく…解決された。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

4682 / 黒榊・魅月姫 (くろさかき・みづき) / ♀ / 999歳 / 吸血鬼(真祖)・深淵の魔女
NPC / レリー・オージェイ (れりー・おーじぇい) / ♀ / ??歳 / サキュバス


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■


こんにちは! はじめまして。参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.03.15 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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